低所得、乳幼児にも格差 長崎大が保護者420人調査

西日本新聞 2016年2月2日

親の収入が低いほど、乳幼児期の子どもの食や医療面に困難な状況が生じている-。そうした実態を、長崎大の小西祐馬准教授(児童福祉)が保育園児の保護者を対象に実施した調査で明らかにした。食が偏る、ワクチン未接種、大学進学を諦めがち…。親の経済的困窮が幼児期の子どもの養育環境に影響している状況を裏付けた調査はほとんどなく、子どもの貧困対策に役立ちそうだ。
2014年12月~昨年2月、長崎市内にある10保育所の保護者731人を対象に実施し、420人から回答を得た。世帯年収の合計が300万円未満を低所得層、300万円以上500万円未満を中所得層、500万円以上を高所得層と分類し、集計。低所得層の54%はひとり親家庭だった。
その結果、朝食や夕食で「果物をほとんど食べない」のは低所得層の17・3%に対し、中所得層14・2%、高所得層7・4%。逆に「スナック菓子を週5日以上食べる」は低所得層が13・5%、中所得層8・4%、高所得層7・4%だった。
長崎市で医療機関にかかる場合、乳幼児医療費助成制度を使っても800円の自己負担金が生じる。このため「経済的に厳しくて行けない」が低所得層に7・7%いた。7千円程度かかるインフルエンザワクチンを毎年接種しているのは、高所得層60・3%に対し、低所得層48・5%。おたふくかぜワクチンも高所得層は45・4%で、低所得層は28・7%だった。
音楽や水泳などの習い事をしているのは高所得層が26・9%、低所得層は5・9%。子どもに「大学まで進学してほしい」と望む高所得層は67・5%だったのに対し、低所得層は43・8%にとどまった。
親の所得と学力の相関関係など、小学生以上の学齢期を対象にした調査はあるが、乳幼児期に焦点を当てた調査はほとんどない。乳幼児期は「人間形成の土台」で、基本的な生活習慣や自主性などを身に付ける時期とされる。米国の研究で、乳幼児期に貧困だった子どもは、学齢期に貧困だった子どもより成人後も貧困状態に陥るリスクが高いことが分かっている。
小西准教授は「貧困は人生のスタート時点から不平等を生み、子どもからさまざまな機会や体験、やる気を奪ってしまう恐れがある。国の対策は学習支援など学齢期が中心だが、より早期から取り組む必要がある」と指摘する。

どんな子にもチャンスを
阿部彩・首都大学東京教授の話 親の収入によって乳幼児の生活環境まで差が生じていることを示した貴重なデータだ。特に気になるのは「大学まで進学してほしい」との親の希望が24ポイントも差がついたことだ。大卒でないと就職が不利な中、親が諦め、実力のある子も芽が摘まれてしまっている。どんな子にも、チャンスがあると感じられる社会であるべきだ。こうした調査を積み重ね、国や地方の貧困対策に生かしていくことが必要だ。

妊娠出産、子育てまで相談OK…法制化へ

毎日新聞 2016年2月1日

塩崎恭久厚生労働相は1日、自治体が独自に設置している、妊娠から出産、子育てまで切れ目なく相談に応じる「子育て世代包括支援センター」を広く普及させるため、法的に位置付けることを検討する考えを示した。フィンランドの同種施設「ネウボラ」を参考にしたもので、今国会で改正を目指す児童福祉関連法案に盛り込む方針。
視察先の埼玉県和光市で「法的根拠を持たせながら全国展開していくことが大事だ」と強調した。
同センターは、保健師や助産師などを配置し、地域の妊産婦の相談に応じるほか、医療機関や児童相談所と連携しながら個別に状況を把握する。自治体が独自に設置しており、厚労省によると2015年度中に約150市区町村が設置予定。
政府が昨年12月にまとめた児童虐待防止に向けた強化策にも、虐待予防の一環として同センターの全国展開の推進が盛り込まれた。(共同)

ソフトバンク、携帯電話料金とあわせて子どもの支援活動に寄付できる「チャリティスマイル」

Impress Watch 2016年2月1日

ソフトバンクは、携帯電話料金の請求とあわせて、虐待などで家族と離れて暮らす子どもや遺児などの支援活動に寄付できる月額10円のオプション「チャリティスマイル」の提供を開始した。
寄付先は、あしなが育英会と中央共同募金会。ユーザーからの10円の定額料とあわせて、ソフトバンクから10円を拠出し、「チャリティスマイル」の1契約ごとに毎月20円が奨学金貸与や児童養護施設施設、子どもの自立支援などの活動に寄付される。
大規模震災時には、ジャパン・プラットフォーム、中央共同募金会や日本赤十字社を通じて、被災地支援活動にも活用される。

また閲覧不能…衆議院や2省庁も

毎日新聞 2016年2月1日

1月31日夜から1日にかけ、厚生労働省など3省庁と衆議院のホームページ(HP)が閲覧しにくくなる状態になった。サイバー攻撃の可能性があり、各省庁で原因を調べている。
厚労省によると、同省のHPは31日午後10時40分ごろから約1時間半にわたり閲覧できない状態になった。外部から大量のデータを送りつけてサーバーに負荷をかける「DDoS(ディードス)攻撃」を受けたとみられ、同省が原因を調べている。
厚労省HPは25日と26日にも同様のサイバー攻撃を受け、最大で約15時間にわたりHPが閲覧できなくなっていた。同省に対しては、25日に国際的ハッカー集団アノニマスを名乗る人物がツイッターに攻撃を示唆する書き込みをしている。
また財務省と金融庁は1日、両省庁のHPが31日深夜からつながりにくくなり、復旧作業を行っていると発表した。アクセスが集中したためで、詳細を調べている。両省庁によると、改ざんや情報流出は1日午前の時点で確認されていないという。衆議院のHPも一時、閲覧できない状態になった。【古関俊樹、柳原美砂子】