アングル:ケアより規律、被虐待児童が直面する一時保護所問題

ロイター 2017年6月24日

[東京 22日 ロイター] – 日本では、虐待や非行、発達障害などの問題を抱え、親元から離れた緊急避難シェルターを必要とする子どもたちが年間2万人以上、「一時保護所」と呼ばれる児童相談所の付属施設に身を寄せている。
だが、多くのこうした施設内部では、過度に厳格な管理体制が敷かれており、保護児童に苦痛に満ちた経験を与えていることが、一時保護所で勤務、もしくは保護されたことのある経験者や、この制度に詳しい専門家ら十数人とのインタビューで明らかになった。
こうした懸念を受け、政府内からは環境改善が必要だとの声が上がっているものの、その実現のめどは示されていない。厚生労働省では児童福祉制度を改善するための専門委員会が設置され、一時保護所の改革も議題となっている。
「一時保護所は今のままでいい、何も変える必要はないと言う人はいない」と厚生労働省・児童家庭局の浜田裕氏は語る。「一時保護所がどういう仕組みであるべきかは、まさに今後議論していく。今まで、明確には議論されてこなかった」
一時保護所は元々、第2次世界大戦後に戦争孤児や放浪児に食事や寝る場所を提供するために設立された。だが、全国に136カ所あるこの緊急シェルターは、過去70年のあいだ、ほとんど進化していない、と専門家は指摘する。
ここで保護される乳幼児から17歳までの子どもたちは、自ら脱走したり、虐待する親によって奪い返されないよう、室内に止め置かれ、学校に行かせてもらえないことがほとんどだという。
多くの保護所で、十分な研修を受けていない職員が、子どもたちに厳しい規則やスケジュールを課している。携帯電話や自宅から持ってきたおもちゃは禁止され、規則に従わないと、罰として個室に隔離されることもある。より厳しい保護所では、食事中のおしゃべりや、他の子どもと目を合わせることさえ許されていない、と状況を良く知る関係者は言う。
施設の古さや大きさ、設備は、それぞれ大きく異なる。体育館や庭があり、DVDや漫画が充実している施設もあれば、老朽化して壁紙もはがれ、畳は古く、1部屋に10人が寝るところもあるという。
一時保護所は、都道府県や政令指定都市などに設置された児童相談所が管理しており、これまで国の監督はほとんど受けていなかった。運営資金は、国と地方自治体の予算から出ている。
子どもに優しいイメージがある日本だが、社会的養護の下にいる子どもの権利擁護については、他の先進国に遅れを取っている。根本的な問題の一つは里親が不足していることで、これにより施設で集団生活を送る子どもの割合は他の先進国と比べて多くなっている。
制度上の問題を認識した政府は昨年、児童福祉法の理念を改正し、子どもが権利の主体であることを初めて明記した。だが、児童福祉の現場での実践は未だ不十分だと専門家は指摘する。
2015年まで約20年間、都内の児童相談所で児童心理司を勤めた山脇由貴子氏は、こうした一時保護所について、「本当はケアをするための場所でならなくてはいけない」と断言する。
一時保護所の現状について、「地域差はあるが、とにかく食べて寝られていればいい、虐待されなければいい、というような場所として設置されてしまっている。職員も心のケアをまったく配慮できていない」と同氏は指摘する。
現場の職員は、子どもたちは非行や虐待といった様々な理由で保護されており、ニーズも多様なため、厳しい規律が必要だと主張する。厳格な管理がなければ、混乱が起きるという。
都内のある一時保護所を監督する吉川千賀子氏は、「集団生活なので色々な約束事がある」と説明。「子どもの数に対して職員数も限られている。一人ひとりに目が行き届かず、事故につながるということがないよう、一定程度、管理的になってしまう部分も、否定できない」

自傷行為には罰も
一時保護所での平均入所期間は30日だが、自宅に戻ったり、里親の元に送られたり、児童養護施設などに移されるまで、数カ月を過ごす子どもたちも多い。
ロイターは、関東地方に33カ所ある一時保護所の1つへの取材を許された。他の施設への取材は、プライバシーやセキュリティを理由に認められなかった。神奈川県横須賀市にある一時保護所を最近取材したが、これだけで生活環境についての結論を得ることは難しかった。
そこでは、学習時間が終わると、広いラウンジに男女の子どもたちが集まって来た。卓球で遊ぶ子もいれば、ソファに座り漫画を読む子もいた。どこにでもある寮の風景だ。ただ、ほぼ全ての壁やドアにキックやパンチによる損傷があり、紙やガムテープでおおわれている。職員が会話の内容を把握できるよう、子どもたちがひそひそ話をすることも禁止されている。
昨年3カ月以上を都内の一時保護所で過ごした9歳の女の子は、施設ではよく叱られ、息が詰まるような生活だったと語った。自分を殴った母親がいる自宅でも、帰りたかったという。
「テレビの時間は、テレビを観なきゃいけない。しゃべったりしたら、『前を見なさい』と言われた」と女の子はロイターに語った。
女の子がいた施設の職員は、保護する児童数が定員を25%もオーバーすることが時々あり、管理は厳しくなりがちだと言う。
国立成育医療研究センターの奥山眞紀子医師は、多くの子供にとって、一時保護所での経験は多くの子どもにトラウマに近いストレスを与える性質のものだと警鐘を鳴らす。
同医師に対して、ある10代の少女は、自傷行為をすると、職員からカウンセリングやケアではなく、罰を与えられると語ったという。自傷行為は、性的虐待の被害者によく見られる行為だ。
国の児童福祉制度の見直しに関する検討会で座長も務める奥山医師は、本当の改善は、里親制度が日本の社会に広まった時に起こるだろうと予測する。「今の一時保護所のあり方でいいのか、考える必要がある。一時保護所の様に特別なところに子どもを置くのは、数日にすべき、という話だ」

 

長野市の企業が児童福祉施設に家電などを寄贈

SBS信越放送 2017年6月24日

児童福祉施設で暮らす子どもたちに使ってもらおうと、長野市の企業が家電製品などを贈りました。
県児童福祉施設連盟に寄付をしたのはパチンコ店を経営する長野市のサンエイで、安田英哲社長が掃除機や空気清浄機などの家電112点と避難用の手押し車6台の目録を手渡しました。
サンエイは利用客の寄付金と会社の寄付金を活用して毎年物品を贈っていて、贈られた品は県内21の施設で活用されます。
児童福祉施設は建て替えに合わせ8人以下の少人数での生活に順次移行していることから家電の数も不足気味で、目録を受け取った県児童福祉施設連盟の西村武会長は「こどもの生活に必要なもので大変ありがたい」とお礼を述べました。
これに対し安田社長は「今後もニーズに見合った支援を続けていきたい」と話していました。

 

確定拠出年金の「ベスト」な受け取り方 年金、一時払いどっち?

ZUU online 2017年6月26日

老齢給付金を「賢く受け取る」ためには、どのように考えて、どのように請求すればいいのだろうか。「賢く受け取る」とは概ね、「多く受け取る」ことに他ならない。いかにして手数料や税金を抑え、いつから受け取りを開始するのが得なのか。これについては、受給権を得た時点での経済状況や法制度、家計の事情や個人の出費予定によって、基本的には一人ひとり異なるので、ここでは、その基となる考え方を理解して欲しい。
(本記事は、山崎元氏著『確定拠出年金の教科書』日本実業出版社(2016/6/9)の中から一部を抜粋・編集しています)

いつから受け取るのがトクか?
老齢給付金は、早い人で60歳から、遅くても65歳から受け取ることが出来る。その後70歳迄の任意の時期に、請求手続をして受給を開始する。原則としての「賢い支給開始時期」は、明快だ。確定拠出年金の重要なメリットの一つである「運用期間非課税」を最大限に利用するためには、上限となる70歳ギリギリで受け取りの手続を行うのがベストだろう。
一般に、70歳の時点で運用している金融資産が枯渇していてはまずい。運用資産があるとするなら、確定拠出年金口座の中にある方が税制上より有利に運用出来る。もちろん、受給権を得た時点で住宅ローン等の負債が残っていたり、近いうちにまとまった額の支出が予定されていて、確定拠出年金以外の口座でその費用をまかなえない等の事情がある場合は、これに限らない。
取り崩しを我慢してローンに手を出すのでは本末転倒だ。なお、あまりにギリギリまで粘り過ぎて、うっかり70歳を超えてしまうと、否応なく一時金として支給されてしまうので、この点は注意が必要だ。

年金と一時金、どちらで受け取るのがトクか
比較の前提として、年金規約でどのような受け取り方が認められているかによるが、仮に、年金(終身年金を含む)、一時金、その併給、から自分で選択出来るとして、どのような場合に、どの受け取り方をしたらいいかを考えてみたい。
勘案すべき要素は「手数料」、「課税額」、「年金損益」だ。これら3つの要素をトータルで判断して、どれが得かを考えるべきだということだ。
先ず、手数料をみると、年金と一時金のどちらの場合でも、給付に際して432円(税込)の給付事務手数料が掛かる。これは、給付の都度、給付金から引き落とされるため、受け取り回数が多いほどかさむ。加えて、年金として受け取る場合、受け取りを待つ未支給の年金資産には、引き続き口座管理手数料が毎月掛かる。次に、課税については、受け取り時の税控除と、運用中非課税の各々の損得を比べる必要があるだろう。
受け取り時の税控除だけで比べると、本書執筆時点での税制においては、一時金受け取りでの退職所得控除の方が手厚く、一時金の受け取りを選ぶと全額非課税になる人が多いと思われる。特に20年以上の掛け金拠出年数がある人は、かなり大きな控除額を持っている。
但し、控除の枠を退職金でどの程度使ったかによって、最も得な選択が異なるはずだ。また、退職金自体に関しても、一時金での受け取りと年金での受け取りが選択出来る場合があり、この場合は、年金での受け取り額の条件を検討する必要がある(低金利の現在、年金での受け取りが有利なケースが多い)。
退職所得控除の範囲内で一時金を受け取り、残額を公的年金等控除の範囲内の金額に小分けにして年金として受け取ることで、給付金の全額を非課税で受け取ることも、受給金額によっては可能だ。
ここまで読む限りでは、確定拠出年金は一時金で受け取り、退職所得控除額を超える額がある場合のみ、年金で受け取るのがベストのように思われるかもしれない。実際に厚生労働省のデータで見ると、9割以上の受給者が一時金での受け取りを選んでいる。
特に、企業型確定拠出年金の加入者だった人は、その多くが、会社に口座管理手数料を負担してもらっていた人たちであり、彼らが退職して運用指図者となって以降、自分で口座管理手数料を負担することになった場合、手数料コストだけを抑えるために、他の要素を考えることなく、一時金での受け取りを選択してしまうケースは少なくないようだ。
しかし、繰り返しになるが、あくまでトータルのコストで判断するべきだ。手数料や税控除といった分かり易いコストだけをみて、一時金を選んでしまう人が多いのだろうが、残る要素である「未支給の年金は非課税で運用出来るので、引き続き、一般で運用するよりも良い条件で運用出来る場合がある」という、確定拠出年金の本来のメリットについても考慮に入れたい。
例えば、一時金で全額受け取ってそれを自分で運用することにしてしまうと、以降は運用益に課税されることになる。そして、このメリットは、年金資産が大きいほどに効力を発揮する。順調であれば、老齢給付金の受給権を得る頃に年金資産が最大になっている人が多いのではないだろうか。
退職金の額が大きく、受け取り方に選択肢がある場合の検討ポイントは、複数あって複雑だ。先ず、下記の2点を考えてみよう。
?退職金を年金で受け取る場合の想定運用利回りがどの程度得か(実勢金利よりどれ位いいか)
?確定拠出年金内で運用を続けられることの税制、運用商品の手数料等によるメリット
仮に運用利回りを年率5%と想定すると、運用期間中非課税なメリットは1%程度と計算される。実際には5%はやや高めの見積りかもしれないし、受け取り時に運用益が課税対象となる可能性もあるので「1%」はメリットの上限と見ていいだろう。その上で、
?退職所得控除を最も無駄なく利用するにはどうしたらいいか
を考えてみよう。複雑だが計算で答えの出る問題だ。一生に一回の事だが、その時には、ゲームを楽しむつもりで考えてみよう。
計算の結果、「年金」として受け取り、資産を取り崩しつつ、残りを引き続き運用していくのが、ベストの受け取り方になる場合が比較的多いのではないだろうか。
一般に、確定拠出年金の受給資格を得た後も人生は長い。受け取る頻度は、個人の家計の事情にもよるが、可能であれば年1回など最小限の回数を選んで、給付事務手数料のコストを抑える工夫をするとよいだろう。そして、ローン返済に充てる等まとまったお金がどうしても確定拠出年金の資産から必要な場合は、その分だけ「一時金」として受け取って支払いに充て、残りを「年金」として運用しつつ、取り崩していけばよい。
差し当たって使う予定のない金額まで一時金で受け取り、これを課税される口座に移して、確定拠出年金のときよりも条件の悪い商品で運用している、といったちぐはぐな受け取り方をしてしまうことのないように、よく考えて処置したい。

受け取り方に関わる要素
受け取り方については、運営管理機関によって細かく条件が異なることと、税制が頻繁に改正される点に注意が必要だ。
前述の通り、現在の税法上では、一時金の方が控除金額は厚くなっているが、将来、受け取り方を考える頃には、改正によって条件が変わる可能性はゼロではない。
また、ローン返済等に関しては、仮に潤沢な資産があって課税口座にも運用資産があるのならば、そちらから崩していく方がトータルで有利になる。更に、前に見たように退職所得については少し複雑になるのだが、確定拠出年金の一時金以外にも、企業からの退職金等、退職所得に該当する収入がある場合は、それらを通算して退職所得控除の計算がなされるので、併せて考える必要がある。
各退職所得の受け取り時期によっては通算しなくてもよい場合もあり、その条件も各人の状況によって異なるため、該当する収入のある人は、事前に税務署等に確認しておくとよい。

 

仮眠とコーヒー、「飲んでから寝る」のが正解だった!

ダイヤモンド・オンライン  2017年6月26日

『週刊ダイヤモンド』7月1日号の第1特集は「攻める睡眠、守る睡眠」です。近年の脳科学の進歩によって、睡眠のメカニズムが少しずつ解明され、睡眠をおろそかにすると命に関わること、一方で、睡眠の質を高めれば日中のパフォーマンスが向上することがわかってきました。あなたの人生を大きく変える可能性を秘めた睡眠を、この特集で見直してみてください。
ビジネスパーソンの3人に1人が不眠──。驚くべき数字だが、これが日本の現状だ。
夜寝付きが悪い、夜中に何度も目が覚める、早朝に目が覚めるといった不眠は、もはや日本人の国民病といっても過言ではない。
国際的に見ても、「不眠大国」日本は際立っている。経済協力開発機構(OECD)が2009年に世界18ヵ国を対象に行った調査によれば、日本の平均睡眠時間は7時間50分と、韓国と並んで最短水準にある。最も睡眠時間が長いフランスと比べると1時間も短いのだ。
さらに、日本人の平均睡眠時間は年々短くなっている。厚生労働省の調査によると、睡眠時間が6時間未満の人の割合は、07年以降増え続けており、15年には約4割に上っている。年代別に見ると、40代の男性で6時間未満の割合が半分近い。
日本人の睡眠時間の短さは、長時間労働と無関係ではない。厚生労働省「過労死等防止対策白書」によれば、日本の労働者の所定外労働時間は09年以降増加し続けている。また、週60時間以上働いている人の割合を年代別に見ると、15年は40代男性の割合が最も多い。
不眠の悩みは極めてプライベートな問題だと思いがちだが、長時間労働という日本的労働慣習がその背景にあり、単なる個人的問題として片付けることはできない。日本大学医学部精神医学系の内山真主任教授の推計によれば、睡眠障害による経済損失は3兆4694億円に上る。うち約3兆円が、睡眠不足による作業効率の低下によってもたらされている。
睡眠の問題がもたらすのは経済損失だけではない。睡眠不足は、高血圧症や糖尿病、がんや認知症にかかるリスクを高め、放置すれば命取りともなりかねないのだ。
平均8時間睡眠とすれば、人生の3分の1を睡眠が占めることになる。あらためて、自分の睡眠を見直してみてほしい。
本特集では、不眠による病気のリスクから身を守るための「守る睡眠」、そして仕事や勉強の効率を高めるための「攻める睡眠」のノウハウをまとめた。以下、いくつか紹介しよう

ベッドで寝付けないときはどうすればいい?
夜、なかなか寝付けないとき、一昔前までは、眠れないときはベッドで横になっているだけでもいい、といわれていたが、「今の不眠の教科書では、言ってはいけないことになっている」(国立精神・神経医療研究センターの三島和夫部長)。
作業療法士で脳の機能を生かした人材開発を行っているユークロニア代表の菅原洋平氏によれば、「われわれの脳は、場所と行為をセットで記憶する」。ベッドに入って眠れない状態が何日も続くと、「ベッド」という場所と「眠れない」という行為がセットで脳に記憶されてしまう。その結果、ベッドに入るだけで、眠れないのではないかと不安になり、緊張して目が覚めてしまうのだ。
三島部長によれば、脳の検査などに使われるMRI(磁気共鳴画像装置)で不眠の悩みを抱える人の脳を見ると、寝室の画像を見た際に脳の覚醒を促す神経活動が活発になるという。このような人たちは、会議室や電車の中など、眠ろうと身構えない場所では逆に眠ってしまう。
では、寝付けないときはどうしたらいいのか。
目安として15分くらいたっても眠れないときは、ベッドから出て寝室から別の部屋に移った方がいい。ベッドという場所と眠れないという行為をセットで脳に記憶させないようにするためだ。そして眠くなるまでは再びベッドに入らないようにする。
眠れないときに、ベッドで本を読んだりする人もいるが、これもやめた方がいい。ベッドと読書がセットで記憶されてしまうからだ。退屈な本を読んでいれば眠くなるのではと思うかもしれないが、活字を読むことは、内容に関係なく脳を覚醒させる作業なので注意しよう。
毎晩23時には寝よう、などと就寝時間を決めている人もいるだろう。しかしベッドに入ってもなかなか寝付けないのでは、意味がないどころか有害ですらある。
眠くなるまでベッドには入らない、眠れなければベッドから出る、といった発想の切り替えが重要だ。

コーヒーは「起きてから飲む」ではなく「飲んでから眠る」
体内時計の生体リズムが停滞し睡眠負債が蓄積してくる昼すぎの時間帯は、どうしても眠くなる。6時に起床した場合はちょうど14時くらいの時間帯だ。当然、脳や体の働きも停滞し、パフォーマンスも落ちてくる。
事実、居眠り運転による交通事故の発生率は、交通量がそれほど多くない14~15時ごろが最も高くなっている。
眠気が強くなる「魔の時間帯」を乗り切り、午後のパフォーマンスを高めるのに最も効果的なのが仮眠だ。眠気を抱えて効率の悪い仕事を続けるよりは、短時間の仮眠で生産性を上げた方がいい。
ただし、仮眠にはルールがある。それは仮眠の長さを10~20分程度に抑えることだ。30分以上眠ってしまうと深い睡眠に入ってしまい、目覚めたときに眠気が取れずぼーっとして、パフォーマンスも落ちてしまう。それだけでなく、夜の睡眠分を先食いしてしまうため、寝付きが悪くなって睡眠の質も低下する。そこで活用したいのがコーヒーだ。
眠気覚ましにコーヒーを一杯──。そんなふうにコーヒーを飲んでいる人が多いのではないだろうか。
しかし正確には、この行動は間違っている。コーヒーに含まれるカフェインには、覚醒作用はないからだ。カフェインは、アデノシンという睡眠を誘発する物質の働きをブロックして、眠くなるのを防いでいるだけなのだ。
また、カフェインは飲んでから脳に届くまで約30分かかり、いったん届いたカフェインは4時間程度残留する。
この性質をうまく利用すると仮眠の効果を高めることができる。仮眠の前にコーヒーを飲むのだ。カフェインは効くのに30分程度かかるので、仮眠して目覚めるころに眠気がブロックされ、その後4時間程度はその状態を保ってくれる。コーヒーは「起きたら飲む」ではなく「飲んでから眠る」が正解だ。