小4女児殺害 秋田県「予測困難だった」 施設から一時帰宅中に…

産経新聞 2016年6月21日

秋田市のアパートで20日、児童養護施設から一時帰宅していた市立高清水小4年、千葉愛実(めぐみ)さん(9)の遺体が見つかり、殺害したとみられる母親(40)が自殺を図り重傷を負った事件で、秋田県子育て支援課の土田元課長は21日、「予測は困難だった」との見解を示した。
土田課長などによると、県中央児童相談所が母親の精神状態などから「家庭での養育が困難」と判断。愛実さんは平成23年7月から児童養護施設「感恩講児童保育院」に入所し、25年からは施設から高清水小に通っていた。
児相は母親の様子を見た結果、愛実さんの一時帰宅を許可。今年5月の大型連休も自宅で過ごしたという。17日午後から一時帰宅し、20日になっても戻らなかったため、施設が警察に届けた。感恩講児童保育院の佐藤章和施設長は「迎えに来たとき、母親に普段と違う様子はなかった。信じられない」と話した。
高清水小の越中谷俊悦校長は保護者宛ての文書で「いつも明るく、元気いっぱいのあいさつを交わしてくれた姿が今も忘れられません」と愛実さんをしのんだ。
事件は20日午後4時5分ごろ、秋田市八橋大沼町、アパート「アネックス八橋」101号室で愛実さんが死亡しているのを秋田中央署員が見つけた。そばに母親が倒れており、一時意識不明となった。
同署によると、愛実さんの首に圧迫された痕があり、死因は窒息死。母親が愛実さんを殺害して自殺を図った可能性があるとみて殺人容疑で捜査。回復を待って事情を聴く方針だ。

ネット養子縁組に賛否…「効率的で子供の命救える」「慎重さ足りない」

読売新聞(ヨミドクター) 2016年6月21日

養子縁組のあっせん事業を行う大阪市のNPO法人が、赤ちゃんを育てられない親と、養子縁組を希望する人をインターネット上で引き合わせるシステムを始めた。「効率的で、子供の命をより多く救うことができる」と強調する同NPOに対し、「養父母選びに慎重さが足りない」などの批判の声が上がり、論議を呼んでいる。
同市浪速区のNPO法人「全国おやこ福祉支援センター」。阪口源太代表理事(39)によると、スタッフは看護師ら2人で、2014年4月以降、「インターネット赤ちゃんポスト」と銘打ち、メールや電話で希望者を募集。養父母の希望者には、原則1回の家庭訪問で審査してきた。約2年で約20件の養子縁組を成立させたという。
是非が特に議論になっているのは、同NPOが今年4月に導入した「赤ちゃんマッチング コウノトリ」のシステムだ。
このシステムでは、養父母の希望者が職業や収入、育児支援者の有無などを入力すると、点数化され、スコア順に一覧表示される。実の親がこれを閲覧してマッチング相手を選ぶ。養父母になってもらうかどうかは従来通り同NPOが審査するが、手続きの多くをネット上で済ませられる。
養父母は200万円を上限に出産費用を負担するほか、同NPOにスタッフの交通費などの諸経費として50万円の事務費を支払う。
養父母希望の夫婦約60組、実母5人が会員登録しており、これまでに3件のあっせんが成立した。7月にはスマートフォン用のアプリも導入する予定という。
こうした仲介方法や請求額に違法性はない。ただ、同NPOはネット上で、出産費用の件を「産んでくれたら最大200万円相当の援助」との表現でPRしており、大阪市は「200万円もらえるとの誤解を招く」として過去7回、削除するよう指導しているが、同NPOは応じていない。

批判
養子縁組の普及に取り組んできた団体や専門家らの多くは、同NPOの手法に批判的だ。
あっせん事業を行う一般社団法人「命をつなぐゆりかご」(埼玉県)の大羽賀秀夫代表理事(65)は、約20年の経験から「縁組は子供の人生を左右する。養父母に最も大事なのは『人柄』。それを見極めるには時間も手間もかかる。年収や職業を点数化して推し量れるものではない。失敗したら取り返しがつかない」と言う。
同法人は希望者に講座を受けさせ、「今後の人生になぜ子供が必要か」を文章にしてもらったうえで4時間以上の面談も行う。毎年二百数十組の希望があるが、最終的には半数ほどに絞られるという。大羽賀代表理事は「あっせんの効率性ばかり優先し、『最大200万円の援助』の文言で注目を集めるやり方は、安易で疑問を感じる」と話す。

感謝の声も
これに対し、阪口代表理事は「人工中絶や虐待で失われる命を一人でも多く救いたいと考え、迅速に引き合わせてきた」と反論する。
利用者からは感謝の声もある。神奈川県内の女性(46)は、20年続けてきた不妊治療を2年前にあきらめ、養子を探し始めたが、地元の児童相談所から「新生児はあっせんしていない」と断られた。だが、同NPOに相談すると、2~3か月で新生児を紹介され、特別養子縁組を結んだ。女性は「今はとても幸せ」と話す。
阪口代表理事は、新たに始めたネット上のシステムについても「人だけの力では限界があり、ITによる効率化が必要だ。養父母希望者の収入や資産なども分析しており、1回の家庭訪問で適性は見極められる。仲介に100%の成功はないが、リスクを低減させるため、客観的なデータを点数化している」と説明する。

【つくられた貧困】ひとり親家庭の貧困率が54・6%に上る背景とは

西日本新聞 2016年6月22日

泉房穂・兵庫県明石市長に聞く
ひとり親家庭の貧困率が54・6%(2012年)に上る背景には、離婚で子を引き取らなかった方の親の8割が養育費を払っていないことが大きい。
そう考え、明石市は2014年度から、養育費の額や支払期間などを記入する「合意書」を独自に作成し、離婚届を取りに来た市民に手渡すようにしている。記入は任意で法的拘束力はないが、コピーして2人が持っておけば養育費支払いの意識付けになるし、調停や公正証書作成の際の資料としても使える。
弁護士業務をしていた1997年からの6年間、離婚調停などで多くの父親や母親の代理人を務めた。母親の依頼で小学校に子どもを迎えに行くと、「お父さんと離れたくない」と泣かれたこともある。こういった子どもの意見はだれが代弁するのか。代弁どころか、子どもの養育費や面会交流のことも決めないで別れる親が6割に上る。
他の先進国の多くは裁判所が子どもの意見を聞くし、養育費を支払わなければ、給与口座から強制的に天引きする国もある。「相手ともう関わりたくないから養育費はいらない」と思っても、子どものために請求しなければならない類いのものだ。
だが、日本の民法は離婚時の養育費支払いを義務付けていない。子どもの福祉を無視しており、おかしいと強く思った。

「明石モデル」を全国に
国会議員になり、民法改正で義務化を目指す超党派の議連もでき、国会質問をしたり、法務省や厚生労働省に要望したりしたが、実現しなかった。市長になって、離婚届を受ける自治体としてできることをしようと合意書を発案した。
同時に、子どもの気持ちが置き去りにされないよう配慮を促すための冊子「親の離婚とこどもの気持ち」を親に配り、子ども養育相談会を月1回行っている。
合意書の成果はなかなか目に見えないが、離婚後に児童扶養手当の申請窓口にきた親が「養育費はこのように決めました」と合意書を見せてくれたと職員から聞いた。こうした市の取り組みが15年版の厚生労働白書で紹介され、東京都足立区や文京区、奈良市、鹿児島市などで同様の合意書を配ったり、窓口に置いたりし始めたとも聞く。
今は「明石モデル」を全国に広げるよう働き掛けている。しかし、最終目標は義務化だ。子どもの貧困問題をきっかけに、養育費が支払われない状態を放置していてはいけないという機運は高まっている。あとは政治決断だ。

離婚と養育費
2011年度の厚生労働省調査によると、全国で母子家庭は123万8000世帯、父子家庭は22万3000世帯。原因の8割が離婚で、死別、非婚と続く。
離婚のうち、養育費の取り決めをした母子家庭は38%、父子家庭は18%。実際に支払いを受けているのはそれぞれ20%、4%にすぎない。養育費の平均月額は母子家庭が約4万3000円。父子家庭が約3万2000円。
養育費の取り決めが少ないことや、不払いが多い背景には、2人の合意だけで済む協議離婚が9割を占めることがある。
11年の民法改正で、協議離婚の際には父母が養育費などを取り決めるよう規定され、離婚届に養育費に関するチェック欄が設けられた。だが、努力義務でしかなく、実効性が疑問視されている。

園での「わが子の様子」が見えるアプリ

東京ウォーカー 2016年6月23日

保育園に預けている子どもの様子はつねに気になるもの。保育園と保護者をつなぐアプリサービス「kidsly(キッズリー)」(株式会社リクルートマーケティングパートナーズ)が提供を開始した。写真の共有や連絡帳、登降園管理などの機能がある。初期費用・月額利用料は無料。
すでに利用している保護者向けにアンケートを実施した結果、このアプリを使った前後で、約7割が家庭のでコミュニケーションに変化があったと回答している。
特に支持されている機能が、保護者へ園が写真を送る「フォト投稿機能」。保育士が、保育中のさまざまなシーンを写真に撮影し、子どもが遊ぶ様子や食べる姿などを保護者へ送信。最大4人に共有可能で、保護者はコメントやスタンプなどで返信する。
帰宅後は、この写真を子どもとの会話の糸口にできるし、夫婦間の安心にもつながる。アンケートでは「(子どもは)今まで甘えて靴を自分で履かなかったのに、自分で履いてる写真がアップされた時、写真を見せながら自分で履けて偉いね!と褒めたら、次の日から自分で靴を履くようになった。(女性/東京都)」といううれしい効果も報告されている。子どものやる気を引き出すツールとしても使えるようだ。
また、園児の登園・遅刻・欠席状況を毎日スマートに管理できる「登降園機能」も忙しいママに好評だ。「朝の預け入れ前に連絡帳を書いたり、先生に依頼の説明をしたりする必要がなくなったのと、お休みをしても日々の保育レポートが見る事ができて便利です。また、会社帰りの電車内で、お迎え前にレポートをチェックできるのも助かります。 (女性/千葉県)」との声があがっている。
現在、全国60を超える保育園・幼稚園・学童保育施設などで導入される予定となっているそうだ。【東京ウォーカー/記事提供=レタスクラブ】