平成27年の出生数は100万8千人…5年ぶり増加

リセマム 2016年1月5日

厚生労働省は1月1日、平成27(2015)年人口動態統計の年間推計を公表した。出生数は100万8,000人で5年ぶりに増加、死亡数は130万2,000人で過去最多。人口減少数は29万4,000人で過去最多となった。

死因順位別死亡数の年次推移
人口動態統計は、出生・死亡・婚姻・離婚・死産の5種類の「人口動態事象」を把握し、人口および厚生労働行政施策の基礎資料を得ることを目的に集計し、毎年公表している。
出生数は100万8,000人、出生率(人口千対)は8.0と推計される。出生数は平成26年度確定数と比べ約4,000人増加し、2010年以来5年ぶりの増加となった。
死亡数は130万2,000人、死亡率(人口千対)は10.4。おもな死因の死亡数は、第1位が悪性新生物で37万人、第2位が心疾患で19万9,000人、第3位が肺炎で12万3,000人、第4位が脳血管疾患で11万3,000人と推計される。
人口減少数は29万4,000人と過去最多となり、2007年より9年連続で減少した。
また、婚姻件数は63万5,000組、離婚件数は22万5,000組と推計される。
なお、平成27年人口動態統計月報年計(概数)の概況は平成28年6月、人口動態統計年報(確定数)は9月に公表予定。

空き家を活用なら補助金 東京都、介護職員宿舎など想定

朝日新聞デジタル 2016年1月4日

全国の空き家の約1割が集中する東京都が、空き家を借り上げて職員宿舎として活用する介護事業者や、児童養護施設を出た子どもに空き家を貸す所有者らに、経費を補助する独自の有効活用策に乗り出す。新年度予算案に数億円を計上する方針だ。
都道府県レベルの空き家対策は、人口減がさほど深刻ではない大都市圏での遅れが指摘されている。都は団塊世代の「空き家予備軍」対策を先取りする必要があると判断した。
都関係者によると、補助対象になるのは、災害時に高齢者や障害者ら特別な配慮が必要な避難者を受け入れる福祉避難所(約1200カ所)のうち、施設周辺の空き家を災害時に素早く対応できるよう職員用の宿舎として借り上げる高齢者介護事業者。家賃の一部を都が補助する。不足する介護人材の安定的な確保につなげる狙いもある。
児童養護施設を出た子どもを受け入れる空き家の所有者には、受け入れに必要な改修費の一部を都が負担し、入居する子どもの生活基盤が安定するまでの家賃を軽減させる。このほか、未就学児らの学習支援など「居場所」として空き家を活用する施策も検討する。

大人になっても人と話せない…知られざる「場面緘黙(かんもく)症」の苦悩とは

週プレNEWS 2015年12月31日

突然だが、子供の頃や学生時代、クラスに“ものすごくおとなしい子”がいなかっただろうか?
学校では1度も声を聞いたことがなく、周囲から「あのコ、なんで喋らないの?」とか「『あ』って言ってみて!」なんてイジられても押し黙ったまま、いつも目立たないポジションにいて、スクールカーストでは底辺をウロウロしていると認識されるような…。
そんな、全然お喋りしないコ。何を隠そう、記者自身がまさにそんな子供だった。家では家族と普通に話せるのに、学校に行くと別人のようにひと言も話せないーー実は、その症状は「場面緘黙(ばめんかんもく)症」と言い、れっきとした不安症。日本では認知度が低いため、本人すら知らずに成長し、大人になってから自分がそうだったことを知る人も多い。
そこで、幼少期に場面緘黙症だったライター・山口幸映(33歳)がその現状を取材。前編記事では、大人になり社会人となっても症状に苦しむ男性ふたりを紹介したが、今回は…。

「話す機能がシャットダウン」
場面緘黙症の経験を持つ、シンガーソングライターのmanana(マナナ)さん。ステージ上で歌う姿もそうだが、MCでの話しぶり、取材中も饒舌(じょうぜつ)に語る今の姿からは、場面緘黙症だった当時の面影を探そうと思っても見つからない。
とはいえ、最初から完璧に歌えたわけではない。最初の頃はステージで震えてしまい、いつも通りにギターが弾けない、思い通りに声が出ないこともあった。それでも、何度も何度も場数を踏んで、やっと最近慣れてきたのだという。場面緘黙症だった当時を振り返り、“話せない”感覚をこう説明してくれた。
「学校へ行くと、いくら話そうと思っても、どうしても話せない。話す機能が自動的にシャットダウンするような感じ、見えない鎖に封じ込められている感覚です。喉が苦しいような、詰まってしまうような感覚もありましたね」
保育園の頃、保育士から「どうして何も話さないの!」と激しく叱られて、教室で泣いてしまったことがある。当事者にしてみれば、声を出そうとしても本当に“話せない”状態なのだから、その上、話すことを強要するように叱責されれば、ますます声が出なくなってしまう。
mananaさんの場合、“話せない”以外にも、小学1、2年生の頃には体を動かそうと思ってもスムーズに動けない緘動(かんどう)という症状もあった。1年時の担任教諭からは人格を否定されるような暴言を吐かれ、体罰まで受けた。同級生からもいじめに遭い、しょっちゅう鉛筆や教科書を盗られ、カッターで切りつけられたことさえあったという。
「それでも学校は休みたくなかったんです。別に学校が好きだったわけじゃないですよ。授業についていけなくなるのが怖かったからです。もし私が休んでいる間に授業が進んでしまったら、『ノート見せて』なんて言えない。わからなくても誰にも聞けない。忘れ物もそうですよ。もし忘れても『消しゴム貸して』なんて言えないから、忘れ物しないようにすごく気を付けていました」
場面緘黙症の子供はおとなしく、教室内では問題を起こすこともないので“真面目”“優等生”と思われがちだ。だが根底にはルールから逸脱することや失敗することを恐れる「行動抑制的な気質」があるのではないかと言われている。

そうして、小学校の6年間はクラス替えのたびに“今度こそ話そう”と思って登校するが、どうしても友達に話しかけることができなかったmananaさん。初めて人に話しかけられたのは、中学校に入った時。
「『中学校に入ったら話す!』と決めて、家で何回もシミュレーションを繰り返しました。そして入学式当日に勇気を出して、違う小学校から来た『私が話せないことを知らないコ』に話しかけたんです。それから、仲良くなったコとだけは話せるようになりました。でも、その後のクラス替えではそのコと離れてしまい、中3から高校3年間はまた逆戻りです」
1度は学校で話せるようになった経験をしているだけに、この時の絶望感はすさまじく、一時は自殺することを考え、遺書まで書いたという。
「私が絶望から立ち直れたのは音楽があったから。あの時、もし音楽がなかったら本当に死んでいたかもしれない」
高校3年間は「大学に入ったら変われる」と自分に言い聞かせ、必死に勉強に打ち込み、四国から東京の女子大に進学した。大学では徐々に話せるようになっていったが、女性同士の会話にありがちな“暗黙の了解”がわからず、大勢での会話や女のコのグループに対しては、現在でも苦手意識がある。
現在では人前で歌う仕事に就いたmananaさんのように、本人の勇気や環境の変化などで“自然に”話せるようになるなら、特に治療や支援は不要なのでは?と思ってしまう方もいるかもしれない。だが、経験者たちは早期支援の必要性を訴える。
「私みたいに大人になるまで引きずっちゃダメ。自意識が目覚める思春期以降は他人からの視線が気になったり、自分を責めてしまったりするし、話せるようになってからも苦労することが多い。小学生くらいの早い時期に克服するのが一番だと思います」(mananaさん)
記者もこれまで何人かの場面緘黙症の人に会ってきたが、確かに周囲の理解が得られ、早く回復できた人ほどコミュニケーションに問題なく社会生活を送れている印象は否めない。
また、場面緘黙児支援のための情報交換ネットワーク団体「かんもくネット」代表で、臨床心理士の角田圭子さんも“自然に治るから大丈夫”という考え方には問題があると指摘する。■“自然に治る”は神話でしかない
「一見、“自然に”話せるようになったかのように見えるケースでも、丁寧に検証していくと環境の変化がプラスに働いたことや、本人の勇気ある挑戦で知らず知らずのうちに“スモールステップ”を踏み、段階的に改善していったことがわかるんですよ。
何も支援を受けずに成長した場合には、コミュニケーション能力・社交スキルをトレーニングする機会を逸してしまっているわけですから、話さない期間が長ければ長いほど鬱状態や社会不安障害など“二次障害”が発生するリスクも高まります。そうならないためにも放置するのではなく、早期発見と早期支援が重要なんです」
学校現場では少しずつ啓発が進みつつあるが、その一方で成人当事者への支援方法は確立しておらず、当事者同士の情報共有も不十分だという現実がある。
そんな孤立しやすい成人当事者に向けて、2014年から“当事者発信”の会「かんもくの声」を立ち上げたのは、入江紗代さん(31歳)。自身も、場面緘黙症の症状に約20年間、苦しんだ経験がある
「こんなつらい思いをするのは私だけでいい…ずっとそう思ってきました。成人してから同じような困難を抱えてきた人たちに出会い、当事者として私にも何かできればと思ったんです」(入江さん)
実は最近、入江さんのような当事者や保護者、支援者の働きにより、場面緘黙症の支援団体が相次いで誕生している。以前から「かんもくの会」や「かんもくネット」などの団体は存在していたが、ここ数年の間に北海道、富山、長野、沖縄、宮古島など全国各地で団体が生まれつつある。
“話せない”という特性ゆえに、周囲の無理解に傷ついてきた場面緘黙症の人々。それでも今少しずつ、彼らは自分たちの“声”を届けようと歩み始めている。

別居中の息子が「パパと暮らしたい」ーーそんな父にできること

弁護士ドットコム 2016年1月3日

離婚や別居をする際、夫婦の間でトラブルが起こりやすいのが、子どもの問題です。
弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、ある男性からこんな相談が寄せられました。「妻と離婚前提で別居中です。先日、妻が連れて行った八歳の息子と久しぶりに過ごした時に、『ママよりパパと暮らしたい』と言われました。私が引き取ることができるのでしょうか?」
父と母のどちらが子どもと暮らすかを決める際、子ども本人の意思はどのくらい考慮されるのでしょうか。浮田美穂弁護士に詳細な解説をしていただきました。

A.子ども本人の意思は判断材料の一つになる。
離婚をする時、「子どもをどちらが引き取るか」をめぐって、夫婦でもめることは少なくありません。
ご相談者のように、離婚を前提とした別居中に、子どもが父と母のどちらと暮らすかは、「子の監護者指定・引き渡しの審判・保全処分」を家庭裁判所に申し立てて決めることになります。「監護」とは簡単に言うと、「子育て」のこと。つまり、別居中、父と母のどちらが子どもを引き取って育てるべきか、裁判所に決めてもらうという審判です。
この手続きでは一般に家裁の調査官が、別居中の両親への聞き取りや、自宅を訪問して生活状況をチェックするなど、様々な調査を行います。家裁の調査官は、子の年齢と発達の程度に応じて、意思を考慮しなければならない、と定められています。
小学生以上であれば、調査官が家庭訪問をして調査する際に、子ども本人の意思を聞くことが多いと思います。どの程度考慮されるかはケースバイケースですが、判断材料の一つにはなるでしょう。
調査が行われる前に、審判を申し立てた方の親が家裁の調査官と話をする機会があります。息子さんは、「パパと一緒に暮らしたい」と言ったということですから、その時の息子さんの様子などを、事前に調査官に話しておくといいでしょう。調査官が息子さんの意思を聞き取る際に、色々な角度から話を聞き出してくれると思います。
妻が子どもを連れて別居してしまったけれど、父親である自分も子どもと暮らしたい、というケースは少なくありません。
ただ、子どもが幼い場合は、母親が監護者として優先されることが多いです。別居するまでの間、主に母親が世話をしていた家庭が多いためです。
しかし、父親が主として世話をしてきた場合や、母親の育児が不適切な場合、父親の生活状況や、面接交流についての考え方などから、監護するのが適切だと判断されれば、父親が監護者になれます。
もっとも、子どもがある程度の年齢に達している場合は、父母の事情よりも子の意思が占めるウェイトが大きくなります。
「子の監護者指定・引き渡しの審判」で父親が監護者と決まれば、親権を決める時にも、父親が親権者となる可能性が高いです。

お金がなくて、子どものお年玉を「生活費」にあてた・・・こんな親の行動は問題ある?

弁護士ドットコム 2016年1月1日

「カツカツ貧乏生活だからお年玉はすぐに生活費に消えちゃった。小1の娘お年玉で自転車ほしいって言っててかなりしつこい・・・」。正月といえば、お年玉をもらった子どもたちが笑顔になる光景を思い浮かべるが、こんな生活の苦しさを訴える親の声が、ネットの掲示板に書き込まれていた。
この投稿に対して、「生活費になんて使わないよ」「お年玉にまで手を出す家計が理解できません」などの反応があった。子どものお年玉を預かるケースでも「お年玉は全て子供の口座に入れてる」「すべて子どもの通帳に貯金して、そのまま結婚する時に持たせた」と、親が使っていないことを強調するコメントが寄せられた。
はたして、親が子どものお年玉を預かって、生活費などにあてることは法的に問題があるのだろうか。浮田美穂弁護士に聞いた。

お年玉は「子どもの財産」
「『お年玉』は、子どもがもらったものですので、子どもの財産です。一方で、親は子の財産を管理する権限があります(民法824条)。ですから、親は子どものお年玉を預り、管理することはできます」
その「管理」には、「勝手に使ってもよい」という意味も含まれるだろうか。
「いいえ。親が、子どものお年玉を自分の生活費や遊興費に使用することは、財産管理権の濫用、親権の濫用にあたります。この場合は、使用したお年玉を返してもらえます」
自分の生活費のために使うのはダメということか。では、食費や教育費など、子どもを育てるための養育費として使った場合はどうだろう。
「ご家庭の経済状況や、どのような品目に支払ったのかといったことで、判断されるでしょうね。
ただ、養育費は親が負担すべきもので、子どもが負担するものではありません。ですから、子どもの食費や習い事の費用をお年玉から出すのは、不適切です」
進学費用に充てることも許されないのか。
「なかには、貯めたお年玉を、大学進学費用の一部にあてるご家庭もあるでしょう。家庭の経済状況によっては、財産管理権の濫用とは言えないと思います」
浮田弁護士はこのように話していた。

深夜のファミレスに「3歳くらいの幼児」を連れ出す親・・・法的な問題はあるの?

弁護士ドットコム 2015年12月31日

年末年始の長期休暇ということで、実家に帰って、同窓会に参加したり、家族で遊びに出かける人たちもいるだろう。ただ、子連れの場合、深夜まで外出が続くと注意が必要になる。
ネットの掲示板には、23時半ごろのファミレスで、3歳くらいの小さな女の子とその両親を見かけたという目撃例が書き込まれていた。投稿主は「時間が時間なだけに見たとき正直驚きました。今の若い世代にとっては当たり前なのかな?」と疑問を投げかけていた。
若い親たちが深夜まで乳幼児を連れ回した場合、法的にはどんな問題になる可能性があるのだろうか。また、見つけた場合、やめさせることはできるのか。石坂浩弁護士に聞いた。

都道府県によっては、子どもの深夜外出を制限する条例も
「クラブやパチンコ店のように、法律上、風俗営業の適用を受ける店舗であれば、18歳未満の子どもの入店自体を禁止できます。しかし、これに該当しない深夜営業飲食店の場合、保護者が同伴していれば、子どもの入店は可能です。ですから、午後11時半ごろまで、両親と小さな子どもがファミレスで食事をしていたとしても、これを直接的に制限することはできません」
では、周りは手をこまねくばかりなのだろうか。
「そういうわけではありません。大半の都道府県で制定されている『青少年保護育成条例』では、ゲームセンターなどへの夜間立入を制限しているところもあります。また、東京都では、深夜の午後11時以降における18歳未満の子どもの外出を制限しています。神奈川県でも、子どもとの深夜同伴外出を控えるよう、大人に努力義務が課せられています」
ファミレスが、親子の深夜利用を制限していない場合は、どうしたらいいだろうか。
「店舗経営者が、親子の入店自体を禁止することはできません。しかし、地域住民が青少年保護育成条例を根拠に『深夜、子どもとの同伴利用は控えるべき』との申し入れをするくらいは可能だと思います。『子どもの健全な育成』という趣旨には合致していますから」
たしかに一人で申し入れるよりも、自治会などの名前で、他の人と協力して申し入れるほうが影響力もありそうだ。
もし、深夜に連れ回された子どもが眠れずに体調を崩してしまった場合は、「虐待」にあたるのだろうか。
「親が頻繁に深夜同伴外出を繰り返していて、子の顔色が明らかに悪かったり、アザがあったり、極端に痩せていたりするなど、虐待の兆候が見えるケースもあるでしょう。こうした場合は、すぐに児童相談所に連絡してください」
石坂弁護士はこのように話していた。