児童養護負担金を誤徴収 計100万円超か、相双保健福祉事務所

福島民友新聞 2017年5月19日

県相双保健福祉事務所は18日、児童養護施設や里親に児童を入所・委託させた場合、保護者が支払う負担金を過大徴収していたと発表した。判明している過大徴収額は2016(平成28)年に認定した4世帯(対象児童5人)分の23万3880円で、1世帯当たり最大9万円。12年の認定分から事務手続きを誤っていた可能性があり、総額は100万円を超えるとみられる。県は職員の事務手続きの誤りが原因としている。
負担金は毎年7月、前年の保護者の所得から18歳以下の児童を対象とした扶養控除などを行って基準額が算出される。同扶養控除は10年度の国の税制改正で廃止されたが、負担金が増額する影響を緩和するため、これまで同様、同扶養控除を考慮する必要があったが、実施していなかった。
県は11、12の両年度、当時、事務を担当していた職員に緩和措置を講じるようメールで通知したが、職員は見過ごし、その後の確認も怠っていた。今年4月、同保健福祉事務所の管理職が他の保健福祉事務所に異動した際、相双事務所と手続きが違うことから、誤りに気付いたという。
県は今後、12年の認定分までさかのぼって調査し対象世帯に還付するとしている。

「死んじゃえ」に対して「本当に死んでいいの?」…乱暴な言葉を直す方法

読売新聞(ヨミドクター) 2017年5月19日

子どもは時に「バカ」「死んじゃえ」など、乱暴な言葉や汚い言葉を使うことがある。頭ごなしに叱ったり注意したりするよりも、子どもに「なぜその言葉を使ったのか」を尋ね、話に耳を傾けることが大切だ。
「『バカ』と言われたらどんな気持ちになるかな」
東京都江戸川区の船堀中央保育園の年長児クラス。4月下旬、帰宅前に開く会で、担任保育士の伊藤拓磨さんが約20人に語りかけた。子どもたちは「嫌な気持ちになるよ」「悲しくなる」などと口々に答えた。
同園では、言われてうれしい言葉を「ぽかぽか言葉」、悲しくなる言葉を「ちくちく言葉」と呼ぶ。話す能力が発達するこの年代の子どもたちに、言葉の持つ力を理解してもらうためだ。
同園によると、子どもは他の保育所から移ってきた時、仲の良い友達が引っ越してしまった時など、環境が変わって不安を感じると、乱暴な言葉や汚い言葉を使うことが多い。そんな子どもに対しては「ごはんをきれいに食べられたね」「○○が上手」など、積極的に声をかけるという。園長の菊地真琴さんは「肯定的な言葉をかけることで子どもも前向きになれ、自信を持てます」と話す。
子育て支援に取り組むNPO法人ハートフルコミュニケーション(横浜市)が開く講座には、子どもの言葉遣いに悩む親が時々参加する。代表理事の菅原裕子さんは「3、4歳くらいの場合、意味も分からずに面白がって使う場合が多い。大人が驚いて『だめよ!』などと言うと、喜んで繰り返すことがある」とする。聞き流すなど大人が無反応だとつまらないと感じ、使わなくなるという。「実は親のまねをしているケースがある。大人も言葉遣いを意識して」と助言する。
文部科学省の調査によると、学校内外で暴力行為に及ぶ子どもは年々増えている。特に小学校低学年で目立ち、2015年度は1年生で1085人と、5年前の約3・8倍だった。白梅学園大学教授(臨床教育学)の増田修治さんは「低学年の子どもは言葉で自分の気持ちを伝えるトレーニングが不足しているため、思いあまってたたく・蹴るなどの暴力を選んでしまうことがある」と分析する。
「バカ」などの言葉を使うのも、 語彙(ごい) が少なく感情をうまく表現できないからという。「人を傷つけるような言葉を使った時は、どんなトラブルが起き、なぜそんな言い方をしたのか、子どもの話を聞き、気持ちを受け止めることが大事」と増田さんは話す。
例えば子どもが「死んじゃえ」と言った場合、「本当に死んでいいの?」と聞く。子どもが「おもちゃを取られたから。取られたくなかった」と言えば、「その気持ちを伝えるため、ほかの言い方を一緒に考えよう」などと応じる。
増田さんは「語彙を増やし、自分の思いを相手に伝えられるようになれば、乱暴な言葉や汚い言葉は徐々に使わなくなります」と話している。

大学生の就職率97・6%、2年連続で最高更新

読売新聞 2017年5月19日

厚生労働省、文部科学省は19日、今年3月に卒業した大学生の就職率(4月1日現在)が前年同期比0・3ポイント増の97・6%となり、2年連続で過去最高を更新したと発表した。
就職率の上昇は6年連続。また、高校生の就職率(3月末現在)は同0・3ポイント増の98%で、7年連続の増加となった。両省は「景気回復に伴う求人の増加で、学生が希望の職種を見つけやすくなり、就職率が上がった」と分析している。
大学生の就職率を男女別にみると、男子96・9%(前年同期比0・2ポイント増)、女子98・4%(同0・4ポイント増)。文理別では文系97・3%(同0・2ポイント増)、理系98・7%(同0・5ポイント増)だった。地域別では、関東地区が98・8%(同0・9ポイント増)で最も高く、次いで九州地区97・6%(同1・3ポイント増)、中部地区97・4%(同0・9ポイント減)と続く。

給付型奨学金 来年度から予約採用 光田洋子(マネージャーナリスト)

東京新聞 光田洋子(マネージャーナリスト)2017年5月18日

これまで貸与型だけだった日本学生支援機構の奨学金に、返還不要の給付型が加わりました。先行実施として、今年四月に進学した人は、入学した大学等の奨学金窓口を通して申し込みます。
来年四月以降の進学者については、高校三年の時に在籍する学校を通して申し込む予約採用となります。今月は奨学金の説明会や予約採用の受け付けを始める高校が多いので、受験生がいる家庭は学校でしっかり確認しましょう。
給付型奨学金は意欲と能力があるのに経済的理由などで進学が困難な生徒に対し、進学を後押しするために設けられた制度です。国の財源で賄われるため、家計基準などに加え、各高校がふさわしい生徒かどうかを選考して推薦し、採用候補者が決まります。
支援機構が示したガイドラインによると、推薦の対象となるのは(1)家計支持者の住民税の所得割が非課税である(2)生活保護を受給している(3)児童養護施設等の入所者などで社会的養護を必要としている-という三つのいずれかに該当する生徒になります。
人物については学習活動その他の生活全般を通じた態度や行動、進学の目的や人生設計の明確さ、健康や学力・資質などを基本にして、高校が選考基準を整えます。
来年度進学者の給付月額は国公立大の場合、自宅通学で二万円、自宅外通学は三万円、私立大学は自宅通学が三万円、自宅外通学は四万円。通信教育課程に進む生徒にも一定の給付があり、社会的養護を必要とする人は入学時に二十四万円の一時金も給付されます。
学費に対して十分な金額とはいえませんが、同機構の貸与型奨学金や、他の奨学金との併用もできます。秋以降はファイナンシャルプランナーが高校で奨学金について講義し、進学資金の個別相談に応じる制度も始まる予定です。

<自殺死亡率>日本はワースト6位 先進国の最悪レベル

毎日新聞 2017年5月19日

厚労省が分析結果をまとめる
厚生労働省は世界各国の自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)を比較し、日本はワースト6位だとする分析結果をまとめた。先進国の最悪レベルで、特に女性は同3位と高い。今月下旬に閣議決定される「自殺対策白書」で公表される。
自殺死亡率は統計の信頼性や更新頻度が国によって異なるため単純な比較が難しく、世界保健機関(WHO)が2014年に初めてまとめた「世界自殺リポート」でも順位付けはしていない。厚労省はWHOのデータベースを使い、13年以降の人口と自殺者数が把握できている中から上位国を抽出した。
日本の14年の自殺死亡率は19.5で、アジアでは世界ワースト2位の韓国の次に高い。男性(27.7)は同12位、女性(11.7)は韓国、スリナムに続き同3位。主要8カ国(11~14年)との比較では、ロシアの21.8に次いで高かった。
警察庁の自殺統計によると、16年の自殺者数は2万1897人(男性1万5121人、女性6776人)で、03年の3万4427人をピークに減少傾向が続いている。しかし、自殺が最も多い中高年の男性に比べて若年層は減り幅が小さく、白書は「20~30代の自殺死亡率を低下させることが課題」と分析している。【山田泰蔵】

就職活動を妨害するブラックバイト 実情と対処法

今野晴貴 NPO法人POSSE代表 2017年5月18日

5月に入り、就職活動シーズンが佳境を迎えている。正式な選考解禁日である6月が近づくにつれて、多くの企業が説明会や面接などに学生は奔走している。また、早いところでは来年度の就活生に向けた説明会やインターンが始まっているところもある。
こんな時期に寄せられる労働相談が、学生からのブラックバイトの相談だ。アルバイト先から、就職活動よりもアルバイトを優先するように強いられ、就職活動に支障をきたしてしまうというケースである。
今回の記事では、そうした「就職活動中のブラックバイト」への対処法を紹介する。現在就活中の学生、来年以降就活をする学生はもちろん、就活を控える子どもを持つ保護者の方にも是非参考にしてほしい。

就活中のブラックバイト被害実態
一般的に、ブラックバイトの特徴は「学生であるのに、アルバイトのせいで学生らしい生活を送ることができない」という点にある。人手不足の中で、サービスや小売業で学生を社員並みに活用する企業が後を絶たないのだ。
厚生労働省・文部科学省も、2015年12月に「学生の本分である学業とアルバイトの適切な両立のためのシフト設定などの課題へ配慮すること」をアルバイトの多い業界に要請する異例の事態となっている。
その結果、アルバイトが学校のテストや授業、サークル活動に支障をきたしてしまうことが問題となっているのだが、「就職活動への支障」も頻発している。ここでいくつかの相談事例を紹介したい。
まず、本格的な就活シーズンを間近に控えた、都内の大学生Aさんの事例だ。

大学のある東京ではなく、地元の静岡県で就職活動をすることに決めたAさん。そこで就活の時期は、基本的に地元に帰って就活に専念することにした。それまで続けていた飲食店のアルバイトは、これを機に辞めることにし、そのことを店長に告げた。
しかし、店長は「他にもバイトが2人辞めたいと言っている。むしろシフトを増やして欲しいくらいだ」と言って辞めることを認めてくれなかった。
さらに店長は強い口調で「就職活動を地元で行うにしても、静岡なら日帰りで東京から通えるだろう」とも言った。東京と静岡を何度も移動するほどの資金はないことを伝えても、「君、携帯電話は持っているよね? その携帯電話代や学費は君の両親が払っているんでしょう? だったら東京‐静岡間の交通費くらい両親が払ってくれるでしょう?」などと問い詰められてしまった。
Aさんはそうした生活費を奨学金で賄っており、当然その交通費を親に負担してもらうことは不可能であった。しかし店長の迫力に押され、結局当面アルバイトを辞めずに続けることに同意してしまった。
Aさんのように、地元に帰って就職活動をするケース以外でも、地方から就活のために上京する学生は多く、地域内で就職活動をする場合にもアルバイトと両立することが難しいことは珍しくはない。したがって、法的にも「就職活動を理由としての退職」はきわめてまっとうであり、使用者側が拒否する権利はないと考えられる。しかし、それでも「辞められない」という事例は後を絶たないのだ。それどころか、学生の事情など構わずに多くのシフトを要求する雇用主もいる。

次に紹介するのは大手薬局チェーンで働くBさんの事例である。
もともと部活や学校の課題が忙しく、Bさんはアルバイトを週3日に限っていた。しかし就活のシーズンが近づくと同時に、店舗の人手不足が酷くなり、店長から曜日固定の週4日シフトに入るように言われた。
就活や卒業研究で忙しく、週4日入ることはできないと言ったものの、店長は「週4日で契約しているから」と一切聞いてくれなかった。
実は採用面接の際Bさんは「週3日にして欲しい」という相談を当時の店長にしており、口頭でシフトを週3にしてもらっていた。しかし、その時労働契約書の方は「週4日」のままにされていた。
そしてその契約書を盾に、店長は就活シーズンでありながら、シフトを減らすどころか、週4日のシフトを強制してきたのだった。
また、シフトを休もうにも、その際は代わりのアルバイトを見つけるよう言われていた。しかも当時はアルバイトの数が自分を含め5人しかおらず、調整することはほぼ不可能であったため、Bさんは就活とアルバイトの両立に不安を抱えていた。

今回紹介したように、「辞めることができない」「シフトを強要される」というのはブラックバイトの典型例である。
一方で、就職活動では交通費などの費用がかかるため、どうしてもアルバイトを続けながら就活を行わなければならないケースもある。そうした場合にも、やはり「シフトの調整」ができなければ就職活動はできなくなってしまうだろう。

就活に支障をきたすブラックバイトへの対処法
ではこのようなブラックバイトに対してどのように対処すればいいのか。
基本的に、しっかりと相手側に事情を伝えたうえで、アルバイトより就活を優先させればいい。どうしても相手が出勤しろと命じてきた場合にも、事情を伝えて休めば問題ない。
事例紹介の中でも触れたように、学生によって就職活動というのは重要なイベントである。何か大きな病気になった時に、会社に連絡を入れて休むのが「合理的」であるのと同じように、就活を理由にアルバイトを休むことは、合理的であると考えられる。
また、そもそもシフトの日数が最初の契約時に(Bさんのように口約束であっても)決められていれば、それ以上出勤する必要性はないし、さらに「入れない」と言っているのに勝手にシフトに入れられた場合、出勤する必要もない。
辞めたい時も同様である。そもそも労基法上「強制労働」は禁止されている。つまり会社は「労働者を辞めさせない」ということは禁止されているため、どんな理由であっても退職を妨害することはできない。さらに、就活のように「やむを得ない事情」があれば、基本的に会社をすぐにやめることができる。
その際、「代わりを探さないと」だとか「引き継ぎが終わるまで」といった条件を会社が押し付けてこようとしても、無効である。

有給休暇を使おう
もう一つ、就職活動の「武器」になる法律を紹介しておこう。労働基準法に定められた「有給休暇」である。有給休暇とは、労働者が日時を指定して休日を取得し、その分が給与が保障される制度だ。実は、アルバイトであっても有給休暇の権利が発生する。
アルバイトであっても、半年以上働いていれば、たいていの人は数日分取ることはできる。また休暇をとる理由も制限はない。週の勤務日数に応じて、有給休暇を取得する権利は下記のようにたまる。
?週5日 半年間の勤続で10日。一年半の時点で11日を加算して21日分。
?週4日 半年間の勤続で7日。一年半の時点で15日分。
?週3日 半年間の勤続で5日。一年半の時点で11日分。
?週2日 半年間の勤続で3日。一年半の時点で7日分。
?週1日 半年間の勤続で1日。一年半の時点で3日分。
有給休暇を使うとシフトのある日に、給料をもらいながら就活に専念することができ一石二鳥である。
ただ、会社には理由があれば有給休暇を取るタイミングを変更する権利がある。これを主張された際には、専門家を交えた交渉が望ましいため、詳しくは末尾の相談機関に問い合わせて欲しい。