給付型奨学金、1学年2万人…月額2~4万円

読売新聞 2016年12月19日

政府は19日、低所得世帯の大学生らを対象にする返済不要の「給付型奨学金」の制度内容を決定した。
2018年度以降に進学する住民税非課税世帯の1学年約2万人に月額2万~4万円を給付し、児童養護施設の出身者には入学時に24万円を追加給付することが柱だ。17年度は経済的負担が大きい一部の学生に先行実施する。
給付対象は住民税の非課税世帯のうち、大学、短大、専門学校に通う学生と、高等専門学校(高専)の4、5年生。
給付額は、自宅から国公立に通う場合は月額2万円、自宅から私立に通う場合と、親元を離れ下宿先から国公立に通う場合は3万円、下宿先から私立に通う場合は4万円とする。国立大で授業料が免除される場合、自宅生には給付せず、下宿生は2万円とする。

特別養子縁組のバイブル誕生!「産まなくても育てられます ー不妊治療を超えて、特別養子縁組へ ー」

駒崎弘樹 認定NPOフローレンス代表理事 2016年12月19日

あらゆるメディア人の中で、最も特別養子縁組について熱量を持って追いかけてきた後藤絵里記者が、本を出されました。
「産まなくても育てられます ー不妊治療を超えて、特別養子縁組へ ー」http://amzn.to/2hKQrTH
これまで出されていた特別養子縁組に関する本は、体験談のストーリーか、あるいはアカデミックで制度に寄ったものか、それとも手順だけが書かれているものか、ということで、なかなか「不妊に悩む一般の人」が読んで一歩踏み出したいと思える本が、多くはありませんでした。
しかし本書は、特別養子縁組を行なった人たちの体験談、親子になるまでのプロセス、特別養子縁組の法制度やその流れと、非常にバランス良く描かれています。
ネット上でバラバラに存在する情報を見るのも良いですが、本書を一冊読めば、特別養子縁組に関わる実際的なことについては、ある程度頭に入れることができる。そんな密度の濃い内容になっています。
また、不妊治療をしている方々への、寄り添っていく眼差しが、通奏低音として本書の中に流れていることも、好感を持てる点です。
今の日本の不妊治療は、すごく頑張って自分の血の繋がった子を、お金がたくさんかかりつつ、しかし何とか授かろうと頑張り続ける形になっています。もちろんそれは意味あることですし、お金がかかるのも仕方がないことですが、全ての方々が、子どもを授かれるわけではありません。できれば、不妊治療の次のステップに、特別養子縁組がある、ということを、産婦人科医療側の方々は、最初から説明し、治療の流れの中に組み込んでいってもらえたら、と思います。
不妊治療に失敗し、経済的な負担を負い、心に傷を負った方々の話を聞くと、そうした必要性を強く感じます。不妊治療という医療と、児童福祉である特別養子縁組が、今は分断されています。
ある不妊治療を手がける産婦人科医の方は、なぜ養子という選択肢を提示しないのか、ということを聞いた時に「我々の業界だと、『負けた気がする』からではないだろうか」とおっしゃっていました。
医療者として、不妊を克服できないことへの苦しみと、代替手段への複雑な思い。それは分かるような気もします。しかし、どちらが勝ちで、どちらが負けということはなく、当事者の方々の問題解決と幸せ、という視点に立てば、両者は助け合い、補完できる関係を持てます。
そういった意味で、ぜひ本書は医療者の方々にも読んでいただけたら、と思います。また、医療者の方々には、「養子縁組事業者と繋がろうと思っても、どこと繋がって良いかわからない」という声もありました。
そうした場合は、私どもフローレンスも加盟している「日本こども縁組協会」(http://kodomo-engumi.jp/)等の業界団体にご連絡いただければ、連携についての話し合いはいつでもさせて頂きたいと思います。
この本が多くの不妊治療をする方々の手に届き、特別養子縁組が新しい家族を創る選択肢になっていくことを、心から願っています。血が繋がっていようといまいと、一緒にいた時間、一緒に泣いて笑った時間という宝物を共有する関係に、何ら変わりはないのですから。

<大阪市>「マンションに児童相談所」断念

毎日新聞 2016年12月19日

大阪市の吉村洋文市長は19日の定例記者会見で、北区の高層マンションに新たな児童相談所を開設する計画を断念することを表明した。区分所有者へのアンケートで設置反対が多数となり、改装に必要な同意を得られる見通しが立たなくなったため。市は別の候補地選びに着手するが、2018年度を予定していた3カ所目の児相設置は1~2年遅れる見通しだ。
吉村氏は記者会見で、「既存施設の活用を目指してきたが、未利用の市有地に新規建設することを前提に、今年度中に候補地を判断したい」と述べた。児相業務は当面は2カ所体制となる。
マンションの管理規約によると、改装にはマンションの住宅部会長の許可が必要。17日に結果が出たアンケートでは賛成17に対し、反対が235だった。吉村市長は「(選定の)判断が間違っていたとは思わないが、法的にできないものをこれ以上進めるわけにいかない」と話した。
大阪市の児童虐待相談件数は、05年度の747件が15年度には4664件に急増。迅速に案件に対応するため、複数の児相を設ける必要があるとして今年10月、南部の平野区に2カ所目の児相を開設した。
3カ所目は北部に開設する計画で、橋下徹前市長時代に使われていない市施設の活用を検討した結果、施設規模▽利便性▽耐用年数--などの観点から、このマンション1~3階の市有スペース(延べ約4000平方メートル)が最適と判断した。
市は今年2月から住民説明会を複数回実施。児相は夜間や早朝の緊急対応があり、併設される一時保護所では虐待を受けた子や非行少年らも過ごすことから、住民から「どのような子どもが来て、どのような動きをするか分からない」「マンション内に設置する根拠がはっきりしない」などと反発が相次いでいた。住民有志は11月、計画見直しを求める署名を市議会に提出、議会からも計画の再考を求める意見が出ていた。【念佛明奈】