<虐待死疑い>年350人…小児科学会初推計 国の3~5倍

毎日新聞 2016年4月4日

虐待で死亡した可能性がある15歳未満の子どもが全国で1年間に推計約350人に上るとの初の調査結果を日本小児科学会が発表した。自治体からの報告に基づく厚生労働省の2011~13年度の集計は、年間90~60人台で推移しており、3~5倍の開きがある。同学会は「十分な検証がされないまま、多くの虐待死が見逃されているおそれがある」と、国に対策の強化を求めている。
調査を担当したのは学会の「子どもの死亡登録・検証委員会」。委員会所属の小児科医が勤務する東京都、群馬県、京都府、北九州市の4自治体で2011年の1年間に死亡した15歳未満の子ども(東京は5歳未満のみ)474人のうち368人を分析した。医療機関の協力を得て死亡診断書を調べ、一部関係者からの聞き取りもした。
その結果、調査対象の7.3%の27人(うち23人が5歳未満)が虐待で亡くなった可能性があると判断した。事例は、頭部を強く揺さぶられる「乳幼児揺さぶられ症候群」▽乳児だけで入浴させ溺れさせてしまうような監督不行き届き▽適切な治療を受けさせない「医療ネグレクト」--など。
15歳未満で亡くなった子どもは全国で年間約5000人おり、この割合で換算すると約350人。厚労省の統計は、11年度99人、12年度90人、13年度69人。差がある要因について、検証委の溝口史剛委員長(前橋赤十字病院)は、児童を診た臨床医に生前の生活状況などの情報が届かない▽臨床医が知識不足で診断時に虐待を見逃す▽医療機関が虐待の疑いを児童相談所に通告しても、児相側が異なる結論を出す--ことを挙げている。
溝口委員長は「行政が児童虐待死の疑われる事例として適切に検証すれば、次に起こる虐待死を防げる。医療、行政、司法の中で散逸している情報を共有する有効な仕組みの整備が必要だ」と指摘している。厚労省虐待防止対策室は「国としても児童の死亡事例の中身を正確に把握する方策を検討したい」としている。【尾崎修二】

調査不十分で再発招く例も
児童虐待防止法は、都道府県・政令市が虐待死を把握した場合、再発防止のために調査が義務づけられているが、不十分だったため再発を招いたケースもある。
群馬県では2010年、玉村町で母親が生後3週間の次男に暴行を加え、傷害罪で執行猶予付きの有罪判決を受けた。揺さぶられ症候群で脳を強く損傷した次男は寝たきりになり、判決後に死亡した。しかし、死因はのどにミルクを詰まらせたことだったため、県は詳しい調査をしなかった。その後、14年に三男が母親の虐待で死亡。この時の県の検証委は「次男の件があったのに虐待のリスクが極めて高いと判断しなかったため、その後も踏み込んだ対応を取れなかった」と指摘した。【尾崎修二】

児相 定員超過100日突破 虐待疑い増

上毛新聞 2016年4月5日

県中央児童相談所(前橋市野中町)の一時保護所=豆字典=で、定員を超える子どもを保護する状況が続いている。2011年夏に定員を21人から36人に増やし、12~14年度は定員を超えた日はなかったが、15年度は2月末までに100日を突破した。虐待が疑われる事案の増加で、一時保護する子どもが増えているためだ。専門家は職員の増員など態勢強化が必要と指摘している。
定員を超過した日が05~07年度に60日以上になるなど、定員超過が常態化したため、県は11年8月、新棟を建設して一時保護所の定員を15人増やした。12~14年度は定員超過日数はゼロだったが、15年度に入り状況が一変。多い日は40人の子どもが生活している。
定員を超過した日は、1人部屋を2人で共有している。子どもがトラブルを起こさないよう、職員が時間外勤務で見守っているという。
定員超過の背景には、虐待が疑われる事案の増加がある。15年に県警が受けた相談や通報は過去最多の186件に上った。児相が一時保護した人数は、12年度から4年連続で前年を上回っていて、15年度は2月末時点で465人となった。担当者は「保護が必要な子どもが増えている。命に関わるケースがあるので、定員オーバーだからといって断ることはない」と話す。
施設の増設や職員の増員は今のところ検討されていないという。児童虐待に詳しい高崎健康福祉大の千葉千恵美教授は「難しい事情を抱えた子どもたちをよく観察し、心を込めてケアすることが望まれる。専門の職員を増やしたり、施設環境を良くすることが必要だ」と話している。
《豆字典》一時保護所 児童相談所が保護した子どもを短期滞在させる施設。虐待される可能性がある子どもを保護したり、非行をした子どもに生活指導する。緊急性が高い場合、保護者の同意なしで保護できる。県内では中央児童相談所にしかない。

保育園のもう一つの問題、保育料の滞納について ~取り立ては年々厳しくなっている?~(浅野千晴 税理士)

シェアーズカフェ・オンライン 2016年4月4日

新年度が始まりました。待機児童が社会問題になるほど増えている中で、保育園に無事入園できたお母さんたちはほっとしている人もいるでしょう。ただ、待機児童とは異なるもう一つの問題があることをご存じでしょうか。それが保育料の滞納です。

認可保育園は市町村の税金で賄われている
公立(認可)保育園1人当たりの保育料の負担額は全国平均で2万円程度といわれています。認可として児童福祉法による子供一人当たりの面積基準があるため、施設はゆったりとして子供たちがのびのびと遊ぶことができます。四季折々のイベントや毎月のお誕生会、といった行事も多彩で、最近は保育時間に様々な体操教室、英語教室など実施する保育園も多くあります。これでは「保育園に落ちた日本死ね」と言ってしまう気持ちも分からないでもない気もします。
保育園児の負担は比較的手のかからない年中・年長のレベルでも園児一人当たり月額約10万円といわれ、保育園に入所している子供は保護者の住民税の納税額によって月々の支払額が決定されます。また、その保育料で賄えない分は、地方自治体からの補助金として保育園に拠出しているのです。どんなお金持ちでも保育園に通う子供の負担を100%支払っている家庭はないため、市町村の税金の恩恵を受けていることになります。

お金に困ると税金をまず払わなくなる現実
しかし、保育園に入所するときは問題がなくても何らかの事情で生活に困った場合、保育料が払えないというケースが出てきます。お金が足りなくなった時に後回しにしがちなのは「税金関係」。税金を遅らせる理由は、払いが少し遅れても即生活に支障が出てくるものでないからでしょう。また、払わないからと言って突然退園処分になったり、次の日から厳しい督促状がやって来るわけではないので保護者は一時的に安心してしまいます。この安心が滞納額のさらなる累積をうむ結果になっているのです。
滞納状況を公表している千葉市を例にとると、2015年10月時点での保育料滞納額は累積で2億円もあり、平成26年度の保育料未納の差し押さえ件数は74件。やむをえず税金を充当した額は平成26年度中640万円ほどとの報告があります。1つの自治体だけでも億単位の未納があるのは驚きです。税金は納期限までに払わないと翌日から延滞金が発生しますが、保育料は税金で賄われているのにかかわらず、昨年度まで延滞金も取らない市町村も存在していました。

児童手当の保育料天引きは基本不可能
また、年金を支給されている高齢者は年金額から個人の介護保険や住民税などは天引きされています。地方自治体の事務の効率化はもちろんのこと、一度手元にお金が入ると払えなくなる事態を防いでいるのでしょう。
保育料も払えない人から徴収するには、こういった支給(子供の場合は児童手当)から差し引くのが確実です。しかし児童手当は児童手当法によってその受給額の差し押さえができない強い権利に守られています。なかなか徴収が進まない事態を打開するため、地方自治の児童手当のガイドラインが平成24年度より変更になり、自治体によっては児童手当から保育料が天引きによって徴収できる規則を設け、徴収しているところが出てきました。
これも待機児童がいる一方で保育料を滞納しても保育園に通える子供がいるのでは示しがつかないということでしょうか、「保育料を滞納する家庭には退園をしてもらう場合があります。」とする規則を設ける自治体も増え、中には武蔵村山市のように「正当な理由なく6か月を滞納した場合には保育園を退園します」という納付誓約書に署名押印があるフォーマットを用意している自治体まであります。
徴収は確実に厳しくなっています。

保護者は子供の権利をはき違えてはいけない
保育園は、税金の使途が自分の直接のメリットとして「見える化」が明白なものの1つです。支払が滞っても「子供は守るべきもの」の視点にたっての保育を継続してもらえます。しかしその結果としてその親まで滞納が許され、守られてしまっているという歯がゆい結果になっているのです。
待機児童解消と保育園の拡充が早急な課題となり、4月からの政府の28年度予算にも盛り込まれています。これからも保育園は急ピッチで増加していくと同時にこの滞納問題も同じように増加すると考えられます。
税金は支払いができなくなるとほったらかしにする人が非常に多いです。困ったら放置せず、すぐに市町村に相談に行くことが何よりの解決策であることを知っていただきたいものです。

子どもの誤飲事故 タバコが最多に パック型洗剤にも注意喚起

フジテレビ系(FNN) 2016年4月4日

子どもの「誤飲」事故で、「タバコ」によるものが、最も多かったことがわかった。
厚生労働省が、協力医療機関に対して、2014年度に行ったモニター調査によると、子どもの誤飲事故のうち、「タバコ」によるものが、2割を超え、最も多かったという。
厚労省は、「タバコを誤飲した場合は、飲料を飲ませず、直ちに受診すること」とアドバイスしている。
次いで、錠剤などの医薬品・医薬部外品が14.3%、磁石や画びょうなどの金属製品が、12%と続いている。
厚労省は、食品と間違えやすい「パック型洗剤」の誤飲にも注意を呼びかけている。.