付き合ってない男とSEX、妊娠、トイレで出産… でも育てると決心 〝30秒で泣ける漫画〟の作者が描く

withnews 2017年5月12日

付き合っていない男性とSEXして妊娠、トイレで出産……でも、この子を育てたい! ツイッターに投稿した漫画「男ってやつは」が〝30秒で泣ける〟と話題になった漫画家・吉谷光平さんが、赤ちゃんポストについて描きました。

【漫画】〝30秒で泣ける〟と話題になった「男ってやつは」

漫画の内容は
消えてなくなれ 一度はそう思った命だった
付き合ってない男と一度だけセックスをした
流れないかなと思って 思いバッグを落としたりした
トイレで産んだ男の子は かわいかった
赤ちゃんポストに預け、今は児童養護施設に預かってもらっている
月に1、2回会っている
小学生になったら一緒に暮らす予定だ

元のニュースはこちら
親が育てられない子どもを匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)が、熊本市の慈恵病院に開設されて10年が経ちました。
預けられたのは120人以上。子どもにとって最善の選択なのかという懸念も抱えつつ、望まない妊娠で孤立する母親たちが絶えないという現実を映しています。
10代での望まない妊娠。周りに打ち明けられずに一人で産んだ後、「ゆりかご」に託したという20代の女性。妊娠したのは、地元を離れ、中部地方の看護の専門学校に通っていた時でした。
交際していない男性と1回だけセックス。生理が来なかったため検査薬で調べると陽性でした。中絶も考えましたが、ずるずると日が過ぎ、中絶手術が受けられなくなりました。周囲にはひた隠しにし、相手の男性とはそれっきりで相談しませんでした。
「流れないかな」と、おなかに重い物を入れたバッグを落としたこともあったといいます。
夏のある日、急におなかが痛くなり、学校の寮のトイレで男の子を産みました。
悩んでいる時、テレビなどで話題となっていた「赤ちゃんポスト」をふと思い出しました。
病棟の外側に設けられた二重扉を開け、中の保育器に赤ちゃんを置き、帰ろうとした際、病院の女性が声をかけてきました。「ちょっといいですか?」。
自分の話を寄り添って聞いてくれる女性の胸で泣いたそうです。「どうしたいの?」と聞かれ、「卒業して、働くようになったら引き取りたい」と答えたそうです。
男の子は児童相談所に保護され、乳児院に。いまは、母親の地元の児童養護施設で生活しています。母親は働きながら、月に1、2回ほど会いに行っていて、小学校に上がるまでには引き取るつもりです。
一時は思い詰めて、2人で死ぬことも頭に浮かんだといいます。「(息子の存在が)なかったことにならなかったから、いま幸せ」。預けたのは間違いではなかった。母親はそう思っています。いずれ、息子にはすべてを隠さず伝えるつもりです。「うそはつきません。本当に大好きだから」

<赤ちゃんポスト>10年で125人救う 出自知る権利課題

毎日新聞 2017年5月10日

親が育てられない子どもを匿名で預かる「赤ちゃんポスト(こうのとりのゆりかご)」を熊本市の慈恵病院が開設し、10日で10年を迎えた。昨年3月までに125人が託され、病院側は「多くの命が救われた」と受け止めるが、子どもの出自を知る権利の確保や自宅出産の多さなどが依然課題だ。窮状にある妊産婦たちをいかに救うか、模索が続く。

理由は「生活困窮」「世間体」「未婚」……
熊本市の専門部会が2013年度末までに受け入れた101人について親が託した理由を調べたところ、「不明」を除く最多は「生活困窮」(21%)。「世間体、戸籍に入れたくない」「未婚」が、それぞれ17%で続く。慈恵病院元看護部長の田尻由貴子さんは「ゆりかごが必要でない社会が理想だが、必要としている人が多くいる事実が分かった10年だった。悩んでいる人も(病院への相談で)何千人と浮上した」と役割を評価する。
頼るあてのない母子の受け皿になってきた一方で、ゆりかごには子の出自を巡る問題がつきまとう。病院側も相談を呼びかける手紙を取らなければベッドの扉が開かないようにするなど、親と接触を図る態勢を取っているが、101人中19人は身元が不明という。
10年が経過し、思春期を迎える子も増えてくる。蓮田健副院長は「レイプや不倫で産まれたケースもあり、出自を知ることが不可欠とは断言できない」と話すが、開設当時に熊本県中央児童相談所の課長だった黒田信子さんは「親を知る手がかりがなく、子どもたちが精神的な衝撃に直面する」と懸念する。
また、匿名で預けられる仕組みが、医療機関にかからない危険な出産を誘発しているとの指摘もある。ゆりかごに託された子の36%は、自宅や車の中での出産だった。
ゆりかごのモデルとなったドイツでは、赤ちゃんポスト制度の廃止が勧告され、代わりに14年から「内密出産」制度が始まった。女性は相談所にだけ身元を明かし、医療機関で仮名で出産する。子どもは16歳になれば母親の情報を得られる。千葉経済大短期大学部の柏木恭典准教授(教育学)によると、これまで約300件の内密出産があったが、赤ちゃんポストの利用もなくなっていないという。
柏女霊峰(かしわめれいほう)・淑徳大教授(子ども家庭福祉学)は「ゆりかごでは多くの身元が判明しており、病院は現実的な対応をしている。母親が匿名で出産して子どもを置いていけるシェルターの整備も望まれ、社会全体で議論する必要がある」と指摘。元熊本県中央児相の黒田さんは「預けられた子の育ち方を調査するなど、子どもたちのためにゆりかごをどうするかを具体的に話し合うべきだ」と訴える。【城島勇人、井川加菜美】

相談支援体制 少しずつ
子どもを手放す前に妊婦や母親を支えたいと、慈恵病院では電話やメールによる妊娠相談にも応じている。件数は増加の一途で、16年度は6565件。そのサポート役が埼玉県川口市の養子縁組あっせん団体「命をつなぐゆりかご」だ。
熊本から離れた地域の妊婦から「産んでも育てられない」「養子に出したい」といった相談があると、スタッフが会いに行って出産できる病院を探したり、自分で育てるか母親が結論を出すまで赤ちゃんを預かったりする。慈恵病院への相談をきっかけに特別養子縁組で新しい家庭を得た子は、10年で294人に上る。
代表の大羽賀秀夫さんとともに活動してきた妻ふみ子さん(66)は「ゆりかごは、誰でも安心して出産できる仕組みができるまでの通過点。それまで、目の前で困っている人たちをできる限り救いたい」と話す。
こうした「一歩手前」の支援は、少しずつ進んでいる。主な担い手の民間養子縁組あっせん事業者は10年で倍増し、23団体・個人に増えた。相談から出産、子育て支援まで一貫して関与する態勢を組んだり、行き場のない妊婦が入居できる「母子寮」を用意したりする事業者もある。
公的な支援では、昨年度までに望まない妊娠などに対応する女性相談窓口が全都道府県の保健所などに開設された。20年度までには妊娠中から出産、子育ての悩みにワンストップで対応する「子育て世代包括支援センター」が全市町村に置かれることになっている。
それでも自宅出産や新生児遺棄はなくならない。熊本市の専門部会長の山縣文治・関西大教授は「まずはゆりかごの仕組みが子ども福祉の観点から適切か、国が評価すべきだ。仮に認めるなら、全国にゆりかごを整備し、認めないなら『内密出産』など別の対策を考える必要がある。相談だけでなく『周囲に知られたくない』という妊婦を支援する仕組みがなければ、母子の命は救えない」と指摘する。【黒田阿紗子】

2例目目指す神戸 面談型対応も
関西では神戸市の助産院で、国内2カ所目の「赤ちゃんポスト」の開設を目指している。医師不在などの問題で「ポスト型」は先送りし、24時間態勢の「面談型」による対応を今秋にも始める。
NPO法人「こうのとりのゆりかごin関西」(大阪府箕面市)が今年2月、神戸市の「マナ助産院」にポストを開設する計画を発表。しかし、医師がいない助産院では預けられた子どもへの医療行為ができず、神戸市に課題を指摘された。面談を受け、児童相談所や警察、病院、特別養子縁組のあっせん団体などと連携し、適切な受け入れにつなげる仕組みでスタートすることにした。
同助産院の永原郁子院長は「命を託してくれた母親に『あなたも大切な存在』と声をかけたい」と話した。【井川加菜美】

<教育無償化>「改憲なくても実現」 9条とセットに違和感

毎日新聞 2017年5月12日

安倍晋三首相が憲法改正の項目に、大学や短大などの高等教育の無償化を9条とセットで挙げ、注目を集めている。しかし、以前から無償化を求めてきた人たちは「改憲を果たすため、国民の賛同を得やすいこの問題を持ち出したのでは」と冷ややかだ。「憲法を変えなくても無償化は実現できる。すぐに取り組んでほしい」と訴えている。【水戸健一】
4月に東京大に入学した女子学生(18)=長崎市出身=は貸与型の奨学金を受けている。月額は5万1000円。1万3000円の寮で暮らす。仕送りはない。引っ越したばかりで、まだアルバイトを探している最中だ。4月は古里を離れる時に親類などからもらった餞別(せんべつ)を使って切り抜けた。
4年間で卒業したとしても、貸与額は240万円を超える。「大学院で研究したい気持ちもある。けれど、さらに2年間で貸与額が120万円も増える」。借金を抱えて社会人としてスタートを切らなければならないと考えると「就職活動も安定志向になる」とこぼす。首相は「2020年に新憲法を施行したい」と3年後を見据えるが、女子学生は「今の学生に目を向けてほしい、国立国会図書館の2015年の調査によると、経済協力開発機構(OECD)に加盟する34カ国のうち、大学の授業料が無償なのはドイツやスウェーデンなど欧州の13カ国。米英などは有償だが補助が手厚く、日本は授業料が高い上に補助が少ないという」と話した。
国は住民税非課税世帯の子どもや児童養護施設出身者を対象にした返済不要の給付型奨学金(月額2万~4万円)を創設した。来年度から本格的に実施されるが、対象は1学年あたり2万人と限定的だ。首都圏の大学生有志でつくる「Rights to Study(ライツ・トゥ・スタディー)」も、対象の大幅な拡充を求めている。
「高校も完全に無償化されていない。大学の無償化と言われても違和感がある」。20年にわたって貧困に悩む生徒の相談に乗る元高校教諭の鈴木敏則さん(66)は強調する。
この春、関東の定時制高を卒業した男性は両親が離婚し、同居を続けた父親も病死。アルバイト代と生活保護費で生計を立て弟を全日制高に通わせた。生活はぎりぎりで、いつ破綻してもおかしくなかったという。
民主党政権時代に公立高の授業料は無償化され、奨学金も徐々に充実した。しかし、奨学金の制度は自治体ごとに異なるため、学用品代、修学旅行費などが払えずに高校を中退したり、大学、専門学校へ進学する夢を諦めたりする生徒が今もいる。鈴木さんは「憲法で無償化を定めるというのはもっともらしいが、改憲を待たず、困っている人に手を差し伸べてほしい」と期待した。

問題のすり替えに危機感
教育の無償化の方法を研究している神戸大学発達科学部の渡部昭男教授(教育行政学)は「日本は、段階的に教育の無償化を目指す国際人権規約を承認している。憲法を変えなくても、規約の理念を踏まえ、法律や条例を作ればすぐに対応できる」と指摘する。
日本は1979年に同規約を批准した際、中等・高等教育の無償化を規定した部分は留保した。民主党政権だった2012年に留保を撤回し、この規定に拘束されている。
渡部教授は、教育基本法が経済的理由による教育上の差別を禁じ、行政が奨学の措置をとる義務を定めていることにも触れ「こうした事実を伝えず、教育の無償化を憲法改正問題にすり替える動きに危機感を抱いている」と話す。
渡部教授は、財政的負担を伴う無償化の実現には社会全体での議論が不可欠だと指摘し、「高等教育は一気に全員無償にするより、まずは経済的に困っている人を優先するのが妥当だ。当事者である若者自身が議論に参加することが大事」と強調した。【金秀蓮】
国際人権規約 第13条2
(b)種々の形態の中等教育(技術的及び職業的中等教育を含む)は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとすること。
(c)高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。

発達障害を早期発見 広がる5歳児健診 本年度8市町村

上毛新聞 2017年5月12日

「5歳児健診」の導入が群馬県内の市町村に広がっている。本年度は前橋など8市町村が全ての子どもを対象に実施。一部に絞って試行的に実施する自治体もある。発達障害児支援の観点から、県医師会は、マニュアルを示して普及に取り組んでいる。

医師会がマニュアル
前橋以外に全ての5歳児を対象としている市町村は藤岡、榛東、吉岡、上野、下仁田、嬬恋、草津。将来の全員実施を見据え、伊勢崎は約100人、中之条は約50人を対象に本年度初めて実施する。渋川は来年度の開始を目指し、保育士らに健診で使う質問票の回答方法などを指導する。
2年前から全員実施している前橋市。事前の質問票に基づき医師の指導を受けた保健師らが幼稚園などを訪問し、子どもの行動を観察、希望する保護者と個別面談を行う。市は「健診が保護者の気付きと発達障害への意識変化につながった」と受け止める。
未実施市町村からは「専門職の確保と健診後のフォローが難しい」「保護者の抵抗がある」といった理由が挙がる。ただ、東毛の未実施自治体に暮らし、就学後に発達障害と診断された男児の母親(33)は「学校になじめなかった。健診態勢が整っていれば子どもの負担を軽減できたかもしれない」と考える。
健診とは異なる方法を模索する動きも。板倉町は今秋から医師の手を借りずに「5歳児相談」を始める。幼児施設の協力を得て、アンケート用紙を保護者に配布。回答を基に町職員が困り事に応じる。町保健センターは「支援の第一歩」と位置付ける。
一方、栃木県は2006年度に全県を対象とした5歳児健診のモデル事業を行ったのが契機となり、現在は全自治体が全ての5歳児を対象とする。同県こども政策課は「5歳で調べることの有効性と理解が広がった」と説明。群馬県児童福祉課は市町村による5歳児健診の取り組みを評価しながら、「全員が受診する法定検診の中で早期に発見することを勧めている」という立場をとる。
県医師会は12年に5歳児健診のマニュアルを作った。前橋市の竹沢伸子医師は「発達の障害は3歳までの健診だけでは気付きにくい面がある」と必要性を訴えている。

【5歳児健診】
1歳半と3歳の法定健診とは別に、市町村が質問票の作成などで医師の指導を受けながら、独自の判断で行う健診。2005年施行の「発達障害者支援法」の基本理念がベースとなっている。県医師会は就学までの準備期間や軽度の発達障害が分かる時期などを考慮し、普及を目指している。