熊本でボランティアを考えている人は必読! 支援活動をする心得集を無償配布

オーヴォ 2016年4月19日

「熊本の人を応援したい!」と思って、被災地に入りボランティア活動をしたいと考えている人もいることだろう。そんな人に活動をする前に読んで欲しいのが、国際NGOプラン・ジャパンが無償で配布している冊子「被災者の心を支えるために―地域で支援活動をする人の心得―」だ。
この冊子は、2011年に世界保健機関(WHO)が心のケア活動の指針として発表した 「WHO版心理的応急処置(サイコロジカルファーストエイド:PFA)―現場の支援者のガイド―」(監訳:(独)国立精神・神経医療研究センター、翻訳:ケア宮城、プラン・ジャパン)を日本国内での支援活動向けに編集、2012年8月に発行したもの。2016年4月までに心理士、NPO/NGO、学童保育、行政などの関係者を中心に3万3000部を配布した。
これまでの心のケア支援活動では、心理の専門家が被災者の体験を聞きだすデブリーフィングという手法が主流だったが、被災者を取り巻くすべての人々(基本的なサービスを提供する人々、家族や地域の人々、学校の教員・保育士や保健師など)が、少しの心理的配慮や気遣いによって被災者の心を大きく支えられることから、被災者との関わり方、支援者として配慮すべきことを示した。また、地域の文化や特性を尊重しながら被災者の目線に合わせた支援に取り組む方法についても分かりやすくまとめている。
「言っていいこと、やっていいこと」、「言ってはならないこと、してはならないこと」などは必読! 何気ない一言が勇気づけたり、反対に傷つけてしまったり──被災した人たちの気持ちを汲んであげるためにも、活動する前に読んでおきたい。

去年1年間に保育施設で14人死亡、その背景は

TBS系(JNN) 2016年4月19日

今、待機児童解消のための対策が急がれていますが、子どもが預けられている現場で深刻な事故が相次いでいることが明らかになりました。政府は去年1年間に保育施設で亡くなった子どもが14人に上ったことを発表しました。その背景には、待機児童問題と同じ保育の現場をめぐるある実態が見えてきます。
愛くるしい表情で笑う男の子。生後3か月の陽向ちゃんです。この写真を撮ったわずか2日後。保育園で命を落としました。
「『(夫から)心肺停止になっちゃたから病院に行って』と電話がかかってきた」(陽向ちゃんの母親)
事故は去年9月、埼玉県川口市にある認可外保育園で起きました。初めて預けた日のことでした。
「(預けたのは)2時間。11時から1時ごろまで(仕事の)面接に行って帰ってくる時間だけ」(陽向ちゃんの母親)
川口市によりますと、保育士らは当時、他の子の食事の世話に追われ、泣き続ける陽向ちゃんをベビーベッドに置いたままにしていたといいます。そして、気づいたときにはうつぶせとなり、呼吸は停止していたということです。
「泣いているまま亡くなったと思うと、本当に申し訳ないですね。息子に」(陽向ちゃんの母親)
川口市は、施設に対し保育士の数を適切に配置するよう行政指導しました。内閣府のまとめでは、去年1年間に保育施設などで起きた事故は627件、そのうち14人が死亡しました。先月と今月にも、東京と大阪の認可外保育園で1歳の男の子が亡くなる事故が起きました。
保育施設での相次ぐ事故。背景には、保育士の待遇の悪さがあると専門家は指摘します。
「保育士さんの離職率が高い、入れ代わりが激しい、子どもの特徴を保育士が把握できない、スキルアップできないという、いろいろな問題が生じる中で事故が増えているとみている」(保育事故の問題に取り組む寺町東子弁護士)
待機児童の緊急対策として、国の基準いっぱいまで子どもを預かるよう政府は自治体に求めています。
陽向ちゃんの母親は、保育の質を下げないでと訴えます。
「亡くなるのを覚悟で預ける親はいない。安全であるべきだし、もう、同じ思いをする人が出ないよう対策してほしい」(陽向ちゃんの母親)

社会から忘れられた2年間 所在不明児に虐待の影 母に殴られ骨折、外出禁じられ…

西日本新聞 2016年4月18日

居所が分からない子どもの虐待死が相次いで発覚したことを受け、厚生労働省は2014年から実態調査を続けている。だが、全ての子どもにたどり着けたわけではない。福岡県の福祉施設で暮らす30代男性は小学生の時、母親から2年間外出を許されず、激しい暴力を受けていた。行政から見過ごされた男性は「自分のようなことは繰り返してほしくない」と訴える。
「姥捨山のよう」刑務所でしか暮らせない 21回目の有罪判決
大分県で生まれ育った。幼いころに離婚した母はすぐに「やくざ」と再婚。弟が生まれた後に相手が逮捕されると新しい恋人を見つけ、たびたび家を空けるようになった。
小学4年、幼い弟の世話で通学できなくなった。1日にパン1個。なくなると弟の粉ミルクでしのいだ。たまに帰る母から棒で何度も殴られ、骨折したこともある。痩せてあばら骨が浮き出た体はあざだらけに。「見栄えが悪いから外に出るな」と命じる母の言いつけを守り、部屋にこもって過ごしたという。
2年後、恋人の元に行くという母に三重県へ連れていかれ、そこで警察に駆け込んだ。「これ以上、ご飯を食べられないのが嫌だった」。兄弟は児童養護施設に保護された。

社会から忘れられた2年間
学校に行けなかった2年間、教師は一度も訪ねてこなかった。数年前まで児童相談所に勤めていた女性は「学校に来ないことや住民票の住所に住んでいないことが虐待につながるという認識が、当時の行政には薄かった」と話す。04年に児相や学校、警察などでつくる要保護児童対策地域協議会(要対協)が全国の市町村に設置されたが、上がってくる情報は少なかった。
風向きが変わったのは14年4月の全国調査。大阪府富田林市や福岡市早良区などで、所在不明児が何年も前に死亡していたことが相次いで判明したのがきっかけだった。関係機関は学校に来ない子どもに直接会って安否を確かめ、住居地に住んでいない場合は親の戸籍から親族に連絡を取って追跡するようになった。
「戸籍から親の成育歴が垣間見えることがある。虐待のリスクにつながる情報はささいなことでも把握しようと動いている」と北部九州の要対協関係者。自治体間の情報共有も格段に密になったという。それでも14年10月時点で全国で141人、九州でも今年1月15日現在で5人の行方が分かっていない。
社会から2年間忘れられた男性は、その後もまともに通学できず、漢字はわずかしか読めない。何度も罪を犯し、今年2月、福岡県の福祉施設に身を寄せた。1カ月後には包丁を持って交番へ行き、再び逮捕された。動機は「職員の気を引きたかった」だった。
施設の恵良英典代表は、幼少期に大人と適切な愛着関係を築けなかったことが行動に影響を与えているとみる。「行政がもっと早く介入できていたら、彼の人生は全く違うものになったかもしれない。所在不明児に向き合い始めた今こそ、彼のような人を忘れないでほしい」

親戚の娘が子を虐待しており引き取りたい 弁護士の見解

NEWS ポストセブン 2016年4月17日

日本小児学会は3月、「2011 年の小児死亡登録検証報告」を発表。「虐待死の可能性ありとして積極的な検証を行うことを考慮すべき事例」が毎年 350 名程度いると指摘した。このように虐待事件は頻発しているが、親戚の娘が我が子を虐待している場合、その子を引き取ることは可能なのだろうか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
親戚の21歳になる娘が自分の子供(3歳・女)を虐待し、福祉施設の預かりになっています。その後、娘とその夫は改心したと主張し、子供を引き取りたいと訴えているようですが心配でなりません。できれば私が引き取り養子縁組をした上で、親権を譲ってもらうには、どうすればよいでしょうか。

【回答】
虐待から児童を守るために、児童虐待防止法があります。児童の身体に外傷が生じる暴行を加えることや、わいせつ行為をしたり、食事を与えないことなどを虐待と定義し、虐待を受けたと思われる児童を発見した人に児童相談所への届け出を義務付けています。
児童相談所では、児童の安全のため、警察の協力を得て施設に2か月を超えない範囲で一時保護ができます。さらに、保護者に監護させることが著しく児童の福祉を害する場合には、家庭裁判所の承認を得て2年間施設に入所させることができます。とはいえ、親子の関係は大切であり、防止法では児童が良好な家庭的環境で生活できるように親子が再統合することを目指して保護者を指導します。
ところで、15歳未満の養子は法定代理人との間で縁組し、連れ子などでない限り、家庭裁判所の許可を受ける必要があります。同意が前提ですから、親権者が反対しているのでは養子縁組は無理です。
しかし、6歳未満の児童について、実父母との親族関係を終了させる特別養子制度では、父母による虐待、悪意の遺棄、その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合、親の同意がなくても裁判所の許可で養子縁組ができます。
ただ、これは実父母の監護がひどく困難、又は不適当であることなどから児童の利益のため、特に必要があると認めるときに限って許可され、養親を希望する者が半年以上監護した実績をも踏まえて判断されますから、実際にはなかなか難しいと思います。
この実父母の虐待が続くときは、あなたが児童の6親等以内の親族であれば、家庭裁判所に親権の喪失や停止を求めることができます。父母の親権が停止等の間、あなたが児童の後見人に任命され、監護実績を積めば、特別養子の道が開くかもしれません。