児童福祉と少年司法の狭間で苦しむ子ども達

BEST TIMES 2018年1月10日

 性風俗で働く人のための無料生活・法律相談サービスを行っている「風テラス」。その活 動に携わる弁護士の安井飛鳥さんより、近年メディアなどで関心が高まっている「社会的養護」の現状と、性風俗との関係について語っていただいた。「セックスワーク・サミット2017」第3部より。第1回〈「児童相談所」が抱える深刻なジレンマ〉に続く第2回。

 子どもの支援関係者が頭を悩ませるキーワードとして、「虞犯」という言葉があります。これはいわゆる少年事件、少年法に関わる問題です。
 少年法では、20歳に満たない者を「少年」と規定しています。用語としての『少年』なので、女の子でも男の子でも『少年』と言います。刑法と少年法の大きな違いは、刑罰を科すことが目的ではないということです。非行や犯罪をした少年に科すのは、あくまでその少年が立ち直り、同様のことを繰り返さないようにするための教育的な処分という意味合いになっています。
 そのため刑法の場合は、刑罰を下す際には主にどのような犯罪行為をしたのかという行為部分に着目して判断するのですが、少年法の場合、窃盗や万引き、傷害といった非行・犯罪行為だけではなく、本人の性格や資質、家庭環境といった諸々の要素を加味して、最終的にどのような処分が相当かを判断していくことになります。
 極端な話をすると、少年法の下では、100円の万引きをしただけでも、もしその子どもの家庭環境に問題があり、子ども本人の抱えている課題が大きいと判断されれば、少年院に行く可能性もあるということです。そんなこと机上の空論じゃないか、と思われるかもしれませんが、私は実際に100円単位の万引きで少年院送致となったケースに接したことがあります。
 非行少年には、「犯罪少年」「触法少年(刑法で処罰できない14歳未満の少年)」そして「虞犯少年」の三類型があります。虞犯少年とは、「性格又は環境に照らして、罪を犯したり触法行為を犯す危険性のある少年」を指します。実際に犯罪はしていなくても、犯罪をしそうという理由で、鑑別所に入れられ、場合によっては少年院に行くこともありえるということです。少年法は、子どもを甘やかすだけの法律ではないか、と言われることもありますが、実際には刑法よりも広い範囲でパターナリズムに強制力が働く場面もあります。
 そして児童福祉と少年司法の接点を考えるうえでは、この『虞犯少年』の理解が重要になってきます。もう少し具体的に言うと、福祉の支援には馴染まず、かといって少年犯罪という段階にまでは至らず、家出や深夜徘徊を繰り返して、危険な場所への出入りや非行グループと一緒に行動するなどしていて、いつ少年犯罪に巻き込まれるか分からない少年達についての理解です。

最近の子どもはキレやすいモンスター? 
 彼や彼女は、どのような思いで非行をするのでしょうか? 
 「最近の子どもはキレやすい」「反省がない」「モンスターだ」と言われることがあります。私はこれまで100件以上少年事件に関わっていますが、手のつけようのないモンスターだ、自己責任でどうしようもない、と思えた子どもは少なくとも私が関わった範囲では一人もいません。
 非行の背景として何らかの虐待や複雑な家庭環境が影響しているケースが非常に多いです。非行少年に比較的共通する傾向としては、強がっているのだけれども、本当は自分に自信がない。自分を大切にできない。先の見通しもなく、リスクをとることにも抵抗が無い。今の自分を大切にできないのだから、将来のことを考える余裕はない。他人を基本的に信頼できない。威嚇したり警戒したりする。そして信頼関係を築けそうな人には、過度に依存する。他者との関係形成が苦手で、安心安全な居場所が身近にはなくて、そうしたことが非行に影響しているということが少なくありません。
 少年司法の現状として事件数自体は年々減少しています。よく少年事件は凶悪化していると言われることもありますが、警察庁の統計を見れば明らかな通り、凶悪な事件は昔からあり、統計上はむしろ減少している。どちらかと言えば、最近の少年事件は幼稚化していると言われています。犯行動機も短絡的なものが多い。
 女子少年に関しては、男子少年に比べると、非行の割合は少ないです。どちらかと言えば、女子の場合は精神疾患や児童買春に結びついていく場合が多い。
 一昔前の少年は、いわゆるヤンキー気質でどこか筋が通っていて、ガツンと言うと「なにくそ」という形で歯向かってきて、そのバネを活かして更生していくという方法が取れました。
 しかし最近の子は、ガツンと言うとそこで潰れてドロップアウトしてどこかに行ってしまう。今までの方法が通用しなくなったという戸惑いを子どもの更生保護に関わる人たちからよく聞きます。

福祉を受けるより、夜の街や少年院を選ぶ子どもたち
 少年院というと怖そうで近寄りがたいイメージを持たれる方がいると思いますが、少年にとっては少年院がはじめて安心・安全を感じられる場所になることもあります。ある少年は、親からも見捨てられて、福祉にも馴染まずに転々として「大人はみんな敵だ」とよく言っていました。そんな少年が、少年院ではじめて24時間体制で自分が見守ってもらえる、大切にされていることを実感して安心・安全を感じるようになりました。そうして立ち直っていく少年もいます。
 少年院は通常であればある程度プログラムが進んだら、保護者に連絡を取って帰る場所を調整した上で、出院することになります。しかし、保護者が受け入れ拒否をするなどして帰る場所が一向に見つからないため、既に出院してもいい状態であるにもかかわらず、ただ時間だけが過ぎていくような少年もいます。現行の福祉制度の枠組みでは少年のニーズや課題に対応しきれないため、少年院が最後のセーフティネットとなって少年の支援に苦慮しているというのが少年司法の現状です。地域社会の中での福祉の力量不足、社会資源の不足を痛感します。
 大抵の少年は、さすがに「少年院に行くのは嫌だ」と言います。行かなくて済むように、何とかこういう方法で頑張ろうねと提案すると、その提案に乗ってくれる場合が多いです。しかし、中には「面倒くさいので、そこまで縛られた生活するくらいなら、一年少年院に入っていたほうがマシです」と言われることもある。そこまで信用されていない地域や福祉とは一体何なのか、と頭を打たれた思いでした。
 家庭での悩みを抱える思春期の子どもたちの中には、家出をして深夜徘徊するようになる子どもがいます。そして、どこかで警察に補導されて、『虞犯』として児童相談所に来る。児童相談所の調整の結果、家庭に戻る子もいれば、施設に行く子もいます。
 一方で、こうした福祉の枠組みによる支援を、望まない子もいます。ここが児童福祉の悩みどころです。児童福祉は、子ども本人たちにとってはある種のお節介、パターナリズムです。必ずしも子ども自身が支援を望んでいるわけではない。いくら「このほうがあなたにとっていいから」と言っても、本人たちは「そんな自由の無い生活はイヤだ」「自由に夜の街で生きていくほうがいい」と拒絶します。
 もちろん、福祉側も説得を重ねますが、強制はできない。児童相談所で一時保護したとしても、あくまで福祉施設なので、部屋に鍵をかけて拘束することまではできない。そして、そうした生活を嫌う子ども達は、結局施設を出ていってしまい、行方が分からなくなる。そしてまたどこかで警察に補導されて戻ってくる・・・の繰り返し。
 私は、少年院は必ずしも子ども本人にとって悪いことではないと思っているので、少年司法に馴染むのであればその方向での支援も積極的に検討すべきだと考えます。ですが、こうした子ども達の場合には少年司法にも馴染まないため、結局、色々な公的機関を転々とたらいまわしにされることになり、そうした中で子ども達の貴重な時間は奪われ心はどんどん疲れ荒んでいき、未来への希望や大人に対する信用はなくなっていく。そうこうする中で、精神を病んで入院する子もいれば、犯罪傾向が進んでいよいよ犯罪少年として家庭裁判所のお世話になる子もいる。そして、性風俗で働くようになる子もいます。
 児童福祉と少年司法は、一見接続しているように見えて、実は大きな狭間があります。
 特に虞犯傾向のある少女たちは、この狭間に陥りやすいと思います。

「児童相談所」が抱える深刻なジレンマ

BEST TIMES 2018年1月8日

 性風俗で働く人のための無料生活・法律相談サービスを行っている「風テラス」。その活動に携わる弁護士の安井飛鳥さんより、近年メディアなどで関心が高まっている「社会的養護」の現状と、性風俗との関係について語っていただいた。
 私はもともと学童保育の指導員として働いていて、そこから弁護士を目指すようになりました。現在は弁護士・社会福祉士・精神保健福祉士として仕事をしていて、児童相談所で非常勤の仕事もしています。専門は子どもや若者に関する分野です。
 虐待を受けた子どもを保護する『子どもシェルター』のNPOの運営にも関わっており、最近は芸能人に関する権利擁護のための取り組みを始めたりもしています。その一方で、風テラスの相談員として、性風俗で働く人たちの相談支援にも関わっています。
 非行、障がい、精神保健、芸能、性風俗と元々全ての分野に興味があったわけではありません。子どもや若者の支援をしていると色々な問題にぶつかります。それらの問題を解決するために、必要な知見を身に着けようとすると結果として色々なことに関わるようになり、ジェネラリストにならざるを得なくなる・・・という状態です。資格や活動領域が多岐にわたっているため、「変人」扱いされることも多いです。
 今回は児童福祉・少年司法そして風テラスの立場から、性風俗の世界で働く子ども・若者たちと社会的養護のこれからについて、どのように考えていけばいいのかお話ししたいと思います。
 さて、児童相談所で働いている立場で、こういうことをいうのも何なのですが、私は『社会的養護』という言葉があまり好きではありません。『社会的養護』という言葉は、法律でカチッとした定義があるわけではなく、関係者の間でも定義が定まっているようで定まっていない部分があります。
 厚生労働省のホームページに書かれている内容を要約すると、「公的な責任で、虐待を受けている児童についての保護・支援をする」とされています。社会的養護≒児童福祉という意味合いで使われることが多いのかなと思います。『社会』という言葉を大きく打ち出しているわりには、結局『児童福祉』の枠の中での話になりがち。『社会的包摂』という言葉がありますが、それに比べると名前負けしているのではと思うことがあります。

15歳以降のニーズに合った制度や社会資源がない? 
 児童福祉の中心的な相談機関は、児童相談所です。名前はよく知られていますが、実務はあまり知られていません。「通報すると子どもが連れ去られる機関」というイメージを持っている方も多いかもしれません。
 児童相談所は、児童や保護者からの相談を受ける機関です。虐待予防のために保護者への援助をしたり、児童に対して援助・指導をしたりします。虐待を受けた児童を保護することもあれば、保護した児童を施設に入所させたり、里親につないだり、特別養子縁組を勧めたり・・・といった仕事をするのが児童相談所の基本的業務です。
 ですが、法律上はそうした建付けになっていても、児童相談所が現実にそれら全ての業務をこなすのは難しく、実際上は、児童の保護や虐待対応がメインとなっていて、虐待に至る手前の子育て支援に関する業務は、市町村と役割分担していることが多いです。
 児童相談所は、法律上は18歳未満の子どものあらゆる相談に対応することになっています。児童福祉法上の「児童」とは18歳未満を指すのですが、例外的に22歳までの自立支援の相談もできるように法改正が行われました。そうなると思春期から青年期までの子どもの支援もすべて児童相談所が担っているのかというと残念ながら現実にはなかなかそうなってはいないのです。
 児童福祉の領域では、15歳以上の子どもが利用可能な公的制度や社会資源が極端に不足しています。と言うのも児童福祉は、元々「親が亡くなった孤児をどう養育していくか」というところからスタートしました。そこから児童虐待への社会的関心が広がって、「親はいるけれども保護、支援が必要な子ども」への関わりの比重が増えていきました。昔は、制度上は18歳まで相談に乗ることになってはいるけれど、実際上、義務教育が終了した位の子どもに児童相談所が積極的に保護や相談で関わるケースはそう多くはありませんでした。それが最近では児童相談所として18歳まで保護・支援を継続しなければいけないというケースも増えています。更には、法改正を受けて成人後も視野に入れた支援が推奨されるようになってきました。
 しかし、制度の外枠ばかりが広がっていくだけで、実際の15歳以降の子どものニーズに合った具体的制度や社会資源は圧倒的に不足していて、支援する側の支援技術の蓄積も十分ではなく、地域格差も激しいのが実情です。

複合的な問題に対処できない児童福祉
 15歳以上の子どもの問題になってくると、子育てや問題行動という枠から飛び出して、いわゆる非行や少年犯罪という問題や、あるいは虐待の影響がより重くなって精神病と診断がつくレベルの問題が増えてきます。そして、性に関する問題も出てきます。ですが、児童福祉はもっと低年齢の子どもの支援を専門としていた領域のため、こういった高年齢の子どもの複合的な問題に対してはそもそも知見が浅く専門外の部分もあり極端に弱いというのが現実です。こうした複合的な問題が絡む場合の子どものケースワークは、極端に見通しが甘くなったり、雑になったりする傾向が強いと感じます。
 児童相談所は何をやっているのだ、怠慢じゃないか、と批判されることも少なくないですが、そもそも児童福祉に従事する人員が圧倒的に不足しています。諸外国に比べて、ケースワーカー1人あたりが担当するケースの数が多すぎる。一つ一つのケースに注力することが難しい。そのような中でこうした複合的な問題を抱えた高年齢の子どものケースに対してできることは自ずと限られています。色々なケースを抱える中で優先順位をつけていくとなると、より低年齢の子を優先していかないといけない。高年齢の子どもに対してはどうしても時間をかけた丁寧な対応が難しくなりどこか投げやり、紋切り型な支援になってしまうことも。そうなっていいわけではないけれども、そうならざるを得ない現状がある。思春期以降の複雑な問題を抱えた子どもの支援を現在の児童福祉の枠組みだけで行っていくのはかなり難しい状況にあるといえます。

「認定こども園」ってどんな施設?疑問に丸ごとお答えします!

ベネッセ 教育情報サイト 2018年1月9日

 「認定こども園」ときいて「子どもが行くところ」ということはわかるけれど、どんな園なのだろうかと感じるかたもいることでしょう。
この「認定こども園」とは、利用するお子さまや保護者にとってどのようなよい点があるのか、どのような基準で認定されているのか、園選びをするときの違いはなにかなど、たくさんの疑問が出てくるのではないでしょうか。では、その認定こども園について保護者が知っておきたい情報をご紹介しましょう。

認定こども園とは?
 認定こども園とは、幼児教育・保育を一体的に行う施設です。幼稚園と保育所の両方のよさをあわせもっている施設だと言えるでしょう。
 認定は都道府県で行い、条例により認定内容が定められています。独自の基準を設けている所もあり、例えば埼玉県では満3歳以上児の1学級の園児数を、国の基準が35人以下としているのに対し、満3歳以下児20人以下(学級担任を2人以上置く場合は 35 人以下とすることができる)、満4歳以上児から35人以下という独自の設定を行っている所もあります。

認定こども園の種類
 保育所は厚生労働省の管轄で、幼稚園は文部科学省の管轄であるということは広く知られています。これに対して、認定こども園は内閣府が管轄です。つまり、厚生労働省も文部科学省も関わっていますので、両方の機能をもっていると考えられます。
 認定こども園は家庭の事情や地域の実情などに応じて選択ができるように4つの種類に分けられています。以下でそれぞれ見ていきましょう。
(1)幼保連携型
 幼稚園教育要領に基づく幼稚園的機能と保育所保育指針に基づく保育所的機能、両方の機能をあわせもち、小学校児童との交流の機会や小学校との連携などを図り、円滑に小学校へ進み教育が受けられるようにと考えられた単一の施設として、認定こども園の機能を果たしています。
(2)幼稚園型
 公立や私立の認可幼稚園がもととなっているタイプです。保育が必要なお子さまのための保育時間を確保して長時間預かりを実施したり、0歳からのお子さまを預かったりするなど、保育所的な役割を備えて認定こども園としての機能を果たしています。
(3)保育所型
 公立や私立の認可保育所がもととなっているタイプです。保育が必要なお子さま以外のお子さまを受け入れるなど、就労していない保護者のかたでも利用できる幼稚園的な役割を備えることで、認定こども園としての機能を果たしています。
(4)地方裁量型
 幼稚園および保育所のいずれについても認可のない地域の教育・保育施設がもととなっているタイプで、待機児童解消のため、新たに認定こども園とし、その機能を果たしています。

認定こども園の場合、保育料はどのくらいかかるの?
 認定こども園になったことで入園の幅が広がったように感じますが、従来の保育所や幼稚園よりも安くなるのか、それとも高くなるのか気になるところですよね。以下で保育料について詳しく見ていきましょう。
料金形態について
 料金すなわち保育料は、国の定めた基準に基づき、市町村が認定します。市町村民税と家庭の所得、認定区分、お子さまの年齢により料金が異なり、きょうだいが同時入園する場合にはきょうだいの分は保育料が安くなるなどの割引もあります。地域によって設定は異なるため、注意しましょう。例えば私立と公立で保育料が同じ料金設定であることもありますし、入園料の設定が異なるといった場合もあります。住んでいる自治体に確認してみるのがおすすめです。
 実際に国が定めている料金形態は次のようになります。料金形態は1号~3号の認定区分で分けられています。
・1号認定:0円~25,700円(※月額)
・2号認定:0円~101,000円(※月額)
・3号認定:0円~104,000円(※月額)
 これはあくまで国が決めた基準(上限)です。また、各市町村で従来の幼稚園が認定こども園に移行する場合は移行前までと移行後で保護者のかたの負担に差が出すぎないよう配慮することが指導されています。

認定区分
 認定こども園では幼児教育・保育を利用するお子さまについて、3つの認定区分が設けられています。
・1号認定
 満3歳以上で、保育の必要な事由に該当しない家庭のお子さまが、教育標準時間で通園する場合。
・2号認定
 満3歳以上で、保育の必要な事由に該当する家庭のお子さまが、保育認定としての標準時間・短時間で通園する場合。
・3号認定
 満3歳未満で、保育の必要な事由に該当する家庭のお子さまが、保育認定としての標準時間・短時間で通園する場合。

保育の必要な事由とは?
 就労中、産前産後、保護者のかたの疾病や障がい、同居親族などの介護・看護、火災などの災害の復旧、求職活動(起業準備を含む)、就学(職業訓練を含む)、虐待やDVの恐れがある、育休時の継続利用、その他市町村長が認める場合と定められています。つまり、保育を受ける必要性がある家庭を意味すると言えるでしょう。

認定こども園に通うメリット

認定こども園に通うことには、以下のようなメリットがあります。
まず、園によっては縦割り保育を行うところや年長児などが未満児をお世話する活動を取り入れ、世代の違うお子さまどうしの交流をお互いの成長のきっかけにしているところもあります。自由遊びの時間は、保育士の見守りのもと、異年齢のお子さまと自由に関わることもできます。認定こども園には0歳から通園しているお子さまもいます。幼稚園を考えている家庭にとっては、幼児教育を受けながら小さなお子さまとも交流を持てるというメリットが得られるでしょう。
また、幼稚園を希望し、年少から幼児教育を受けさせたいと考えていた保護者のかたの中には、仕事をしなければならず、お子さまが年少に達するまでは、別の場所にある保育所に通うしかないと考えていたかたもいることでしょう。認定こども園であれば通いなれた園でそのまま幼児教育を受けさせられ、転園などによるお子さまの負担を軽減できます。保育所と幼稚園で預かるお子さまたちの情報交換もできますので、お子さまの性格や発達にあわせた環境づくりがしやすくなるのもメリットです。
 加えて、2・3号認定が完全給食である点も見逃せません。給食室が設置されているため、園によっては1号認定でも給食を食べられる場合があります。確認してみるとよいでしょう。
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認定こども園に通うデメリット
 認定こども園に通うことには、以下のようなデメリットもあります。
 まず、認定こども園も幼稚園、保育所と同じように保育料以外にかかる費用があります。私立か公立かによってかかる費用に差があるなど地域によっても異なるため、希望の認定こども園や自治体に確認するとよいでしょう。
 また、公には認定こども園は誰でも利用できることとなっていますが、両親が共働きの場合や一人親世帯などが優先されるため、結果的には「誰でも利用できる」というわけにはいかないのが現状です。とはいえ、その他の家庭のお子さまは入園できないというわけではありません。地域によっても異なりますので、入園前には情報収集をしっかりしておくことをおすすめします。
 申し込みについては、願書配布日、提出場所(市町村なのか、園なのか)、願書以外に必要な書類があるのかなど、きちんとおさえておきましょう。また、合否についても受け付け順なのか、書類・面接後での結果連絡なのかなど、とても重要になりますので確認しましょう。
 地域差はありますが、現在幼稚園・保育所を運営している園が認定こども園に変わっていくケースは多く見られます。なかには私立幼稚園が認定こども園になったことで料金が安くなったり、園によっては完全給食になったりするなど、保護者にとってうれしい状況が生まれているところもあります。
 また、「幼稚園の幼児教育を受けさせたかったけれど、仕事をしているので短時間通園の幼稚園では難しい」と考えて保育所を希望していたというかたや、「幼稚園に入れようと思っていたので仕事を諦めていた」という保護者のかたが、仕事をしながら幼児教育を受けさせられるようになるなど選択肢が広がっていくでしょう。
 細かい点については認定こども園によりさまざまですので、しっかりと情報収集をし、家庭にあった園探しをしてくださいね。