消費増税対策 「給付金」市町村大わらわ

読売新聞 2014年06月05日

消費増税対策として支給される臨時福祉給付金と子育て世帯臨時特例給付金を巡り、市町村が膨大な事務作業の準備に追われている。対象は県内で計39万人に上るともみられ、多くの市町村は臨時職員を雇用して急場をしのぐ構えだ。職員が不足する東日本大震災の被災自治体などには大きな負担で、申請受け付け開始時期にも差が出ている。(福元洋平)

複雑な制度
支給は、市町村が対象者を割り出した後、申請書を送り、提出された申請書を審査して決めるのが一般的。支給条件が複雑なため割り出しや審査は時間がかかりそうで、申請から振り込みまで数週間かかる可能性がある。
住民税の非課税者が確定するのは一般に6月以降。読売新聞が5月28~29日に県内14市に申請受け付け開始時期を聞いたところ、多くが7月上旬に集中した。未定や7月下旬とした市もあった。
盛岡市は申請が計6万件程度になるとみられ、4月に専従の事務局を置いた。臨時職員2人を含む6人で準備を進め、臨時職員をさらに増やして17人体制にする。問い合わせ専用のフリーダイヤルも設けたが、事務局の玉山正彦主幹は「1日数千件の申請があるかもしれない。効率よく進めたいが、不安も残る」と話す。

認知度は今一つ
2日に子育て世帯臨時特例給付金の申請受け付けを始めた滝沢市。6月に提出が必要な児童手当の現況届と同じ用紙が、申請書を兼ねている。窓口に来た男性(45)は「児童手当の申請だけかと思っていた。そういえばそんな給付金もありましたね」と話す。
市町村は広報などで周知しているが、給付金の認知度は今ひとつだ。臨時福祉給付金の支給対象は高齢者が中心になりそうで、久慈市の担当者は「独り暮らしのお年寄りの中には、市のお知らせを見ない人もいる」とし、民生委員を通じての周知を検討している。

多忙な被災地
沿岸部などの被災地では、職員不足が深刻だ。
陸前高田市は、臨時福祉給付金だけで対象者が6000人弱と見込まれる。二つの給付金を社会福祉課の職員2人で主に担当する。保育料の徴収など通常業務をこなしながらの作業だ。担当者は「臨時職員を雇用できればいいが、決まっていない」と漏らす。
釜石市は臨時福祉給付金の対象が1万人規模になりそう。担当は臨時職員を含めた2人体制になりそうで、「被災者生活再建支援金の申請受け付けなどの業務も多忙で、そう簡単に人は割けない」(地域福祉課)と困っている。

臨時福祉給付金と子育て世帯臨時特例給付金 消費増税に合わせて国が導入した負担軽減策。臨時福祉給付金は、収入が少ないなどの理由で2014年度分の住民税が課されていない人が対象。支給額は1人1万円。公的年金受給者などは加算がある。子育て世帯臨時特例給付金は1月分の児童手当・特例給付を受給している人が対象で、児童1人1万円。所得制限がある。支給時期はともに市町村が決められる。

<強制わいせつ容疑>伊丹市教委部長を逮捕 女子大生被害

毎日新聞 2014年6月4日

兵庫県警宝塚署は4日、路上で女子大生の胸を触ったとして、同県伊丹市教委生涯学習部長、田中裕之容疑者(55)=同県宝塚市中山五月台4=を強制わいせつの容疑で逮捕した。田中容疑者は「思い出せない」と容疑を否認している。
容疑は、5月28日午前0時15分ごろ、宝塚市内の路上で、歩いて帰宅中の女子大生(20)の後ろから抱きついて胸を触った、としている。
宝塚署によると、女子大生は被害に遭った際に「何をするの」と叫びながら、スマートフォンのカメラで犯人の男の顔を撮影。男は走って逃げたが映像が鮮明で、田中容疑者が浮上した。女子大生は「男は酒臭かった」と話しているという。
伊丹市によると、田中容疑者は主に児童福祉の分野を担当し、昨年4月に現職に就いた。藤原保幸市長は「市民に深くおわび申し上げる。詳細な事実が明らかになった時点で厳正に対処したい」とコメントした。【粟飯原浩、大森治幸】

年金「現役収入の半分」以下も 厚労省が長期見通し 目標達成難しく

日本経済新聞 2014年6月4日

厚生労働省は3日、公的年金の長期的な財政について8つのケースの見通しをまとめた。ほぼゼロ成長が続き、女性や高齢者の就労が増えない3つのケースでは、約30年後までに会社員世帯の年金水準は政府が目標とする現役会社員の収入の50%を下回る。50%を維持する5ケースも年金の運用利回りが4%台など強気のシナリオが前提だ。将来の年金が減るという若年世代の不安を和らげるには、女性の就労促進に加え、現在の高齢者への給付抑制など抜本対策も急ぐ必要がある。
厚労省は経済成長率や働く人の数が異なる8ケースで、将来の給付を試算した。少子高齢化に合わせ給付額を抑える「マクロ経済スライド」は2015年度から発動する前提だ。ただ、現行の仕組みは物価が1%ほど上がらないと十分に効果が出ない。
14年度に会社員の夫と専業主婦の妻が受け取る年金は合計で月額約21.8万円。現役会社員世帯の平均収入に対する年金の割合(所得代替率)は62.7%だ。政府は04年の年金改革で所得代替率は将来も5割以上を維持すると約束した。
しかし今回の試算では働く人が増えず実質経済成長率がほぼ横ばいの3つのケースで41年度までに5割を下回った。最悪シナリオでは36年度に50%、55年度には39%まで下がり、積立金は枯渇する。
一方、所得代替率が50%を確保する5つのケースは働きに出る女性や高齢者が急増するという楽観的な前提だ。現在の日本は働きに出る女性の割合が子育て期の30代前半に下がるが、このへこみが消え、30年には86%と現在より16ポイントも上がると想定した。60代後半の男性も3人に2人が働きに出る。働きに出る割合が現在と同じ場合と比べ、全体で約600万人増える見通しだ。
楽観的な5つのケースは経済シナリオも今後10年間は実質2%成長という政府の見通しに基づく強気の想定だ。120兆円を超える年金積立金が4%を上回る高い利回りで運用し続けられる。最も楽観的なケースの所得代替率は50.9%で下げ止まる。
働く人が増え、高い経済成長を続け、運用で高い収益をあげ続ける――これらの前提が1つでも崩れれば所得代替率は50%を割り込む。
今後20年間は引退した団塊世代への年金給付で年金支出が急増する。8ケースのうち6ケースは物価が毎年1%超上昇し、マクロ経済スライドで給付の伸びを抑制できると想定した。だが、実際の物価上昇率は1%を下回ることもあり、現在の名目の年金額を減らさない条件付き発動では給付を抑える効果が薄れる。物価上昇率に関係なく必ずスライドを適用し支給を抑える仕組みを早急に導入しなければ、若年世代の将来の年金水準の低下を防ぐのは難しくなる。支給開始年齢の一律の引き上げなど抜本対策を検討することも急務だ。

少年院運営を透明化=第三者が監視、関連法成立

時事通信社 2014年6月4日

少年院や少年鑑別所の運営を監視する第三者機関「視察委員会」の創設を柱とする新たな少年院法と少年鑑別所法が4日午前の参院本会議で全会一致で可決、成立した。視察委は弁護士や地域住民らが委員となる見通しで、外部の視点を取り入れて施設運営の改善や透明化を図る。
少年院をめぐっては、2009年に広島少年院で教官による少年虐待事件が発覚。事件を受けて設置された有識者会議は「施設外からのチェック機能の強化」の必要性を指摘し、第三者機関の創設を提言していた。

別の所在不明児も児童相談所に連絡せず

NHKニュース 2014年6月4日

神奈川県厚木市のアパートで白骨化した子どもの遺体が見つかり、5歳の息子を衰弱死させたとして父親が逮捕された事件で、市の教育委員会は男の子の所在を確認せず児童相談所への連絡もしていませんでしたが、同様のケースがほかにもあったことが分かり、市では「事務的に手続きをしただけで、それ以上の確認をしなかったことは認識が甘かった」としています。
5月30日、厚木市下荻野のアパートで齋藤理玖ちゃんとみられる白骨化した遺体が見つかり、父親でトラック運転手の齋藤幸裕容疑者(36)が、7年以上前に当時5歳だった理玖ちゃんを衰弱死させたとして、保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕されました。
この事件では、理玖ちゃんが入学する予定だった小学校の事前の説明会に誰も出席しなかったため、市の教育委員会の担当者が1度だけ自宅を訪問して転居したと判断し、それ以上所在の確認を行わず、児童相談所に連絡していなかったことが明らかになっています。
教育委員会によりますと、去年、横浜市で小学校に入学しなかった女の子が遺体で見つかった事件を受けて行った調査で、去年4月に小学校に入学する予定だった女の子の所在が分からくなっているのを把握していたにもかかわらず、児童相談所に連絡していなかったことが新たに分かりました。
担当者が去年7月、所在を確認しようとしましたが、住所にあったアパートに別の人が住んでいたため転居したと判断し、就学予定の児童の名簿から女の子の名前を削除して、それ以上の確認は行わなかったということです。
教育委員会が今回の事件を受けて3日に改めて調査したところ、親類と連絡が取れ、女の子が両親と一緒に海外で暮らしていることが分かったということで、さらに確認を進めています。
厚木市教育委員会の宮崎昌彦学校教育部長は、「所在不明の児童について事務的に手続きをしただけで、それ以上の確認をしなかったことは認識が甘かった」と話しています。