<児童福祉法>20歳未満に引き上げで一致 厚労省専門委

毎日新聞 2015年11月27日

児童福祉法の改正について検討する厚生労働省の専門委員会は27日、児童養護施設や里親家庭で生活できる年齢を、現行の18歳未満から20歳未満に引き上げるべきだとの意見で一致した。来月10日の委員会で報告書にまとめ、厚労省が来年の通常国会に提出する法改正案に盛り込む方針。
委員会は27日の会合で、同法が制定された1947年当時と比べ、子どもが社会的に自立できる年齢が上がったと指摘。虐待を受けるなどして親元で生活できない子どもについて「少なくとも成人年齢に達する20歳未満を法の支援対象とすべきだ」とした。一般家庭の子どもの大学や専門学校への進学率が約80%に上ることを踏まえ、必要に応じて22歳未満まで延長できるようにすることも求めた。
年齢引き上げにより、児童相談所は虐待の通告を受けると18、19歳も保護できる。施設や里親家庭で生活を続けることで、国などからの経済的支援も継続される。
また委員会は、障害や慢性疾患のある子どもなど児童福祉法が支援する児童全体についても、定義される年齢を段階的に引き上げるべきだと指摘した。
来年6月の選挙権年齢引き下げに合わせ、自民党は民法の成人年齢も18歳に引き下げる改正を目指している。委員会は「支援を提供する年齢の上限を機械的に引き下げることは児童福祉法の趣旨に反する」として、成人年齢が変わっても児童福祉法の対象年齢は20歳未満に据え置くべきだとの方向性を示した。【黒田阿紗子】

「応援センター」設置、ひとり親家庭の相談に対応 県推進委が計画骨子案

山形新聞 2015年11月27日

県子どもの貧困対策・ひとり親家庭自立促進推進委員会(委員長・国方敬司山形大人文学部教授)の2015年度第2回会合が26日、山形市のあこや会館で開かれ、県が子どもの貧困対策推進計画(16~20年度)とひとり親家庭自立促進計画(同)の骨子案を提示。就労相談に応じる母子家庭等就業・自立支援センターの機能を拡充し、ひとり親家庭の生活、子育てなど幅広い相談に対応する「ひとり親家庭応援センター」(仮称)を新たに設置する考えを示した。
自立促進計画の骨子案は、施策の柱に▽相談・支援体制の強化▽保護者の就労支援▽教育支援―など六つを掲げ、数値目標も設定するとした。第1回会合で支援メニューの認知度の低さを指摘する意見が出たことなどを踏まえ、ひとり親家庭に対する公的支援策の積極的な周知や総合的な相談機能の必要性を課題として挙げた。
応援センターの詳細は未定だが、県子ども家庭課はひとり親家庭に対する支援・連携拠点とする考えを説明した。応援センターには就労、生活、子育ての相談に対応する「ひとり親家庭応援員」(仮称)を配置。市町村や支援機関との情報共有も進めるとした。
貧困対策推進計画の骨子案でも同様に相談・支援体制の強化を課題として掲げ▽支援情報の集約と発信▽子どもの進学を支える各種奨学金制度の活用促進▽児童養護施設の入所児童や退所児童への学習支援―などを具体的な取り組みとして掲げた。
委員からは「貧困家庭は社会的に孤立しがち。子どもに多くの大人が関わり、社会で育てるという視点が重要だ」「貧困に苦しみながらも声を上げられない人がいる。潜在するニーズへの対応も必要だ」といった意見が出された。
県は次回会合で両計画案を提示する予定。パブリックコメント(意見公募)などを経て年度内に両計画を策定する。

都立高校改革 介護・保育の専門高開校へ 社会的ニーズに対応、人材育成

産経新聞 2015年11月27日

都立高校改革に向け来年度から3年間、都教育委員会が取り組む新実施計画案の概要が26日、公表された。社会的ニーズを反映し、介護・保育人材などを育成する「家庭・福祉高校」を新たに設置、工業高校の生徒が地元企業で長期訓練を行う「デュアルシステム科」を拡充する計画が示されるなど、生徒の社会的自立に向けた実践的な内容となった。

計画案によると、「家庭・福祉高校」は平成33年度、赤羽商業高校(北区)を改編して開校。保育士や介護福祉士になるのに必要な教養を身に付けるほか、調理師の資格取得を目指すコースも設置する。
共働き世帯の増加や、超高齢化社会の到来を見据えた対応。商業高校への進学希望者が減少傾向にあることから、よりニーズの高い教育内容に切り替える。
30年度には葛西工業高校(江戸川区)と多摩工業高校(福生市)に「デュアルシステム科」を新設。16年度に六郷工科高校(大田区)に全国初導入後、地元企業の評判が良いため、生徒の就職に直結するケースもあったことから拡充を図る。
世界的に活躍するグローバル人材の育成も掲げ、都心部に2校目となる「国際高校」を新設する方針も決定。英語教育に力を入れた目黒区の国際高校の応募倍率が約4倍に及ぶことから、ニーズが高いと判断。23区内で候補地を探している。
定時制高校の見直しも進める。30年度をめどに小山台高校(品川区)▽雪谷高校(大田区)▽江北高校(足立区)▽立川高校(立川市)-の夜間定時制課程を廃止。代わって、不登校の経験を持つ生徒や中途退学者を受け入れる「チャレンジスクール」の定員を増やし、受け皿とする。
34年度には荒川商業高校(足立区)を「足立地区チャレンジスクール」に改編。35年度には多摩教育センター(立川市)の敷地内に「立川地区チャレンジスクール」を新設する。
ソフト面では、2020年東京五輪・パラリンピックを見据え、日本の伝統文化に関する授業や部活動を推進する実践校を約50校指定。専門家による継続指導を行い、外国人と文化交流する機会を設ける。
防災教育では、各校の代表が東日本大震災の被災地を訪問し、ボランティアを体験する「合同防災キャンプ」などを実施する。
都教委は新計画案について、都民の声を反映させるためのパブリックコメントを12月25日まで実施。来年2月中旬に詳細な計画を策定し、公表する。