特別養子縁組とは?

親が育てられない乳幼児を「実子」として育てる特別養子の制度があるそうだけど、どういうもの?

6歳未満対象 家裁が審判

「特別養子」は、実の親子ではない乳幼児と夫婦が法的に親子関係を結ぶ民法上の制度で、1987年に、児童福祉の観点から創設された。

日本では大戦前から、跡取りの確保を主な目的とする養子の制度がある。婿養子のように成人同士で縁組することは今も多い。ただ、当事者間の合意だけで成立し、望めば縁組解消ができるなど、子どもの福祉が保障される仕組みにはなっていない。

これに対し、特別養子は、6歳未満の乳幼児を対象とし、養親は原則25歳以上の夫婦とするなど、厳しい要件が法律で定められている。養親になりたい夫婦が養子縁組を申し立てると、家庭裁判所が関係者と面談し、養親による養育状況なども調査して、要件を満たしているかを審判する。

実の親の同意の有無や、子どもの利益のため縁組が必要かといった点もチェックされる。縁組が成立すると、養親の戸籍に「長男」「長女」などと記載され、実親との法的関係は消える。縁組の解消は、原則禁止されている。

特別養子が制度化されたのは、73年、宮城県の産婦人科医が、望まない妊娠で生まれた新生児を子どもを望む夫婦に仲介し、実子として偽の出生証明を出していた事件がきっかけだ。その後、親が育てられない子の福祉を最優先した縁組制度を求める議論が高まり、創設につながった。

縁組のあっせんは、児童相談所と、都道府県に届け出をした民間団体が行える。特別養子の成立件数は、89年度の1223件をピークに減り、2011年度は374件。近年は、民間団体によるあっせんが徐々に増えている。

厚生労働省は11年、親が養育困難な新生児は、特別養子縁組を検討するよう全国の児童相談所に通知した。だが、現状では保護された子の8割は乳児院に預けられている。

他方、欧米では、保護された子に家庭を与える目的で養子縁組に積極的に取り組む国が多い。フランスでは、司法や公的機関が縁組に関与する法制度が整備されている。

日本でも特別養子につながる子どもが増えるよう、制度の周知や、縁組を公的に支える法制度の整備が求められている。(樋口郁子) (2013年9月24日 読売新聞)

乳児が虐待され重体、容疑の両親逮捕

東京・町田市で生後10か月の女の赤ちゃんに暴行を加え、大けがをさせたとして、両親が逮捕されました。赤ちゃんは現在、意識不明の重体です。

逮捕されたのは町田市・旭町の理容師、熊谷雄太容疑者(26)と妻の聖美容疑者(26)です。

警視庁によりますと、2人は今月17日から翌日にかけて、自宅で生後10か月の長女・花音ちゃんに対し、頭や腹などを数回、足で蹴るなどの暴行を加え、大けがをさせた疑いが持たれています。

花音ちゃんは病院に運ばれましたが、肋骨を折っているほか、頭がい内出血を起こしていて、現在、意識不明の重体です。

取り調べに対し、妻の聖美容疑者は容疑を認めているということですが、夫の雄太容疑者は「長男がブロックや車のおもちゃをぶつけたからだと思う」と否認しています。警視庁は日常的な虐待があったとみて、捜査しています。

TBS系(JNN) 9月21日(土)12時24分配信

児童養護施設 進む少人数ケア…茨城

家庭にいられない子供が暮らす児童養護施設で、少人数グループに分かれて生活する「小規模グループケア」の導入が、茨城県内でも進んでいる。

今年度中に全19施設中14施設で実施する予定だ。一方、施設の改修費や職員の負担増など新たな課題に、行政の支援拡充を求める声も強まっている。

「一人一人が自分のリズムで生活できるし、職員も子供たちの異変にすぐに気付ける」。今年12月から新しい施設で小規模グループケアを実施する「筑波愛児園」(つくば市)の山口公一園長(65)は、笑顔を見せた。

同園は現在、3~18歳の子供41人が、5~12人の5グループに分かれて生活。1グループを4人の職員で面倒を見ている。これが12月からは子供6~7人に対し、職員3人。新施設は全員に個室が用意され、リビングや浴室もある。「家庭と同じ感覚で暮らせる」のが魅力だ。

国は2012年11月、家庭的な成育環境の整備を目的に、29年度までの完全小規模化を決めた。これまで主に20人以上だった集団生活を改め、原則個室の6~8人によるグループケアや民間住宅などを利用して暮らす「地域小規模児童養護施設」に切り替わる。

しかし、現場からは新たな課題を指摘する声も上がる。

来年度からグループケアを導入する県北の施設長は「6人用設備を1か所増やすだけでも1000万円かかる。初期費用への助成が必要」と訴える。職員も増員しなければならず、全員に個室を設置する施設は、筑波愛児園だけとなる。

県子ども家庭課によると、養護施設は老朽化による改修以外は財政支援をしておらず「小規模化に必要な費用は施設側にお願いしている」のが現状という。

また、職員も宿直回数の増加が想定され、トラブルを1人で処理するケースも多くなるとみられる。筑波愛児園の山口園長は「とにかく人手が足りない。入所者5・5人当たり1人の職員配置基準を『4人に1人』にするなどの改革が必要」と指摘している。

児童養護施設 虐待や育児放棄、保護者不明などで親族との家庭生活が不可能な18歳未満の子供を受け入れる施設。県内は水戸など11市町に19施設(定員計906人)があり、児童相談所が入所の必要性を判断する。今年4月時点の入所率は79・2%。

(2013年9月7日 読売新聞)