「校納金」負担減を模索 福岡市 節約や行事見直し 市教組 就学援助率上昇受け

西日本新聞 2014年3月8日

子どもの貧困を考える

 生活が苦しい小中学生を対象に、自治体が給食費や学用品代を支援する就学援助制度を利用する家庭が増えている。貧困世帯の増加が背景にあり、4月からの消費税率アップも家計を直撃しそうだ。義務教育にもかかわらず発生する私費負担をどう軽減していくのか。福岡市の学校現場を例に考えてみた。 
 今でも思い出すと切なくなる。福岡市内の小学校で事務職員を務める女性(45)は、十数年前に経験した出来事が忘れられない。
 習字道具を毎回忘れる男児がいた。担任が注意しても改まらない。その子が就学援助を受けていたことを知っていたので、事情を聴いてみると…。
 「赤のケースやけん、ばかにされるから」。中学生になった姉のお下がりで、母親から「これで我慢しなさい」と言われていた。
 ただ、黒や青のケースを買ってほしいとは言えなかった。家計が厳しいことを心配していたからだ。「生活が苦しいからといって学ぶ場で子どもたちに寂しい思いをさせたくない」。その女性は心に誓った。

 小中学校では「校納金」という形でさまざまな私費負担が生じる。義務教育だから学校生活の費用は全て公費で賄うべきだという考えもあるが、財政難の自治体は予算が潤沢ではない。
 そこで福岡市の場合、教職員組合が2012年度から、庶務や財務を担当する学校事務職員が中心となって、校納金の徴収を抑える取り組みを続けている。
 例えば、筆や文鎮を持ち帰る習字道具セットは「個人的に使える」との理由で私費負担になっていた。このうち筆などを単品で学校が一括購入し、授業の時だけ提供すれば備品として公費で賄える。音楽鑑賞で有料コンサートに連れていく代わりに、警察や消防の音楽隊に頼めば無料で済む。
 市教組の担当者は「思いついた節約術は何でもやってみる。よければ学校間で情報共有する。1円でも私費負担を少なくしたい」と力を込める。

 文部科学省によると、就学援助制度の支給対象者の割合は12年度に15・64%となり、過去最高を更新。1995年度の調査開始以来、17年連続で上昇した。
 一方で2014年度以降、援助対象が徐々に狭まることが懸念される。支給対象の基準となる生活保護制度の「最低生活費」を、国が昨年夏から段階的に切り下げているからだ。
 就学援助制度の対象は世帯の年収で決まる。福岡市の場合、4人家族で最低生活費(基準額)の1・25倍となる年収450万円以下が受給ライン。市学事課は「(激変緩和措置で)14年度は引き下げないが、15年度以降はどうなるか分からない」という。
 家庭の経済状況に左右されない義務教育の環境をいかに守るか。長崎大の小西祐馬准教授(児童福祉)は「各自治体は教育の機会均等を保障してきた就学援助の役目を十分に認識し、その機能を後退させるのではなく、利用しやすい制度にしていくことが求められる」と指摘している。

就学援助制度
 学校教育法19条に基づき、経済的に困窮している家庭の小中学生に市町村が費用を支給する。授業で使う画板やテストなど学用品代や給食費、修学旅行の積立金などが援助される。文部科学省によると、2012年度に生活保護を受ける「要保護世帯」と生活保護を受けていないが生活が苦しい「準要保護世帯」の児童・生徒は全国で155万2023人。「三位一体の改革」で05年度から準要保護世帯の就学援助費への国庫補助が廃止され、財政難から認定基準を厳格化する自治体が出ている。

中高生、寝る前のケータイ控えて 厚労省睡眠指針11年ぶり改定

日本経済新聞 2014年3月8日

 厚生労働省は、心身の健康と密接に関わる眠りの質を向上させようと2003年に策定した「睡眠指針」を11年ぶりに改定する。近年の国内外の研究結果などを基に、同省検討会が今月下旬にも改定内容を取りまとめる予定で、中高生の就寝前の携帯電話使用が夜型の生活を促進するとして新たに注意を促す。
 改定案は従来の指針をベースに、忙しくて寝不足の勤労者には昼寝を勧めるなど、(1)若者(2)勤労者(3)高齢者――の3グループそれぞれの特徴に応じ、良い眠りのためのアドバイスを盛り込んだ。
 中高生ら10代の若年世代向けには「頻繁に夜更かしをすると体内時計がずれていく」として規則正しい生活の大切さを強調。朝目が覚めたら日光を浴びて体内時計をリセットするよう呼び掛けている。スマートフォンの普及を踏まえ「寝床に就いた後に携帯電話を使ったり、ゲームをしたりして活動すると夜型化を招く」としている。
 20代~60代前半の勤労世代向けには「睡眠不足が長く続くと疲労回復は難しくなる。毎日必要な睡眠時間を確保することが大切」と指摘、仕事中に眠気が生じる場合は20~30分の昼寝が効果的とした。仕事のない週末に「寝だめ」をすることについては、別添資料で成人の実験結果を紹介し「決して無効ではないが、睡眠不足に伴う疲労の回復には不十分」とした。
 60代後半以上の熟年世代には、夜間に眠ることができる時間が加齢とともに短くなる点を指摘。「無理に長時間眠ろうと寝床にとどまることはかえって睡眠の質を低下させ、熟睡感が減る」とし、日中に適度に体を動かすなどメリハリのある生活を呼び掛けている。
 このほか、リラックスしてスムーズに寝付くこつとして(1)ぬるめと感じる湯温でゆったりと入浴する(2)夕食後はカフェインを含むコーヒーや緑茶、ココア、栄養ドリンクの摂取を控える――などを挙げている。

勤務中のゲームに「減給」法的な判断基準はどこに?

シェアしたくなる法律相談所 2014年3月8日

 多摩市の59歳男性職員が、勤務中にも関わらず定期的にパソコンをしていたということで減給処分を受けたそうです。
 当該の職員は課長だそうで、その立場を考慮して多摩市の条例で定める減給処分の中では最も重いものになったとのことです。
 公務員の懲戒処分の種類には、重い順に、免職>降任>停職>減給>戒告があります。ちなみに、今回発動された「減給」処分は、国家公務員の場合は人事院規則で、1年以下の期間、俸給の5分の1以下を減額する規定になっています。
 裁判所が口うるさく介入してくるのは、免職の場合だけです。つまり、免職により職を解かれ、生活が脅かされることになりますので、免職は最終手段にすべきであり、人事権の裁量権に口を挟んでくるのです。
 逆に言いますと、それ以外の懲戒処分については、裁判所は殆ど口を挟んできません。人事権の裁量をほぼ完全に認めます。

減給はまだまだ軽いほう?
 本件では、減給というのは、軽い方から2番目であること、戒告で済ますには「課長」という身分では他の職員に示しがつかないこと、課のトップが仕事中にパソコンゲームをすることで他の職員への労働意欲に及ぼした悪影響等から考えて、妥当な判断であろうと思います。
 実際の処分も6ヶ月間、給料の10%をカットするというものですから、先の人事院規則の範囲内(期間も減額も規定の半分)ですので、もし裁判になったとしても妥当な処分との判決がでるものと思われます。
 基本的に、裁判所は懲戒処分を行う場合の原則として、軽い方から順序を踏め、と言います。
 これがもし平の職員であれば、おそらく戒告処分が妥当だったのだろうと思いますが、だからといってこの平社員が懲戒処分の不当性を裁判所に訴えたとしても、裁量権の逸脱を認めるような判断にはならないだろうと思います。

抽象的な就業規則はトラブルのもと
 懲戒事由については、公務員だろうと、民間だろうと就業規則の中に具体的に書かれています。
 自らの身を守るためには、懲戒事由について熟知し、もしその表現が抽象的で何でも解釈で落とし込めてしまいそうなものについては、常に上司に確認を取るなど、不当な懲戒権の行使がされないようにしていくしかないと思います。
 トラブルになるのは、労使ともにこのような抽象的な規定を巡ってです。
 具体的なケースにおいて懲戒事由にあたるか疑問を生じたときには、雇用主は必ず顧問弁護士に相談をして、被雇用者は身近な相談に乗ってくれる弁護士に相談をして、過去の判例に照らして懲戒事由にあたるかどうかの法的な見解を聞く努力をすることを強く勧めます。

20代女性の結婚願望高まる 厚労省が調査

NHKニュース 2014年3月6日

 結婚願望のある20代の若者の割合は、男性は10年前と変わらず62%でしたが、女性は76%と6ポイント近く高くなっていることが、厚生労働省の調査で分かりました。

 厚生労働省は、おととしから全国の20代の男女、3万人余りを対象に、結婚や出産それに働き方の変化を10年間に継続的に調べる調査を始めていて、6日、おととしの結果を公表しました。
 この中で、学生を除く独身の男女およそ1万7600人に、結婚の意欲について尋ねたところ、「ある」と答えたのは、男性が61.9%、女性が75.6%でした。
 これは、10年前に20代を対象に行われた別の調査と比べると、男性は変わりがありませんでしたが、女性は6ポイント近く高くなっていました。
 また、交際している異性がいるかどうか尋ねたところ、いると答えたのは、男性が25.5%、女性が37.2%でした。
 雇用形態でみると、交際相手がいると答えたのは、男性は正規雇用で30.7%、非正規雇用で18.7%、女性は正規雇用で41.6%、非正規雇用で34.1%と、男女とも非正規雇用のほうが交際相手がいる割合が低くなっています。
 女性の結婚願望が高まっていることについて、厚生労働省統計情報部の越路幹男管理官は「晩婚化が進んでいる一方で、この10年、経済状況が思わしくないことなどから特に女性で安定を求める傾向が強まっているのではないか」と話しています。