難病患者負担 「20歳の壁」解消前進 患者ら「この額なら頑張れる」

産経新聞 2013年12月14日

 厚労省が13日に示した難病対策の最終案は10月の当初案に比べ、大幅に患者の負担が軽減される内容となった。一時は高額な負担額を示され、不安を抱えてきた患者らは「この額であれば頑張れる」と安堵(あんど)の声をあげる。子供の負担額は大人の半額とする小児慢性疾患の制度見直し案も併せてまとまった。小児のうちは助成を受けられながら、成人すると支援から外れてしまう「20歳の壁」問題の解消にもつながりそうだ。
 「子供のころに発症する難病も多く、負担が大人の半分になるのは本当にありがたい」。これまで難病、小児慢性疾患ともに支援の対象から外れてきた「クリオピリン周期熱症候群(CAPS)」患者・家族の会の戸根川理登さん(41)は感想を述べた。
 戸根川さん方は娘の貴理(きり)ちゃん(8)が1歳になってまもなく難病を発症した。症状を抑えるために1本130万円もする注射を毎月打ち続けなければいけない患者も多く、高額療養費制度を使っても負担は大きかった。
 現行の難病の制度では、医療費助成の対象が56疾患に限られている。児童福祉の観点から、幅広く対象を決めていた小児慢性疾患では助成対象になりながら、成人すると支援から外れてしまうケースもあり、子供の将来を懸念する親も多かった。
 厚労省は56疾患を約300に拡大する方針で、紫外線に当たるとやけどをしてしまう「色素性乾皮症」や、睡眠時などに呼吸機能が低下する「先天性中枢性低換気症候群」など現在は小児のみが助成対象の疾患が難病指定されれば、こうした「20歳の壁」問題の解消にもつながる。
 NPO「難病のこども支援全国ネットワーク」の小林信秋会長は「小児慢性疾患の子供は現在11万人おり、うち難病患者は3割強。こうした子供たちが成人後も支援を受けられるのは一定の成果だ」という。難病対策委員会の委員の一人で、日本難病・疾病団体協議会の伊藤たてお代表理事は、委員会終了後に会見し「対象疾患が大幅に増えることも含め、世界的にも通じる難病対策になるのではないか」と意義を強調した。
 新制度では医療費助成のみならず、新薬開発の推進や軽症患者の就労支援なども盛り込んだ。いまだ治療薬のない「遠位性ミオパチー」患者会の織田友理子代表代行(33)は「難病の研究開発を本気で進めようという意気込みが伝わってくる」と喜んだ。
 全国膠原病(こうげんびょう)友の会の森幸子代表理事は「膠原病には約20種ある。現在はそのうち約半分しか医療費助成の対象になっておらず、支援内容に差があった。こうした問題が解消されることを期待している」と述べた。

横浜サンタ集まれ~、500人が福祉施設で奉仕活動/神奈川

カナロコ 神奈川新聞社 2013年12月14日

 クリスマスに真心をプレゼント-。サンタクロースに扮(ふん)して、奉仕活動にあたる「横浜サンタプロジェクト」が14日、横浜市西区のみなとみらい21(MM21)地区などで繰り広げられた。市内の企業やNPO法人などでつくる実行委員会の主催で5回目。
 同市西区のパシフィコ横浜円形広場では、500人を超すサンタが一堂に会し、決起集会が開かれた。赤で埋め尽くされた会場で宣誓などが行われ、約30台のオープンカーなどに分乗して出発。市内の児童養護施設や地域ケアプラザなど6施設を訪れ、清掃活動に汗を流したり、施設を利用する子どもたちにお菓子や玩具を贈ったりした。
 実行委員長の荒井由梨さん(25)は「今年から中華街も加わるなど、年々参加者が増えている。好きな横浜で気軽に社会貢献できる場をつくりたい」と話していた。

福祉施設暴行 保護者会で批判相次ぐ

読売新聞 2013年12月14日

 知的障害児らが入所する県立福祉センター「養育園」(袖ケ浦市蔵波)で職員が入所者に暴行していた問題で、施設を運営する県社会福祉事業団は13日、臨時の保護者会を開いて謝罪した。保護者からは「なぜ職員から虐待の報告があがってこなかったのか」などの質問が相次いだ。県は、同事業団の管理体制に問題があったとして、同園のほかに同事業団が運営する6施設へも近く立ち入り検査に入り、ほかにも暴行がなかったかどうかを調べる方針。
 同日夜に非公開で行われた保護者会には、約30人の保護者が出席した。
 終了後、記者会見した武田逸朗施設長らによると、同事業団の近藤敏旦理事長が「利用者と家族に心配をかけたことをおわびしたい。原因を究明し、二度とないよう再発防止に努めたい」と謝罪した。保護者からは「虐待の情報を隠しているのではないか」「職員の資質の問題ではなく、管理運営の問題ではないか」「本当に理由のない暴行だったのか」などと批判が相次いだ。また、監視カメラ設置の要望の声も寄せられたという。
 会見では、暴行を受けた10人のうち1人の家族から2011年8月に、虐待を疑う問い合わせを受けていたことを明らかにした。武田施設長は「指摘後に目撃情報などを集め、検証した結果、入所者の過失で虐待ではなかった」と説明した。
 一方、この日開かれた県議会健康福祉常任委員会でも批判が相次いだ。
 赤間正明県議(公明党)は「暴行が日常的に行われていたのではないか。当事者に『虐待をしている』という意識があったのか疑問だ」と指摘。県の山田勝土障害福祉課長は「職員の支援技術、虐待防止の基礎的な理解が欠如していた。施設幹部が部下の行動を把握しておらず、チェック体制も機能していなかった」と述べた。
 県などによると、「養育園」では、7~26歳の男女78人(定員80人)が、障害の種類や性別に応じて五つの居住棟に分かれて生活していた。
 このうち、暴行があった第2寮では14人が生活。担当する職員は13人で、全員が男性。平均年齢は30歳代前半で、20~30歳代の職員が多いという。施設によると、第2寮の入所者の障害は重く、契約職員の日給も上乗せされる。
 職員13人のうち、暴行を認めた5人は、3人が正規職員で2人が契約職員。勤続年数は、最も長い職員で約9年で、1年未満の職員も1人いた。施設の職員は2~3年で異動し、他の施設での勤務に移るという。
 この問題で、県議会の同常任委は、20日予定の議会閉会後も委員会を開催することを賛成多数で決めた。