<厚労省方針>虐待児ら施設入所停止 里親委託75%目標

毎日新聞  2017年7月31日

特別養子縁組成立件数の目標
厚生労働省は7月31日、虐待などのため親元で暮らせない子ども(18歳未満)のうち、未就学児の施設入所を原則停止する方針を明らかにした。施設以外の受け入れ先を増やすため、里親への委託率を現在の2割未満から7年以内に75%以上とするなどの目標を掲げた。家庭に近い環境で子どもが養育されるよう促すのが狙い。
同日の有識者検討会で了承された。未就学児の入所停止は速やかな実施を目指す。
2015年度末時点で、親元で暮らせない子どもは約3万6000人。このうち83%は児童養護施設や乳児院で育てられ、里親に預けられるのは18%にとどまっている。しかし、子どもの発育には施設よりも家庭的環境での養育が望ましいとされる。
そのために、就学前児童の75%以上を里親に委託する目標を設定。養育に特に重要な時期にある3歳未満児は5年以内、3歳以上も7年以内に目指すとしている。就学後の児童についても10年以内に50%以上を掲げる。目標の実現に向け、遅くとも20年度までに里親への支援体制を強化。研修制度の充実や里親支援員の配置などに取り組む。
また、養父母が戸籍上の実の親になる「特別養子縁組」については、5年以内に現状の2倍となる年間1000人以上の縁組成立を目指す。現在の制度は、年齢要件や養子のあっせん手続きなどに課題が指摘されており、改善に取り組む。
一方で、両親間のDV(ドメスティックバイオレンス)を目撃するなど専門的なケアの必要なケースは施設入所を認める。ただし、定員6人以内の小規模な施設に限定し、入所期間も原則的に就学前は数カ月、就学後の児童は1年以内とする。【藤沢美由紀】

「家庭的養育」へ一歩
厚労省の「施設入所停止」の方針は、「家庭的な環境での養育」という理念と、大半が施設で暮らす現実の隔たりの解消に取り組む強い意志を示したものだ。
子どもの健全な成長には特定の大人との愛着関係が重要とされ、愛着形成が不十分だと将来的に人間関係を築くのが苦手になるケースもある。だが、現状では8割以上の子どもが乳児院や児童養護施設で職員と集団生活を送る。
昨年成立した改正児童福祉法は、家庭と同じ環境での子どもの養育推進を国や自治体の責務と明記。特別養子縁組や里親による養育の推進を明確に打ち出しており、今回の方針は、具体的な一歩を踏み出したと言える。
現在、児童養護施設と乳児院には約3万人の子どもがいるが、登録里親数は約1万世帯にとどまり、目標実現は容易ではない。里親のなり手の確保など子どもたちの受け皿確保に向け、国には実効ある施策が求められる。【藤沢美由紀】

 

 

里親委託率、75%以上に=虐待児らの家庭養育推進―厚労省検討会

時事通信  2017年7月31日

厚生労働省の有識者検討会は31日、虐待を受けた子どもらを社会的に養育する仕組みについて議論し、新たな数値目標を大筋で了承した。
実の親と暮らせない子どものうち里親に育てられる割合を75%以上に引き上げることなどを目指す。2016年の児童福祉法改正を受け、家庭に近い環境での養育を推進する。
検討会がこの日議論したのは社会的養育ビジョンの改定案。15年度末時点で20%未満にとどまる里親委託率を、3歳未満はおおむね5年以内に、3歳から就学前までは同7年以内に75%以上に引き上げる目標を掲げた。就学後については10年以内をめどに50%以上に増やす。

 

子育て支援宝くじ来春販売…収益16億円見込む

読売新聞 2017年7月29日

総務省は28日、宝くじの収益金を自治体の子育て施策に充てる「子育て支援くじ」を来春販売すると発表した。
子育て支援と銘打った宝くじは初めて。都道府県と政令市が販売主体となり、5月5日の「こどもの日」を含む4月中旬から5月上旬まで販売する。
1枚200円で販売予定。約40億円の売上額に対し、当選金などを差し引いた16億円の収益を見込む。使途は子どもの医療費助成や保育士の待遇改善、児童館の建設費などを想定する。
高市総務相は28日の記者会見で「子育て支援策の拡充や社会全体で子育てを支えるという機運の広がりに期待したい」と語った。
宝くじは都道府県と政令市が総務相の許可で販売でき、これまでにも緑化や地域医療支援などに限定するくじが販売されている。