<虐待死疑い>起訴わずか8% 医師と警察連携悪く

毎日新聞 2016年6月3日

全国の医療機関で勤める医師が2010~14年度で、虐待の疑いがあると判断した子どもの死亡例154件のうち、捜査機関が起訴したのは13件と約8%にとどまっていることが厚生労働省の研究班の調査で分かった。再発防止に向け、法律で義務づけられた都道府県・政令市による検証も6件しかなかった。研究班は「各機関が断片的な情報を持っているだけでは多くの虐待死が埋もれてしまう」として、医療機関と司法、行政の3者による情報共有を進める制度を早期に整備するよう求めている。【尾崎修二】
全国962の医療機関が対象で、病院内で死亡が確認された18歳未満の子どものうち、医師が虐待死を疑った例について調査。371施設から回答があった。
虐待死が疑われたのは154件(うち0歳児101件)。このうち、「乳幼児揺さぶられ症候群」が疑われる脳内出血や体への複数のあざなど、医学的に虐待以外の説明がつかず、医師が「確定的」と判断したのが42件あった。「可能性が大きい」が39件、疑いが残る例は73件だった。154件のうち、医療機関から警察へ通報されていなかったのは16件。通報された138件も、起訴は13件にとどまった。
調査では司法解剖された58件のうち、死亡時に子どもを診た医師と解剖を担当した法医学者が解剖前後で情報交換しなかった例が40件に上った。医師が警察側から解剖の有無自体を知らされていない例も41件あった。起訴率が低い要因について、児童虐待は密室性が高く、親が認めない場合は立件が難しいとされてきたが、関係機関の情報共有が進まず、医療機関が得た情報が有効活用されなかった可能性がある。
一方、医療機関から児童相談所(児相)へ通告されたのは62件。児童虐待防止法は児相を設置する都道府県・政令市が虐待死を把握した場合、再発防止のため検証を義務づけているが、実際に行ったのは6件だけだった。
研究班メンバーの溝口史剛医師(前橋赤十字病院)によると、医療機関側が不確定な例の通告をためらっていると見られる背景には、検証の意義を十分理解していないことが要因という。溝口医師は「行政も医療機関と連携を強化し、虐待の可能性があれば、積極的に検証すべきだ」。厚労省虐待防止対策室は「事案を把握する手法や方策を検討したい」と話している。

「全事例の検証必要」
米国や英国では、虐待死や事故死が見過ごされないよう、子どもの全死亡事例を病院や警察、福祉機関などの関係機関が情報を共有し、原因などを検証できる「子どもの死亡登録・検証(チャイルド・デス・レビュー、CDR)制度」を整備。日本にも導入しようと、小児科医でつくる「CDR研究会」が13年6月、内閣府などに要望書を提出している。
厚労省の専門委員会も、今年3月の報告書で「従来の死亡事例検証では、虐待死を見逃している可能性を否定できず、子どもの全死亡事例を検証できるような制度が必要だ」と指摘。具体的には、地域内で関係機関が活用する▽施策向上のため全国の情報を集約して国が活用する--2種類のデータベース構築などを「直ちに実施すべきだ」と提言した。
誤飲や転落など子どもの事故死では、今年度から消費者庁や警察庁、厚労省など8省庁と内閣府が連絡会議を発足。情報を共有し、公表する制度を始めるが、虐待死では同様の取り組みはない。

北海道不明男児無事保護!必要以上に親を責めないでほしいとひとりの親として思うわけ

Yahoo!ニュース 2016年6月3日

北海道・七飯町で行方不明だった小2男児が1週間ぶりに保護された。まずは、同い年の子どもを持つ親としても、本当に無事で良かったと安堵している。たまたま保護されたニュースをスマホで知ったときに、駅のホームに立っていたのだが、近くにいた年配の女性がその娘さんと思われる方とわざわざ無事を喜ぶ電話をしていた。この1週間、日本中、いや世界中のニュースとなった出来事であったが、同じ小2の子どもを持つ親の立場から、今回の騒動を考えてみたい。
親の「置き去り」行為は確かに行き過ぎだが・・・
前提として、この両親が取った「置き去り」の行為については、行き過ぎた面があったと思う。ただ、子育てをしている中で、行き過ぎてしまうことは多々あることだと思う。
この親を責めることは簡単。しかし、自分が同じ小2の息子を育てる立場として考えると、子育ては後悔の連続であり、いつ自分の身に起こってもおかしくないことだと思えてならない。
この少年が置き去りにされたとき、おそらく「自分で何とかしなくては」と思ったのではないだろうか。特に男の子ということもあり、この状況をどう打開するかという気持ちが沸き起こったのだと思う。だからこそ、親が車で行ってしまい、車が見えなくなった瞬間に、この少年はとっさに行動を起こしたのだ。
この日のうちに、7キロもある距離を歩き、今回保護された自衛隊の駐屯地の施設にたどり着いたという。おそらくたどり着いたときには周囲は真っ暗だったに違いない。本当に奇跡的なことだが、この少年が我が道を進んだことが生き延びることにつながったのだ。
子どものとっさの行動のすべてを親は把握することはできない
自分自身のことを振り返ってみたい。3歳のときのこと。当時住んでいた札幌のマンションで、同じマンションに住む年上の友達の家に遊びに母親に無断で出かけてしまった。しかし、その友達は留守だった。そこで、家に帰ればいいものを、何を思ったか、自分はその友達を探しにマンションの外に向かった。そして1.5キロほど歩き、ほぼ一駅分歩いて行ったとき、横断歩道を渡っているところを、たまたま信号で一番前で停車していたパトカーに保護された。
当時3歳。自分の名前も、当然住所も言えない状態。そのまま自分は、児童相談所送りとなった。そして、夕方となり、母親、祖父、きょうだいが迎えに来たのだが、そのときの光景を35年も経ったいまでも鮮明に覚えている。本当に家族は心配したと思う。しかし、そんな行動をしてしまうのが子どもなのだ。
はて、自分が親になっても同じようなことがあった。自分自身はひとり親なので、なかなか3人の子どもたちに始終目を向けることはできない。ある日、家事をしている最中に、当時5歳だった次男がふて腐れて突然家を飛び出してしまった。あっという間の出来事だったので、追いかけることもできずに、途方に暮れた。このまま帰ってこなかったらどうしよう。いつの時点で警察に届けるべきか。そんなことを思って、不安に駆られた。幸いにして、そのときは1時間後くらいにひょいと帰ってきてくれた。何やら、1キロほど離れた自分が通う保育所まで歩いていって戻ってきたらしかった。怒りたい気持ちもあったが、ちょっとした子どもの冒険心を大切にしたいと思い、きつくは怒らなかった。24時間、親が子どもの行動を把握することなど不可能に近いと思った出来事であった。
今回、両親が行方不明になった直後に、両親が「山菜取りをしていたらいつの間にかに行方不明になってしまった」という虚偽の発言をしてしまったのも多少は理解できる。不安のどん底に落とされたときに、思いがけず自分に有利な発言をしてしまうということは十分考えられるからだ。
特に、この家族は仲が良くて評判が良かったとのこと。川遊びをしていたときに、この少年が車や人に向けて石を投げたことに対して、しつけとして「置き去り」にした。たぶん帰りの車の中で、この少年に対して、親は注意をしたのだろう。しかし、あまり反省してないと感じた両親は、とっさに「置き去り」という方法で、石を投げた行為について、それがいけないことだと理解させようとした。
今回の出来事を前向きに捉えられるように
もちろん繰り返しになるが、ここで「置き去り」にすべきではなかった。しかし、両親は「置き去り」という手段を取ってしまった。これは当然生きて保護されたからこそではあるが、生きて保護されたからこそ、今回の教訓を前向きなものとしてこの家族が捉えられるようにしてほしいのだ。特に、マスコミに対しては、あまり責めるような報道をしてほしくない。
子育てをする中で、しつけを冷静にできることのほうが少ないかもしれない。特に、子育てにどっぷり浸かれば浸かるほど、親は盲目的になりがちだ。子どもを冷静に「叱る」というよりは、とっさに「怒ってしまう」のだ。そうした状況に置かれてしまう親の心情をどうか多くの人に理解してほしいと切に願う。
多くの人たちが捜索活動に参加をした。その多大なる労力を考えれば、それ相応の非難を受けるべきという意見も当然あるだろう。
しかし、子育ては失敗の連続なのだ。その失敗を得て、親も子どもも成長をする。完璧に子育てできる家庭はほんの一握りだ。この家族が今回のことを受け止めて、悲観的にならないように周囲やマスコミは協力してほしい。
話は戻るが、子どもの強さと可能性を考える機会となった。自衛隊は一度、この少年が留まっていた施設を調べたという。もしかしたら、少年はそれに気づいていたかもしれない。しかし、怒られると思って、遭遇することに躊躇したのではないかとも推測する。この事態に対して、どう乗り越えていけばいいのかを葛藤していたことだろう。この少年にとっても、今回の出来事は記憶に鮮明に残ることだろうと思う。この出来事をポジティブに捉えられるように、家族や学校、友達がケアをしてほしいものだ。
そんなことを思わざるを得ない事案であった。

私が遭遇したモンスターペアレント こんな信じ難い事例も!

オーヴォ 2016年6月3日

せっかく入れることができた保育園。ところが今度は、我が子が一番とばかりにクレームを連発してしまい、“モンスターペアレント”と呼ばれることも。スタッフジャパン(東京)が保育士と元保育士100人に聞いた「私が遭遇したモンスターペアレント」によると、いるいる、とんでもない“モンスターペアレント”が・・・。
クレームで目立つのは「お遊戯会」だ。具体例を挙げると、「演劇会の子どもの役回りに不満があり、しつこく役の変更を求められたことがある」(40代/男性)、「お遊戯会で子どもが自分で人魚の役を選んだのに自分の娘がお姫様じゃないことに怒った」(20代/女性)など、いかにもありがちだ。
「お遊戯会での発表で劇をすることになって、自分の子どもの役に不満を言ってきた親のせいで子どもたち全員が主役をやるめちゃくちゃな劇になった」(20代/女性)などは笑うに笑えない。「お遊戯会で、お金を払うから自分だけ特別に前の辺りで写真を撮らせて欲しいと言われた」(30代/女性)など信じられないケースもあった。
給食やお弁当については、「保護者参観の時に、うちの子のご飯がほかの子よりも少ないと言われた」(30代/女性)などは容易に想像できるが、「自分が弁当を作れないからといって、差別だ、ほかの人も作るなと言われたりした」(30代/男性)、「朝早めに登園する園児に朝食を準備するよう言われた」(40代/男性)など、その親は常識があるのか、ちょっと疑ってしまう。
そのほか、「個人の持ち物には名前をつけるようお願いしたところ『着なくなったらオークションに出すから名前は書けない』と絶対に書いてくれないお母さんがいた」(40代/女性)、「ほかの預かっている子供に対して殴りかかったので叱りつけたら、理由も聞かずに子供が保育士に怒鳴りつけられたと包丁を持って夫婦で殴り込んできた」(40代/男性)、「保育園に行きたくないと言うから、家まで迎えに来て欲しいと言われた」(40代/女性)などなど、にわかには信じ難い事例も。
保育園は子供たちの成長を助ける場であって、親のワガママが許される場所ではない。保育士不足がいわれるのに、これでは・・・。保育園問題、待機児童だけではなく、将来的に保育士を真剣に増やそうとするのなら、“モンスターペアレント”の対策も必要──現場からの悲痛な叫びを聞くと、そう思えてならない。