特別養子縁組、年齢引き上げ…10代後半も検討

読売新聞 2017年11月18日

 法務省は、育ての親が戸籍上の実の親になる特別養子縁組制度について、「6歳未満」となっている養子の対象年齢の引き上げ検討を法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する方針を固めた。
 虐待や経済的事情などで親元で暮らせない子どもが安定した家庭環境で養育される機会を増やすことが狙いだ。
 法務省が7月に設置した有識者会議が年明けに報告書をとりまとめ、上川法相に提出する。政府は法制審の了承を得て民法改正を行いたい考えだ。対象年齢は「15歳未満」「18歳未満」などとする案もあるが、年齢が高いと親子関係の構築が難しいとの指摘もあり、慎重に検討を進めている。
 親が養育できず、保護を要する子どもは4万6000人に上る。先進国では里親が主流だが、日本は大半の子どもたちが児童養護施設や乳児院など施設で暮らしている。

子供を叩かないで! 体罰の影響を科学的に研究

ニューズウィーク日本版 2017年11月15日

53カ国で体罰完全禁止。日本は?
 「しつけ」の名の下で子供を叩くという行為について、大学教授がこのほど、「体罰は子供に悪影響を及ぼすと科学が証明している」との記事を発表した。
 カナダのマニトバ大学のトレイシー・O・アフィフィ准教授とオタワ大学のエリーサ・ロマノ教授が、学術ニュースサイト「ザ・カンバセーション」が掲載している。
 この記事では、しつけで子供を叩くことを「平手」で子供の「お尻」を叩くことと定義している。非営利団体「子どもに対するあらゆる体罰を終わらせるグローバル・イニシアチブ」によると現在、世界では53カ国で子供への体罰があらゆる場面で法的に禁止されている。さらに55の国が、体罰の完全禁止に取り組む意志があることを示したという。しかしそれでも、叩くと言う行為が、しつけの一環として世界中で行われているらしい。
 「子どもに対するあらゆる体罰を終わらせるグローバル・イニシアチブ」のウェブサイトには、体罰の法的な扱い方を色分けした世界地図が掲載されているが、日本は「一定の状況では禁止されている」と分類されている。これは、日本では学校での体罰は学校教育法第11条で禁止されているものの、家庭や託児所、児童養護施設などでの体罰が法律で禁止されていないためだ。

「体罰が良いとした研究結果はない」
 教授らは体罰の是非をめぐる議論は体罰が「必要かつ効果的」とする意見と「子供に有害で子供の人権を侵害する」とに分かれ、これまで熱く繰り広げられてきたと指摘。しかし科学的な研究を根拠に、体罰は子供に有害なだけだという立場を取っている。
 カナダの医学誌「カナディアン・メディカル・アソシエーション・ジャーナル」(CMAJ)に2012年に発表された研究結果に触れ、「叩くことが子供に良いと示した研究結果はない」と指摘している。
 一方で、体罰が子供に悪影響を与えることを示唆する研究は多数あるようだ。中でも、アフィフィ准教授とロマノ教授が記事中で「画期的な2つのメタ分析」と描写しているのは、いずれもテキサス大学オースティン校のエリザベス・ガーショフ准教授によるものだ。1つはガーショフ准教授がコロンビア大学で研究していた2002年に発表したもので、それより前の62年間にわたる88件の調査を分析している。そこでは、体罰は身体的な虐待となる恐れがあり、また子供の非行や反社会的な行動にも強いつながりがあると結論づけている。

体罰が攻撃性や反社会的行動に
 そして、さらに拡大させた調査が2016年に発表されている。13年間におよぶ75件の調査を分析したもので、そこでも、叩くことで子供の振る舞いが改善された証拠は見つからなかったとし、逆に体罰が13種類もの有害な結果を引き起こすと結論づけている。有害な結果には、攻撃性、反社会的行動、心の問題、親とのネガティブな関係などが含まれる。
 こうしたことから、子供や思春期の青年たちをしつけるために叩くという行為は決してするべきではない、と教授らは述べている。また、肯定的な子供のしつけ方を親が実践できるように支援する必要があるとしている。現在カナダでは、自宅訪問イニシアチブや、地域社会や小児科での介入の効果について調査が行われているという。

性依存症で「最も治療が困難」な小児性犯罪の罪深さ--歪んだ心理を知ることが我が子を守る第一歩となる

週プレNEWS 2017年11月18日

 『男が痴漢になる理由』の著者、斉藤章佳(あきよし)氏は12年前から大森榎本クリニック(東京・大田区)で痴漢、強姦、小児性犯罪、盗撮・のぞき、露出、下着窃盗など1100人を超える性犯罪加害者と向き合い、国内でも先駆的な再犯防止のための治療プログラムを行なっている。
 前回記事で取り上げた痴漢の実像に迫る話は「男なら誰もが潜在的な痴漢予備軍」という驚きの内容で反響を呼んだが、今回は斉藤氏が「性犯罪者の中で最も治療が困難」という小児性犯罪について伺った。

 「大人になったらいずれ経験することだから、僕が教えてあげる」
 そうして声を上げられない子どもに迫り、身勝手な自分の欲望のまま、性暴力に走る――。
 成人男性による幼い子どもに対する性暴行や拉致・監禁など凄惨な事件は後を絶たないが、「もし自分の子どもが被害にあったら…」と想像すると、崩れ落ちるような絶望感と、加害者への煮えたぎるような怒りでまともな精神状態ではいられないはずだ。
 だが、斉藤氏は「女児だけでなく、男児も被害に遭うことがある。小児性犯罪の危険性は決して他人事ではなく、いつどこで起きるかわからないということを忘れてはいけません」と警鐘を鳴らす。そうであるなら、小さな子どもを抱える親にとっては、小児性犯罪の実態を知ることが我が子を守る第一歩となる。

まず、その定義について斉藤氏がこう説明する。
 「アメリカ精神医学界が発行している『精神疾患の分類と診断の手引き』では、小児性愛障害として、『A.少なくとも6カ月にわたり、思春期前の子ども、または複数の子ども(通常13歳以下)との性行為に関する性的に興奮する強烈な空想や性的衝動、または行動が反復する。B.これらの性的衝動を実行に移したことがある、またはその性的衝動や空想のために著しい苦痛、または対人関係上の困難を引き起こしている。C.その人は少なくとも16歳で、基準Aに該当する子どもより少なくとも5歳は年長である』と定義されています」
 では、国内で小児性犯罪がどれくらい起きているのだろうか。
 「小児性犯罪の行為の形態が多岐にわたるため実数は明らかにされていませんが、声を上げられない子どもだからこそ、この種の犯罪は表面化しづらいんです。痴漢の件数は潜在的なものも含めれば年間10万件以上起きていると推測しますが、小児性犯罪は恐らく同等か、それ以上の件数になると見ています」
 性依存症の治療を受けにクリニックへ来院する性犯罪者は昨年までで延べ1116人になるそうだが、「小児性犯罪の加害者は5%程度」という。驚いたのが、「そのうちの6~7割が保育士や学校教員、医師など、なんらかの形で子どもと関わる職業に就いている」という点だ。
 通常は収入面ややりがい、自分の性格にあった職など優先順位を決めて職業を選ぶというのが一般的だが、小児性犯罪者はそうではない。彼らの中で最優先されるのは「とにかくなんらかの形で子どもと関われる仕事」なのだとか。
 「性犯罪者の多くには“認知の歪(ゆが)み”があります。痴漢なら『女性専用車両に乗っていない女性は痴漢されたがっている』『触っても声を上げないということは、痴漢をしても良いというOKサインなのでは』と、根拠もないのに自分の考えが正しい、常識だと思い込んでいる人が多い。その性犯罪者の中でも小児性犯罪者の認知の歪みはとりわけ深刻です」
 彼らはいかに、子どもに性暴力を奮うという犯罪行為を正当化しているのだろうか。
 「まず加害者に面談をすると、彼らの多くは『自分はただ子どもが好きなだけ』と言います。小児への異常な性的関心を“純粋な愛情”と思い込んでいるケースも多い。罪悪感は希薄で『どうせ大人になったら経験することだから、早めに僕が教えてあげただけ』『教育的な指導の一環として接している(教員の加害者によくある認知の歪み)』などと真顔で答える加害者も少なくありません。
 彼らの多くは間違ったことをやっているという感覚がほとんどなく、『自分は正しいことをやっている』『指導している立場だ』という前提で性的接触を繰り返す。子どもだってイヤがっていないし、むしろ“望んでいる”と彼らの目には映るわけです。その思考は他の性犯罪とは異なる小児性犯罪者特有の認知の歪みといえます。だからこそ行動変容が困難で再犯率も高く、治療が難しいのです」
 罪悪感をさほど感じることもなく、「むしろ、子どもに“性教育”をやっているだけ」という歪んだ考えで犯罪行為を正当化する加害者たち。皮肉なことに、本来なら生徒を教え導く存在であるはずの教師でさえも犯罪に手を染めることがある…。

うちの子ばかりどうして……? 「育てにくい子」への向き合い方

PHPファミリー 2017年11月17日

認めることが、笑顔への近道

「育てにくい子」には 「いいところ」がいっぱいある
 子育てに悩みはつきものです。特に母親は、子どもと一緒にいることが多いだけに、日々の中で悩んだり困ったりすることがたくさん出てきます。「片づけをしない」「偏食がある」「言葉が遅い」「友だちが少ない」「約束を守らない」など、数えたらきりがないでしょう。
 ただ、それらの悩みは「まあ、いいか」で済むものが多く、自分次第で気にならなくなったりすることもあります。でも、たとえば「落ち着きがなく、少しの時間もじっとできない」「荒っぽく、すぐに手が出る」といった悩みは、他人に迷惑をかけたり、危険が伴ったりすることが多いため、「まあ、いいか」で済まされず、お母さんは子どもから目が離せなくなります。さらに「何度言ってもわからない」「注意してもすぐに同じことをする」ような場合は、お母さんは本当に疲れます。
 子どもは誰でもそんなものだろうと思っていたのが、他の子はそこまでひどくはないことがわかり始める3歳頃、そうした悩みは最も大きくなります。「育てにくさ」といったものを感じ始めて、「あら? もしかしてうちの子、少し変?」とまで思うお母さんも出てきます。
 でもそれらはお子さんの1つの個性です。そういうお子さんのお母さんには、苦労や困ることが確かに多くやってくるかもしれませんが、その個性をむしろ楽しみながら子育てをしてほしいと思います。

困った子、育てにくい子と感じていい~ありのままを認めよう~
 子育てがうまくいくコツを1つあげるとすれば、私は「ありのままを認めること」だと思っています。仮にお子さんが、自分を困らせることばかりする子どもだったとしても、その姿を丸ごと受け止め、認めるのです。そして、そんな子どものことを「困った子ども」「育てにくい子ども」と思ったなら、その気持ちも認めましょう。子育てがうまくいかない現状も、すべて丸ごと認めてほしいと思います。

笑顔の子育ては認めることから始まる
 一番よくないのは、否定をすることです。子育てでなくても、否定をすると出てくるのは不平や不満です。お子さんのことを否定的な目で見てしまうと、子どもを叱ることばかりが増え、自分もしんどくなってしまいます。でも、認めるとあら不思議。笑顔が出てきます。「笑顔の子育て」とよく言われますが、それは認めることから始まるのです。
 認めるのは簡単です。子どもへの見方や視点をほんの少し変えるだけでいいのです。するとすべての景色が大きく変わっていきます。

視点を変える2つの方法

決して悪気はない。「心のままに動いただけ」と思おう
 子どもは「こうしたい」と思ったことを、すぐに実行します。「触りたい」と思ったら触り、「暴れたい」と思ったら暴れます。「笑いたい」と思えば笑うので、子どもはお葬式でも笑います。悪気はないのです。
 「でも、ちょっと我慢しよう」という自己統制力が年齢とともに身につきますが、その力は弱い子どもと強い子どもがいます。その違いは、5歳くらいまでは本人の努力よりも、生まれつきのものであることが多いもの。「わが子は弱いほう」と思えば、「1つのことを丁寧に何度でも伝える」ということをやってみましょう。

夫婦から生まれた、その“個性”を楽しもう
 子どもは十人十色。それぞれに個性があります。「じっとしていない」「攻撃性がある」なども立派な個性です。親にすれば幾分困ったものであったとしても、それがどこから来たかといえば、100%パパ・ママからの遺伝です。
 個性の“製造元”は親で、子どものその個性を否定すれば自分たちを否定することになります。夫婦から生まれたかわいいわが子のその個性の中に自分を見出し、むしろ楽しむくらいでいると、子どものことを見る目も変わっていきますよ。

“ないもの探し”をせず、“あるもの満足”で子育てを
 どんな子にも、数えきれないほどの「いいところ」が必ずあります。そのことに気づけたら、笑顔の子育てはすぐそばです。
 保育士時代、多くの子どもたちと接してきて一番感心したことは、「子どもは“ないもの探し”をせず“あるもの満足”をする」ということです。たとえば、夏のプール遊びは6畳ほどの狭いプールに20人くらいが入るのですが、「狭いね」「泳げないね」などと不平や不満を言うのは大人ばかり。子どもからは1つも文句が出ないどころか、ずっと笑顔で楽しんでいます。
 子どもは、自分に与えられた環境がどんなに過酷なものであっても、その中に必ずある“笑顔のもと”を探し、それを楽しむのが習慣になっているのです。プール遊びでも、「水が冷たくて気持ちいい」「友だちとぶつかったらそれも楽しい」と楽しい部分を味わい、狭いことなんて気にしないのです。雨が降っても、決して文句は言わず、長靴を履けたり傘を差せたりすることを喜びます。人に対しても同じで、親でも先生でも、「困ったところ」より「いいところ」を見るので、必ず大好きになります。

“不満点探し”から始めるのをやめよう
 反対に私たち大人は、自分の前にあるものに対して、さっきのプールのようにまずは“不満点探し”から入ります。「暑い!」「寒い!」と自然にまで文句を言います。子どもに対しても、「困った点」や「問題点」ばかりを見つめ、つい小言の毎日になってしまってはいないでしょうか。
 確かに、子どもは「困ること」をよくします。親から見て、「困った性格」だと思うこともあるでしょう。でも「困るところ」ばかりを見ないで、「いいところ」を見るようにしてみてください。すると、「心が優しい」「とても気が利く」「いつもいい返事をする」「きちんと挨拶ができる」「もの覚えが早い」「食事を残さず食べる」……など、他のお母さんがうらやむような良い点が、もう無数に見つかるのではないでしょうか。
 子どもたちが毎日あれだけよく笑うのは、いつも“あるもの満足”で生きているからです。わが子のことはもちろん、すべてのものを「あるもの満足」の目で見ながら生活をすると、きっと毎日を笑顔で過ごせますよ。