少女を援助交際から守る「サイバー補導」 買春犯摘発の大きな武器にも

産経新聞 2014年5月3日

インターネットを介して援助交際などを持ちかける少年・少女に警察官が接触して補導する「サイバー補導」を端緒に、過去の児童買春・ポルノ禁止法違反事件などが発覚し、加害者が摘発されるケースが増えている。警視庁は昨年4月以降、この手法で19件20人を摘発しており、警視庁幹部は「少年・少女が被害者となるわいせつ犯罪はネット上で成立してしまうので把握しづらかったが、サイバー補導は大きな武器になっている」と強調する。(荒船清太)
分かる人にはわかる 「え、ん2」の意味
4月中旬の夕方、警視庁新宿署生活安全課の捜査員は、業務用に支給されたスマートフォン(高機能携帯電話)を操り、少女らが集まる複数の出会い系アプリで不審な書き込みに目を光らせていた。
「今から池袋でえ、ん2」。あるアプリに、そんな書き込みがID付きであった。分かる人には、「え、ん」が「援助交際」の隠語だと分かる。「2」は2万円を指す。捜査員は「掲示板見ました! さくっとどうですか?」とメッセージを送った。
数分後、「はーい。いまから」などと返信が来た。「今新宿にいるので時間かかります」と応じる捜査員。さらに、「大学生ですか」「若い子希望なのですが」と捜査員はたたみかける。返信は「16」。補導対象の18才未満だ。
やり取りから約1時間後、待ち合わせ場所の池袋周辺で、捜査員は私服姿の16歳の少女を発見、補導した。関東地方から来た無職だった。捜査員の取り調べには素直に応じ、「反省します。20回ぐらい援助交際をやった」と話しているという。

補導を端緒に「福祉犯」を摘発
警視庁では昨年4月、18歳未満の少年・少女のサイバー補導を開始。1年間の実績は125人に上る。うち83人が下着の売買、37人が援助交際を持ちかけていた。サイバー補導の開始前に援助交際での補導は年数件程度だったが、今年は1~3月だけで27人と効果が表れている。
4月からは島嶼(とうしょ)部を除く97の警察署にスマホを支給し、態勢を強化した。
サイバー補導から派生し、警視庁が強化しているのが少年・少女を被害者とする「福祉犯」の摘発だ。
サイバー補導した125人の情報を端緒に摘発した福祉犯は19件。うち児童買春・ポルノ禁止法違反容疑が14件、児童福祉法違反容疑が1件。少女の下着を買ったなどとして、青少年健全育成条例違反容疑でも4件摘発した。
警視庁幹部は「サイバー補導を端緒に、少女らを派遣する売春組織が明らかになる可能性は高い。補導だけでなく、そこから得られる情報も重視して摘発につなげていきたい」と期待をかける。

隠語使わず「抜け道」探る少年少女も
「いかにこちらから誘わずに、非行を発見して補導するかが難しい」。警視庁少年育成課でサイバー補導の導入当初から関わる捜査員はいう。
警察当局の目的は非行をした18歳未満の少年・少女を補導し、これ以上非行をしないようにさせること。本来なら非行をしていなかったはずの少年・少女まで、補導のために警察官がそそのかして非行をさせてしまっては、本末転倒だ。なるべく抽象的な表現にとどめつつ、補導できる対象かを見極め、接触する。少年育成課では会話のマニュアルを作成して各署に配布しており、「やり方も日々研究している」という。
ただ、少年・少女側も“抜け道”を探し始めている。今年始めごろから、スマホの出会い系アプリでは隠語すら使わずに「会う人いる?」「意味分かる人?」とだけ書き込み、相手が接触してきて初めて援助交際を持ちかける少女が増えているという。
少年育成課の捜査員は「19歳といって17歳だったり、17歳といって30歳だったりする。偽装工作や隠語も見抜けるよう、警察が少年・少女の先をいかなければならない」と気を引き締めている。

DV被害生徒の内部文書が流出…都教委が調査

読売新聞 2014年05月03日

東京都立高の生徒が昨年秋に父親から受けた暴力被害の内容を記載した都教育委員会の内部文書が外部に流出していたことが2日、関係者への取材でわかった。
都教委も漏えいの事実を把握し、流出経緯などについて調査を始めた。
流出したのは、都立学校へ助言を行う都教委の学校経営支援センターから、高等学校教育指導課に出された報告文書。被害生徒の氏名、学年、暴力を受けた状況や地元の児童相談所と高校側とのやりとりなど、同センターが高校側から聞き取った内容が記されていた。
都教委は今後、生徒側に謝罪する方針で、「個人情報の流出はあってはならないことでおわびしたい。内部管理体制の強化に努めたい」としている。

「福島周辺で鼻血出る人が続出」 「美味しんぼ」で編集部コメント発表も炎上止まず

J-CASTニュース 2014年4月29日

ビッグコミックスピリッツ(小学館)で連載中の人気漫画「美味しんぼ」の内容がネット上で物議を醸している。福島には疲労感が強かったり鼻血が出たりといった症状の人が大勢おり、それらの症状と原発の放射線との関連を匂わせる描写があったというのだ。
「今週の『美味しんぼ』、福島から帰ってきた山岡さんが原因不明の鼻血を出し、海原雄山も出たと話をして、最後に井戸川さんが出てきてこの有様でした。これは流石に福島県民として抗議の意を示したい。僕はこの三年間、鼻血なんか出たこと無いですが」
2014年4月28日に画像つきでされたこのツイートは、29日夕方現在1万回以上リツイートされ、ネット上を騒がせている。

「福島では同じ症状の人が大勢いる」
問題となっているビッグコミックスピリッツ22・23号(4月28日発売)では、主人公の山岡と海原雄山たち一行が福島第一原発を見学した。途中、一行は3号機の前で1時間当たり1680マイクロシーベルトを数秒間浴びた。すると帰宅後の山岡にひどい疲労感と鼻血の症状があらわれた。のちに同じ症状が雄山や同行者にもあったことがわかる。取材の過程で、前双葉町長の井戸川克隆氏と岐阜環境医学研究所所長の松井英介医師のもとを訪れた山岡は、町長の口から「福島では同じ症状の人が大勢いますよ。言わないだけです」と告げられる。今週分の話はここまでで、欄外には「耐え難い疲労感と原因不明の鼻血―――!?山岡や雄山たちの体になんらかの異変があるのか?次号。」とのアオリがついていた。なお、山岡が訪ねた両名は実在の人物で、井戸川氏は放射性廃棄物中間貯蔵施設の受け入れを巡って町長職を辞任、松岡医師は『見えない恐怖 放射線内部被爆』などの著書がある。
ネット上では症状と原発が結びつけられているように読めるとして、「そんな症状は聞いたことがない、風評被害では」「『山岡たちの体に異常が起きているのか!?』みたいなヒキで、 次回『異常は何も起きていませんでした?!』で済ますには苦しいと思うんだけどどうなるんだろう」などと疑問が出て、ツイッター上で「炎上」状態になってしまった。

放射線の影響によるものと断定する意図は無い
実は、原作者の雁屋氏はこの取材体験について、作中とほぼ同様の発言をして話題になったことがある。その時はオーストラリアの情報を紹介している日本語ミニコミ紙「日豪プレス」に対して、現地の子供たちもだるさを訴えていたとし「あの周辺は人は住んではいけない所になってしまった」と漏らし、福島の食べ物を食べて応援することも疑問視、特に東北地方の海産物の多くについて「恐らく食べられなくなるでしょうね」と言っていた。こうしたことも騒ぎを大きくした要因とみられる。
騒ぎを受けてスピリッツ編集部は28日夜、次のようなコメントを発表した。それによると、鼻血や疲労感が「放射線の影響によるものと断定する意図」は無く、「取材先の皆様の実体験や作者の実体験について、作中登場の実在の医師に見解を問う展開」だという。風評被害を助長する内容ではないかという指摘についても、そのような意図は無く、これまでの作中でも「きちんと検査が行われ、安全だと証明されている食品・食材を、無理解のせいで買わないことは消費者にとっても損失であると述べております」と説明した。
こうした対応に、ネット上ではなお「風評被害に限らず、意図しているかどうか(要は主観)が問題じゃなく、実際に見た人がどう感じるかが肝心なんだと思うんだけどなぁ」という意見を中心に、批判が止まない。
ただ、一部からは「この、作中の医師のお話がこの後続くんじゃないのかな。デリケートな問題の扱いで、掲載ページの割り振りを見誤った、ということで落ち着くと良いなぁ」など、今号だけを見て批判するのは早急だという見方も出ている。