明日、ママがいない 批評まとめ

 

明日、ママがいない イントロダクション(日本テレビ)

“今、君の隣にママはいますか?”

 物語の舞台は、児童養護施設
 親の愛から見離された少女たちが集まる

 児童養護施設
 そこは、親のいない子どもたちが暮らす場所
 その数は全国で約600件、生活する児童の数は3万人を超えている
 子どもたちがやってくる理由のほとんどは   虐待だ

 子どもを愛せていますか?
 子どもの声を聞いていますか?

 このドラマは「愛すること」「愛されること」は何かを、
 子どもたちの目線で問いかける。

 「私たち、誰も知らなかった。
 昨日も今日もいたママが、明日にはいなくなるなんて…」

 すべての母親に、これから母親になる全ての女性に届ける

 21世紀で一番泣けるドラマ

このイントロダクションの文言が誤解を招いている。

物語の舞台は、児童養護施設
 明らかに、現実の児童養護施設とは、違う舞台設定であり、「児童養護施設」と断定的に表現していることが誤解を招いてしまう。

親の愛から見離された少女たちが集まる
 これは、ドラマの設定だから仕方ないが、現実の児童養護施設に住んでいる子どもたちが、みんな「親から見放された」子どもと誤解されたら心外である。保護者としても、「仕方なく預けるしか道がなかった」と言う方もいらっしゃる。例え、現実的に「見離された」状態であったとしても、その現実を受け入れられず、親を信じ続ける子どもたちも確かに存在している。

そこは、親のいない子どもたちが暮らす場所
 舞台の年代が分からないが、この表現は、昭和40年代以前でないと当てはまらないが、映像を見る限り、現在を舞台にしている。現在の児童養護施設では、「親のいない子ども」の比率は、低いため、児童養護施設を説明する文章としては不適切である。

子どもたちがやってくる理由のほとんどは   虐待だ
 すごく、断定的な言い回しである。この文言を信じた人は、児童養護施設の子どもたちは、みんな、虐待を受けているんだと捉えてしまう。また、外部の人が面会に来ている保護者を見た時、「あの人が虐待していたんだ」と色眼鏡で見てしまう危険性を秘めている。確かに、措置理由として、「被虐待」もあるが、平成20年の調査では、児童養護施設の場合、53.4%が虐待を受けていたとの結果があるものの、それは、「ほとんど」と言う表現には当てはまらない。

 イントロダクションとは、ドラマの導入部であるが、その導入部に誤りがあります。日本テレビ、そして、スポンサーのみなさんの誰一人として、この誤りに気づかず承認印を押印したのだろうか。
 それが事実ならば、組織のチェック能力を疑わざるを得ないと言えます。