人が生きていくためには経費が掛かります。では、ドラマの状況から、どの程度の経費が掛かるのか模擬的に算出してみます。
 このドラマ中のグループホームは、その運営内容から、まず、社会福祉法人の法人格を取得することは不可能です。法人格がなければ、福祉施設として自治体から認可を受けることは出来ません。(NPO法人や一般社団法人等で法人格を取得している可能性はありますね。)
 従いまして、国や自治体からの補助金を受けることはありません。運営者の財産取崩や寄附金収入によって、運営していくことになります。
 では、実際、1ヶ月どの程度の経費が必要なのか。施設長は、無給で建物は資産、自動車は施設長の自家用車として、最低限の経費を算出してみます。

ロッカーに掛かる人件費(短大卒レベル)
 基本給 189,000円
 諸手当 40,000円
 社会保険 28,000円(事業所負担分)
 人件費計 257,000円

生活費・教育費他の子どもに掛かる経費
 高校生1名 84,000円(公立高校)
 小学生6名 342,000円(公立小学校)
 幼児 1名 62,000円(私立幼稚園)
 生活費計 488,000円

運営を維持するために掛かる経費
 家賃 0円(土地建物に固定資産税が掛かる)
 水光熱費 64,000円
 通信費 10,000円
 事務費 10,000円
 事務費計 334,000円

 1ヶ月計 829,000円

 1ヶ月に必要な最低限の経費額は、829,000円程度と算出されました。
 *ロッカーは住み込みのようなので宿直手当あるいは住み込み手当が必要、超過勤務手当も時間数が多いと予測出来ますが、算定には入れていません。
 運営者の施設長は、元警察官(公務員)で退職金も含めて、ある程度の蓄えがあるとしても、年間10,000,000円以上掛かる経費負担が可能とは考えられません。
 施設長は、実は、大金持ちの家の御曹司で、財産がある。あるいは、資産家が寄附金として必要な金額を支援しているなどのドラマ上の設定が必要ですね。
 このドラマは、フィクションなので、もちろん、運営経費などの細かいことを考慮に入れる必要性はないかも知れませんが、「物語の舞台は児童養護施設」と断言しているのであれば、常識的な整合性は考慮に入れるべきでしょう。