児相の記録閲覧、京都市が職員処分 性的虐待事件に絡み

京都新聞 2015年12月4日

京都市左京区の児童養護施設で、施設長が入所していた少女にみだらな行為をしたとされる児童福祉法違反事件に絡み、市は4日、市児童相談所が保管していた被害者の少女の相談記録を担当外なのに繰り返し閲覧したなどとして、児相の男性職員(44)を停職3日の懲戒処分にした。
市議会での市の報告によると、男性職員は昨年9月以降、勤務時間中に自分の担当ではない少女の相談記録をコンピューターシステム上で複数回閲覧したほか、1月には少女のきょうだいの相談記録を印刷して1枚を持ち帰ったという。
この事件で、市は少女の母親から最初に相談を受けたのは昨年12月と説明してきたが、市議が児相の相談記録を基に、昨年8月にも同様の相談が寄せられていたことを市議会で示し、追及した。一方、市は相談記録が外部に流出したことを重視して内部調査を進めた。男性職員は市議など外部への情報提供は否定している。市は地方公務員法違反(守秘義務)の疑いで容疑者不詳のまま近く府警に刑事告発することを決めた。

教員免許で保育所勤務OK=人手不足に対応―厚労省

時事通信 2015年12月4日

厚生労働省は4日、小学校や幼稚園などの教員免許を持つ人が保育士の代わりに保育所で働けるようにする制度案を同省の有識者検討委員会に示した。
安倍政権は「希望出生率1.8」の実現を掲げて保育施設の整備を進めており、働き手の確保が急務。同省は年度内に関係省令を改正し、来年度から制度を実施する。
現在、認可保育所で働けるのは原則として保育士の有資格者のみ。保育士の有効求人倍率は今年9月時点で、全国で1.85倍、東京都では5.44倍と高く、人手不足が深刻だ。
制度案には、小学校教諭は主に5歳児、幼稚園教諭は主に3~5歳児を受け持つことを明記。多様な人材が子どもに関わるメリットも見込める。保育の質を落とさないよう、これらの人は各保育所で働く人全体の3分の1以下に抑えるようにする。

義務化された「ストレスチェック」とは何か?

東洋経済オンライン 2015年12月5日

マイナンバー制度導入のドタバタの裏で、この12月にひっそりと始まったもう一つの制度がある。労働者の心の状態を年1回調べる「ストレスチェック」だ。
「非常にたくさんの仕事をしなければならない」「へとへとだ」──。国が推奨する「職業性ストレス簡易調査票」は、57項目の質問に4段階で答える方式。労働者はウェブ上か紙で回答する。

従業員50人以上の事業所に義務づけ
その結果、高ストレス者と判定され、かつ本人が希望した場合には、産業医などの面接指導を受ける。必要に応じ、事業者が残業や休日出勤の削減などの措置を取る、という流れだ。
ストレスチェックは、労働安全衛生法の改正によって、従業員50人以上の事業所に対し全従業員への実施が義務づけられた。その狙いは、労働者が自分のストレス状態を知って早めに対処し、うつなどを予防することにある。
厚生労働省によると、自殺やうつによる経済的損失は、2009年で約2.7兆円。2014年の自殺者は2万5427人で、うち2227人が勤務問題を苦に命を絶った。職場におけるメンタルヘルスの改善が、喫緊の課題であることは間違いない。
ただこの制度は、実施方法の浸透も効果の検証も不十分なまま、走り出してしまった。事業者はストレスチェックを2016年11月末までに1回は実施する必要がある。厚労省が受検と結果の出力、集団分析などができるプログラムの無償配布を始めたのは、義務化を目前に控えた11月24日のこと。事業者が様子見を決め込むのも無理はない。

今回、事業者にはストレスチェックの実施が義務づけられたが、労働者に受検の義務はなく、全員が受けるとは限らない。回答内容は本人の同意なしに事業者に伝わることはないが、面接指導を受けるには、本人から事業者に申し出る必要がある。
高ストレス者であることを事業者に知られるとなれば、面接の申し出をためらう人も出てくるだろう。メンタルヘルス不調者問題に詳しい峰隆之弁護士は、「ストレスチェックはセルフケアの制度。ストレスを抱え込むタイプの人を救い出すものではない」と指摘している。

関連ビジネスも勃興
一方、以前から独自に従業員のストレスを診断し、職場環境の改善につなげている企業もある。帝人は2003年から毎年、職場ごとのストレスを調査。高リスクと判定された職場には、同僚によるサポートを増やすなどの具体的な目標を設定し、リスクを減らすことができたという。ストレスチェック制度も活用次第では、有効に機能する可能性を示唆する一例といえよう。
制度開始をビジネスチャンスととらえる企業も動きだしている。東京海上日動火災保険は、ある特約をセットした傷害保険などの加入企業を対象に、無料でストレスチェックからデータ保存までを請け負う。ほかにも職場への音楽配信、リラクゼーション機器の販売など、関連ビジネスが盛り上がりつつある。
国としては所期の目的を達成するために、認知度や制度上の不備を是正していく必要がありそうだ。

「LGBTQI」のQIって何? 誤解されやすい性的マイノリティとインターセックスの違いとは

Mocosuku Woman 2015年12月4日

先月5日から、東京の渋谷区と世田谷区で、同性カップルに証明書や宣誓書の受領書を発行する行政サービスが開始されました。また、大阪の淀川区のように「LGBT支援宣言」を表明し、啓発活動に取り組む自治体も出てきており、レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(身体的・社会的に割り当てられた性別とは異なる性別を自認する人/性同一性障害に含まれる場合も)の頭文字を取った「LGBT」という言葉も、少しずつ社会に浸透しつつある印象を受けます。

LGBTQIとは?
しかし、性的マイノリティと呼ばれる人々の中にはこうしたカテゴリに収まらないさまざまな性自認(ココロの性)や性的指向(どんな性別の人を好きになるか)を持つ人が存在しています。そのため、最近ではLGBTに「QI」を追加した「LGBTQI」という言葉も使われるようになってきました。
このQIの「Q」はクィア/クエスチョニングの頭文字です。このうちクィア(Queer)は性的マイノリティを包括的にあらわす言葉であり、クエスチョニング(Questioning)は、自らの性自認や性的指向に迷い、探している状態の人々を指します。
また、QIの「I」はインターセックス(Intersex/性分化疾患)の頭文字ですが、インターセックスを性的マイノリティに分類することについては反対意見も多くみられます。性分化疾患は、卵巣・精巣といった性腺や染色体などが男性型・女性型に統一されていないか、あるいは判別しにくいため「性の発達が先天的に非定型である状態」を指す医学用語ですが、このこと自体は性自認や性的指向とは関係がありません。また、性分化疾患はこうした症例の総称であり、自分のこうした「性」についての特徴に本人や周囲が気づかないケースも多く、また気づいたとしても出生時に診断された(男性または女性の)性別で普通に暮らしている人がほとんどです。
その一方で、インターセックスには「半陰陽」や「両性具有」という訳があてられることもあり、インターセックスが「男性器と女性器の両方を持つ人」と誤解されるケースがあります。また、近年では小説やコミックなどでインターセックスが「男性でも女性でもない性」として描かれるケースもみられますが、上記のとおり性分化疾患の当事者は男性・女性として普通に暮らしているケースがほとんどであり、こうした作品については「誤解を助長している」という批判もあります。
また、性分化疾患を「インターセックス」「IS」と呼ぶことについても反対意見がありますが、そもそもさまざまな症状をまとめた言葉に対して、わかりやすい呼称をつけること自体、無理があるのかもしれません。

メディアで描かれる姿と実像のギャップ
上記の例のように、メディアに「刺激的な題材」として一部の例や誇張された姿が取り上げられ、実像とのギャップや誤解に悩み、苦しんでいる人々が多いのはLGBT、性的マイノリティについても同じことがいえます。
たとえばアメリカではここ数年で、オバマ大統領やブラッド・ピット&アンジェリーナ・ジョリー夫妻といった著名人が同性婚支持を表明したり、トップアイドルであるマイリー・サイラスがパンセクシュアル(全性愛/男性・女性の分類にあてはまらない人も含む、あらゆる人々が恋愛や性愛の対象となる人)であることを公言したり、トップアスリートが同性愛者であることを告白したりと、「社会的に影響力の大きい人」が性的マイノリティやLGBTQIについてアクションを起こす事例が多く見られるようになりました。
しかし、日本においてはこうした例はなかなか見られず、一部の「オネエタレント」と呼ばれる人たちを除くと、著名な俳優やタレント、ミュージシャン、スポーツ選手などでLGBTをカミングアウトしている人はほぼ見あたらない状況です。また、「オネエタレント」にしても、テレビなどでは「色物・お笑い担当」的な扱いをされているケースが多く、こうした傾向が同性愛者やトランスジェンダーを「笑いの対象にしてもいい」という風潮を作り出している可能性もあります。
著名人がカミングアウトできない背景には、「社会に受け入れられない不安」が大きいと考えられますが、こうした状況が変わらない限り、LGBTQIの実像は、なかなか世間に伝わりにくいのかもしれません。まずは、自分と違う「性」の実際について正しく知ることから、差別や偏見は無くなっていくのですから。