横浜市 児童虐待、過去最多ペース

タウンニュース泉区 2013年12月19日

 横浜市が11月に発表した2013年度上半期(4〜9月)の児童虐待対応状況によると、市内の児童虐待把握件数は前年同期比76件増の514件で、1993年度の調査開始以来、最も多くなった。市では年間でも初めて1千件を超え、過去最多になるとみている。
 この調査は市が児童相談所における児童虐待の対応状況をまとめたもので、上半期では新規虐待把握件数、相談・通告件数ともに過去最高を更新した。市では「上半期の件数を倍にして13年度の推計を算出すると、年間でも最多になる可能性が高い」と分析している。
 市は、社会的関心の高まりから近隣住民や友人などからの通報が増えたことが発見に結びついているほか、核家族化の進行が件数増加につながっているとみている。子育ての悩みや不安などへの助言を祖父母から聞く機会が減ったことで孤独感と閉塞感が募り、虐待という形で子どもに向かうケースが多いという。
「心理的」が種別トップ
 種別にみると、激しい叱責などにより心を傷つける「心理的虐待数」が最多の232件となり、「身体的虐待数」177件を初めて上回った。食事を与えないなどの「ネグレクト」(育児放棄)が94件、「性的虐待」が11件と続いた。虐待者別件数は「実父や実父以外の父」が255件と、「実母」243件を初めて逆転した。
 種別と虐待者別件数で逆転が起こった理由について市は「5年前から父親が母親を虐待する姿を見た子どもを心理的虐待を受けたとして認定しているが、DV(ドメスティック・バイオレンス)の増加と比例して心理的虐待の件数も急増している。そのためでは」と話している。
未然防止策を強化へ
 市では児童虐待防止のチラシを配布するなどの啓発活動を行っているほか、被害にあった子どもを一時保護所などで見守るなどの対応をしている。今後の課題は虐待の未然防止だ。市は10月に産後間もない母親の孤立化を防ぐことなどを目的とした、産後母子ケア強化の事業をテストケースで開始した。「育児不安が強く支援が必要」などの市が定めた条件を満たした市民が対象。心身共に不安定になりやすい産後4カ月までの期間に、市が指定した助産所を低コストで最大7日間まで利用できるようにした。市は「母親の心身ケアを専門性の高い助産師にまかせることで、育児不安解消につなげたい。今後も、母親を孤立させない取り組みを実施していきたい」としている。

親の虐待など 悩む10代後半向けに居場所

読売新聞 2013年12月19日

 親から虐待を受けるなど家庭に居場所のない10歳代後半の子供を受け入れる県内初の「子どもシェルター」が来年、設置される。
 自身の体験から、子供を支える仕事をしようと弁護士になった安井飛鳥さん(29)など弁護士や児童福祉の専門家らが準備を進めている。
 シェルター(避難所)は社会福祉法人やNPO法人が、一般の住宅に10歳代後半の子供たちを短期間受け入れ、親権者への対応や自立の手助けをする。運営団体は、児童自立生活援助事業として国から運営費の補助を受けられる。
 東京都や神奈川県などにシェルターが設置されているが、背景には10歳代後半の子供の受け入れ体制が十分でないことがある。
 市原市出身の安井さんは、子供の頃、母子家庭で育ち、寂しさや居場所のなさなどを感じていたことから、「将来は、子供に寄り添った仕事をしたい」と思い続けていた。
 大学時代には学童保育クラブの臨時職員などとして働いていたが、行政の枠組みだけで子供を支援する限界も感じ、個人で幅広い支援の可能な弁護士を目指し、司法試験に合格。司法修習生時代にシェルターの存在を知り、「これがやりたいこと」と思ったという。
 「私たちの年齢だと家を出てもいる場所がない。シェルターのような居場所を多く作ってほしい」。東京都内でシェルターを運営する社会福祉法人「カリヨン子どもセンター」で研修を受けた際、入居する10歳代後半の女性の言葉が今も心に残る。
 シェルターの設置に向け昨年12月、安井さんを含む弁護士や児童福祉の専門家、教育関係者らがプロジェクトチームを結成し、準備を進めてきた。
 既に県内の民家を借り、来年6月頃をめどに女子対象のシェルターの設置を目指している。入居者は、専従の職員2、3人とともにシェルターで数か月間程度、生活する。運営は、NPO法人認定申請中の「子どもセンター帆希(ほまれ)」が担う。
 将来的には、男子向けのシェルターや20歳未満で児童養護施設を退所した子供などが共同生活する自立援助ホームの設置も視野に入れる。安井さんは「現行制度の支援から外れた子供の様々なニーズに応えたい」と話している。
 NPO法人の設立にあわせて1月25日午後1時半から、シンポジウム「子どもシェルター~居場所のない子どもたち~」が千葉大(千葉市稲毛区)のけやき会館大ホールで開かれる。入場無料。
 (石川純)

田辺市の児童養護施設に天皇陛下から御下賜金

WBS和歌山放送ニュース 2013年12月18日

 今月(12月)23日の天皇誕生日を前に、全国67の民間の社会福祉事業者などへ天皇陛下から御下賜金が贈られました。このうち、和歌山県からは田辺市(たなべし)の児童養護施設「ひまわり寮」が選ばれ、きょう(18日)午後、和歌山県の仁坂吉伸(にさか・よしのぶ)知事から伝達されました。
 御下賜金は、天皇陛下のお考えで贈られるもので、社会福祉施設や在宅福祉事業を行っている、創立5年以上の事業経験を持ち、過去5年間に御下賜金を受け取っていない事業者や施設の中から、特に優秀なところへ贈られます。
 今年度、和歌山県から選ばれた田辺市の児童養護施設「ひまわり寮」は、1955年(昭和30年)に開設し、1974年(昭和49年)に社会福祉法人ひまわり寮として認可されました。
 そして3年前(2010年)和歌山県福祉事業団と法人合併し、現在は28人の児童が入所しています。
 きょう午後、県庁・知事室で仁坂知事からひまわり寮の宇治田文彦(うじた・ふみひこ)理事長に、御下賜金と宮内庁からの伝達署が手渡されました。

無届けの保育施設で乳児死亡、遺族が提訴へ

News i-TBSの動画ニュース 2013年12月18日

 無届けで営業していた群馬県の保育施設で赤ちゃんが死亡する事故があり、遺族が近く、施設側や施設の開業を指導したNPO法人などに対し、損害賠償を求め、東京地裁に提訴することがわかりました。
 生後わずか4か月で亡くなった馬場苺果ちゃん。去年12月、両親が預けていた群馬県の保育施設で亡くなりました。深夜に迎えにいった両親が異変に気づき、救急搬送されましたが、手遅れでした。
 「だっこしたときには冷たくて、預けたときの自分の子どもじゃなくて」(苺果ちゃんの母親)
 両親はその後、苺果ちゃんを預けていたのが無届けの施設だったことを知ります。1日の保育人数が6人以上の場合は都道府県への届け出が児童福祉法で義務づけられていますが、施設はこれに違反、さらに保育士を1人も雇っていなかったことが、群馬県の調査でわかったのです。当時、施設では14人の子どもを預かっていて、施設の責任者は「全員寝ているように見えた」と話したということです。両親は損害賠償を求め、東京地裁に提訴することを決めました。
 「娘を返してほしいんですけど、無理なことなので、(施設側には)悔い改めてほしいですね」(苺果ちゃんの父親)
 遺族側は、都内にあるNPO法人が施設の開業を指導し、名義を貸しているとして、あわせて提訴する方針です。このNPO法人が名義を貸している千葉県の保育施設でも、おととし、生後4か月の赤ちゃんが寝ている最中に死亡する事故が起きていて、こちらの遺族も同時に提訴するということです。