青森)県に直接相談できるレター配布 児童福祉施設へ

朝日新聞デジタル 2014年3月20日

 県は19日、県内の児童福祉施設に入所する小学生以上の年代の子どもたちが直接、県こどもみらい課に相談できるはがき(ミニレター)を今月中に配布する方針を明らかにした。対象は約300人。施設側に手紙で相談できる「意見箱」を設けている施設は県内にあるが、児童からの相談先を増やす狙いがあるという。
 ミニレターを通じて、児童から相談があった場合、県の担当者が相談内容に応じた対応策を考え、その児童宛てに書いた手紙を封筒で送るか、電子メールで返信する。施設職員も含めて児童以外の目に触れないようにするという。迅速な対応が必要な虐待事案だと判断した場合は、児童相談所など関係機関と協力して調査に乗り出す方針だ。
 レターは切手なしでポストに投函(とうかん)できる。レターに記された専用のメールアドレスや電話番号を通じても同様の相談対応ができる。

同級生の保護者「学校は不誠実」 長崎市・小6いじめ自殺 [長崎県]

西日本新聞 2014年03月20日

 いじめを受けていた長崎市立小学校の6年生女児が昨年7月に自殺を図り、その後死亡した問題で、児童の保護者9人が19日、記者会見して「何が起こったのかを説明してほしいと何度も要望したが、回答はなかった。不誠実だ」と学校を批判した。
 この日卒業した6年生の保護者は、女児が服従を誓うメモを書かされたり、蹴られたりするなどのいじめの相談を自分の子どもにしていたと説明。学校にも伝えたが、市教育委員会の調査結果に反映されておらず「他の子が見ていないから確認できないということなのか。信じてもらえなかったのか」と不信感をあらわにした。
 保護者たちは女児が5年生のころからいじめを受けていたと語り、「小さなことでも対応していればこのようなことはなかった」と学校の対応を問題視した。保護者は今後、市教委や第三者委員会に真相究明を求める。
 記者会見は卒業式の後、学校近くの集会所で行われた。卒業式に出席した保護者によると、登壇した校長と馬場豊子教育長は女児へのいじめに触れなかったという。

泉佐野 市教委がはだしのゲン回収 表現問題視

スポニチ 2014年3月20日

 大阪府泉佐野市教育委員会が今年1月、原爆の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」に差別的な表現が多いとする千代松大耕市長の要請を受け、市立小中学校の蔵書を回収していたことが20日、分かった。
 中藤辰洋教育長によると、千代松市長や市教委は昨年から、漫画に「きちがい」「こじき」などの表現が使われていることを「差別を助長する」と問題視。小中学校の保有状況を調査し今年1月、小学校8校、中学校5校の蔵書を回収し、児童、生徒が閲覧できない状態になっていた。
 中藤教育長は取材に、20日中にも各校に返却するとした上で「作品自体を否定するつもりはないが、表現に問題があるのは事実だ。回収という手段は望ましくなかったが、教育委員に蔵書の実態を見てもらおうと考えた。子どもたちに何らかの指導は必要だ」と話している。

産後入院ってなに?「出産後、専門家の力を借りて子育てを学べる」

アメーバニュース 2014年03月20日

 近年、痛ましい児童虐待のニュースは減ることがない。なかでも、自分の子どもに対する育児放棄(ネグレクト)は年々増加の傾向にある。
 その原因のひとつに、育児が孤独であることが挙げられる。高齢出産や核家族が増え、さらには親戚同士の付き合いが少なくなった現代では、育児で困ったときに年長者を頼ることができにくくなっているからだ。
 そこで登場したのが産後入院だ。ここでは産後のからだをケアしつつ、専門家の力を借りて子育てを学べる。育児に自信を持って退院すれば、虐待など無縁の幸せな家庭が築けるのだ。

産後ケアセンターは新米ママの味方!
 ひとは自分の気持ちが相手に通じないときに孤独を感じる。とくに、まだ会話できない赤ちゃんとの意思疎通は難しくて当たり前だ。次第に、うまくいかない育児にストレスが溜まってしまい、産後うつや育児放棄などの悲しい状況へ導かれてしまうのである。
 厚生労働省の資料によると、平成20年の児童虐待相談は4万2千件にものぼる。虐待者の内訳をみると、
・実父 … 24.9%
・実母 … 60.5%
 と、目を疑いたくなるような結果となっている。愛憎のことば通り、血肉を分けた母親こそが、虐待者になりやすいのだ。
 それを防ぐのが産後入院だ。出産後も入院を続け、産後のからだを休めつつ体調変化と上手に向き合いながら育児指導を受ける。それが可能な施設は「産後ケアセンター」と呼ばれ、助産師を中心に臨床心理士や看護師などが24時間体制でケアに当たってくれるのだ。
 入院中は、栄養バランスを考えた食事が提供され、ときには赤ちゃんを預けてゆっくり眠ることもできるので、産後のからだが大きく変化する時期に、慣れない育児と家事の板挟みになることがない。実家や親戚を頼ることができない場合でも、きちんと休養が取れるため、気持ちに余裕を持って過ごすことができるようになる。
 多くの人が抱える悩みに、母乳の問題がある。たくさん出してあげたいのにもかかわらず思うように出ない、そんな精神的な焦りから、さらに出にくくなってしまうパターンが多い。産後ケアセンターでは、母乳のケアもしてくれるため、きちんと出るうえに、乳腺炎にもなりにくいのだ。
 たくさんの母乳を赤ちゃんにあげることができるのは、母として一番の自信につながるだろう。

問題は入院費
 産後ケアセンターは保険適用外のため、1泊でも数万円と高額な費用がネックだ。
 出産にかかる費用は平均45~50万円で、ほとんどは補助されるとはいえ、これから子どもを育てていくうえで、できるだけ出費は抑えたい。良いとわかっている産後入院だが、手が届きにくいのが現状だ。
 そこで自治体も少しずつ動き始め、たとえば横浜市は、2013年10月から市内8カ所の助産院への産後入院費用を補助する制度を始めた。正規料金の13パーセント程度と、格段と利用しやすくなったのだ。世田谷区では、武蔵野大学に委託し産後入院専門の施設「産後ケアセンター桜新町」を開設した。
 区民なら利用料の9割が補助され、1泊2日6,400円でカウンセリングや指導を受けながら、からだを休めることができるのである。
 厚生労働省による出産育児一時金の支給額も年々増額され、市区町村も産後入院に注目し始めている。少しずつではあるが、子どもを産みやすく育てやすい環境へと変化してきているのだ。

まとめ
 ・児童虐待のおよそ6割は、母親による
 ・上手に育児できないストレスが、虐待の大きな原因
 ・産後入院で、からだを休めながら育児が学べる
 ・費用を負担する市区町村が増加中
 子どもを産み育てることが、女性にとって肉体的にも精神的にもハードルの高いことであってはいけない。
 子育てって楽しい!と思える環境こそが自然だ。家族が笑顔で過ごすことができる世の中であれば、悲しい事件も減ってゆくだろう。
(沼田 有希/ガリレオワークス)

楽天、割引装い指示 ネット出店業者が証言

沖縄タイムス 2014年3月20日

 楽天の複数の社員がインターネット仮想商店街「楽天市場」の出店店舗に、元値をつり上げて割引したように見せかける不当な二重価格表示を指示していたことが19日、出店業者らへの取材で分かった。こうした表示は昨年のプロ野球日本一セールで発覚したが、社員の関与は明らかになっていなかった。
 消費者に誤解を与える表示を楽天側が主導していたことになり、楽天は「事実なら看過できない重大な内規違反であり、厳正な処罰を行いたい」としている。
 こうした二重価格表示は、景品表示法違反の有利誤認に当たる可能性がある。消費者庁は「事実関係を確認したい」としている。(共同通信)

買春高校講師を処分せず 在籍に空白3日間「法的に遡れず」 秋田県教委

産経新聞 2014年3月19日

 秋田県警が摘発した少女売春事件の客の中に県立高の20代の講師が含まれていた問題で、県教委は19日の教育委員会で、この講師を懲戒処分しないと報告した。事件当時の勤務校と今年度の勤務校の在籍に「空白の3日間」があるため、遡って処分できないとしている。講師は16日付で依願退職したという。
 県教委は元講師の在籍校を公表していないが、産経新聞の取材によると、平成24年度は金足農高(秋田市)、25年度は能代工高(能代市)で数学を担当していた。
 この事件で売春を斡旋し、売春防止法違反と児童福祉法違反で有罪が確定した秋田市の無職の男(20)=犯行当時少年=への判決によると、元講師は金足農高在籍中の昨年2月5日午後6時40分ごろから7時半ごろの間、秋田市泉馬場の駐車場に止めた車の中で、出会い系サイトで知り合った女子中学生(14)に現金を渡してみだらな行為をした。
 捜査関係者によると、元講師は能代工高在籍中の同年9月、児童買春・ポルノ禁止法違反の容疑者として県警の取り調べを受け、11月27日に書類送検。「18歳未満とは知らなかった」と供述したため、秋田地検は12月17日に不起訴とした。
 元講師はこの事実を校長に報告せず、県教委は産経新聞の取材を受けた今年2月27日に初めて事態を把握した。
 教育委員会の席上、県教委高校教育課の鎌田信課長は「秋田県立高の講師の任用期間は4月1日から翌年3月28日で、元講師は事件後、一度退職して3日後の4月1日から別の高校で勤務した形になっている。地方公務員法上、退職した者に懲戒処分はできない」と説明した。
 委員からは「捜査を受け、上司に報告しなかったのは今年度の話だ。処分できるのではないか」との意見が出たが、鎌田課長は「報告しなかったことについては校長が厳重注意を行った」と述べた。
 処分がなかったため教員免許は失効せず、元講師は全国の教育委員会や国立、私立学校で採用試験を受けることができる。
 この問題では、同じ少女売春事件の客になっていた陸上自衛隊秋田駐屯地の曹長が停職10日、秋田市消防本部の消防副士長が戒告の懲戒処分を受けている。

児童ポルノをファイル共有している人に警察からの警告メールが届く、4月より

Impress Watch 2014年3月20日

 P2Pファイル共有ネットワークでの児童ポルノの拡散を防止するための取り組みが官民連携でスタートする。児童ポルノを共有しているノードのユーザーに対して、4月1日以降、警察庁からの警告メールを送信する。
 警告の対象となるのは、裁判ですでに有罪が確定している児童ポルノのZIPファイルを共有している人。警察庁は、把握した該当ノードのIPアドレスをリストアップし、一般社団法人インターネットコンテンツセーフティ協会(ICSA)に提供する。ICSAでは、リストアップされたノードの共有ファイルが本当に有罪確定した児童ポルノかどうか、ZIPファイルのハッシュ値に基づいて照合。同一ファイルと確認できた場合、そのIPアドレスをISPごとに振り分けて連絡する。その後、各ISPから該当する加入者に対してそれぞれ警告メールを送信する流れ。
 警告メッセージ自体は警察庁が発信するものだが、警察庁が該当ノードのユーザーを特定して直接メールを送信するのではなく、そのユーザーが加入しているISPに代わりに送信してもらうかたちだ。本来ならばファイル共有ネットワーク上で児童ポルノを共有している時点で捜査・摘発の対象となる可能性があるわけだが、まずは警告メールによってユーザーによる削除を促していく。
 ファイル共有ネットワークによる違法ファイル流通に対しては、著作権侵害対策で同様の取り組みがすでに2010年より行われている。ISP団体や権利者団体などで構成される「ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害対策協議会(CCIF)」が、著作権侵害ファイルの共有者に対して警告メールを送信する取り組みを実施している。
 また、児童ポルノについても、滋賀県警とケイ・オプティコムが協力して2012年に開始していた。今回の取り組みは、この仕組みを全国的に展開するもの。ICSAとISPが、児童ポルノの被害者保護の観点から、警察庁および総務省と連携して実施する。
 4月1日の開始時点でこの取り組みに参加するISPは、アイ・シー・シー、青森ケーブルテレビ、伊賀上野ケーブルテレビ、インターネットイニシアティブ、STNet、EditNet、NECビッグローブ、エヌ・ティ・ティエムイー、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ、エヌ・ティ・ティピー・シーコミュニケーションズ、NTTぷらら、共立コンピューターサービス、ケイ・オプティコム、KDDI、コミュニティネットワークセンター、ソネット、ソフトバンクテレコム、ソフトバンクBB、中部テレコミュニケーション、テクノロジーネットワークス、TOKAIコミュニケーションズ、ニフティ、松阪ケーブルテレビ・ステーションの計23社。
 警察庁の発表によると、2013年における児童ポルノ事犯の送致件数は1644件で過去最多。このうち507件がファイル共有ソフトを利用した事犯だったという。
 ICSAでは2011年より、インターネットユーザーからのウェブアクセスをISPが強制的に遮断する“ブロッキング”というやり方で、ウェブ上で削除されないままになっている悪質な児童ポルノ画像の拡散防止に取り組んできた。今回、ブロッキングでは遮断できないP2Pファイル共有ネットワークについても児童ポルノの拡散防止の取り組みを開始した。
【INTERNET Watch,永沢 茂】

<STAP細胞>下村文科相「最終報告4月中旬までに」要望

毎日新聞 2014年3月20日

 新たな万能細胞「STAP(スタップ=刺激惹起<じゃっき>性多能性獲得)細胞」の作製成功を発表した英科学誌ネイチャーの論文に重大な過誤があった問題で、下村博文文部科学相は20日、閣議後の記者会見で、論文を調査している理化学研究所に対し、遅くとも4月中旬ごろまでに最終報告書をまとめるよう求める方針を明らかにした。
 国は新しく定める特定国立研究開発法人の指定候補の一つとして理研を位置づけており、下村文科相は「指定できる客観的な担保を理研に示してほしい」と述べた。時期については「(新法人が閣議決定で決まる前に)監督責任があったかどうか、できるだけ早く結論を得てもらう必要がある」とした上で、閣議決定は「遅ければ4月中旬くらいになる」との見通しを示した。
 ネイチャー論文を巡っては理研が、14日に中間報告を発表。画像の切り張りや他の論文から無断流用した事実を認定し、さらに、不正があったかどうかについて調査を続けている。新法人は給料を年俸制にして海外から優れた研究者を集めて革新的な研究を進める制度。【斎藤有香】

小保方氏博士論文の審査否定=バカンティ教授、ネイチャー誌に―STAP細胞

時事通信 3月19日

 理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーが2011年に早稲田大大学院で博士号を取得した論文について、英科学誌ネイチャーは18日付の記事で、「論文の審査員の一人だったチャールズ・バカンティ米ハーバード大教授が取材に対し『博士論文のコピー提出を受けたり、読むように依頼されたりしたことはない』と述べた」と報じた。
 小保方氏やバカンティ教授らが1月末にネイチャー誌に発表した新万能細胞「STAP細胞」論文では、STAP細胞がさまざまな細胞に変わることを示す重要な画像が小保方氏の博士論文の別実験の画像から使い回されていた。小保方氏ら理研関係の著者はSTAP細胞論文を撤回する意向だが、バカンティ教授は撤回に反対する姿勢を示している。
 STAP細胞論文については理研とネイチャー誌、博士論文については早大大学院先進理工学研究科がそれぞれ調査している。 
 小保方氏がSTAP細胞論文を発表した際の記者会見では、マウスの細胞に外側から刺激を加えるだけで万能細胞になるというSTAP細胞の研究のきっかけは、小保方氏が大学院生時代にバカンティ教授の研究室に留学していた際に得たと説明していた。

養育費40万に減額で「将来を悲観」、5歳長男を心中させた母親の身勝手

産経新聞 3月18日

 「息子の養育費を減らされ、将来を悲観した」-。5歳の長男を道連れに無理心中を図り、長男だけを死なせたとして殺人罪に問われたシングルマザーの女に対し、大津地裁は2月、懲役6年(求刑・同7年)の判決を言い渡した。公判で女が明かした動機が冒頭の言葉だが、それまで長男の父親の不倫相手から受け取っていた養育費は月60万円。長男にはバイオリンや英会話を習わせるなど教育費を惜しまず、自身も高級ブランド服や化粧品を頻繁に購入するなど、ぜいたくな暮らしを続けていた。しかし養育費の20万円減額と、「妻の方が大事」「産んでほしくなかった」という不倫相手の言葉にショックを受け死を決意したという。身勝手な親たちの都合で短い生涯を終えた男児が不憫(ふびん)でならない。

2度目の妊娠で出産
 判決を受けたのは大津市の無職、浅井早智子被告(30)。
 公判などによると、浅井被告は平成14年、ホステスをしていた同市内のクラブで客の弁護士の男性と知り合い、交際を始めた。男性は母子家庭で育ち、苦学しながら司法試験に合格したことを話した。既婚だったが、浅井被告はそんな男性に魅力を感じ、相手からの交際の申し込みに応じたという。
 2年後、浅井被告は男性の子供を妊娠したが、男性が出産に反対したため中絶を余儀なくされた。しかし19年に再び妊娠。このときは男性から「早智子の子供が見たい」と言われたため、長男を出産した。

習い事、高級ブランド服、美容院…
 女手一つで長男を育てた浅井被告だが、その暮らしぶりは「母子家庭」という言葉のイメージとはかけ離れたものだった。
 男性から受け取っていた養育費は毎月60万円。長男にはバイオリンや英会話、体操など毎日のように習い事の教室に通わせ、1回4千円のIQテストを定期的に受験させもした。
 さらに「(長男には)できたての料理しか食べさせたくなかった」といい、食材にこだわった手料理を作り続けた結果、2人の食費は毎月9万円前後に上った。
 浅井被告自身もぜいたくを好んだ。1点5万円以上する高級ブランド「フォクシー」のワンピースや「フェラガモ」の靴を購入。1万円のシャンプーを使い、化粧品の購入額も毎月約2万円に上った。京都市内の百貨店には行きつけの美容院があり、1回の利用で3万円を支払った。
 浅井被告は長男の妊娠・出産を機にホステスを辞め、その後は職に就いておらず、ぜいたくな暮らしの資金源はすべて男性からの養育費だった。その使途を公判で検察側に問われると、「年を取っても交際相手に会う時はきれいでいたかった。高い物は長く使えるから」などと自分なりの論理でぜいたくを“正当化”した。

男性の「産んでほしくなかった」に絶望
 しかし、そんな暮らしぶりに転機が訪れた。24年10月、男性が弁護士事務所の経営悪化を理由に「養育費を30万円に減額したい」と通告してきたのだ。浅井被告は納得せず、協議の末に20万円減額の40万円で一度は折り合った。しかしその後、増額を求めて男性宅を訪問。応対に出た妻に男性との交際の顛末(てんまつ)を話したところ、妻にこう言われたという。
 「お金がある人は不倫するの。あなたも振り回されましたね」
 しばらくして男性が帰宅すると、妻は男性にこう言って迫った。「あなた、私とこの子(浅井被告)のどっちが大事なのか、この子に教えてあげなさいよ」。男性は妻を指さし、「こっち」とつぶやいた。
 2人の態度を目の当たりにし、浅井被告は男性宅に押しかけたことを後悔。後日、謝罪しようと男性の弁護士事務所を訪れた。子供の顔を見れば気が変わるかも-。そんな望みをつないで長男も連れていったが、男性は浅井被告がこれまで見たこともない形相で「おまえが来るところじゃない。出ていけ!」「産んでほしくなかった」と憤りをあらわにした。
 わが子を前に浴びせられた心ない言葉に、「私だけじゃなく、子供まで否定された」と絶望感を抱いた浅井被告は無理心中を決意。25年8月27日午後1時ごろ、マンションの自室で窓やふすまを粘着テープで目張りし、七輪に入れた練炭の火を起こした。同居する浅井被告の母親がその日夜に帰宅して倒れた2人を発見。浅井被告は一命を取り留めたが、長男は一酸化炭素中毒で死亡した。

「息子にさみしい思いをさせたくなかった」
 「養育費が減額されても、普通の生活を送るのに支障はなかった」
 大津地裁の飯島健太郎裁判長は判決理由でこう指摘し、浅井被告が高額の養育費を受け取り、母親のマンションに同居して家賃はいらず、働いて生活費を稼げたことなどを挙げた。その上で、「男性との関係を清算し、長男とともに新たな生活を送ることも可能だった」と述べた。
 公判で浅井被告は「ぜいたくな暮らしだったかもしれないが、父親に会えない息子にさみしい思いをさせたくなかった。私が変わらなければいけなかった」と反省の気持ちも述べた。確かに長男のことは大事にしていたかもしれないが、自らの暮らしぶりを客観視できず、身勝手な思いを募らせたことが最悪の結果を招いた。