全国に募金呼び掛け のあちゃんを救う会、来月渡米目指す

沖縄タイムス 2015年12月8日

【東京】重い心臓病で早期の移植が必要な翁長希羽(のあ)ちゃん(1)の父司さん(39)と、「のあちゃんを救う会」の平良誠共同代表らが7日、厚生労働省の記者クラブで会見し、米国での手術費や渡航費などへの募金協力を呼び掛けた。これまでの募金額は約2億4800万円(4日現在)で、目標の3億2千万円まで残り約7200万円。会は来年1月中の渡米を目指し、年内に目標額を達成したい考え。
のあちゃんは生後すぐに「拡張型心筋症」と診断された。4月に大阪府の国立循環器病研究センターで小児用補助人工心臓を装着する手術を受け、現在も入院中。司さんは「のあに沖縄の青い海と空を見せたい。補助人工心臓なしで一緒に普通のことをするのが夢。のあの命を助けてください」と声を絞り出した。
同センターの海老島宏典医師は「のあちゃんは日々成長発達しているが、補助人工心臓は移植への橋渡しの治療で、年単位の使用は可能ではない。現在9カ月になっており、これ以上待つメリットはない」と、早期に移植手術が必要な状態と説明。平良代表は「全国の皆さんの協力をお願いしたい」と呼び掛けた。

アフターケア相談所ゆずりは 施設巣立った人が働く工房を

毎日新聞 2015年12月6日

児童養護施設や里親家庭などを巣立った人が働く工房を作ろうと、退所者支援を行う「アフターケア相談所ゆずりは」(東京都国分寺市)がインターネット上で資金を募るクラウドファンディングで協力を呼びかけている。所長の高橋亜美さん(42)は「一般的な就労は難しくても、緩やかに働き社会とつながる場所を作りたい」と話す。
ゆずりはには、予期しない妊娠や出産、借金、住む場所がない、配偶者間暴力(DV)などの相談が年間のべ約1万2000件寄せられている。「子どもの頃の虐待のトラウマのため、精神疾患を抱えているなどで、職場の人間関係がうまく築けず、仕事が続かない場合も少なくない」と高橋さん。施設出身者は大学などへの進学率も低く、困ったときに頼れる親や兄弟がいないことも多いという。
ゆずりはでは、裁縫の内職や調味料のビン詰め作業などを請け負ってきた。今秋、建物の老朽化により新たな相談所を構えることになり、同時に自ら企画して商品を作れるよう工房の建設を計画した。工房は現在建設中で、寄付金は内装や調理設備の費用にあてる。完成後には、3?4人でリンゴのジャム作りを始める予定だ。

「2歳児」にタバコを強要した父親に「罰金10万円」 完全に吸わせたら罪が変わる?

弁護士ドットコム 2015年12月8日

2歳児にタバコを吸わせたとして、父親(24)と交際相手の少女(16)が逮捕された事件で、名古屋簡易裁判所は12月7日、暴力行為等処罰法違反の罪で、父親に罰金10万円の略式命令を出した。少女は名古屋家庭裁判所で観護措置となり、少年鑑別所に移されたという。
二人が逮捕されたのは、若い男女が幼児にタバコを吸わせているような動画がフェイスブックで公開され、「児童虐待」という批判が沸き起こったのがきっかけだった。報道によると、二人は共同して、まだ2歳の長男の口に、火がついているタバコの吸い口を押し当てていたことが、捜査でわかったという。
動画をみると、子どもはタバコを何度も口に押し当てられて、明らかに嫌がっている。ただ、タバコの煙を肺に吸い込むところまでは至っていないようだ。もし仮に、小さな子どもにタバコを完全に吸わせたとしたら、どんな罪に問われる可能性があるのだろうか。榎本清弁護士に聞いた。

2人で吸わせたら「暴力行為等処罰法違反」に
「今回は親権者の行為が問題となったので、まず、その点から考えてみましょう。親権者が、未成年者の喫煙を知りながら止めていない場合、未成年者喫煙防止法3条違反に問われる可能性があります。
次に、小さな子どもにタバコを吸わせるという行為についてです。これは、暴行罪(刑法第208条)に問われる可能性があります。暴行罪とは、人に暴行を加えたが、傷害には至らなかった場合です。
ここでの暴行とは『人の身体に向けられた不法な有形力の行使』を意味し、有形力とは『物理的な力』を意味します。
幼児が好んでタバコを吸うことはないでしょう。タバコを吸わせようとする時点で、体を押さえたり、顔の向きを変えたり、手を払ったり、口元にタバコを押し付けたりしますよね。
このような不法な物理的な力の行使があった場合は、暴行罪に問われる可能性があるのです。暴行罪では、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処するとされています」

2人がかりというのは、何か影響するだろうか。
「今回のケースのように、2人以上の者が一緒になって吸わせた場合は、『暴力行為等処罰に関する法律』1条の罪(集団的な暴行や脅迫など)に問われる可能性があります。行為が認定されれば、3年以下の懲役または30万円以下の罰金に処されます。
さらに、中毒症状をおこさせるなどの生理的な機能の障害を引き起こした場合は、人の身体を傷害したといえるので、傷害罪(刑法第204条)に問われ、15年以下の懲役または50万円以下の罰金に処される可能性があります」
榎本弁護士はこのように話していた。何にせよ、2歳児にタバコなんて痛ましすぎる。

失業や病気で生活困窮…「自立支援制度」って?

読売新聞(ヨミドクター) 2015年12月8日

新しい制度で自立を支援
Q 近所のおじさんが、実は失業中なんだって。
A それは大変だ。でも、勤め先で雇用保険に入っていたなら、当面は何とか暮らせるんじゃないかな。人生の様々なリスクに社会全体で備え、支え合うのが社会保障だという話はしたよね。雇用保険もその一つで、あらかじめ保険料を納めていれば、失業した時に一定の手当がもらえる。雇用保険などの社会保険制度は、最初のセーフティーネット(安全網)なんだよ。

貧困と生活保護…持ち家でも保護は可能、車は状況しだい
Q でも、その手当は、ずっとはもらえないよね。おじさんは長い間、仕事が見つからなくて、「貯金は少ないし、頼れる親族もいない。このままだと家賃が払えなくなる」って心配しているらしいんだ。前に教わった生活保護を受けられるかなあ。
A うーん。確かに、最低限の生活を公費で保障する生活保護制度は、最後のセーフティーネットだけど……。受給するには厳しい要件があるし、そこまで困窮してしまうと、自立には相当な努力や時間が必要になるという指摘もある。生活保護の世帯は、8月時点で約162万9000世帯と過去最高水準で、財政的にも厳しい状況だ。

Q おじさん、どうなっちゃうのかな。
A 「生活困窮者自立支援制度」を知っているかい。社会保険制度と生活保護の間に新たに設けられたセーフティーネットなんだ。

Q 初めて聞いたかも。
A 4月に始まったばかりだからね。市や区など、福祉事務所を持つ自治体が主体になって、失業や病気、借金などで生活に困っている人を早い段階から支援し、自立を後押しするのさ。

Q どんな支援を?
A 各自治体に、新しい総合的な相談窓口ができたんだ。生活に困る人は、原因が複雑に絡み合っている場合が多いけれど、専門の支援員が様々な悩みを受け止めて、個別の支援プランを作り、関係する機関につなぐんだ。家賃の補助をしてもらえる場合もある。

Q へぇ。おじさんにも教えてあげなきゃ。
A 家のない人に一時的な宿泊場所を提供したり、就職に必要な訓練をしたりする自治体もある。実際に、職場のトラブルで仕事を失った20歳代の男性が、家賃補助や対人スキルの訓練などを受け、再び職に就いた例もあるそうだよ。厚生労働省によると、7月までの4か月間で、全国の新規相談件数は約8万5000件に上り、5773人が職に就き、2124人の収入が増えたんだ。

Q そうなんだ。
A ただ、自治体によって受けられる支援にはまだ差がある。困窮者を雇ってくれる企業の確保にも、もっと力を入れないとね。(読売新聞 石原毅人)