明日、ママがいない 批評まとめ

 

 まず、ドラマ放映に関する状況は、下記の通りです。

1.熊本市の慈恵病院が、日本テレビに放送中止や関係者への謝罪を要請。日本テレビは20日、「放送は継続し、謝罪もしない」と回答した。
 第1話のエンドロールに表示されているが「児童養護施設監修」と言うことで、児童養護施設関係者の名前が挙がっており、番組としては、専門家に確認を取っている事実があり、番組内容を十分に審査したと自負しているのだろう。

 全国約600施設で作る同協議会の藤野興一会長は  中略
 同協議会は、放送前に予告を見た段階から内容を危惧していたという。昨年12月、初回放送分の台本を送ってもらい、読んだ上で日テレに改善を求めた。しかし藤野会長は「検討するという返答だったが、何も変わっていなかった」。台本と放送は場面の入れ替えがある程度で、ほぼ変更はなかったという。
 また、放送直前に日本テレビから、番組ホームページに掲載するため、養護施設の実態、法律を説明する原稿の依頼があったことも明かした。

 「児童養護施設監修」を務めた岡本忠之氏も23日発売の「週刊文春」で「一話と二話の台本を読み、施設の実態とはあまりにもかけ離れていることは、日テレにも伝えました」と証言。それでも同局の方針は変わらなかったという。

2.BPOの担当者は「前例では、放送人権委員会の審議入りの条件は人権を侵害された当人からの申し出があること。今回の場合、その点がどうか」と慎重な構えを見せている。
 BPOは、被害者がでた後でないと機能しないのだろうか、つまり、事故防止ではなく、事故後の後処理を担う団体として機能しているのだろう。

 では、第2話のトピックを箇条書きにする。

・第2話は、とりあえず明るい場面で始まった。第1話は、ホラー映画のような演出だった。
・批判を受けているニックネーム使用は継続中。
・BGMにコミカル風味の音源を使用。番組の雰囲気が変化した。
・里親のファイルを子どもたちに公開している。
・子どもを犬に例えて表現するシーンは継続。
・第1話は、ドンキをメーンにドラマが進行したが、第2話は、ポストメインになっている。
・弁当屋の女性を見つめる施設長さんを表現し、施設長さんにも人間らしい部分があることを演出している。
・ポストが、幼い男の子(バチ)の添え寝をしているシーンで「私が守ってあげる」と優しさを見せるなど、バチへの関わりを通して、ポストの優しさを表している。
・児童相談所の児童福祉司に台詞が増えて、第1話のクールさが少し、和らいでいる。
・ロッカーは、児童指導員の役と考えられるが、業務としての児童処遇をしていない。
・里親さんを良心的に描いている。
・ドンキの演技や表情には、キャラクターの心情がにじみ出てくる演技が上手で、ポストの演技を凌駕している印象であり、主役はドンキであるかのようである。
・第2話は、第1話と比較すると全体的に画面構成が明るくなっている。
・児童相談所の児童福祉司が、子どもがいる場所で、里親さんにケース内容を話しているが、いくら、バチが幼いからと言って、あり得ない。
・第2話の雰囲気で、第1話が構成されていたら、こんなに世間を騒がしていなかったかも知れない。そういう意味では、宣伝力の勝利であろう。
・ペット扱いの台詞回しは、継続している。
・第2話は、バチや児童相談所の児童福祉司などのキャラクター設定の説明的要素もあった。
・第1話と第2話で施設長のキャラクター設定にギャップがあり、ポストを通して、施設長も変わっていく様子を垣間見せている。

所感

 第2話は、明らかに第1話とは違う雰囲気のドラマ構成であり、ニックネームに関して以外は、デフォルメ的要素もそれ程過度ではなく、子どもたちに見てもらいたいと思えるようなドラマに仕上がっています。
 第2話を見せられたら、少なくとも児童養護施設関係者側は、沈静化していくことでしょう。
 しかし、第1話は、放映されたのです。放映後も1週間無料配信されています。その影響は、計り知れません。番組ホームページのイントロダクションも間違いを正していません。
 話題作りに長けていた日本テレビの思うつぼに視聴者や関係者ははめられたままの状態であることに変わりはありません。
 第2話を批評するとすれば、普通のドラマです。