NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク

2015年10月28日

「子ども虐待防止全国一斉オレンジリボン街頭配布」のお知らせ
11月の児童虐待防止推進月間の一環として、子ども虐待防止「オレンジリボン運動」の総合窓口を担うNPO法人児童虐待防止全国ネットワークは、全国各地の支援企業・団体と協力し『子ども虐待防止全国一斉オレンジリボン街頭配布』を11月3日(火・祝)に実施いたします。

『子ども虐待防止全国一斉オレンジリボン街頭配布』とは
平成25年4月から平成26年3月までに虐待で亡くなった子どもは 事例69人(心中事例33人を含む)、平成26年度に児童相談所が受け付けた児童虐待の相談件数は、88,931件となっており、児童虐待防止法成立から10年以上が経過した現在も、事態は一向に改善する気配がありません。
NPO法人児童虐待防止全国ネットワークでは2008年から、厚生労働省や全国の自治体、民間団体、企業とともに「児童虐待防止推進月間」中に全国各地で『子ども虐待防止全国一斉オレンジリボン街頭配布』を実施し、今回で8回目となります。
今年は88団体、企業等のご協力により全国各地で配布が実施されます。
【主催】 NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク
【協力】 88支援団体・企業等
【配布予定地域】 全国各地(約30都道府県)

理事長吉田恒雄よりメッセージ
子ども虐待をなくすのは、行政や専門家だけの仕事ではありません。市民一人ひとりができることをして、「虐待のない社会」に少しでも近づければと思います。
11月は児童虐待防止推進月間です。全国各地でさまざまなイベントが開催されます。
一人でも多くの方にオレンジリボンを知っていただき、児童虐待防止に理解をもってくださるよう、オレンジリボンマスクの配布に御協力をお願いいたします。

NPO法人児童虐待防止全国ネットワークによるマスクの配布(共催:豊島区)
場所:東京都豊島区池袋 サンシャイン通り付近
時間:11月3日(火・祝) 11時~13時(予定。早めに終了する場合もあります)
※当日、配布のお手伝いをしてくださるボランティアの方も募集しています。

オレンジリボン運動について (http://www.orangeribbon.jp/)
「オレンジリボン運動」は、子ども虐待防止のシンボルマークとしてオレンジリボンを広めることで、子ども虐待をなくすことを呼びかける市民運動です。児童虐待防止全国ネットワークでは、オレンジリボン運動を通して子ども虐待の現状を伝え、多くの方に子ども虐待の問題に関心を持っていただき、市民のネットワークにより虐待のない社会を築くことを目指しています。

児童虐待防止全国ネットワークについて
「児童虐待防止全国ネットワーク」は、子どもたちと子ども虐待に関わる各分野での情報交換や共同のソーシャルアクションを行い、子ども虐待の現状や将来など各分野からの意見・報告をもとに検討し、児童虐待防止に資することを目的として、2001年に設立されました。  オレンジリボンの普及を通じて全国的に子ども虐待への関心を広げる啓発活動や、制度検討のためのシンポジウムを開催するほか、2004年からは厚生労働省が主催する児童虐待防止対策協議会へもメンバーとして参加しております。2006年からは「オレンジリボン運動」の総合窓口として多角的な活動を行っています。

【本件に関するお問い合わせ先】
NPO法人 児童虐待防止全国ネットワーク
〒156-0043 東京都世田谷区松原1-45-10 KTスクエアー4B
TEL:03-6380-6380 FAX:03-6379-3500
E-Mail:info@orangeribbon.jp

返済免除奨学金 さらなる導入、拡充を

北海道新聞 2015年10月27日

児童養護施設に入所している高校3年生の進学を支援するため、札幌市は来年度から、返済を免除する奨学金制度を設ける。
高校卒業後に月額5万円を1年間給付し、経済的な理由で大学や専門学校などへの進学を断念したり、中退に追い込まれないよう支援する。年に10人程度への支給を想定している。
道によると、自治体が行う児童養護施設向けの奨学金制度創設は道内で初めてという。
親からの虐待や貧困を背景に、施設に身を寄せる子どもが増えている。その進学を後押しする制度として評価できよう。
ただ、支給期間が1年に限られ、対象人数も少ないなど、まだ十分な仕組みとは言えない。
札幌市には拡充を望みたい。他の自治体も導入を検討する価値があるだろう。
児童養護施設では、親と一緒に生活できない原則18歳未満の子どもたちが暮らしている。年齢制限は最長2年延長でき、20歳の直前まで生活できる。
中学や高校卒業時に退所し、仕事を得て自活の道を進む子どもが多い。道内には現在、23施設に1355人が在籍している。
昨春、高校卒業とともに道内の児童養護施設を退所した子どもの大学や短大、専門学校への進学率は24%だった。道内の高3全体の進学率70%に比べ著しく低い。
さらに、進学しても生活費や学費をまかなうためのアルバイトに追われ、最終的に中退を余儀なくされる学生が3割にも上る。
進学を望む高校生の向学心をもっと尊重する必要がある。
経済的に恵まれない子どもが進学する上で、奨学金の存在は大きい。しかし現在は多くが返済義務がある貸与型で、有利子だ。大学などを卒業した後、何百万円もの返済を強いられることが多い。
ヨーロッパでは、返済免除の給付型奨学金が目立つ。
国内でも民間を中心に給付型が設けられているが、希望するすべての子どもをまかなうには至っていない。
少子化が進み、将来の働き手不足が懸念されている。人材育成のためにも、行政はもちろん、多くの企業や業界団体も、給付型や無利子の奨学金拡充を考えていいのではないか。
進学を希望しても貧困のために諦めざるを得ず、若くして夢を失うようでは、社会にとっても損失だ。貧困の連鎖は断ち切らなければならない。

衝動的な怒りで子どもを叩いてしまう…母親を悩ませる「赤ちゃん部屋のおばけ」現象とは?

All About 2015年10月29日

なぜかわいいわが子を叩いてしまうのだろう?
子どもにひどい攻撃をしてしまうお母さんのすべてが、子どもを嫌っているわけではありません。むしろ、子どもに恵まれたことに感謝し、幸せを願って子育てに取り組んでいる方の方が多いと思います。
でも、子どもが泣き叫ぶ声を聞くとなぜか苛立ちが止められず、攻撃的な行動をしてしまう――。そして、あとから自分のしたことを振り返り、「なぜこんなにひどいことをしてしまったのだろう」と頭を抱えている方が少なくありません。
そんな複雑な心理には「赤ちゃん部屋のおばけ」という現象が関係しているかもしれません。「赤ちゃん部屋のおばけ」とは、米国の児童精神科医 フライバーグによることばですが、もちろん、怪奇現象やゴーストとは何の関係もありません。では、「赤ちゃん部屋のおばけ」とはどのような現象なのでしょう?

幼少期のつらい体験が、現在の子育てをつらくする
赤ちゃんと2人きりで密室の中で過ごしていると、絵にかいたような「安らかな育児」などありえません。多くの母親が、抱っこしてもあやしても泣き続ける子、片づけたそばから汚していく子に苛立ち、叫びたくなるような心境を経験しているものと思います。
しかし、多くの母親は「思い通りにいかないのが子育て」と割り切り、家族や地域の子育てサポートを上手に利用しながら、適度な範囲で子育てをしています。そんな大らかさやバランス感覚を持てるのも、自分自身が苛立ちや葛藤を受容され、物事を大らかに捉える術やバランス感覚を教えられてきた結果であることが大きいのです。
一方、幼少期に虐待などのつらい仕打ちを受け、周囲に対してうまく心を開けないでいる母親はどうでしょう? 育児ストレスを乗り越えるための大らかな考え方やバランス感覚をなかなか伸ばすことができません。そのため、育児ストレスを1人で抱えながら、むずかる赤ちゃんを持てあまし、密室の中で頭を抱えてしまう現象が起こりやすいのです。

「おばけ」に取り憑かれたように、わが子を攻撃してしまう
このような状況のなか、赤ちゃんと2人きりで過ごしていると、子どもが自分に敵意を向けているように感じられたり、母親の自分から愛されているのをいいことに、わがまま放題をしているように見えてしまうことがあります。
そして、「私がこんなに頑張っているのに、どうしてあなたは私を困らせるの!? 」「幼い頃の私より何倍も幸せなはずなのに、これ以上何をしてほしいの!? 」と思考が極端な方向に暴走してしまいます。こうして、わが子に対して衝動的に怒りの感情が湧き、とっさに攻撃してしまいます。この現象を「赤ちゃん部屋のおばけ」と呼びます。まるで赤ちゃんの部屋に目に見えない「おばけ」が潜んでいて、そのおばけに取り憑かれて攻撃してしまったように感じられるためです。

思考と行動の矛盾を理解するためにも、相談は有効
幼少期に虐待などのつらい経験を持つ母親は、「私は自分の親とは違う」「自分がされたようなことは、絶対に繰り返さない」と心に決めて子育てを始めたものと思います。
しかし、密室の中でむずかる子どもを目の前にすると、なぜか自分がされたことをわが子に繰り返してしまう――。そんな思考と行動の矛盾に苦しんでいるのではないでしょうか?
こうした思考と行動の矛盾が生じる背景には、“いいお母さん”になろうとして頑張りすぎていること。身近に気持ちを受け止めてくれる人、育児を助けてくれる人がいないこと。また、自分自身のつらい幼少期の経験による内的な葛藤が現在の子育てに投影され、感情の制御がきかなくなってしまうことなどがあります。
自分一人で、こうした心理を客観的に分析し、軌道を修正することはなかなか困難です。したがって、ぜひ早めに専門家による相談支援を受け、具体的な育児サポートを利用するのが有効です。

一人で抱えず、相談窓口に電話をしてみよう
いちばん身近な相談窓口は、地域の保健センターです。その他にも、最寄りの市区町村の児童保健福祉課、子育て支援センター、県の児童相談所が相談に対応しています。また、虐待予防や子育て支援を専門とするNPOなどにも電話相談窓口があります。こうした窓口に電話をすれば、必ず何らかのアドバイスをもらえたり、カウンセリングを案内されたり、具体的な支援サービスについての情報が得られたりします。
もちろん、夫や友人や知人などの身近な人に打ち明け、気持ちを聞いてもらうのもいいでしょう。しかし、気持ちを打ち明けることで一時的に楽になっても、具体的な解決にならないこともあると思います。また、これらの人々がかならずしも効果的なアドバイスをしてくれるとは限らず、逆に責められてしまうことがあるかもしれません。
自分の気持ちを整理し、自分が何に困っていて、どんなサポートが必要なのかを知るためにも、やはり専門相談窓口で相談し、具体的な支援情報を入手するのは有効です。周囲の人に「赤ちゃん部屋のおばけ」の危機を感じたときにも、ぜひ上のような相談窓口を紹介してあげてください。