【明日、ママがいない】全国の児童養護施設と里親会が日テレに抗議「人間は犬ではない」

The Huffington Post 2014年01月21日

 日本テレビのドラマ「明日、ママがいない」の内容が「子供の人権侵害だ」として、全国児童養護施設協議会が1月21日、脚本の変更などを求めて、1月21日に都内で会見を開いた。前日に日本テレビに抗議文を提出したという。同協議会には、国内の約600の児童養護施設が加盟している。
 同会の藤野興一会長は「子供の人権を守る砦としたいと思っているときに、真っ向から水をかけるドラマ」と話して放送内容の修正を求めた。同じく抗議した全国里親会・星野崇会長も同席し「人間は犬ではありません」と訴えた。「明日、ママがいない」については熊本市の慈恵病院が16日に放送中止を求めている。ニコニコ生放送によると、2人の会見での発言要旨は以下の通り。

自殺するものが出たらどうしてくれるんだ!
(全国児童養護施設協議会・藤野興一会長)
 児童擁護施設の子供たちは今、虐待を受けていたり、さまざまな事情を抱えています。「本当によくぞ、ここまでたどり着いたなあ」という3万人の子供たちが生活しております。そういう中で、このドラマがいかにフィクションであるとはいえ「お前らペットだ」とか「犬だってお手くらいするわな、泣いてみい」とか、物扱いをされている強烈な場面がある。施設長や職員が、暴力や暴言で子供たちの恐怖心を煽るシーンがあります。僕の施設の子供たちも、高校生は見ていたみたいで、腹が立つと言っていました。女の子は「見るのがしんどい」と言ってました。
 大人はともかく当事者の子供は、本当にこたえますよ。「自殺するものが出たらどうしてくれるんだ!」という思いをしております。私たちはドラマの舞台と思われる地域小規模児童養護施設……。これは定員を6名として、地域でより家庭に近い生活をするということで、一生懸命、そういうものを増やそうとしております。
 確かに施設は、制度的にも立ち後れて、取り残されています。非常にしんどい状況にあります。そんな中で、子供たちも職員も必死で生きている。非常に大きな影響力がある芦田愛菜さんを主演とするドラマに対して、マスコミ関係の皆さんに是非、本当の施設の姿を知っていただいきたい。
 今、まさに政府がやっと四十数年ぶりに動こうとしているときです。そのときに、この舞台となっている小規模児童擁護施設。これを「子供の人権を守る砦」としたいと思っているときに、真っ向から水をかけるドラマだと思っています。正しい姿を。マスコミの方々には特に子ども達への理解を賜って、子供たちの正しい姿を伝えていただき、マスコミの社会的正義を貫いていただきたいと思っております。

「里親として表を歩けなくなりそうだ」という声もある
(全国里親会・星野崇会長)
 「明日、ママがいない」については里親仲間でも話題になっています。今の日本の児童福祉制度が、里親ももちろん一生懸命努力しているところなんですね。いろいろな問題点があります。場合によっては法改正なども求める活動をしておりますが、このドラマはそういう私たちの努力に水を差すものと考えざるを得ません。
 人間は犬ではありません。小動物と一緒くたにするということを、子供に教えちゃいけないんですね。ところが、このドラマは率先して、それを行っている。私ははっきり言って、主演した芦田愛菜ちゃんが、かわいそうですね。彼女は9歳半にして、こういう思想を植え付けられてしまっているんですね。これがどんどん広まってしまうと、メディアそのものが人間の尊厳を無視するようになる。激しい憤りを感じております。
 差別的な発言があまりにも多すぎる。「これでもか」「これでもか」と出てきますが、今でさえ施設の職員や里親は周りの偏見に耐えて生きているわけですね。しばしば、それがトラブルになることもありますが、今回のドラマが放送されたことで差別的な発言が一層広がるんじゃないかと懸念しています。
 子供にとっては大問題です。すでに子供も大人も傷ついております。放映によって、「こういうのをやってくれ」という里親仲間にはあります。しかし、「やめてくれ」という声が多い。「里親として表を歩けなくなりそうだ」という声まであります。小さい子供がドラマを見た場合には、恐ろしい結果になる場合はある。要保護児童たちは親元から離れたということで、相当大きな傷がついているんですね。そうした傷を思い出して、フラッシュバックを起こす可能性が十分にあるんです。そこまで日本テレビはちゃんと十分に準備しているんでしょうね?ということを言いたいです。
 基本的には放映中止にしていただきたいんですが、放映中止にするといろいろ問題も起きるかもしれません。少なくとも言葉の使い方に関しては、差別的な発言や暴言をやめてほしい。もう一度、脚本家も交えて検討し直してほしいと思います。
 過去に実際にあだ名が元で子供が自殺をはかった事例がありますので、それと同じようなことが起きる恐れがあります。「それが起こってからでは遅いんですよ」と日本テレビには言いたいです。

福祉団体“ドラマの表現の改善を求める”
(東京都)

NNNニュース(日テレ) 2014年01月21日

 日本テレビが放送するドラマ「明日、ママがいない」の中で、児童養護施設で生活する子どもを傷つける表現があるとして、福祉団体が日本テレビに対し表現の改善を求めた。  21日、会見を開いたのは、全国児童養護施設協議会と全国里親会。2つの団体は、ドラマが実態とかけ離れているとした上で、子どもをペットに例える発言や、バケツを持ったまま立たせるシーンなどが、視聴者の誤解と偏見を呼び、施設で生活している子どもたちの人権を侵害しかねないと批判した。そして、日本テレビに対し、子どもへの差別や偏見を助長するような表現を改めるよう求めた。  このドラマを巡っては先週、熊本市の慈恵病院が放送の中止などを求めている。  日本テレビは「このドラマは、子どもたちの視点から『愛情とは何か』を描き、子どもたちを愛する方々の想いと、子どもたちがそれぞれの人生をつかみとっていく姿を真摯(しんし)に描いていくものです。制作にあたっては、児童養護施設の子どもたちの尊厳を冒さぬよう配慮するとともに、偏見を助長することのないよう留意しています。しかしながら、このたび『子どもたちへの配慮が足りない』などのご指摘をいただいたことも真摯に受け止め、今後とも内容には細心の注意をはらってまいります」とコメントしている。

トイレ後の手洗い、十分でない疑い…浜松食中毒

読売新聞 2014年1月21日

 浜松市の多数の小学校で発生したノロウイルスが原因の集団食中毒で、市は20日、同市東区の製パン会社「宝福」で製造した食パンからノロウイルスを検出した。
 同社は作業に従事する従業員のマニュアルを改訂する方針だ。一方、給食が中止された市内の公立小、中学校ではこの日、児童生徒らが弁当を持参した。
 同社では工場内の女性用トイレや女性従業員4人からノロウイルスが検出されている。市保健所は立ち入り検査の結果、検品など工場内で手作業をしている際に食パンにノロウイルスが付着した可能性が高いとみている。
 同社の親会社「ヤタロー」の金原きんぱら文孝・統括マネジャーは、従業員がトイレを出る際、アルコール消毒の前に義務づけている手洗いなどについて「十分に行われていたか疑問がある」としており、マニュアルをより細かく、分かりやすくする方針だ。
 浜松市内の公立の小学校、中学校と幼稚園では20日から3日間、給食を中止したため、児童らは弁当を持って登校した。
 浜松市西区の雄踏小学校(鈴木秀志校長)では正午過ぎ、児童らがそれぞれの弁当を広げ、口いっぱいにほおばっていた。急きょ弁当を作ることになった保護者は困惑気味。市内のスーパーに弁当の材料を買いに来た主婦(44)は「早起きして準備しないといけないから大変。早く給食を再開してほしい」と話していた。