近所の家から子どもの激しい泣き声が。これって虐待…? 通報していいの?

SUUMOジャーナル 2017年5月22日

「夜中に激しい子どもの泣き声が聞こえる」「隣家の子どもの泣き声が気になって眠れない……」。子どもは泣くのが仕事とはいえ、児童虐待のニュースなども気になる昨今、「もしかしてご近所で虐待かも……?」とモヤモヤした経験がある人、いるのではないだろうか。では、どこに、どのように通報したらよいのか。通報のボーダーラインなども聞いてみた。

虐待かなと思ったら「189」へ電話。地元の児童相談所につながる
今回の「ご近所の子どもの泣き声、これって児童虐待かな……?」というデリケートな質問に答えてくれるのは、子どもの虐待防止を訴える、認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワークで理事を務める高祖常子(こうそ ときこ)さん。そもそも、子どもの泣き声で虐待が疑われる場合、どこに通報したらいいのだろうか。
「虐待が疑われる場合の相談先として、全国共通の電話番号189(イチハヤク)が開設されています。電話は最寄りの児童相談所につながり、基本的に匿名で話すことができますので、安心してください。ただ、情報について追加で聞きたい場合などは、電話をした人の氏名や連絡先を聞くこともあるようです。
通報時には、分かる範囲でよいので子どもの年齢や性別、どんな状態でそれはいつから起きているかを伝えてください。また、泣き声の発生源がどこの部屋と分からない場合は、上階からとか、隣の部屋から、というだけでも役立つことも多いんですよ」と話す。
ただ、子どもの泣き声が聞こえるといっても、通報する程度なのか、それともよくある泣き声なのか、家庭に他人が立ち入っていいのなどと、判断も迷うところ。「目安」になるものはあるのだろうか。
「尋常ではない激しい泣き方、突然の悲鳴のような泣き声、一晩中泣き続けている、罵声や怒声、ものを壊す音、叩きつける音などといっしょに泣き声が聞こえるといった場合は、虐待の可能性が高いので連絡したほうがいいと思います。児童虐待防止法では確証がなくても通報することを義務づけています。虐待は、はじめは叩くなど小さなことからエスカレートしていくもの。早い段階で子どものSOSをキャッチできると、酷い虐待になることを防ぐことができます」(高祖さん、以下同)

児童相談所は「サポートする場所」。悩まずに連絡して!
とはいえ、「通報」となると事件となってしまい、大げさな事態にかかわるのは「面倒だな……」と思ってしまう人も多いはず。
「誤解されているのですが、『通報』といっても児童相談所は、罪を見つけて人を罰する権限はもっていません。『子育てで困っていませんか? 相談してみませんか?』と親子・家庭をサポートするところです。通報があれば、孤立無援で子育てに悩んでいる人、子どもをどう育てたらよいのか分からず追い詰められている人に対し、『こうするといいですよ』『こんなサポートを利用してみませんか』と助言することができ、『助けられた……』というママ・パパも多いんです。通報によって行政の関係機関の支援のスイッチが入ると考えていただくといいと思います。通報があればかかわることができる。虐待されていてもSOSの声を上げられない子どもにとって、通報は貴重な命綱なんです」
ちなみに、通報後の対応だが、事態の切迫度合いによって、すぐに子どもを保護するケースもあるが、多くは48時間以内に一度、児童相談所や市町村の担当窓口が該当家庭に働きかけ、その後、幼稚園や保育園、学校、地域の保健所などの各行政機関と連携し、情報共有が進められ、解決にあたることがほとんどだそう。
「泣き声が聞こえた、いつも同じ服を着ている、ご飯を食べさせてもらっていないなど、1つ1つの情報は小さくても、複数の通報が積み重なることで子どもや家庭がどんな状況に置かれているのかを知ることができます。気になる子どもがいたり、家庭が近くにあれば、ぜひ情報を寄せてください」
近年では、冒頭で紹介した3ケタの電話番号(189)が知られるようになったほか、児童虐待のニュースが注目を集めるようになり、通報そのものが増えているという。そのなかでも近隣からの通報は、警察についで2番目の多さ。多くの人が「子どもの命を守りたい」と気にかけているのが、こうした通報の増加につながっているようだ。
ただ、通報されてしまった側から見ると「一生懸命子育てしていたのに、周りからそんな風に見られていたなんて……」というショックは残らないだろうか。
「仮に通報されて児童相談所から連絡があったからといって、ショックをうける必要はまったくありません。周囲から見守られているんだ、気にかけてくれる人がいるんだ、と前向きにとらえてください。そもそも、子育ては昔から助けあって行ってきたもの。昨今、急激な孤立化・個室化が進んだほか、男性の長時間労働も一向に改善されないため、『子育ては親、特にママの責任』と思いつめてしまいがち。子育てで周囲の助けを借りるというのは当たり前のことなんです」とアドバイスしてくれた。

小さな部屋に大人数で生活、雨戸を締め切った家には注意を
最後に、家や部屋の周辺など、「子どもの虐待が起こりがちな住環境」についても聞いてみた。
「子どもの虐待には、家庭の経済苦、夫婦の不仲などが背景にあることが多いんです。例えば、単身用などの手狭な間取りに、不釣り合いなほど大人数で生活をしているのは、気をつけたいですね。あとは、子どもの泣き声・悲鳴が周囲に漏れないよう『雨戸が閉めっぱなし』『ずっと閉めっぱなしで不自然に防音している部屋』がある場合も、ひとつのサインです」と話す。
一方で、“普通”に見える住まいであっても、虐待が起きることもあるのだそう。
「虐待には身体的な虐待のほか、心理的虐待、性的虐待、ネグレクト(養育放棄)といったものがあります。たとえ何も問題がなさそうな家であっても、精神的なストレスなどからネグレクトや心理的虐待など、見えにくい虐待が起きているケースは意外とあるんですよ。本来、家庭は温かく、またくつろげる場所であるはずですが、子どもたちはこうした家で安らぐことはできず、常に緊張を強いられています。周囲の大人は、お子さんが出しているサインに気づいてあげてほしいですね」という。
日々のニュースでもよく流れ、ひとごととは思えない児童虐待。「何かできないかな」「ちょっと気になるな」と感じたら、思い切って電話してみてもいいかもしれない。

体罰で脳に悪影響…「愛の鞭」やめるには?

日本テレビ系(NNN) 2017年5月25日

先週、厚労省の研究班が発表した「愛の鞭(むち)ゼロ作戦」。子どもへの愛の鞭だとして体罰などをする親に対して、愛の鞭という考え方自体をやめさせようというものだ。虐待は子どもの脳の発達に深刻な影響をもたらすという。「愛の鞭」をやめるためのポイントとは―

「言葉の暴力」も虐待になる
そもそも体罰を“愛の鞭”と思っているのは親だけで、子どもには恐怖しか与えない。初めはしつけだと思っていると次第にエスカレートして虐待へとつながることになる。
まずは、増加し続ける“虐待”のデータについて見てみる。全国の児童相談所が対応した児童虐待の相談件数は、2006年度には、約3万7000件程だったが、2015年度には、10万3000件を超えていて、3倍近くにもなっていることがわかる。
そして、この相談内容を内容別に見てみると―「心理的虐待」がほぼ半数の47.2%と一番多く、殴る蹴るなどの「身体的虐待」は27.7%、次に「ネグレクト(育児放棄)」「性的虐待」と続く。
虐待と言っても、身体的なものより、心理的なものの方が圧倒的に多いのもポイントだろう。この心理的虐待というものを具体的に言うと、子どもに向かって暴言を吐いたり、他の兄弟と比べて、差別的に扱ったりすることだけでなく、子どもの目の前で、暴力をふるうことなども心理的虐待になる。つまり、子どもに直接、手を上げなくても虐待になる。

体罰で「前頭前野」付近が19%縮小
さらに、最近の研究で虐待につながる体罰は脳の発達にまで深刻な影響を与えてしまうことがわかってきた。福井大学の友田教授とアメリカ・ハーバード大学との共同研究で、アメリカに住む18歳~25歳の1500人を対象に行われた調査で明らかになったことがある。
子どもの頃、長期的に頬に平手打ちをされるなど、激しい体罰を受けた人の脳の断面の画像を見ると――激しい体罰を受けた人の脳は体罰を受けていない人の脳に比べて、「前頭前野」付近の容積が平均で19.1%縮小していたという。
この「前頭前野」は、感情や理性をコントロールしているが、ここが萎縮してしまうと、うつ病など感情面での問題や非行など行動面での問題が出てくると考えられるという。

心理的虐待は、対人関係に支障も
また、脳に影響を与えるのは、心理的虐待でも明らかになっている。子どもの頃に長期間、両親の間での「DV(家庭内暴力)」を目の当たりにしてきた人の脳の画像を見てみると、健康な人の脳と比べて「視覚野」周辺の容積が、平均で6.1%縮小していたという。
この「視覚野」は、目で見たものを受け止めて、認識する部分だが、ここが萎縮すると、視覚から得られる情報に影響が出る可能性がある。例えば、話している相手が、喜んでいるのか、怒っているのか表情を読み取れずに対人関係に支障をきたすことも考えられる。

イライラが爆発しそうな時は―
ただ、悪い事だとわかっていても子育て中の方からは子どもが言うことを聞かなくて、つい怒鳴ってしまうこともあるかもしれない。イライラが爆発してしまいそうになる時には、踏みとどまる必要がある。
厚生労働省研究班の立花医師は、少しの間だけ、子どもから離れて別の部屋に行ってみたり、深呼吸をしてみたりすることも効果的で、踏みとどまる自分なりの方法を見つけておくことが大切だと話す。

子どもを抱きしめてみるのも効果的
諏訪中央病院・鎌田實名誉院長は、子育て中の人に、子どもを抱きしめることをすすめているという。愛情を持って抱きしめると、親と子どもの脳から“愛情ホルモン”とも呼ばれるオキシトシンが分泌される、といわれている。
オキシトシンには、ストレス軽減効果があって、お互いの気持ちを安定させる効果が期待できる。子どもへ愛情を注ぐような気持ちで抱きしめてみるといいそうだ。

1人で抱え込まずにSOSを
今回の結論は「親もSOSを」。子どもを育てる、というのは大変なことだ。困った時はSOSを出したい。家族や友達、自治体の子育て相談窓口に話を聞いてもらうのもいい。
子育てがうまくいかなくて、つい子どもにあたってしまう、といった悩みを24時間、専門家に相談することができる番号がある。番号は全国共通で「189(いちはやく)」番。近くの児童相談所につながる。育児の負担を1人で抱え込まずにSOSを出すことが大切だ。

110番だけじゃない!困ったときに役立つ「電話の3桁番号」

BuzzFeed Japan 2017年5月25日

5月22日に放送されたマツコ・デラックスさんの「月曜から夜ふかし」(日本テレビ系)で、あることが知りたいときに電話すると役に立つ3桁番号「117」が“ひと昔前の常識”として紹介され、話題を集めました。「117」の他にもたくさんある3桁番号、あなたはいくつわかりますか?【BuzzFeed Japan / 伊吹早織】

1.「110」=事件・事故の通報
まずは初級編から。事件や事故の緊急時に、警察へ通報するための番号です。警察庁によると、2015年に受理された110番通報は約923万件で、3.4秒に1回通報があった計算になるそうです。

2.「119」=火事の通報、救急車の要請
こちらも初級。火事やけが人が出た際に、救急車や消防車の出動を求めるための番号です。消防庁によると、2014年に救急車が出動した件数は計598万4,921件、搬送人員は540万5,917人で、いずれも過去最多を記録しました。

3.「118」=海でのSOS
海上で事故にあった、遭難者を発見した、不審船を目撃した際などの緊急時に、海上保安庁へ通報するための番号です。しかし、運用が始まった2005年5月~今年4月までにあった118番通報の99.1%が間違い電話だったそうです。

4.「117」=時報
現在の時刻を自動音声で教えてくれる「時報」の番号です。1955年6月10日の「時の記念日」にサービスを開始。当時は利用者が殺到したため、交換機を冷やしながらサービスの提供を続けていた時期もあったそうです。

5.「177」=天気予報
電話をかけている地域の天気予報を聞くことができる番号です。2013年8月から気象庁が発表する「特別警報」も確認できるようになりました。

6.「171」=災害用伝言ダイヤル
電話がつながりにくくなる災害発生時に、家族や友人にへの伝言を録音したり、再生したりすることができます。

7.「104」=電話番号案内
電話帳に登録されている人などであれば、名前と住所からその人の電話番号を調べることができます。

8.「114」=お話し中調べ
相手先の電話が話し中かどうかをコンピューターが自動で調べ、結果を知らせてくれるサービスです。
「ナンバーお知らせ136」と言い、最後にかかってきた電話の日時と相手の電話番号をお知らせするサービスです。

10.「188」=消費者ホットライン
身近な消費生活相談窓口を案内してくれる番号です。2015年7月から「188(いやや!)」番として運用が開始されました。

11.「189」=児童相談所全国共通ダイヤル
「これって虐待かも…」と思ったときに、児童相談所に相談・通告できる番号です。子どもたちや保護者のSOSの声を「いちはやく(189)」キャッチするために、2015年7月に開設されました。