里親になるには、どうしたら良い?

R25 2016年12月17日

家庭で養育するのが困難な子どもを、実親の代わりに受け入れて育てる「里親」制度。
実際に里親になるにはどうすれば良いのか。『うちの子になりなよ』(イースト・プレス)で里親体験を描いた漫画家の古泉智浩さんは言う。
「里親になりたい人は、まず地域の児童相談所に相談に行きます。民間の斡旋業者もありますが、基本的に地域の児童相談所に登録した人が対象となっています」(古泉さん 以下同)
里親制度はあくまで子ども中心のものであり、性別や年齢など、親の希望によって子どもを選ぶことはできない。基本的に、子どもにとって良い条件となる親を行政が選ぶ仕組みだという。
また、里親希望の登録をするには、研修を受けて「里親認定」を受けることが必要になる。研修の頻度は地域によって様々だそう。
「僕の場合、長い不妊治療経験の末で焦っていたので、研修は半年に一度しかないと知り、『そんなに待たなきゃいけないのか』とイライラしました(苦笑)」

里親研修で行うのは座学、施設研修、自宅調査など
里親には、親が亡くなって親戚が預かる「親戚里親」や、一軒家で4~5人の里子を養育する「グループホーム」、障害児を養育する「専門里親」のほか、週末だけ預かる「週末里親」など、様々なものがあるそう。
研修の期間や内容は、地域や里親の種類によって異なる。古泉さんの場合は月1回ビデオや資料を見たり、大学の先生など専門家の話を聞いたりという「座学」を行った後、児童養護施設で2日間小学校低学年の子どもたちと一緒に過ごす研修を受けたそうだ。
「そして、施設研修も終えると、自宅調査です。その家が子どもを預かるのに適しているか、実際に職員さんが来訪して実地調査するのです」

里親認定を待つ間にかかってきた突然の電話
里親になれるのはだいぶ先のことだろうと、民間への足掛かりのつもりで児童相談所に相談した古泉さん。しかし、研修を終えて認定を待つ間に、児童相談所からの突然の電話があった。予定日よりだいぶ早く生まれて新生児特定集中治療室(NICU)にずっといる男の子の赤ちゃんを預かってほしいという話だ。
「妻は、何らかの障害があったときにちゃんと育てられるかという不安に駆られていました。でも、僕はもう障害があってもかまわないと思い、全力で面倒を見るしかないと話し合い、預からせてもらうことになったのです」
里親認定から何年も待っていても、里子を預かれない家庭もある。マッチングは行政が行うが、その条件は明らかになっていないため、巡りあわせをひたすら待つ、あるいは、ある程度で諦めて民間斡旋業者に相談するほうが良い場合もある。
「ちなみに、『里親には年齢制限がある』とか『共働きは不可』と言われることもありますが、地域によって、また、民間業者などによって条件は異なります。僕の住む新潟は、児童相談所の里親への委託率が全国一で、50%近くにのぼるそうです。本気で里子を預かることを考える場合、里親制度に熱心な地域に引っ越すこともひとつかと思います」
里親制度に少しでも関心がある人は、まずは地域の児童相談所に相談してみること。様々な里親制度があるので、話だけでも聞いてみると良いかも。
(田幸和歌子+ノオト)

児童虐待、警察が積極保護 上半期、保護人数の約7割に

朝日新聞デジタル 2016年12月17日

虐待を受けているとして警察が自らの判断で積極的に子どもを保護する例が増えている。今年上半期(1~6月)に保護したのは1063人。児童相談所長の委託を受けて行う「一時保護」と合わせた全保護人数の約7割を占める。深刻な被害が後を絶たない中、現場の警察官が子どもの安全確保を最優先に対応していることが背景にある。
一時保護は児童福祉法で児相所長らにしか認められていないため、警察は通報などを受けて虐待を確認しても、児相に連絡して所長の委託を受ける必要がある。夜間や休日では保護するまで5時間ほどかかることもあるという。
そこで、緊急性や重大性が高いと判断した場合などには、「応急の救護」が必要な人などの保護を警察官に義務づけた警察官職務執行法の規定を適用。自主的な判断で子どもを保護し、安全を確保した上で、保護が原則許される24時間以内に児相につないでいる。

<ひとり親世帯>2割「必要な食料買えず」 厚労省調査

毎日新聞 2016年12月17日

厚生労働省は、ひとり親世帯の約2割が過去1年に必要な食料を買えなかった経験があるとの調査結果をまとめた。必要な服を買えなかった世帯も4分の1あり、いずれも全世帯を対象とした同様の調査での比率(6~7%)を上回った。また、ひとり親世帯の子どもの4割が理想的な進路希望に「大学まで」を挙げたが、現実に大学を希望するのは3割にとどまっている。ひとり親世帯の厳しい経済状況が改めて浮かび上がった。
調査は2~3月、低所得層向けの児童扶養手当を受給しているひとり親8883人と、同居する最も年齢が高い子ども(10~18歳)の6271人を対象に実施し、それぞれ1346人(回答率15.2%)、839人(同13.4%)から回答を得た。
親の回答者は93.7%が女性、男性は5.4%だった。過去1年に家族が食料を買えなかった経験は「よくあった」7.7%、「時々あった」13.4%で計21.1%だった。衣類を買えなかった経験は「よく」11.8%、「時々」14.9%で計26.7%だった。
社会保障.人口問題研究所が2012年に行った同様の調査で、全世帯の結果は、食料については「よく」「時々」で計6%、衣類は計7%だった。
一方、子どもの回答者は、小学生21.9%▽中学生32.6%▽高校生42.2%--など。学校に通っている子どもに進学希望を聞いたところ、理想的な進路は「大学まで」が最多で40.5%。「高校まで」は20.5%、「専門学校まで」16.5%と続く。しかし、現実的な進路は「大学まで」が最多だったが31.1%に低下し、「高校まで」が29.9%に増えた。
日本大学の末冨芳教授(教育行政学)は「食料が買えないなど生活が脅かされている比率が高い。政府の子どもの貧困対策大綱は教育支援が重視されているが、教育支援が効果を発揮する前提として、生活が安定する対策も重要だ」と話している。【堀井恵里子】

教員の免許更新 迫る「18年問題」 対象者倍増、受講困難

@S[アットエス] by 静岡新聞 2016年12月18日

教員が10年ごとに講習を受ける免許更新制で、2018年から更新期間に入る対象者が全国で従来の倍近くになり、受講が困難になる「18年問題」が迫っている。静岡県教委は「現状では受け入れきれない」として、受講枠の拡大などの協力を県内各大学に求めているが、解決のめどは立っていない。
文部科学省は09年の教員免許更新制導入以来、旧免許を所持する全国の教員を生まれ年で10グループに分けて更新講習を実施してきた。最後の第10グループを対象にした18~20年の受講期間が終わると、旧免許所持者は全員、新免許に更新されることになる。
しかし、第10グループは生まれ年の範囲が広いため、対象者は全国で15万4千人に上り、第9グループの8万7千人に比べて倍近くになる。県内でも第1~9グループは各3千人前後だったが、第10グループは倍以上の6300人ほどに膨らむ見通し。幼稚園免許の取得が必要なこども園勤務の保育士の受講も集中する上、新免許所有者の最初の更新時期にも重なり、受講枠をさらに圧迫する。
静岡県内では静岡大や常葉大などで合わせて約3千人の受講枠しかないのが現状。大学などの通信制の講習に回る方法はあるが、こちらにも全国から受講希望者が殺到する可能性がある。
一方、大学側にとっても講習の教室や指導教員の確保などの問題をクリアする必要があり、講習枠の拡大は容易ではない。常葉大の教職支援センター担当者は「県教委からの要請はあるが、どのように対応するかはまだ決まっていない」と述べるにとどめた。
文科省教職員課は「10年間で旧免許所持者の更新を一巡させるには第10グループに多くの対象者を割り振らざるを得なかった」と説明し、「全国の自治体と同様に危機感は感じている。問題が生じないよう対応したい」として大学の通信制受講枠の拡大などを進める考えを示した。

柔軟な運用 求める声も
教員免許の更新対象教員が2018年に集中する「18年問題」が持ち上がる中、教育現場からは免許更新講習を評価する捉え方とともに、柔軟な運用を求める声が上がっている。
免許更新講習を受けた静岡市の教員は「講習は日ごろ聞けない話が多く、参考になった」と振り返り、「10年に一度の機会としては有意義」と語った。
一方、ある教育関係者は「全員が一律に講習を受けるのではなく、ゴールド免許所持者(優良運転者)の簡易更新のような運用もあればいい」と話し、講習の免除対象者の拡大や講習時間の短縮などの検討を求める。現行の免許更新講習は優秀教員表彰を受けた教員や、指導主事など指導的立場の教員は免除される規定がある。

<メモ>教員免許更新制
教員として必要な最新の知識技能を身に付けることを目的として、教育職員免許法改正によって2009年に導入された。教員免許状に10年の有効期間を設け、2年間の免許更新期間のうちに30時間以上、文部科学省の認定を受けた大学などで講習の受講・修了が必要。期限までに修了しなければ免許を失効する。