出生数が初の100万人割れ 人口動態 今年推計98万人

産経新聞 2016年12月22日

厚生労働省が実施している平成28年の人口動態統計の年間推計で、出生数が過去最少の約98万人となったことが21日、分かった。年間の出生数が100万人を割るのは昭和22年の統計開始以来、初めて。政府をあげた少子化対策の重要性が改めて浮き彫りになった形だ。
毎年1月1日に公表される人口動態統計の年間推計は、日本在住の日本人について1~10月の速報値を基に1年分を推計している。
女性が生涯に産む子供の推定人数を示す合計特殊出生率は、過去最低だった平成17年の1・26を境に上昇傾向にあり、27年は1・45だった。
ただ、出産世代とされる15~49歳の女性の人口が年々減少しているため、28年は出生数の減少に歯止めをかけることができなかったとみられる。
死亡数から出生数を差し引いた人口の自然減は27年まで9年連続で増加しており、今後も人口減は続くことになりそうだ。
人口動態統計の確定数によると、出生数は26年に過去最少の100万3539人を記録して100万人割れ目前となったが、27年は100万5677人となり、5年ぶりに増加に転じていた。

少子化、超高齢化……“夫の家事参加”はますます欠かせない

女性自身 2016年12月22日

「世界的に見ても、日本の男性の家事・育児への関わり方は惨憺たるものです」
そう語るのは、少子化ジャーナリストの白河桃子さん。現在、安倍政権下では「女性が輝く社会」が声高に叫ばれている。厚生労働省による「イクメンプロジェクト」(’10年)や、「女性活躍推進法」の閣議決定(’15年)もあり、一見、女性が結婚・出産後も家に縛られることなく、仕事、ひいては人生を謳歌できる態勢が整ったかのようだ。しかし、現実はさにあらず。
「確かに、女性が働くことについてはなんの言い訳もいらなくなりました。少子高齢化による労働力不足がその理由です。でも、女性が働くためには、パートナーである男性の働き方や暮らし方も変える必要があるんですよね。残念ながら現状ではそこまで思いいたらない人が多い。まだまだ“人ごと”のように思っている男性が少なくないんです(苦笑)」
確かに働きやすくはなったものの、現役世代の女性たちは、「家のことはあなたが完璧にやってね」というプレッシャーから、ちっとも解放されていないのだ。労働力としてアテにされながら、家事を丸投げされ続けていたら、女性たちは「活躍」どころか、早晩ボロボロになってしまう。
そうならないためには、何はさておきパートナーの意識改革が必要だ。単刀直入に言えば、これからの時代に必要なのは、妻とともに家事をする夫=「カジ夫」なのだ。では、夫が「カジ夫」になると、具体的にどのようなメリットがあるのだろう?まず挙げられるのは、家庭の基盤となる夫婦のパートナーシップの向上。夫が家庭を顧みることは、「稼ぐ」以上に夫婦の絆を強めるという。その結果は、出産にも影響している。
「男性の育児参加が少ない国は、国際的に見ても少子化が顕著。日本同様、男性の家事時間が短いイタリアも、やはり少子化問題を抱えています」
「カジ夫」は何も共働きの現役世代に限ったことではない。「男は仕事、女は家庭」という「昭和型」の夫婦生活を長年送ってきた家庭であっても、夫の家事参加は欠かせない。超高齢社会を迎え、“老老介護”も珍しくなくなった現在では、夫婦がともに家事をこなせなければ、妻に何かあったときに乗り切れなくなるからだ。
「家事が何もできない夫だったら、きっとその人に“殺され”てしまうでしょうね。家事の習慣がない夫は、何をしていいかもわからないでしょうし、そもそもそういう人は周囲に『助けて』と言うこともできない。それで、悩んだ揚げ句に孤立して……」
団塊世代が後期高齢者に突入していくこれから、男性の家事参加は切実な問題だ。
「もちろん、制度改正も必要です。育休の取得率ひとつとっても、民間企業で2%程度と非常に低い。法的に労働時間の規制も必要でしょう。まずは“男性中心の働き方”を変えないと、男性も家事に参加できないので、そこは働き方改革実現会議でも発信しています」
ただ、家庭内でできる改革もきっとあるはず。
「男性も、女性が思う以上に『俺が稼がないと』という重荷を抱えています。お互いにそうした荷物を少しずつ下ろし合えば、もっと楽になれるのではないでしょうか」
この先も人生をよりよく生きるため、夫の「カジ夫」化にトライしてみてはいかがだろう。

漫画家が語る里親になって知った喜びと大変さ

R25 2016年12月22日

6年に渡る不妊治療の末に、「里親」になることを決めた『うちの子になりなよ』(イースト・プレス)の著者で漫画家の古泉智浩さん。
実際に里親になって知った喜びについて聞くと、目を細めて次のように話してくれた。
「赤ちゃんは歩いたり話したり、毎日どんどん新しいことができるようになったりして、見ているだけでワクワクします。子どもが欲しくて本当に切羽詰まっていただけなのに、かわいい赤ちゃんが来てくれてラッキーで、毎日が楽しくて楽しくて。『よその子を育てるなんて偉いね』とホメてもらえることもあるんですが、逆にお腹も傷めずにこんな幸せが手に入ってしまうなんて本当に申し訳ないくらいです」(古泉さん 以下同)
もちろん育児は楽しいばかりでなく、大変な面もある。でも、それはおそらく里子でも実子でもほとんど変わりないと思うと古泉さんはいう。
実際、古泉さんのエッセイを読んでいると、その微笑ましい育児ぶりや親子の関係性に、里子であることを忘れてしまう。しかし、ただひとつ、実子との違いを意識する問題もあるとか。それは「名前」だ。
「里子なので、名前を自分でつけることができませんし、苗字も違います。家の中や学校など、日常では“通り名”で過ごすこともできますが、保険証は本名なので、病院では本名で呼ばれます。ただし、病院でも呼び出しは通り名でお願いしても良いそうです」

里親には養育権はあるが、親権はない。いずれは養子縁組も
また、「里親」には養育権はあるが、親権は実親にある。実親が引き取ることを希望した場合には、児童相談所で養育権を渡すかどうかの審査があるそう。
「そのため、いつ実親さんが引き取りに来るかわからないという不安はあります。里親が集まる『里親会』では、引き取りに来られるケースはほとんどないから心配ないと言ってもらったのですが…。将来的には、養子縁組したいと思っています」
養子縁組は、同居から半年経過すれば、裁判所に申し立てできるそう。とはいえ、実親とこじれてしまうケースがないわけではない。また、6歳までに縁組できれば特別養子縁組制度により、戸籍上「養子」と記載せずに済むという。
ちなみに、古泉さんの奥さんは今も実子に対するこだわりを持っているそう。しかし、里子が非常に大切であるという思いは変わりなく、もし実子が生まれても、里子を養子縁組して「お兄さん」になってもらうのが楽しみだと語る。さらに現在、「2人目の里子」を預かることも検討中だとか。
「里子を預かりたいと本気で思うようになったのは、子どもたちと養護施設で二日間一緒に過ごす『里親の施設研修』を行ってから。施設では愛情たっぷりに大切に養育されています。それでもあんなにかわいい子どもたちが教室のようなところで寝起きしていることを考えたら、たまらなくなって、『よその子を育てられるのか』といった不安や自信のなさは吹き飛びました」
実際に子どもたちと触れ合ってみると、愛おしさもまた違ってくるものと言う。里親に関心がある人は、地域の養護施設の催しなどもときどきあるそうなので、足を運んでみると良いかも?
(田幸和歌子+ノオト)