元SEALDs 諏訪原健「奨学金申請で覚えた違和感」〈dot.〉

AERA dot. 2017年6月27日

児童養護施設で学習支援をしていた時、施設出身者向けの奨学金の申請書を見た元SEALDsの諏訪原健さんは、違和感を覚えたという。

児童養護施設での学習支援ボランティアをしていた中で、どうしようもなく怒りを覚えた出来事について話そうと思う。当時の私は高校3年生の生徒の担当についていた。高3というと、進路はもちろんだが、金銭的な面も含めて、施設を出てからのことを考えなければならない学年である。
ある日の学習の時間、職員の方から「奨学金の申請書を作る手伝いをしてもらえませんか」と言われ、担当の生徒と一緒に申請書に書く文章の推敲をすることになった。
児童養護施設出身者に対しては、財団やNPOなど、民間による奨学金も様々な形で用意されている。いろいろな団体が支援を行なっているので、当然のことながら、申請書で問われている内容にも違いが見られる。
どんなものがあるのかと、複数の奨学金の募集要項を眺めていた時、ある団体の申請書の内容に目を疑った。そこには「あなたの進学を社会が支えてくれることをどう思うか」とか、「支援をしてくれる人々に対してどう思うか」とか、そんな質問が並んでいた。
その団体の担当者は、「私の進学を支えてくれるような社会だからこそ、自分の夢を実現できる」とか、「支援者のみなさんのおかげで、進学できることに感謝している」とか、そういう言葉を書かせることが、奨学生を選ぶ上で必要だと思ったのだろうか。私からすれば、質問の意図がよくわからない。
担当している生徒の前では、「テキトーに、こういう支援があって良かった、頑張りたい、みたいなことを書けばいいよ」なんて言いながら、何事もないように振る舞っていた。しかし心の内では、何でこんなことを書かせなければならないのだと、腹が立って仕方なかった。
そんなある日の学習での出来事を思い出して、あの奨学金はどこのものだったのだろうかと無性に気になったので、様々な団体の募集要項をダウンロードしてみた。結局は見つからずじまいだったけれど、他の奨学金の申請書を見ても、やはり当時と同じような違和感を覚えることとなった。
だいたいどこの団体の申請書をみても、どのような将来設計を描いているのかを記入する必要がある。奨学生を選ぶ上で、それは仕方ないのかもしれない。しかし、中には自分の生い立ちを書かせるものまであった。もしかしたら思い出すことがないように、心の中にしまい込んでいる事柄かもしれないのに、どうしてそんなことまで書かせなければならないのだろうか。
どれだけ壮絶な生い立ちなのかを赤裸々に告白して、社会や支援者に対して感謝の念を並べて、さらには他者を感心させるような素晴らしい人生設計を明確に示して……。「恵まれない」環境に生まれれば、そうまでしなければ、奨学金をもらうことすらできない社会なんて、私はどうかしていると思う。
「日本国憲法」がどうとか、「子どもの権利条約」どうとか、長ったらしい理屈を用意するまでもなく、子どもが教育を受ける権利は保証されてしかるべきではないのか。
もちろん、どんなことを申請書で問われようと、奨学金が無いよりはあるほうがいいに決まっている。しかし支援を受けるために、生い立ちや人間性が問われるような状況を、少なくとも私は容認したくない。
最近では給付型奨学金が創設されるなど、児童養護施設出身者に限らず、高等教育まで含めて、教育を受ける権利を保障していこうという動きが加速している。それ自体はたいへん望ましいことだ。
しかし、そのような動きに、社会的に支援されるべき人間とされるべきではない人間を切り分けるような論理が伴うとすれば、そのことについては、私は賛同できない。

 

手足口病10週連続増加、2年ぶりに流行の兆し

TBS系(JNN) 2017年6月27日

口の中や手のひらなどに水ほうができる「手足口病」が2年ぶりの流行の兆しを見せています。
国立感染症研究所によりますと、今月18日までの1週間に全国の医療機関から報告された患者の数は1医療機関あたり2.07人と10週連続で増加し、去年の同じ時期のおよそ6倍になっています。
手足口病の流行は2011年、13年、15年と奇数の年に起きていて、夏場にピークを迎えることから厚生労働省は、手洗いの徹底など予防を呼びかけています。

 

子供の貧困率、12年ぶり改善 母子世帯は依然8割が「生活苦しい」

産経新聞 2017年6月27日

平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の子供の割合を示す「子供の貧困率」が平成27年時点で13・9%と12年ぶりに改善したことが27日、厚生労働省の国民生活基礎調査で分かった。前回調査の24年時点から2・4ポイント改善し、15年から悪化が続いていた子供の貧困にようやく歯止めがかかった。
厚労省は「雇用環境が改善し、子育てしながら働く女性が増えたことが要因ではないか」と分析。大人も含めて生活が苦しい人の割合を示す「相対的貧困率」も前回調査から0・5ポイント改善し、15・6%となった。
同調査では、「生活が苦しい」と考える世帯も56・5%と3年前の調査より3・4ポイント減少した。ただ、母子世帯に限ると、82・7%が「大変苦しい」「やや苦しい」と回答。3年前より2・1ポイント下回ったものの、依然8割以上が生活が苦しいと感じている。母子家庭など大人1人で子供を育てている世帯の人の貧困率も50・8%と高かった。
1世帯当たりの貯蓄額でも、全世帯平均は1033万1千円で、高齢者世帯は1224万7千円と平均を上回ったが、母子世帯では327万2千円と平均の3分の1以下だった。
国民生活基礎調査は、国民生活について政策立案の基礎資料とするため毎年行われているが、「子供の貧困率」「要介護者の状況」などは3年ごとの大規模調査で調べられる。今回は28年に行われた大規模調査の結果が公表され、27年の所得や28年時点での生活意識などが明らかになった。

 

<国民生活調査>子どもの貧困13.9%、12年ぶり改善

毎日新聞 2017年6月27日

7人に1人と、なお高水準
厚生労働省は27日、2016年の「国民生活基礎調査」を公表した。経済的に厳しい家庭で育つ17歳以下の子どもの割合を示す「子どもの貧困率」(15年時点)は13.9%と前回調査(12年時点)より2.4ポイント低下し12年ぶりに改善した。国民全体の中で生活の苦しい人の割合を示す「相対的貧困率」(15年)は前回より0.5ポイント下がり15.6%だった。子どもの貧困率の改善について、厚労省は「景気が回復し、子育て世帯の雇用や収入が上向いたため」とみている。
貧困状態にある子どもは7人に1人となった。経済協力開発機構(OECD)が14年にまとめた加盟国など36カ国の平均は13.3%で、日本はそれをまだ上回る。
ひとり親世帯の貧困率(15年)は50.8%と12年より3.8ポイント低下したものの、依然5割を超えている。暮らし向きは、母子世帯の82.7%が「苦しい」と答え、37.6%の世帯は「貯蓄がない」と回答した。政府はひとり親世帯に支給する児童扶養手当の2人目以降分を昨年8月から増額したが、今回の調査にその効果は反映されていない。

介護必要の原因で、認知症が脳卒中抜き、初めて1位
世帯構成では、主に年金で暮らす高齢者世帯の割合が全世帯の26.6%を占め過去最高を更新。65歳以上の高齢者が65歳以上を介護する「老老介護」世帯は要介護者のいる世帯の54.7%と前回13年より3.5ポイント上昇し、過去最高になった。75歳以上同士の介護は30.2%と初めて3割を超えた。介護が必要になった原因では、認知症が脳卒中を抜き、初めて1位となった。

喫煙率は19.8%、初めて2割を切る
喫煙率は時々吸う人を含め19.8%と前回13年より1.8ポイント下がり、初めて2割を切った。がんの検診率では、国が目標とする50%を達成したのは男性の肺がん検診だけ。女性は肺がんを除き、いずれも検診率が40%を下回り、乳がんは36.9%、子宮頸(けい)がんは33.7%にとどまった。
調査は16年6~7月に実施し、世帯構成は約29万世帯のうち約22万世帯から、所得は約3万世帯のうち約2万世帯から有効回答を得た。熊本地震があった熊本県は調査対象外。貧困率などを割り出す大規模調査は3年に1度実施している。【桐野耕一】