児童養護施設の保護対象を「20歳未満」に引き上げる方針――なぜ必要なのか?

弁護士ドットコム 2015年12月14日

18歳、19歳も児童養護施設や里親のもとで過ごせるようにすべきーー。子どもの虐待などを議論する厚労省専門委員会は11月下旬、児童養護施設に残れる年齢を、現行の18歳未満から20歳未満までにすることで一致した。厚労省は来年の通常国会で関連法の改正案を提出する方針だという。
現在の児童福祉法では児童を「18歳未満」としており、18歳になると、原則として児童養護施設や里親から離れなければならない。しかし、一般的に児童の自立には時間がかかるうえ、施設を出ても20歳未満の未成年者は1人で住居や携帯電話などの契約ができないといった問題が指摘されていた。
この改正については「18歳以降も施設に残れるという選択肢があれば、自立の助けになる」など賛成する声も多い。これまでの制度のどこに問題があったのか。三村雅一弁護士に聞いた。

18歳になってすぐに自立することは困難
「児童福祉法の『児童』については、労働基準法が18歳未満を『年少者』としていることを参考として、これをひとつの保護年齢と考え、『18歳未満』としていると言われています」
三村弁護士はこのように切り出した。いったい何が問題だと考えられているのだろうか。
「この制度の問題点は、自立に不可欠な住居や携帯電話の契約が単独で行えないという点にとどまるものではありません。それだけなら、民法の成人年齢が18歳に引き下がれば解決する問題です。
そもそも、『1人の人間として社会で生きていく』という意味での自立は、18歳では困難だという子が多いのではないでしょうか。虐待等の事情があって、施設等で生活を送ってきた少年・少女であれば、なおさらです」

成人年齢を引き下げても解決しない
「また、18歳での自立を求められることで、施設等で生活する子どもたちの将来の選択肢が狭められてしまうという問題もあります。現に、施設等では、高等学校卒業後の大学等への進学率が低かったり、いったん大学等に進学しても、中途退学してしまうケースが多いといった課題が指摘されています。
さらに、18歳、19歳の未成年が虐待を受けた場合に児童相談所による保護の対象から外れてしまいます。これらの問題点については、仮に民法が改正され、成年の年齢が18歳に引き下げられたとしても、そのことをもって解決される問題ではありません。
虐待という辛い経験をした子どもたちが、必要とする支援を受けることで、自分たちの将来に様々な可能性を見出すことのできる制度となることを期待します」

<相模原児童相談所>全裸で所持品検査 一時保護の少女8人

毎日新聞 2015年12月14日

相模原市児童相談所で、子供たちが要望などを書き「意見箱」に投入する用紙がなくなったとして、20代の女性職員2人が一時保護中の8~15歳の少女8人を全裸にさせて所持品検査をしていたことが分かった。「裸にされて嫌だった」と訴えた少女もおり、同相談所は14日、記者会見を開いて経緯を公表するとともに「人権を無視した行為だった」などと謝罪した。
同相談所によると、用紙がなくなったのは今年8月。要望や苦情を訴える意見箱の脇に置いてあった10枚のうち、1枚がなくなっていることに職員が気付いた。
児相には複雑な事情を抱える子供のプライバシー保護の徹底が求められ、お互いの氏名を明かすことや連絡先を交換することが制限されている。同相談所では以前、一時保護中の少女が別の少女の携帯電話番号やツイッターのアカウントなどを記入した紙を下着の中に隠していた問題が発生したことがあった。そのため、普段から学習時間以外は子供たちにメモ用紙や筆記用具を渡さないようにしていた。職員は意見箱の用紙が「個人情報のやりとりに使われた可能性もある」として所持品検査をしたという。
検査が行われたのは用紙がなくなった当日の夜で、8人を個別に浴室の脱衣場に呼び出して、バスタオルを広げて体が見えにくくしたうえで全裸にし、下着の中などを調べた。一時保護されている9~15歳の少年8人に対しても、男性職員2人が衣服を着た状態で服をはたかせるなどして調べたが、用紙は見つからなかった。検査については上司にあたる50代の女性副主幹の了解を得ていたという。
検査直後に少女の一人が別の職員に「裸にされた」と訴えたことから問題が発覚。鳥谷明所長は後日、報告を受けたという。同相談所は少女8人に謝罪した。同相談所を所管する市こども育成部の佐藤暁部長は、会見で「検査は不適切で女性職員に人権意識がなかった」と陳謝した。【高橋和夫】

「放課後の居場所」の行方(2)-学童保育利用最新状況からの考察-

ZUU online 2015年12月14日

はじめに
前回の「放課後の居場所」の行方(1)では、学童保育の利用が急速に伸びてきている推移、そして「小1の壁」問題がメディアで顕在化するまでに10年もの時間がかかったことをご紹介した。
30年という長い年月。これは、学童保育普及を求める全国的な団体が民間で結成されてから、実際に法律によって学童保育の制度化が行われるまでにかかった年月である。
今回「放課後の居場所」の行方(2)では、学童保育制度化までの経緯をみることで、日本において女性活躍を大きく進展させるためには、一体何が重要であるのかについて考察してみたい。

保育政策の道のり
わが国の女性活躍推進に関わる法律の動きと、学童保育に関連する社会の重要な動きを時系列で示したものである。日本における女性活躍推進をサポートする政策のステップは、おおよそ以下の5ステップに分けて考えると理解しやすい。

ステップ1:男性だけで行われていた職務に女性が進出するための門戸を開く(1985年 男女雇用機会均等法成立~)

ステップ2:出産を直接の原因としてやめることがないような育児休業を中心とする制度作り(1992年 育児休業法施行~)

ステップ3:乳幼児の保育場所が確保できないことを原因としてやめることがないような制度作り(1994年 エンゼルプラン~)

ステップ4:就学児童の保育場所が確保できないことを原因としてやめることがないような制度作り(1997年 児童福祉法一部改正~)

ステップ5:慣例として男性が行っている働き方を原因としてやめることがないような制度作り(2015年女性活躍推進法~)

女性が長期的な就業継続を行うためには、上記の5段階の全てが同時並行的に行われなければならなかった。しかし、1985年の男女雇用機会均等法成立によるステップ1(女性の社会進出の法制化)から1997年の学童保育制度化によるステップ3(就学児童の保育場所の制度化)までで、すでに12年もかかっている。
この間に、わが国の出生率は1.76から1.36へと大きく減少した。
せっかく社会進出を果たしても、就学児童の預け先が見つけにくい現状がある以上、仕事のスキル上昇を望む就業意欲ある女性にとって出産は高い壁となってしまっていたことがうかがえる。社会進出した多くの女性が、出産か就業継続の選択を迫られていた様子が見て取れる。
1997年までの政策は、あくまでも目の前の課題である「乳幼児の居場所をどうするか」に集中していた。乳幼児の保育対策が主眼となり、その後に必ず続くこととなる学童保育対策については後回しとなっていたのである。

民間からの学童保育制度化要求の道のり
実はこのような政策の動きとは対照的に、当事者である父母からの学童保育制度化への要請運動は非常に早くから展開され、その歴史は古い。
今から約半世紀前の1967年には全国学童保育連絡協議会(i)が結成された。そして今から40年前の1975年には、国に対し学童保育の制度化を要求する50万人もの署名が提出されている。しかし法制化が叶わなかったため、10年後の1985年には再び108万人の署名が提出された。この請願が同年採択され、ようやく学童保育制度化にむけての検討が国によって開始されたのである。
最終的に学童保育を制度化することを初めて定めた児童福祉法の一部改正が行われたのは1997年であった。108万人の国会請願採択から12年、50万人の署名運動から計算すると実に20年以上が経過してからである。
この間、現場のニーズに対処するためにやむなしの草の根活動の手作りで進められてきた学童保育施設が、わが国の現在の学童保育のベースとなっている。

就業継続のためには切れ目のない保育政策が重要
女性活躍推進を長期的な視点から考えるのであれば、女性の出産後の職場復帰に伴う「乳幼児の居場所」のみならず、その後に続く「放課後の居場所」の確保は、本来であれば切れ目のない政策として同時並行で行われなければならなかった。
しかしながら、学童保育の制度化までの道のりだけみても、長期的な女性雇用についての政策が日本においていかに後手になってきたかが浮き彫りとなっている。わが国にいまだ残存する女性の年齢階級別労働力率のM字カーブ現象は、当然の結果であるといえるかもしれない。
日本において女性活躍を大きく進展させるためには、一体何が重要であるのか。それは、今までの政策には欠落してきた「次のライフイベントを見据えた長期的なサポート」の視点を政策に盛り込むことであろう。
晩産化が進み、育児が終了したと思ったらすぐに介護に直面し、就業を断念せざるを得ない就業者も増加しつつある日本において、この視点は不可欠であると考える。
次回「放課後の居場所」の行方(3)では、このような経緯でようやく制度化されたわが国の学童保育制度のもとで、学童保育待機児童を把握する上でどのような問題が生じているのかを考察したい。

(i)全国学童保育連絡協議会は、学童保育の普及・発展を積極的にはかり、学童保育の内容充実のための研究、国や自治体の施策の充実、制度化の運動を推進することを目的として、保護者と職員(指導員)が1967年に結成した民間の学童保育専門団体である(文部科学省ホームページより抜粋)。

天野馨南子
ニッセイ基礎研究所 生活研究部

会社員に土下座させ顔蹴り現金奪った疑い、容疑の少年ら逮捕

TBS系(JNN) 2015年12月14日

東京・新宿区の戸山公園で、ホームレス狩りを繰り返していたとみられる中学2年生の少年ら3人が警視庁に逮捕されました。
逮捕されたのは、豊島区の中学2年生の少年(14)ら3人です。また、13歳の男子中学生も児童相談所に通告されました。
4人は今年10月、新宿区の路上で酒に酔って「俺に勝ったら金をやる」と声をかけてきた会社員の男性(44)に対し土下座をさせて顔を蹴り、現金およそ6万円が入ったバッグを奪った疑いが持たれています。4人はこの事件の前に、新宿区の戸山公園でホームレスの男性に暴行を加えていたということです。
戸山公園の近くでは今年7月以降、ホームレス狩りが11件相次いでいて、警視庁は少年らの犯行とみて余罪を調べています。