<児童福祉法>対象20歳未満に引き上げ意見 厚労省部会

毎日新聞  2015年11月12日

児童福祉法改正に向けて厚生労働省が設置した専門委員会の作業部会が12日、省内であり、18、19歳でも児童養護施設や里親の下で暮らせるよう、児童福祉法の対象年齢を現行の18歳未満から20歳未満に引き上げるべきだとの意見が大勢を占めた。今後、委員長が骨子案を作成し、委員会が年内に報告書をまとめるが、養護の観点から同法の一部改正に向けた議論が加速しそうだ。
児童福祉法は児童を18歳未満と定義しており、原則として18歳になると児童養護施設や里親から離れなければならない。例外的に入所期間を延長できるが、施設は定員に限りがあるうえ、虐待を受けて入所を待つ児童は増加しており、高校卒業で退所するのが一般的だ。親子関係が修復できていない場合、退所しても子どもは親元に戻れない。
1人暮らしには賃貸住宅への入居や携帯電話の契約が必要になるが、民法の規定で未成年者の法的手続きには保護者の同意が必要。退所前に施設長や里親が代理を引き受けることが多いが、退所後はこうした支援が得られるとは限らない。
児童虐待への対応にも問題がある。虐待を受けた高校3年生に児童相談所が対応する際、17歳なら保護できるが、18歳は保護の対象にならない。作業部会の委員からは「同じ高校3年生でも対応に差が出てしまうのは問題だ」との意見も出た。
また、児童相談所が支援した子どもは成人後も自立するまで支援を継続すべきだとの意見で一致した。
成人年齢を巡っては、公職選挙法改正で来年6月に選挙権年齢が18歳以上に引き下げられるのに合わせ、自民党は民法でも「成人」を18歳とするなどの法改正を目指している。作業部会では「成人年齢がどうなろうと、児童福祉法の対象年齢引き上げは必要だ」とする意見の一方「成人年齢が引き下げられた場合は児童福祉法の対象も18歳未満に戻すべきだ」との主張もあり、今後委員会で詰めの議論をする。【黒田阿紗子】

児童相談所は緊急案件に専念=虐待防止で法改正へ―厚労省

時事通信  2015年11月12日

厚生労働省は12日、児童虐待の防止策強化に向けて有識者検討委員会がまとめた論点案を発表した。
児童相談所(児相)の役割を緊急度の高い虐待家庭への調査・介入に絞り、軽度な事案は市町村の担当とする方向。年内に結論を出し、来年の通常国会に児童福祉法と児童虐待防止法の各改正案を提出する。
児童虐待件数は2014年度対応分で8万8931件。前年度に比べ20.5%増えている。
論点案では、虐待通告を一元的に受けて緊急度を判断し、児相や市町村に振り分ける機関を新設。児相は緊急度の高い事案を担当して子どもの保護や調査・介入に専念する一方、軽度な事案は市町村が受けて子どもらへのケアを担うのが望ましいとした。

朝夕は保育士1人体制でもOKに?保育士の7割が省令改正案に反対

@DIME  2015年11月12日

現在、児童福祉法で定められている保育士の配置基準では、最低でも保育士の資格保有者を常に2人配置することが定められている。また、各自治体の認可外保育施設指導監督基準でも、常時複数の有資格者を置くことと明記されている。ところが、厚生労働省は、朝と夕方に限り、現状2人以上の配置が定められている保育士の数を1人に減らすことを検討している。
厚生労働省が検討しているのは、これを送迎の朝と夕の時間帯のみ、有資格者1名+「保育ママ」などの保育業務経験者1名で運営できるようにするというもの。これは2017年度末には約7万人の保育士不足が見込まれることから検討されている規制緩和で、すでに2015年4月からは、一部地域で試験的に取り入れられている。また、厚労省では、事業者や利用する保護者からの強い反対が無ければ、政令を改正する見込みだ。
そんな中、保育士や幼稚園教諭の人材紹介サービス「保育のお仕事」を展開する、株式会社ウェルクスは、この省令改正案について保育士さんを中心とする100名を対象に、意識調査を実施。省令改定の賛否について、現場で働く保育士のリアルな意見が寄せられた。
今回のアンケートでは、まずこの省令改正案に対する認知度を聞いたところ、「良く知っている」と回答したのは全体の10%にとどまった。「だいたい知っている」「聞いたことはある」という回答もそれぞれ9%、11%といずれも認知度が低く、一方で「知らなかった」という回答は70%という結果に。
続いて、改定の意図や内容を伝えたうえで、省令改定の賛否について伺ったところ、71%の方は「反対」と回答。「賛成」というご意見はわずか16%にとどまった。改定に賛成する方の意見としては、「無資格でも働けるチャンスが増えるから」という意見が最も多く、その他「既にそのような体制を取っている」などのご意見もあった。
一方で、反対理由の多数を占めたのが「朝夕は保護者対応などで忙しく、保育士2人体制は必須だと思うから」というもの。実に71人の反対回答者のうち63人がこの理由を挙げていた。その他「有資格者の負担が増えるから(39人)」「待機児童問題解消の根本的な施策になっていないと思うから(36人)」「保育の質が下がると思うから(35人)」というご意見の他、「子どもに何かあったときの対応は1人では厳しく、責任も重い。(20代/女性)」などの声も寄せられた。
この改正案について、自由記述形式で得られた意見は以下の通り。※一部抜粋
「朝夕は保護者対応があるのに保育士でない人が対応するなんて有り得ない。朝夕は怪我などの注意も日中以上に必要だし、欠席連絡などもありとても大変。保育士の待遇改善を考えず無資格者に対応させれば良いと言うのは、保育士を誰でも出来るような仕事だと思っているように感じる(40代/女性)」
「保育士の人材確保が難しいためとは言っているが、この改定案ではさらに責任や負担が増え、人材が減っていく一方だと思われる。(20代/女性)」
厚労省は、大きな反対がなければ省令を改正するとしているが、まずこの改正案について、現場を含めもっと広く広報することも必要だと思われる。同時に有事の際の責任はどうするのか、そもそも現状で人が足りていると言えるのか、保護者の意見は?保育士の意見は…?行政にはさまざまなことを入念に検討し、当事者の声をしっかりと収集することを期待したい。

アンケート調査概要
・実施期間:2015年7月31日~8月20日
・実施対象:保育士(79.0%)・幼稚園教諭(6.0%)その他保育関連職(4.0%)・学生(4.0%)・その他(7.0%)
・回答者数:100人(平均年齢:32.4歳)
・男女割合:女性/99.0%・男性/1.0%

知らないとヤバい! 医薬品の正しい服用法

東洋経済オンライン 2015年11月13日

病気やけがの治療で医療機関に支払われる国民医療費。日本の国民医療費は一貫して右肩上がりで増えており、2013年度はついに40兆円を突破。この10年だけでも年間10兆円近く増えた(厚生労働省調べ)。今後、ますます高齢化の進展が見込まれる中で、さらなる負担増が見込まれる。
こうした医療費の増加を少しでも抑えるため、注目されているのが価格の安いジェネリック医薬品の活用だ。特許の有効期間が切れた新薬と同じ有効成分で作られ、価格は新薬の約2~6割とされる。「後発薬」とも呼ばれる。
ただ、健康と身体にかかわる薬を知識のないまま、安さだけで選んでしまっていいのだろうか。11月14日(土)よる7時56分からTBSテレビで放送する「ジョブチューン★女医ぶっちゃけSP★」に出演する薬剤師の堀美智子さんは、薬剤師歴39年のキャリアを持ち、日本薬業研修センター医薬研究所の所長も務める。薬剤師の育成や能力向上に取り組む堀さんが語った、薬のさまざまな裏側をお伝えしよう。■ 安くても成分は同じではない?
ジェネリック医薬品は、特許の有効期間が切れた新薬とまったく同じ効果があると思われているが、実はそうともいえないことをご存じだろうか。
例えばA社の開発したBという名前の特許切れ新薬を、C社がDという名前のジェネリック医薬品として開発して、販売しているとする。そのとき、BとDが同じなのは「主成分だけ」。製法に関する特許とは別なので、BとDはまったく同じ薬ではない。
基本的に主成分が一緒だと、薬の効き目が大きく変わることはない。ただ、これまでBを飲んでいた人がCに替えたときに、人によっては主成分以外の成分が体質に合わず、効果に違いが出ることもあるという。「ジェネリック医薬品に切り替える時には、お試し期間を作ってから本格的な服用をし始めるのが理想的」と堀さんは話す。
このお試し期間を経て、効果などが既製品と違いがないことが確認できたら、ジェネリック医薬品に切り替えたほうが、薬代を安くすることができる。服用する薬を決める際は、きちんと医師と薬剤師に相談することが大事だ。特に持病の薬など、長く付き合わなければならない薬になると金額もそのぶん大きくなってしまう。初めて処方されるときには、最初からジェネリック医薬品を選ぶようにするとよいだろう。
そのほかにも、ジェネリック医薬品のメリットがある。それは既成の医薬品よりも飲みやすくアレンジをしているモノが多いということだ。苦かった成分をコーティングして苦みを抑えていたり、最近では、より飲みやすいように、口の中でさっと溶けるようになっていたり。小児用の薬以外にも「いちご味」や「ヨーグルト味」、また「抹茶」「梅」などの味付きの薬も出ている。
梅風味の薬では、おかゆやみそ汁などに入れて飲むことも想定されており、それらの食品と相互作用がないかといったことも検証されている。

多くの人が勘違いする薬の知識
子どもが突然熱を出してしまって、ちょうど家の子ども用の薬が切れてしまっている――。こんな経験はないだろうか。このような時には大人用の薬を、半分にして飲ませているという人も多いだろう。また、たとえば鼻が詰まってつらそうだからと、点鼻薬など、飲み薬ではないといって大人用の薬を乳幼児に使用することを考え付いたり、実際に投薬していたりするケースもあるかもしれない。
これは堀さんに言わせると「まったくの間違いで危険な行為」だ。大人の体には、薬の成分が脳に入らないように防ぐ「ブラッドブレインバリア(BBB)」という関所のようなものがあるのだが、子どもは、その機能がまだ発達しきっていない。
つまり、大人用の成分が入った薬を使用すると、脳中に成分が入り意識障害など中枢の副作用を起こす危険もあるのだ。子どもには子ども用の成分が入った薬があるので必ずそれを使用するようにしなければならない。
医師から処方された薬は、処方された本人以外の使用は避けるべきだ。服用する薬が身体に合わない場合には、薬剤師にきちんと相談すべきである。薬剤師が医師と協議し、適正な薬の選択してくれる。本来、薬は医師や薬剤師といった専門家の判断に沿って処方されている。素人的な考えでよかれと思ってやった行為で、取り返しの付かない事態になってしまうことだけは避けたい。