埼玉・男児遺体 資格不要、届け出無用 「シッター派遣」サイトも乱立

産経新聞 2014年3月17日

 厚生労働省によると、ベビーシッターは保育士などと異なり、国家資格の必要はなく、自治体への届けも不要で、自由に開業することができる。ネット上では「シッター派遣業者」「シッター紹介サイト」が乱立するが、「保育経験がない素人が行っているケースも多い」という。専門家は「どのシッターを選ぶかは親の責任。『安いから』などと安易に決めることは避けてほしい」としている。
 「長年の経験を活かしそのお子さん、そのお子さんにあったサポートをして活動しております」。死亡した男児を預かっていたとみられる「シッターズネット」(本部・横浜市)はサイトでこう銘打ち、客を募っていた。入会金は2万5千円で、年会費は1万5千円。午後7時半~翌午前7時半の夜間帯も受け入れていた。サイトでは「1時間1500円と、お安い料金に設定させていただいております」と他業者との違いも強調していた。
 ベビーシッターに国家資格はないが、公益社団法人「全国保育サービス協会」(東京都新宿区)は会員向けに独自の資格認定試験を設けている。約1万2千人が資格を得ているが、シッターズネットはそもそも協会の会員ではなかった。
 サイトによると、シッターズネットは3人のスタッフで運営されており、男児らが発見されたとみられる埼玉県富士見市のマンションの一室に「みずほ台家庭保育室」を開業。児童福祉法では施設を運営する際、1日に預かる子供が6人以上の場合、自治体への届け出を義務付けているが、同施設については埼玉県や富士見市に届けはなかった。
 ベビーシッターは公的機関の審査もなく、国も事業者や利用者の数について把握していない。同協会の長崎真由美事務局次長は「玉石混交の状態でシッターが数多く存在する。質は一定ではなくそれぞれの業者に委ねられているのが現状」と話す。
 一方、ネット上には、子供を預けたい親と受け入れるシッターを仲介するサイトも存在する。多くの仲介サイトでは、シッター側は登録の際に保育経験の有無は問われず、料金もお互いの話し合いで決まることがほとんどだ。ベビーシッターの事情に詳しい大阪総合保育大学の大方美香教授(保育学)は「子供を他人に預けることは命を他人に委ねること。業者の実体を把握して利用するべきだ」と話している。

中国「赤ちゃんポスト」運用停止、1か月半で260人超

AFPBB News 2014年03月17日

【3月17日 AFP】中国・広東(Guangdong)省の広州(Guangzhou)市当局は16日、今年1月に開設したばかりの中国版「赤ちゃんポスト」に6週間で260人以上の乳幼児が預けられたと発表し、福祉施設で対応可能な人数を超えたとして制度の運用を一時停止した。
 広州市民事局の声明によると、1月下旬に開設された同市の「赤ちゃんポスト」に預けられた子どもの数は、16日朝までに計262人となった。平均すると1日当たり5人が預けられた計算になる。
 同市によれば、預けられた子ども全員に脳性まひやダウン症、先天性心疾患など何らかの病気があり、67%は1歳未満の乳児だった。
 声明は市の児童養護の現状について、現在ベッド数1000床の養護施設に1121人の児童が収容され、さらに1274人が里親によって育てられていると説明している。
 国営新華社(Xinhua)通信は2月、中国では2011年6月以降に国内10省・大都市で計25か所の「赤ちゃんポスト」が開設され、今後も全国に拡大させていく計画だと伝えていた。(c)AFP

淫行条例の制定必要 県専門委が結論 長野県

中日新聞 2014年3月18日

 十八歳未満とのわいせつ行為を禁じる条例制定の是非を議論してきた県の「子どもを性被害等から守る専門委員会」は十七日、条例の制定が必要との結論を取りまとめた。他県に比べ、県内では子どもが性被害に遭うケースが急激に増えており、委員会は、これまでの県民運動に加え、条例による規制が必要だと判断した。
 専門委は、条例の目的を「子どもの性被害等の防止」と位置付け、他県のように、条例で有害図書の制限や映画館への深夜入場制限などを幅広く規制しないよう求めた。
 淫行禁止の対象年齢は、民法で女子が十六歳で結婚できることから、十六歳未満とするべきだとの意見もあったが、委員会としての結論は出さなかった。平野吉直委員長は「条例の必要性は提示するが、細かい内容などはあらためてきちんとした議論が必要だ」と述べた。
 十八歳未満同士の性行為には条例を適用しない免責条項や、県民の権利を不当に侵害しない乱用防止規定も入れるよう求めた。
 提言の背景には、全国を上回るペースで県内の青少年の性被害が増加していることが挙げられる。二〇一三年の県内の福祉犯の摘発人数は九十四人と十五年で三倍に増え、全国の増加率を大きく上回っている。
 報告書案で「子どもへの性行為が悪いことだとの道徳的な認識はあっても、条例で規制されていなければ許されない行為との認識は薄い」とし、「福祉犯の増加はこのことと無関係であるとは言えない」と指摘した。
 さらに、性被害の予防策として、学校での性教育の充実や、性被害にあった人を窓口で一括支援するワンストップセンターの整備なども求めている。
 委員の一人で児童虐待防止に取り組む「CAPながの」の吉池優子事務局長は取材に「大人との性行為を受け入れてしまうような、自己肯定感の低い子どもたちをケアできる条例になってほしい。加害者の再犯防止策も重要。悪い大人を捕まえて終わり、という条例にはしてほしくない」と話した。
 (小西数紀)
委員会が求めた条例の中身

・青少年とのわいせつ行為の禁止
・大人が正当な理由なく深夜に青少年を連れ出すことの制限
・青少年に携帯電話などインターネットに接続できる機器を販売する際、有害サイトを遮断するフィルタリングの徹底

子育て支援財源4000億円不足 保育職員増加や給与アップなどは先送り

J-CASTニュース 2014年3月17日

2015年度からの新たな子ども・子育て支援制度で、2017年度までに4000億円にのぼる財源が不足する事態になっている。
保育所の定員40万人増など量の確保を優先するため、保育職員の増加や給与アップなど質的な改善は先送りせざるを得ない状況で、保育関係者などを中心に財源確保を求める声が強い。内閣府は「予算編成の過程で財源確保に取り組む」と説明しているが、見通しは立っていない。

約1兆1000億円から総額を7071億円に圧縮
新制度は消費税増税に伴う社会保障充実の目玉で、大都市で深刻な問題になっている待機児童をなくすため、政府は認可保育所の新設など保育の「量の拡大」と、認可外の施設の職員増や待遇改善など「質の改善」に財源を振り分けることとされている。政府は14年3月11日、その具体的使途をめぐる原案を自民党に示したが、本来の計画からは大きく後退する内容だ。元々、消費税から約1兆1000億円を子育て支援などに回すことになっていたが、約35%にあたる4000億円弱分を確保するメドが立っておらず、総額を7071億円に圧縮。内訳は、保育施設の定員を40万人分増やす「量」の拡大にはほぼ予定通り4068億円を充てる一方、「質」では想定していた6865億円を大きく下回る3003億円に絞っている。
詳しい中身を見てみよう。「3歳児20人に1人」という現行の保育士の配置基準を「15人に1人」に改善するための費用(700億円)は当初方針通り確保。定員19人以下の小規模保育施設で、保育職員を基準以上に配置するための費用(134億円)、児童養護施設の職員配置基準の改善費(222億円)なども満額盛り込んだ。
 「保育士の待遇を改善しないとなり手が不足する」
しかし、1、4、5歳児対象の保育士増員(計1261億円)は先送り。保育所職員らの給与を5%アップするための費用も予定の6割にあたる571億円しか確保できず、給与アップは3%にとどめることになる。また、子どもが小学校1年生になると預け先がなくなる「小1の壁」を解消するため、当初は午後6時半以降も開く小学校の「放課後児童クラブ」すべてに1人の常勤職員を配置する計画だったが、非常勤職員の処遇改善などにとどめる。
さらに、低所得世帯への負担軽減策拡充は先送りし、住民税非課税世帯の学用品などを全額補助する計画も生活保護世帯に限定したうえで補助額も半分に――といった具合だ。
新制度の具体策を議論していた内閣府の「子ども子育て会議」では、政府の原案を議論した2月14日の会合で、「保育士の待遇を改善しないとなり手が不足する」「親元で暮せない子のための社会的な養護の改善が必要」などの意見が噴出した。
「手をこまねいている間に出産適齢期の女性は急減しつつある」
同会議の委員33人のうち31人はこの後、森雅子少子化対策担当相に対して、必要な財源を政府の責任で確保するよう求める要望書を連名で提出。「地方自治体で準備を本格化させる時期を迎えても、いまだ明確に約束されていない」などと批判した。自治体や保育関係者にすれば、当然の批判だろう。
勢い、マスコミの論調も厳しい。例えば毎日新聞は2月21日朝刊の社説で、特に「子どものためには(保育の)質の向上がもっと論じられるべきだ」として、保育先進国スウェーデンの例を引くなどして、「被虐待児や発達障害児など特別なニーズを持った子どもは増えている。質の高い保育士の育成、実績を積んだ保育士が職場に定着できるような待遇改善は不可避だ」と、財源確保の必要を強調。日ごろ、安倍内閣に好意的論調が目立つ読売新聞も2月16日の2面解説記事で、子育て支援の少子化対策としての側面を特に取り上げ、少子化対策には常に財源が壁になってきたことを指摘。「手をこまねいている間に出産適齢期の女性は急減しつつある」として財源確保を急ぐよう強く迫っている。

心理的虐待急増、子どもと接する大人の責任

SNN(Social News Network) 2014年3月16日

 警察庁の発表によれば、昨年1年間、虐待を受けているとして児童相談所に通告した児童(18歳未満)の数は、前年を32%も上回る約2万1千人。中でも、57%の割合を占めた「心理的虐待」が急増しています。子どもへの心理的虐待はトラウマとなって、その後の人生において多大な影響をもたらします。私もEMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法)セラピーというトラウマを解消する治療の中から、クライアントにとって何がきっかけになったのかを知る機会があります。幼少期の日常生活の出来事は、大人が想像する以上に強いインパクトとして記憶に残ります。
 「両親がいつも言い争いをしていた」
 「兄弟が親に強く叱られているのを見た」
 「自分が強く叱られた、ぶたれた」
 このような記憶は、「私は悪い人間だ」「私は何か間違ったことをした」「自分を信用できない」「自分を守ることが出来ない」「私は無力だ」など、自分を否定的に捉える考えに結びつきます。一度、このような考えを持つと、同じような出来事に遭遇する度に自己否定を繰り返し、何らかのきっかけで精神的、肉体的にも影響が出始めます。
 「安心できる居場所」があれば、子どもは心理的虐待から救われる
 大人は無自覚でも、子どもは「心理的虐待」だと感じることがあります。注意したいのは、子どものために発する言葉や叱責に、心配、いら立ち、不安、腹立ちなどの感情が伴っていないか。この感情を持って子どもに接することは、効果的な成果にはつながりません。一時的に効果があったように見えることもありますが、それは罰を受けるのが嫌で叱られるのを避ける為に行動するためです。将来的な病理を予防するため、無意識のうちに子どもへ心理的な負担をかけないように、大人ができる効果的な対応策を紹介します。

1、子どもに対応しようとする時に自分の感情に気付く
2、子どもに「わかってほしい」という気持ちがあることを理解する
3、自分の感情が処理できてから、子どもに温かい言葉をかける
4、「おはよう」「ありがとう」のような当たり前の言葉を積極的に掛ける(子どもに「居場所がある安心感」を与える)

 「安心できる居場所」が、家庭、習い事、毎日通う保育所、幼稚園、学童など、どこか一か所でもあれば 子どもは心理的虐待から救われます。虐待を受けているかもしれない子どもに、「おはよう」「おかえりなさい」「元気?」と近所の方が言葉をかけることも、居場所がない、と感じている子どもには大きな援助になるのです。