「明日ママ」強気一転し内容変更 背景にスポンサーの強硬姿勢

東スポWeb 2014年1月31日

 社会問題になっている芦田愛菜(9)主演の日本テレビ系連続ドラマ「明日、ママがいない」について同局は30日、内容変更を検討していることを明らかにした。「当たり前だ!」という声も聞こえてきそうだが、一貫して変更を拒否してきた日テレにとっては苦渋の決断。そうせざるを得なかった背景には、関係団体からの抗議や世論の逆風以上に、スポンサーの強硬姿勢があったという――。
「抗議は重く受け止めるが、それは必ずしもストーリーを変えることとイコールではない。最後まで見ていただければ、きちんと理解してもらえると思うし、私もそう現場に指示している」
 これは27日に同局の大久保好男社長が定例会見で述べた言葉だ。児童養護施設を舞台にした同ドラマをめぐっては、「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を運営する熊本市の慈恵病院や、全国児童養護施設協議会などが放送中止や改善を申し入れていたが、同局は謝罪はおろか、一貫して「変更なし」のスタンスを崩さなかった。
 これに同協議会は29日、日テレに内容改善を求める返答期限付きの要望書を送付。この日、同局の佐野讓顯(よしあき)制作局長が都内の同協議会を訪れ、藤野興一会長らと面会し「子供たちが傷ついている」という訴えに「持ち帰って検討する」と回答した。
 日本テレビ総合広報部も「先方からの意見を重く受け止め、期日までに文書で回答する」とした上で、内容変更については「検討中」とコメント。社長会見からわずか2日で一気にトーンダウンした形だ。
 「実は批判の的となっている『ポスト』という主人公の呼び名などの細かい部分は、一連の騒動後に修正済み。物語が進行するにつれ『ポスト』と呼ばれる回数は減っていきます。それを公表しなかったのは、脚本監修を務めるヒットメーカー・野島伸司さんの顔を立てるため。逆に言えば、彼の存在がありながらも内容変更を検討するというのだから、その意味は大きい」(ドラマ関係者)
 急な方針転換の背景には、関係団体からの抗議や世論の逆風のほか、スポンサーの強硬姿勢もあるという。
「定例会見の最中は、社長もスポンサー全8社がCM放映を見合わせたことは知らなかった。会見後にそのことを知り、顔面蒼白になっていたそうです」とは局内関係者。
 29日放送の第3話では、スポンサーCMはすべてACジャパンに替わる異常事態。局内からも「かっこ悪いにもほどがある!」「局外に示しがつかない!」などの批判が飛び出したという。
 決定的だったのは、一部スポンサーから契約見直しの声まで出始めたことだ。提供スポンサー8社は、古くから日テレと良好な関係を築き、CM枠を年間契約する、いわば“お得意様”。今回もCM放映は見送ったが、広告費はきちんと支払われている。
 しかし、その“お得意様”までもが、同局の対応に難色を示しているという。代理店関係者は「スポンサー各社は放送中止は行き過ぎにしても、これだけの反発があるのだから内容改善は考えるべきという意見。通らなければ『これを機に降りてもいい』と。日テレがトーンダウンしたのは、スポンサーへの配慮でしょう。今後、物語が良くなれば、CMが復活する可能性もありますからね」と話す。
 さすがの日テレもここまでの事態になるのは想定外。いまごろ当初の見通しの甘さを悔いているはずだ。

「明日、ママがいない」番組関係者に箝口令か!?

リアルライブ 2014年01月31日

 世間を騒がせている「明日、ママがいない」スポンサー降板事件。15日に放送された第一回で、「赤ちゃんポスト」に預けられた子に「ポスト」というあだ名が付けられたシーンに対して、16日に熊本市の慈恵病院がドラマの内容が視聴者、児童擁護施設関係者への誤解を与え、人権を侵害しているとして日テレに放送中止を申し入れたことがそもそもの発端だ。
 その後、同局が放送継続を決定。この問題に対して、全国児童擁護施設協議会も、20日に抗議書を送付。さらに22日、慈恵病院が放送倫理・番組向上機構(BPO)にも、審議の申し入れを行った。
 この大抗議の影響を受けて、29日に放送された第三話では、提供スポンサー8社がすべて降板。CMはACジャパンに差し替わった。
 事態を重く受け止めた同局は、30日に制作局長らが協議会に訪問。内容改善を検討する意向を表明し、2月4日までに文書で回答する方針を伝えたという。
 そんな中で、「明日、ママがいない」番組関係者の間で箝口令が敷かれているとか。
 「内容変更のことで昨日話していたんですけど、でもちょっとどこにも言えないことになってるんですよね~」(芸能関係者)
 デリケートな問題なだけに外部に情報が漏れることは、御法度。今後の日テレの動向に注目が集まる。

「明日ママ」第3話も内容変えず強気路線 “穴埋めCM”大量オンエア

夕刊フジ 2014年1月31日

 提供スポンサー8社がすべてCM放送を見合わせる異常事態となった、人気子役、芦田愛菜(9)主演の日本テレビ系「明日、ママがいない」(水曜午後10時)。第3話が29日放送され、スポンサー社のCMの代わりに“穴埋めCM”が大量にオンエアされる不思議な放送が繰り広げられた。
 先週22日放送の第2話で3社がACジャパンによる公共広告に切り換えた。全社がCM放送を見合わせた29日は合計10回、ACジャパンのCMがオンエアされた。さらに同局のドラマ番宣CMも繰り返しオンエアされた。
 28日午後、新スポンサーに名乗りを上げた美容整形の「高須クリニック」だったがCMはオンエアされなかった。院長の高須克弥氏は広告代理店や同局に打診していたが、現スポンサーが降板していないのがネックだったようだ。
 ドラマの中身はどうだったか。抗議を申し入れている熊本市の慈恵病院や全国児童養護施設協議会などが問題視しているのが、子供のあだ名やペット扱いの描写。第3話でも、もっとも批判を浴びている、芦田演じる“ポスト”の呼び方は、変わらずじまい。登場人物は全員、そのまま呼び合っていた。
 子供たちが暮らす児童養護施設「コガモの家」の施設長、三上博史のセリフでも、子供たちを脅す言葉が連発。長く施設で暮らす17歳の少女、大後寿々花(20)演じる“オツボネ”が、ある里親候補の家をお金を理由に嫌がると、「ふざけんな! 雨露しのげる家がある、学費も出してくれる、その有り難みもわからないのか? カネだと? お前、年はいくつだ? 来年の春には出て行くんだろ? 失せろ」と罵倒。一方で、その里親候補の家に「家政婦のミタムラです」と名乗る家政婦が登場。同局の大ヒットドラマ「家政婦のミタ」のギャグを盛り込む場面もあった。
 同局は27日の定例会見で、「3話以降もしっかりご覧いただければ、支持していただける方が増えていくと思う。今後の展開で、なぜそのようなあだ名であったのか分かる」(佐野譲顕制作局長)と強気だが、シリアスさを強めた感もあるだけに、批判と注目はさらに集まりそうだ。

「明日ママ」内容一部変更へ 日テレに批判の声「再放送不可能に」

夕刊フジ 2014年1月31日

 日本テレビが人気子役、芦田愛菜(9)主演連続ドラマ「明日、ママがいない」(水曜午後10時)の番組内容を一部変更する方針を打ち出した。実際に変更となった場合、今後の再放送・DVD発売などが行われない“幻のドラマ”化する可能性もでてきた。
 30日、日テレの佐野譲顕制作局長らが東京都千代田区の全国児童養護施設協議会を訪ね、「申し入れを真摯に受け止め、改善を検討したい」と説明した。日テレ総合広報部は「先方からのご意見を重く受け止め、期限までに文書で回答する予定」としている。
 変更タイミングは未定だが、協議会側は子供への暴力・暴言やペット扱いする表現、芦田が演じる「ポスト」などのあだ名をやめるよう求めており、今後はあだ名や、「飼い主に気に入られるようになれ」など過激なせりふがソフトになりそうだ。
 だが、これまで「最後まで見ていただければ」としていた日テレの急な方針転換に批判の声が上がり始めている。さらに、「ミスを認めて変更したとなるとこれまでの放送分はタブーになり、再放送・DVD発売は事実上不可能になる」との声も放送界から上がっている。

「明日ママ」内容変更 日テレの“白旗”がTV界に与える影響

日刊ゲンダイ 2014年1月31日

 ついに白旗だ。
 30日、全国児童養護施設協議会(以下、全養協)がドラマ「明日、ママがいない」(日本テレビ系)の番組内容変更を局と約束したと発表した。この日、日テレ佐野譲顕制作局長ら担当者が都内にある全養協を訪問。「申し入れを真摯に受け止めて、改善を検討したい」と話した。具体的な改善内容、変更のタイミングなど明確な変更点は話されなかったそうだが、来月4日までに届く「回答書」で詳細を提示するという。全養協はこう言う。
「抗議書を出してからきょう初めてお越しいただきまして、話し合いの場を設けました。日テレさんに提出した要望書の中身について話し、<ポストというあだ名><子供たちへの暴力や暴言><子供たちをペット扱いする表現>の3点をやめてほしいということ、被害者が出ているということについて指摘いたしました。日テレさんからは<ストーリー展開として子供たちが力強く生きていけるよう成長するさまを描きたい>といったお話をいただきました。4日の回答書次第ではまた要望を出す可能性もあります」
 当初は「最後まで見て判断してほしい」と強気だったが、結果的に日テレが折れた形となった「明日ママ問題」。決定打となったのは、第3話で提供スポンサー全8社のCM放映見合わせだろう。差し替えとして放送されたうちのほとんどが「ACジャパン」(計10回)。他にも、自社宣伝や「エスエス製薬」「エイブル」などのスポットCMが流れたものの、断続的なAC放映に、「3・11(東日本大震災)がフラッシュバックする影響は考えなくてもいいのか」という声まで飛び出した。
 上智大学の碓井広義教授(メディア論)はこう言う。
「今回の内容変更はスポンサー問題が大きいと思います。タイム枠で買っているわけですから、収入自体はすぐに変わるわけではないが、これ以上もつれると局のイメージが非常に悪くなる。処置を誤ると今後のスポンサー契約にも関わるし、協議会も2度抗議しているということもあって軌道修正したのでしょう。今回の“素材”は、警察や医療現場などとは違った養護施設という一般的には知られていない世界。日テレには、それを扱うことに対する視聴者の反応をイメージする想像力が足りなかったのも大きな要素です。とはいえ、もともとのドラマ全体を検証したいと思っていたので、ある意味、残念です。日テレは<最初はこういうストーリーだったが、こういうふうに修正した>という内容を公表してもいいかな、と思います。打ち切りではないにしろ、<抗議すれば局はドラマの内容を変えるんだ>という実例を作ってしまった。こういった前例ができると、テレビ局は萎縮し、扱うテーマや表現において自主規制をするようになります」
「表現の自由」のお題目も、スポンサーには勝てないという現実をはからずも証明してしまった。