養護施設、障害持つ子が3割…15年間で3倍

読売新聞 2016年1月31日

児童虐待の急増に伴い、児童養護施設で暮らす子供の約3割を、知的障害や発達障害などを持つ障害児が占め、15年間で約3倍に増えている。
障害児支援の仕組みが追いついていないことから、厚生労働省は、発達支援に詳しい保育士らを児童養護施設に派遣する方針を固めた。開会中の通常国会に児童福祉法の改正案を提出し、2018年度から新制度をスタートさせたい考えだ。
「なんれ、やめれよ」(なんで、やめてよ)
昨年11月末、東京都内の児童養護施設。施設前の広場で遊んでいた男児(6)は、一緒に暮らす友達と三輪車の取り合いになった際に、相手を手で押しのけた。発語がはっきりしない男児は言葉でのコミュニケーションが苦手で、発達障害の疑いがある。

児相記録流出は「正当」、職員が不服申し立て 京都

京都新聞 2016年1月29日

京都市児童相談所の相談記録を不正に閲覧し、持ち出したとして、市から停職3日の懲戒処分を受けた男性職員(44)が29日、「公益通報目的だった」として、市人事委員会に処分取り消しを求める不服申し立てを行った。
申立書によると、職員は児童福祉法違反容疑で児童養護施設の施設長が逮捕された事件で、児相の対応が遅れたことを市の公益通報窓口に訴えるために記録を閲覧したという。公益通報者保護法は告発者への不利益処分を禁じており、職員は「正当な目的があり、処分には相当性が認められない」と主張。公開の場で処分が合法かどうかを審議する口頭審理を求めた。
不服申し立てをした職員は「処分は内部告発者に対する報復行為。人事委の公正な裁決を期待したい」と話している。

和食充実、調理法に揚げ物…食品標準成分表5年ぶり改訂

読売新聞(ヨミドクター) 2016年1月31日

◇「減塩」「低カロリー」通常品と比較
食品の栄養成分をまとめた日本食品標準成分表が、5年ぶりに改訂された。米粉パンや揚げ物など新たに約300品目が加わるなど、日本人の食生活の変化に伴う大幅改訂となった。健康に配慮した献立を考えるのに役立ちそうだ。

夜トイレが近い人、原因は塩分取り過ぎかも
食品標準成分表は肉や野菜など食材ごとに栄養成分が記されており、これを基に料理や献立の栄養を計算する。文部科学省は2000年から5年ごとに改訂し、15年12月の改訂では、前回より313品増やし2191品を対象にした。刺し身の種類が増え天ぷらが加わるなど和食が充実し、小麦アレルギーに対応した米粉の食品や、発芽玄米など健康志向を反映したものも増えた。
食材ごとの調理法に初めて揚げ物が加わった。冷やし中華のタレやすし酢など市販の合わせ調味料も対象食品となった。購入機会の増えた総菜も初めて盛り込まれた。筑前煮や酢豚、ミートボールなど41種類で、文科省が複数メーカーのレシピを取り寄せて栄養成分を調査した。
製法の変化に伴い、「鉄分が豊富」とされてきた乾燥ヒジキだが、100グラム当たりの鉄分はこれまでの55ミリ・グラムから6・2ミリ・グラムに減った。ステンレスの釜で煮てから乾燥させたヒジキの鉄分量で、昔ながらの鉄の釜を使った場合に比べると大幅に少ない。

成分表は家庭でも、調理法や食品を選ぶ時の参考になる。
同じ食材でも、「揚げる」場合は「焼く」「ゆでる」より、エネルギー量が大幅に増える。皮なしの鶏もも肉はから揚げだと100グラム当たり255キロ・カロリーで、ゆでる場合より100キロ・カロリー多い。1回の献立や1日分の食事で、バランスを見て調理法を選ぶ。
昨年4月、厚生労働省の示す食塩摂取の目標量が引き下げられ、減塩が重要になっている。国立健康・栄養研究所の食品保健機能研究部長、石見佳子さんは「調味料の塩分など、成分表で食品ごとの食塩相当量を確認するといい」と助言する。
例えば、減塩みそは、一般のみそに比べ塩分が少ないことや、低カロリータイプのマヨネーズは通常タイプの半分以下のエネルギー量だが塩分量は逆に多いことがわかる。文科省政策課資源室の河合亮子室長は「自分の食事で足りない栄養など、重視したいものを踏まえて食材を選ぶといい」と話す。
成分表には総菜の栄養成分の算出方法も載っており、石見さんは「自宅で同じ料理を作る時に参考になる」と話す。
日本食品標準成分表 穀物や野菜、肉や魚などの食品について、100グラムあたりのエネルギー、脂質やビタミンなどの栄養成分を文部科学省がまとめたもの。1950年に戦後の栄養改善のために作られた。書店などで販売され、文科省のホームページでも見られる。(読売新聞 大石由佳子)