児童福祉施設職員が少年虐待、1か月報告せず

読売新聞 2014年04月19日

大阪府は18日、府内の児童福祉施設で、10歳代の少年が20歳代の男性職員に性的虐待を十数回受けながら、被害を把握した男性施設長が府に約1か月、報告していなかったと発表した。
府は、虐待の通告を義務付けた児童福祉法に反するとして施設を改善指導し、施設長は引責辞任した。
府によると、貧困や虐待などのため家庭で暮らせない子供たちが暮らす施設。職員は2012年~13年に寝ていた少年の下半身を触っていたという。13年11月に少年が気づいて被害が発覚したが、施設長は事実を把握した後も1か月近く職員を勤務させ、府に虐待の事実を通告しなかった。
施設長は12月に職員を懲戒解雇とした後、府に通告。約1か月間、府に通告しなかった理由について、「周囲に知られたくなかった」と話しているという。

福祉施設で10代男児に性的虐待

産経新聞 2014年04月18日

福祉施設で就寝中の男児に性的虐待 発覚後も放置 大阪府が指導
大阪府が管理する社会的養護関係施設で平成25年度、男性職員が入所していた10代の男児に性的虐待を行っていたことが18日、関係者への取材で分かった。
虐待発覚後も施設長は府に報告せず問題を放置していた。事態を重くみた府は施設に対し、再発防止に関する文書指導を行った。
社会的養護施設は、保護者のいない児童らを養育する施設。関係者によると、男性職員は寝ている男児の体を触るなどの性的虐待を行っていた。施設長は問題を把握しながら、ただちに保護するなどの安全確保をしなかったほか男児の心のケアなどを講じず、府への問題報告も怠っていた。
府は職員としての業務を著しく怠ったと判断。施設に文書指導を行うとともに府所管の社会的養護関係施設に対し、子供の権利擁護の推進や児童虐待関連制度について通知を行った。

中日春秋

中日新聞 2014年4月21日

<僕の名はルカ。二階、君の部屋の上に住んでいるんだ>。シンガー・ソングライターのスザンヌ・ヴェガの「ルカ」(一九八七年)という曲。親から虐待を受けている子どものことを歌っている

<真夜中に大きな音が聞こえてきても僕に何があったかなんて、聞かないで>。ルカはどんなに親に虐待されていても何も話そうとしない。そんな歌だった

八〇年代後半の日本では今ほど児童虐待問題への注意が払われていなかった。日本でもヒットしたとはいえ、大半の日本人はこの歌をどこか遠い場所の物語であって、身の回りの問題とは受け止めていなかった

もちろん児童虐待はその後、日本でも大きな社会問題となった。昨年虐待があったとして児童相談所へ通告された十八歳未満の人数は二万一千六百三人。統計を取り始めた二〇〇四年以降で過去最大である

あの歌から三十年近くになるが、子どもへの暴力は今なお増え続けている。ヴェガの新作に「ソング・オブ・ザ・ストイック」という曲を見つけた。<十八年間の痛み いくつものあざ それが、自分の人生の事実>

大人になったルカの歌だとすぐに分かった。生活は大変だが、愛する女性にも出会った。痛みの記憶は今も残っている。「過去」という重荷。いつか解放されたいと願う。前向きな歌に聞こえるが、ルカの痛みは決して消えていないのである。

赤ちゃん 泣きやまない時…焦らず一息、揺さぶり厳禁

読売新聞 2014年4月19日

子育てで、赤ちゃんが泣きやまずに困ってしまうことは多い。親は焦ったり、自分を追いつめたりせず対処することが大切だ。
また、無理に泣きやませようと激しく揺さぶるのは厳禁。「乳幼児揺さぶられ症候群」の危険がある。
三重県桑名市の主婦(28)は今年1月、2人目の子どもとなる生後1か月の長女が泣きやまないことに困惑した。授乳やおむつ交換などいろんなことを試したが泣き続け、「どうしたらいいのか途方に暮れた」。主婦は友人らに電話で相談するなどして気分転換を図ることができたが、「2人目の子どもなのに戸惑うことがあるとは自分でも驚いた」と話す。
育児支援を行うNPO法人「MCサポートセンターみっくみえ」(桑名市)代表の松岡典子さん(56)は「赤ちゃんは泣いて意思を伝えている。焦らないで思いつくことをいろいろと確かめてみて」と言う。
「ミルクを与える」「おむつを替える」「室温を調整する」などのほか、抱っこをする際、赤ちゃんの体をタオルなどでくるむのも効果があるという。音楽を聞かせるなどすると泣きやむこともある。
声が弱々しい、高熱があるなど普段と様子が違うときは、病気の可能性もあり、医療機関を受診したい。
それでも泣きやまない場合は、「赤ちゃんを安全な場所に寝かせて、少しその場を離れて一息入れることも大切」と提案する。家族や友人に協力を求めたり、自治体などの子育て支援機関に相談したりする。
「赤ちゃんは泣いて当然。泣きやませなくてはいけないと、自分を追いつめないでほしい」と松岡さんは助言する。
「赤ちゃんが泣きやまなくて慌てたりイライラしたりしても、絶対に強く揺さぶらないでください」と強調するのは、国立成育医療研究センター(東京)研究所部長の藤原武男さん。まだ首が据わっていない乳児を激しく前後に揺さぶると頭蓋骨の内側に脳がぶつかって損傷したり、血管や神経が切れたりして「乳幼児揺さぶられ症候群」を引き起こすからだ。「言語障害や歩行困難などの後遺症が残り、最悪の場合は死に至る恐れもある」と言う。
同症候群は、泣きやまないことへの不安が引き金になることが多いといわれるが、「赤ちゃんの泣き方の特徴を知ってほしい」と藤原さん。赤ちゃんがひどく泣くのは生後1、2か月くらいがピーク。この時期は特に理由もなく泣いていることもあり、その後、次第に収まってくるという。「終わりがあることを知るだけでも気持ちが楽になる。また、こうした特徴を家族や近所など周囲の人も理解してほしい」と話す。
厚生労働省は2013年、同様の対処法などを解説したDVD「赤ちゃんが泣きやまない」(約11分)を製作し、自治体や児童相談所、保健所に配布。同省のホームページでも動画を公開している。

赤ちゃんが泣きやまないときの対処法
・授乳やおむつ交換、室温調整のほか、体をタオルなどでくるんで抱っこしたり、音楽や掃除機の音を聞かせたりすると、気分が変わり、泣きやむこともある
・泣き声が弱々しい、高熱があるといった場合は医療機関を受診する
・赤ちゃんの安全を確保して一時的にその場を離れ、気持ちを落ち着かせる。家族や友人、専門機関などに相談する
・無理に泣きやませようと激しく揺さぶらない
(松岡さん、藤原さんの話を基に作成)