住民票を有する全ての人に1人1つの番号(12桁)が通知されます。市区町村から、住民票の住所にマイナンバーの通知カードが平成27年10月以降、送られてきます。
番号が漏えいし、不正に使われるおそれがある場合を除き、マイナンバーは一生変更されません。
平成28年1月以降、税・社会保障・災害対策の分野で行政機関に提出する書類にマイナンバーを記載していくことになります。
以上が、ご承知の通り概要になりますが、児童養護施設にも関わってくる部分があります。

児童養護施設従事者
いわゆる事業所の従業員ですので、年末調整、市民税、社会保険、雇用保険等で、関わってきますが、事業所が、各従業員から、マイナンバーの提供を受け、管理していくことになります。マイナンバーの安全管理について、セキュリティ対策を講じていくことになります。

児童養護施設児童
児童養護施設所在地に住民票のある児童については、児童養護施設に通知カードが届きますが、下記の場合、疑問が生じてしまいます。

・児童養護施設所在地に住民票のない児童については、児童養護施設に届かない。
・稀ではあるが、戸籍のない児童については、通知カードが発行されないのではないか。
・被虐待児対応で、所在を秘匿するため住民異動を行っていない場合、住民票のある場所に通知カートが送付されてしまうが、トラブルにならないか。
・平成28年1月以降に、通知カードから個人番号カード(写真付)に各人が申請し、切り替えていくことになりますが、措置児童については、どのように取り扱うのか。ちなみに強制はされていません。ただ、切り替える場合、20歳未満は、容姿の変化を考慮し、5年ごとにカードの更新が必要になるようです。
・高校卒業退園時に、個人番号カードへの切替支援を行うのが現実的と考えられます。

通知カードの取り扱いについては、児童養護施設の場合、措置権者である自治体首長が管理の責任を負うのか、児童養護施設長が管理の責任を担うのか、どちらになるのか。
現実的には、児童の通知カードは、各児童養護施設の金庫にて厳重に保管すると考えられます。

セキュリティ対策
マイナンバー制度には罰則規定があり、目的外利用の禁止、提供の求めの制限、本人確認の措置、情報の安全管理等について、懲役4年以下、または、200万円以下の罰金が科せられますが、セキュリティ対策には、経費が掛かります。

・信頼できる実務管理者が必要。(多分、労務管理に携わる事務員が担うと考えられる)
・マイナンバーが紙書類に記載されていれば、保管期間(約7年間)について、施錠できる場所に保管する必要がある。
・事務員パソコンや社内サーバーで管理している場合、外部からの不正アクセスについてのセキュリティ対策を強固にしなければいけません。ハード的には、統合脅威管理(UTM)の導入、ソフト的には、ウィルス対策ソフトの導入が挙げられます。
・児童の通知カードの管理責任者が措置権者である自治体首長の場合、各児童養護施設に任せっきりでは、リスク管理として危ういのではないのか。
・USBメモリー等から、不正プログラムが侵入する場合もあるので、その取り扱いについての管理規定を整備する必要性が求められる。

以上が主な疑問点ですが、これらは、民間の児童養護施設単体で解決できるレベルではないため、自治体としっかり協議し対応策を講じていく必要に迫られています。