金沢市で新生児置き去り 生後1日、聖霊病院聖霊愛児園に タオルに覆われ、健康状態は良好

北國新聞社 12月9日(月)

 9日午前7時10分ごろ、金沢市長町1丁目の児童養護施設「聖霊病院聖霊愛児園」の玄関付近で、毛布にくるまれた生後間もない男の赤ちゃんが置き去りにされているのを、入所男児が見つけ、女性職員を通じて金沢東署元車交番に通報した。赤ちゃんの健康状態は良好で、同園に隣接する金沢聖霊総合病院で応急措置を受けた。金沢東署は保護責任者遺棄の疑いで調べている。

 金沢東署によると、赤ちゃんは生後1日ほどで、身長約45センチ、体重2860グラム、体温は36度台前半だった。タオルとTシャツで覆われ、さらにフリースの膝掛けとコートにくるまれていた。へその緒は付いたままで、医療機関で出産した可能性は低いとみられる。

 赤ちゃんの体に茶封筒が載せられ、中には現金1万円が入っており、表紙には手書きの片仮名で「オネガイシマス」とのメッセージが記されていた。

 同園に入所している10代男児が登園しようとした際、施設玄関前の風除室で、あおむけで寝かされている赤ちゃんを見つけた。赤ちゃんは応急措置を受けた後、同病院で保護されている。

 同署は、8日夜から9日朝の間に置き去りにされたとみて、コートや毛布の取扱店のほか、付近の防犯カメラの映像を調べる。

 金沢東署は9日、戸籍法に基づき、山野之義金沢市長に通告した。

子ども虐待、社会的損失は年1.6兆円 家庭総研まとめ

朝日新聞デジタル 12月9日(月)

【大久保真紀】子ども虐待によって生じる社会的な経費や損失が、2012年度で日本国内では少なくとも年間1兆6千億円にのぼるという試算を、日本子ども家庭総合研究所の研究員がまとめた。子ども虐待の社会的コストは欧米では公表されてきたが、日本では初めて。

 試算したのは、和田一郎・主任研究員。社会的コストは、

(1)虐待に対応する児童相談所や市町村の費用、保護された子どもが暮らす児童養護施設などの直接費用

(2)虐待の影響が長期的にもたらす生産性の低下などの間接費用の二つに分けられ、直接費用は1千億円にとどまった。

 間接費用としては、自殺による損失▽精神疾患にかかる医療費▽学力低下による賃金への影響▽生活保護受給費▽反社会的な行為による社会の負担――など様々な項目について、他国の研究事例を参考にしながら推計した結果、社会的損失は計1兆5336億円になった。