女児の着替えダメ?男性保育士で“波紋”

日本テレビ系(NNN) 2017年1月26日

「男性の保育士に娘の着替えをさせないでほしい」――今、そうした要望が保育所などに寄せられているという。そうした中、千葉市の市長が、男性保育士への差別ではないかとツイッターで問題提起。様々な議論を呼んでいる。
・千葉市は今月、「男性保育士活躍推進プラン」を策定した。男性保育士が活躍することで、男性も積極的に子育てをしていく環境が醸成され、保育の質の向上や子供の健全な成長にもつながると言う考えに基づいたものだ。
・千葉市立の保育所などに勤務する保育士は、去年4月現在、女性が650人に対して男性は50人。プランでは、今は1人もいない男性の保育所長を10年後までに5人に増やすことなどを目標に掲げている。
・なぜ、千葉市は男性保育士の活躍を推進するプランを掲げたのだろうか。その答えは、千葉市の熊谷市長のツイッターにあった。
・「女児の保護者の『(男性保育士に)うちの子を着替えさせないで』要望が通ってきた等の課題が背景にあります」「女性なら社会問題になる事案です」(熊谷市長のツイッターより)
・「娘を男性保育士に着替えさせたくないと言う人は、同様に息子を女性保育士に着替えさせるべきではないわけですが、そんな人は見たことがありません。社会が考慮するに足る理由無しに性による区別をすることは差別です」(熊谷市長のツイッターより)

これに対し、市長のツイッターには反論が―
・「女児の親御さんが同性更衣介添えを望むのは当然の事かと思います」
・実際、これまで千葉市には「できるだけおむつ交換は女性保育士にして欲しい」「プールの時のシャワーは女性保育士にやって欲しい」「男性保育士はいらない」などの声が届いているという。
・男性保育士を乳幼児の着替えやおむつ替えから外すことの弊害について、千葉市長はこう指摘する。
・「いつ何時おもらしをするかもしれない子供に対して、男性がぱっと行ってあげられないということになるので、当然保育現場の中で配慮が必要になるし」「いま保育士も足りない保育現場も大変な中でがんばっているので、保育の負担が現場の負担が増えるということで、保護者全員にとってもよい結果にならないと思う」
・幼児教育の専門家も、男性保育士の必要性をとく。
・「子供は、女性の保育士には温かさや柔らかさがあるから、それはそれとして受け止めるけども、同時に(男性保育士の)パワーも子供にとっては魅力なんです。その両方が必要」「女性だけが育児をしていた社会が日本は長いから、そういう点では慣れない人もいるかもしれないが、そういう目で見てお互いが協力し合っていく。男性保育士はなくてはならない子育ての一部なんです」(元帝京大教授 村山さん)
・千葉市は、保護者の不安払しょくと志ある保育士を守る取り組みを進めていくとしている。

「男性保育士に娘の着替えをさせないで」 仕事で個人を評価する仕組みを

AbemaTIMES 2017年1月26日

「男性保育士にうちの娘の着替えをさせないで」。保育の現場に寄せられる、女児の保護者から着替えや排泄に男性保育士が関わらないようにしてほしいといった要望が通ってきたこと対する千葉市長の問題提起が議論を呼んでいる。
今月19日、千葉市の熊谷俊人市長(38)がツイッターに「女性なら社会問題になる事案です」と訴え、「千葉市は男性保育士活躍推進プランを策定しました」と投稿した。熊谷市長はツイッターで男性保育士の現状を伝えるとともに、業務の幅を広げようと策定した市のプランを周知しようとした。一連の投稿には4800回以上のリツイートされ、議論を巻き起こした。
熊谷市長は「多くの方に関心を持っていただき、感謝しています。男性保育士への理解や応援が多数で有難い気持ちになりました。一方、不安や警戒心を持つ方も少なくないことが改めてわかりました。その気持ちに寄り添い、相互チェック体制など、不祥事を防止する対策を今まで同様に取り組んでいく」とコメントした。
男女共同参画や性別役割分業の問題に詳しい、武蔵大学助教の田中俊之氏は「この問題は丁寧に2つに分けて論じたほうが良い」と話す。
田中助教は、まず「保育士さんは女性の仕事だというイメージがあること自体、少しおかしい」と指摘。男性と女性で生き方が2つに分かれてしまっている現状が背景にあると話し、今回の「男性保育士活躍推進プラン」のように、「男女平等」や性別にとらわれない生き方を推進していこうという意見を批判するのは難しいとする。
だが、考えなければならないもう一つの問題は“性“の問題だ。男性保育士が女児の着替えを行うことが嫌だと感じる保護者がいるように、男性トイレに女性清掃員が、女性トイレに男性清掃員がいることに対し何にも感じない人もいるし、嫌だと思う人もいる。田中助教は「男女平等の問題と、性の問題は分けて考える必要がある」として「敏感な問題を理解してもらい、安心感を得るためには、男性保育士の仕事を見てもらうということが大事ではないか」とした。
現在、千葉市では700人の保育士の中で男性は50人と、全体の7%にとどまっているのが現状だ。田中助教は「男性保育士の数が女性保育士に比べて圧倒的に少ないのも、偏見を助長する要因のひとつ。小さい子どものお世話をするのは女性の役割で、女性は性的な目で見ないだろうという安心感もある。そういうイメージが日本では強い」と話した。
保育や看護の現場では、その業務においてもある種の偏見に基づいた男女差が見られるという。保育士の場合は「力仕事や運動のコーチ役を任されやすい」「仕事が雑と思われる」、看護師の場合は「女性患者の下の世話を断られる」といったような事例だ。
一方、男性の産婦人科医について“性の問題“が取り沙汰されることはあまりない。田中助教は「医師は社会的な地位や、“そういう目では見ないだろう“という安心感があるのかもしれない。だが、保育士もプロフェッショナルには変わりない」と指摘、「男性で丁寧な人もいれば、女性で雑な人もいる。そのひと個人を評価する仕組みをしっかり作らなければいけない。それが実現した時、果たして保育士という職業でこれほど男女の比率が偏るだろうか」と疑問を投げかけた。

男性保育士の女児着替えで大論争 「やっぱり抵抗が…」女性芸能人ら続々

J-CASTニュース 2017年1月26日

男性保育士に女児の着替えはさせないで――こうした保護者の訴えは男性差別なのか、それとも耳を傾けるべき問題提起なのか。ネットで盛り上がりを見せる議論が、芸能人・著名人らを巻き込む大論争に発展している。
このほど千葉市長がツイッターで触れたことを機にネットで関心を集め、J-CASTニュースも関連する記事を配信。その後、複数のテレビ局も同テーマを取り上げるなど関心が高まっている。

男性保育士は「いた方がいい」。しかし…
きっかけとなったのは、千葉市の熊谷俊人市長のツイッター。2017年1月19日、男性保育士活躍推進プランの策定を報告する中で、「女児の保護者の『うちの子を着替えさせないで』要望が通ってきた等の課題が背景にあります」と事例を報告した。その後の追加ツイートを含め、賛否の議論を巻き起こした。
J-CASTニュースでは、こうした経緯やネット上の賛否の声に加え、男性保育士らの関係団体メンバーの意見なども紹介しながら、「男性保育士に『女児の着替えさせないで!』 保護者の主張は『男性差別』か」を1月24日朝、配信した。
24日夜には、TOKYO MXテレビの「オトナの夜のワイドショー! バラいろダンディ」が、ニュースをランキング形式で紹介する「今夜は寝れ9(ナイン)」の3位で、同上J-CASTニュース記事を取り上げた。
男の子を持つ母親でもある、コメンテーターの作家・タレント、立花胡桃さん(35)は、子供の男女に関わらず性的関心の対象になる場合があるとして、保育士が男性だと「心配なワケですよ」と吐露した。しかし、男性保育士でなければできない遊びや仕事もあるとして、男性保育士は「いた方がいい」とも断言。ただし、オムツ替えなどの際には、男性保育士が1人で行うのではなく、女性保育士と2人組で業務に当たることを提案した。
別のコメンテーター、経済評論家・著述家の勝間和代さん(48)は、痴漢被害にあう女性が少なくない現状を指摘し、「女性じゃないと分からない。それ(痴漢被害の現状)を知ってるから嫌なんですよ」と、男性保育士による着替えなどに拒否感をもつ女性に理解を示した。
一方、アシスタントの阿部哲子アナ(フリー)は、「みんながみんな、そういう性癖がある訳ではなく、いい男性保育士もたくさんいるので…」とフォロー。すると勝間さんは、勿論そうなのだが、と受け止めつつ、通勤電車での「女性専用車」を例に挙げ、すべての男性が痴漢だと思っているわけではないが、「あった方がいい」と自論を展開。男性保育士の件でも、何だかの対応策があった方が良いとの考えをにじませた。

「恥じらいが出てくる年齢になると…」
また、1月25日には、朝のワイドショー「スッキリ!! 」(日本テレビ系)も同テーマを扱った。熊谷市長ツイッターを紹介しつつ、男性保育士や保護者らの生の声も伝えた。
6歳の長女ら2児の母であるタレントの大沢あかねさん(31)は、意見を求められ、
「正直言うと、4歳、5歳、6歳くらいの恥じらいが出てくる年齢になると、全く気にならないっていうことはないです」
とし、幼児への性犯罪のニュースを見たりすると、「過敏になってしまう」とも述べた。
一生懸命頑張っている男性保育士が「たくさんいることを信じて」いるともしたうえで、「女親の場合、すごく気になる部分が多い」と、抵抗感を示す声へ賛意を示した。ただ、赤ちゃんの頃のオムツ替えは許容できるとし、子供自身が恥ずかしいと感じる年齢になり、実際にそう感じるようであれば、「(男性保育士による)着替えはやるべきではないと思う」と、問題を限定的に論じた。
一方、MCの加藤浩次さんは、保育園・保育士と保護者との信頼関係の大切さを強調し、「着替えもオムツもOK」と述べた。
賛否が分かれているこの問題。J-CASTニュースの24日記事の下で、「男性保育士が女児の着替えやオムツの世話をすることについて、どう思いますか?」とのワンクリック・アンケート(4択)を実施したところ、翌25日17時時点で、8400票以上が集まった。最多の選択は「全く問題ないと思う」で約72%だった。以下、「少し抵抗を感じてしまう」(約19%)、「絶対に嫌だ。女性だけが担当すべき」(約7%)、「その他、分からない」(約2%)が続いた。