児童虐待 最多2万4511人 28年上半期 警察からの児相通告

産経新聞 2016年9月16日

警察庁は15日、虐待を受けている疑いがあるとして、平成28年上半期(1~6月)に全国の警察が児童相談所に通告した18歳未満の子供が2万4511人となったと発表した。前年同期より7287人(42・3%)増加しており、上半期の統計を取り始めた23年以降、初めて2万人を超え、過去最多を更新した。
警察庁の坂口正芳長官は同日の定例会見で、「児童虐待の未然防止に努めるとともに、早期発見と児童の安全確保を最優先に対応したい」と話した。
虐待被害の内訳は、暴言などの心理的虐待が1万6669人(前年同期比50・1%増)で全体の約7割を占め、うち子供の前で配偶者や親族らに暴力をふるう「面前DV」は1万1627人(同59・9%増)だった。以下、身体的虐待5025人(同29・4%増)▽育児などの怠慢・拒否2688人(同25・4%増)▽性的虐待129人(同37・2%増)と続いた。
警察が摘発したのは512件で、うち身体的虐待が415件。被害者となった子供は523人で、うち19人が死亡した。摘発された加害者は528人で、実父は223人、実母は137人だった。
通告件数の増加について警察庁の担当者は、「近隣住民からの通報などが増えており、意識の高まりがある」と分析している。

<厚労省>福祉施設の防犯、点検項目を通知

毎日新聞 2016年9月15日

相模原市の障害者施設殺傷事件を受け、厚生労働省は15日、社会福祉施設の防犯強化を目指す点検項目のリストを作成し、全国の施設に通知した。国が社会福祉施設の安全対策を示すのは初めて。
日常の対応としては「来訪者の出入りを確認し、来訪者証を身につけるように依頼しているか」「防犯カメラの作動点検をしているか」などを挙げ、不審者情報があった場合の緊急時の対応は「警察や警備会社に助言を求める」「職員間の情報共有を図り、複数の職員で対処する」などを示した。これらの項目を参考に、施設ごとの点検項目を作成し、職員に配布したうえで研修を実施することを求めた。【熊谷豪】

「出産後も仕事」半数超す=育児休業の利用増で―交際しない男性7割・厚労省

時事通信 2016年9月15日

第1子出産後も仕事を続ける女性の割合が53.1%と半数を超えたことが、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が15日に発表した出生動向基本調査で分かった。
同研究所は育児休業制度の利用増加が主な要因とみている。
未婚者で異性の交際相手がいない男性が7割、女性が6割に上ることも明らかになった。
調査は5年ごとに行われており、妻が50歳未満の夫婦と18歳以上50歳未満の独身者を対象に昨年6月に実施。有効回答のあった初婚同士の夫婦6598組と独身者8754人を分析した。
第1子出産後も仕事を続けた女性の割合は1985年以降40%前後で推移していたが、2010~14年に第1子を出産した女性は53.1%と初めて半数を超えた。第1子出産時の育児休業の利用者は、前回調査の27.1%から39.2%に大きく伸びた。
夫婦の理想的な子どもの数は2.32人(前回2.42人)、予定している子どもの数は2.01人(2.07人)で過去最低を更新。結婚後15~19年の夫婦の最終的な子どもの数は1.94人(1.96人)と前回に続いて2人を下回り、少子化に歯止めがかかっていない。
独身者のうち、異性の交際相手がいないと答えた男性は69.8%(前回61.4%)、女性が59.1%(49.5%)といずれも10ポイント近く上昇した。特に20代後半で交際相手がいない割合が増えており、「交際を望んでいない」という回答も男性では約3割あった。
同研究所の石井太・人口動向研究部長は「仕事との両立支援はいい方向に向かっているが、少子化は定着の兆しが見られ、厳しい状況が続いている」と話している。

子がトランスジェンダーかも、どうする?

R25 2016年9月16日

LGBT(性的少数者)への差別や偏見をなくしていこうという動きが教育現場でも加速しています。来年度からは、高校の教科書に性の多様性についての記述を増やしていくことが決定。しかし、ママたちにとっては、もし我が子が当事者だったらどうするべきなのか、漠然とした不安が頭をよぎるものです。
なかでも、「身体の性」と「心の性」にズレを感じる、いわゆるトランスジェンダー(医学的には性同一性障害と呼ばれることもある)は、子どもの頃から精神的に苦痛が生じるとも言われています。
そこで、もし我が子がトランスジェンダーかも、と思ったときに知っておきたいコトについて、自身も当事者としてLGBTの若者を支援している、遠藤まめたさんに聞きました。

幼少期は、特に性別はゆれ動くもの
そもそも性別とは社会的に決められたマークのようなものであり、本質的にはグラデーションのようなものだと言われています。とくに幼少期の子どもの場合は、自分がどの性に属していると思うか、いわゆる「性自認」がはっきりせず、あるいは流動的であることも多いと遠藤さんは言います。
「特に12歳くらいまでの子どもの場合は、トランスジェンダーを思わせる言動があっても、それが生涯にわたって持続するのか、そうでないのかは予測不能と言われています。性別を変えたいと言っている子が、将来ずっとトランスジェンダーとして生きていくのかは誰にも分からない、というのが専門的知見です。とはいえ、流動的だから軽視してよいというわけでもありません。非典型的なジェンダーの子どもたちに『男の子だから』とか『女の子だから』といって、その子が遊びたくないこと、望まない髪型や服装を強制させるのは、子どもにとっては心の傷となります。『この子がこの先、どのような性別で生きていくのだろうか』という問いはさておき、ひとまずいま目の前で子どもが望んでいるあり方を受け入れて、いやがることは強制しない、という親の姿勢が、子どもの安心に一番繋がります」(遠藤さん、以下同)
男の子なのにスカートを履きたがる、女の子なのに虫取りばかりしているなどなど、我が子が一般的な性別の“常識”に当てはまらない行動を取っていると、親としては気になるもの。しかし、深く考えないことが大事なようです。
「最近、海外で面白いニュースがありました。2歳の息子にキッチンセットを手作りしてあげたお父さんが、その様子をSNS に載せたところ、『息子をオカマにする気か』と批判が寄せられたそうです。確かにキッチンセットはどちらかと言うと女の子っぽいかもしれません。しかし、バッシングを受けたお父さんは、『くそくらえ!息子がいつも、料理をしているところをのぞいたり、お手伝いすることが大好きだから作ったんだ。子どもが求めるなら、自分はなんだってする。息子がバービー人形を欲しいというなら、それを買う。だって、息子がそれを欲しいと言っているんだから』と反論。それが大変な話題になりました。まずは子どもが楽しんでいることを尊重する姿勢というのが、何よりも大切なのです」

理解しあえる仲間がいそうな場所に連れて行く
とはいえ、家庭内でその子の好みの服装や遊び、振る舞い方を尊重したとしても、周囲の子や親、教員たちの目が非典型的な性別の振る舞いをする子どもを必ずしも好意的に受け入れてくれるとは限りません。その場合、親はどのように行動すればいいのでしょうか。
「ある幼稚園で、ヒラヒラの布をドレスのように巻いて踊るのが大好きな男の子が、お遊戯会で女の子と一緒に踊ったら、他の保護者たちから、『どうしてそんなことをさせているんだ』とクレームがあったそうです。その時に、保育士さんがとっさに『この子は、本当にこうやって踊るのが上手で、楽しそうで、とてもかわいいですよね?』と言ったところ、周りの保護者も『たしかに言われてみれば、かわいい……』と納得してくれたとか(笑)。あえて、性別の話を持ち込まなかったところも先生の機点が効いていたと思います」
この先生が示唆しているように、性別に縛られるのではなく、「子どもが幸福であることが大事」ということを大人たちが共有することが大事だと遠藤さん。
「他にもたとえば女の子なのに一人称が『おれ』『ぼく』だったり、男の子なのにお姫様の絵を描くのが好きだったりするとき、それを『おかしい、治さなきゃ』と思うのではなく、それもこの子にとっては大切なものかもしれないという価値観を周りの大人たちが共有できることが大切だと思います」
それでも、もし孤立してしまうようなことがあれば、トランスジェンダーの子の交流会に参加し、同じ指向を持つ子どもたちと触れ合うことで、我が子の自尊心を育むことにつながるそう。
「トランスジェンダーの子どもをサポートするためのカウンセリングを実施している専門家もいます。関西ではトランスジェンダー生徒交流会という集まりがあり、小学生で非典型的な性別の子たちなどが、だれの目をおそれるでもなく、自分たちがしたい服装や髪型、遊びをして、そこにいられる場が保障されています。その子の好きなことを心置きなくできる場所、仲間を見つける手助けをしてあげることも大事かもしれません。トランスジェンダーの子どもたちは、周りの友達や大人との関係の中でこそ、悩みごとを抱えます。だったら、信頼できるつながりや場を得ることが、なにより強力なサポートになるはずです」
我が子がトランスジェンダーだったらどうするべきか…。その答えは、「親としてはむやみに不安を感じずに、まずは子どもが伸び伸びと楽しく過ごせる環境を整えてあげること」なのかもしれません。

【特集】サイレントボイス・聴覚障がいの両親を持つ親子

毎日放送 2016年9月15日

まるでパントマイムをしているかのような動き。言葉は一切交わしません。実はこれ、ある研修の一場面です。考案したのは尾中友哉さん(27)。尾中さんは勤めていた大手広告代理店を辞めコミュニケーションスキルを高める研修を行う会社を立ち上げました。その研修がこのちょっと不思議な光景です。尾中さんの起業には両親の影響がありました。父親、母親とも耳が聞えない聴覚障がい者でした。
「聴覚障がいのある両親、自転車のベルを鳴らされても気づかない、飛行機が上とんでても気づかない両親のもとに生まれて。これがはじめて覚えた言葉。お腹が減ったという手話じゃないけどジェスチャーをやって両親に伝えて。自分の寝言は手話で。それくらい僕は手話が第1言語で。」(尾中友哉さん)
その母の幸恵さんは今、大津市内でカフェを営んでいます。お客さんとのやり取りは口の動きを読むか、筆談。夢は保育士でしたが耳が聞こえないため諦め、調理師免許を取ってこの店を開いたといいます。そのお店も、もうすぐ9年目。手話を広める活動をするなど地元ではちょっとした有名人です。
「母は自分で切り開いた人間だから。誰もがそうできるわけじゃないから」(尾中友哉さん)
積極的に人生を楽しむ幸恵さんですが子育てには悩んだといいます。
「泣き声とか何がいいたいのか、子どもの出す音がわからないのが壁になりました」(尾中幸恵さん)
しかし、幸恵さんは粘り強くわが子と意思疎通を図ろうとしました。しっかりと子どもたちのことをみていて相手の気持ちに寄り添おうとしたのです。そして、それは子どもたちに対してだけではありませんでした。
「母は聴覚障がいがあるからこその部分に目がいってる人で。いい人間関係を聴覚障がいによって増やしていった母の姿。聴覚障がいをいかす母の姿も見てきて。カフェも非常に楽しみながらうまくいっているので。聴覚障がいをどう見ればいいんだろうというのは、僕は両親から大きなメッセージをもらった。」(尾中友哉さん)
その思いが起業につながったのです。大阪市内に会社を構えた尾中さん。そこはオフィス兼自宅のマンションの一室です。社員は尾中さんを含め4人。うち2人は耳が聞こえません。会社の名前は「サイレントボイス」。無音の声です。
「こいつが耳聞こえないんですよ。今も手話してないんですけど口見てだいたい意味がわかる。でも手話あったほうがいいな。」(尾中友哉さん)
この日は研修プログラムについての打ち合わせです。聴覚に障がいがある人が身につけている「見る能力、伝える能力」を生かしたプログラムで、耳が聞える人たちにコミュニケーションスキルを高めてもらおうというのです。
「今までなかったサービスが今後できると思っている。今の聴覚障がい者の働き方変えれると思っている。」(尾中友哉さん)
打ち合わせの後は、母親直伝のカレーで研修の成功を願いました。そして初めての研修の日。研修先は大手スポーツメーカーのアシックスです。
「本日は皆さん。耳栓をしていただきます。かつ言葉を使わずにコミュニケーションをとっていただきます」(サイレントボイス 桜井夏輝さん)
講師はサイレントボイスの社員で聴覚障がい者の笠井賢一郎さん。言葉を使わずに相手に伝える練習が始まります。配られたカードには果物が描かれています。その果物が何なのか言葉を使わずに伝えるのです。苦労の末、食べ方などを仕草で示します。相手と同じ果物だと思ったらカードを見せ合って答え合わせです。次に、自分の出身地を動作だけで伝えることに挑戦します。この女性の出身は?なかなか伝わらないようですが、笠井さんにはわかったようです。参加者は群馬と回答。正解は・・・兵隊の「兵」と倉庫の「庫」兵庫県でした。相手の仕草や表情をしっかり観察するのが研修の狙いです。
「仕事でいかすには言葉使わないと難しいと思うが、コミュニケーションとるときに相手の目を見たりしていうのは、自分のなかでかわっていけるところが多いんじゃないかなと思いました。」(参加者)
「きょうの研修を振り返ってみると、お互い100パーセント理解せずにすーと流していた場面が結構あったのかなと。次のステップに進めるようにもっと疲れるコミュニケーションをしたいなと思った」(参加者)
尾中さんにとっても確かな一歩になりました。
「僕ららしいアプローチで、コミュニケーションというありふれた言葉を違う角度から見ることが出来たのかなと、嬉しく思ってほっとしています」(尾中友哉さん)