全国で705人 親のウソ、出国…消えた子供の所在確認に「壁」

産経新聞 2014年6月8日

子供への虐待事件が相次ぐ中、厚生労働省が18歳未満の子供について所在不明者数の確認に乗り出した。住民票上の「住所」に住んでいない子供は虐待を受けている可能性があるが、文部科学省が小中学生を対象にした「居所不明児童・生徒」の調査では昨年度、全国で705人の所在が確認できていない。厚労省は乳幼児を含めた子供全体の安否確認を目指すが、調査を行う自治体は親の嘘や制度上の制約などさまざまな「壁」に悩まされている。

昨年度、全国で705人
厚労省の通知は4月11日付。全国の自治体に「年齢」「把握の端緒」「他機関との連携の有無」などの報告を求めている。
自治体はこれまで、新生児の全戸訪問に加え乳幼児健診を受診させない親との面談などを通じて子供の安否調査を行ってきた。しかし、虐待する親は虚偽の説明をしがちなうえ、夫の家庭内暴力から母子が避難している場合や、片方の親の母国に出国しているケースでは自治体への届け出が行われないことが多い。
調査の目安となる文科省の「居所不明児童・生徒」調査では昨年度、全国で705人が就学年齢でありながら学校への入学や通学が確認できていないことが分かっている。そのうち近畿2府4県は155人に上る。

虐待事件への危機感
厚労省が通知を出した背景にあるのは、相次ぐ虐待事件への危機感だ。
大阪市では昨年2月、東住吉区で住民登録上6歳となる女児の行方不明が発覚し、出産直後に女児を殺害して生存を装っていた母親が逮捕された。女児が乳幼児健診を受けず、同区職員が自宅訪問を繰り返したが死亡を見抜けなかった。
通知後の今年5月にも、神奈川県厚木市で男児に十分な食事などを与えずに約7年半前に死亡させた保護責任者遺棄致死容疑で、父親が逮捕された。市側は父親の「妻や子は東京のどこか知らない場所で暮らしている」との言葉をうのみにし、男児の住民登録を抹消していた。

子供の出国を把握
48人の居所不明児童・生徒がいる大阪市は今月4日午後、市役所の会議室で全24区の生活保護の担当職員らに市幹部が「世帯の生活保護の受給歴を問い合わせることがある」と、調査への協力を求めた。
殺人事件が発覚した東住吉区では、虐待防止担当の課長ポストを新設するなど調査を強化。昨年度は居所不明扱いだった男児について父親に協力を求める手紙を送り続けたところ、父親が区役所を訪問。母親の母国の中国で母子が暮らしていることを聞き出した。
神戸市では、外国人の親を持つ子供についての入国管理局への照会に力を入れ、複数の子供が出国したことを把握。昨年度の19人から6人に減らすことができた。しかし、入管への照会は「出国時期」を絞って行う必要があるため、何度も「時期」を変えながら照会を続ける手間のかかる作業を強いられた。

手がかりなきケースも
厚労省は今月末までに各自治体の報告を取りまとめたうえで、結果を公表。さらに第2弾として安否調査の成功例に関して深掘りした報告を11月末までに求めており、最終的には効果的な調査手法を全国の自治体で共有し、早期の所在把握を促していく。
しかし、事案の中にはまったく手がかりなく“蒸発”したケースもあるといい、調査にあたる自治体側からは、さまざまな事例に対応するには限界があるとの声も上がる。ある自治体の担当者は「糸口さえつかめない場合、正直どうしようもない」と漏らした。

非正規向けに資格制度…正社員化、転職に期待

読売新聞 2014年6月8日

政府は7日、非正規雇用の人の待遇改善や正社員への登用を進めるため、非正規雇用を対象とした資格制度を創設する方針を固めた。
主に接客能力など現場での「働きぶり」を評価する仕組みで、6月下旬に決まる新成長戦略に盛り込む。政府は2015年の通常国会で職業能力開発促進法などを改正し、16年度からの導入を目指している。
新たな資格は、非正規雇用の多い〈1〉流通〈2〉派遣〈3〉教育〈4〉健康――の4業種で、接客などの対人サービスに従事する人を対象とする。資格の認定は、厚生労働省から委託を受けた業界団体があたる。これまでに、日本百貨店協会(流通)、日本生産技能労務協会(派遣)、全国学習塾協会(教育)、日本フィットネス産業協会(健康)の4団体が政府の方針に応じた。業界団体が認定することで資格の有用性が高まり、正社員への登用や転職のアピールポイントなどになるとみられている。企業側にとっても、非正規雇用者の自発的なスキルアップが見込める。
政府は四つの業種で資格制度を先行実施し、17年度以降は業界を広げていく方針だ。

崩れる「転職35歳限界」説 ミドル層向けサイト続々 求む「人脈」「指導力」

産経新聞 2014年6月8日

転職市場の現場でささやかれてきた、35歳を過ぎると転職先の選択肢が減る「35歳限界説」が崩れかけている。インターネット上には、「ミドル層」や「キャリア女性」など、転職に不利とされてきた世代向けの転職サイトが次々と開設。求人環境が好転し、ミドル層の転職希望者が増えており、市場が活性化している。背景には、景気の回復基調が強まる中、成長過程にある企業でかじ取りを任せる人材が不足している現状がある。(伊藤俊祐)

都内の転職支援会社は、東南アジアへの進出を計画する文房具メーカーから人材紹介を頼まれた。ほどなくして採用されたのは、家電メーカーに勤務経験のある50代後半の男性。男性はアジアで複数の工場の用地選定から稼働まで携わった経験があり、これが決め手となった。年齢より即戦力としての評価が認められたケースだ。
35歳限界説の“崩壊”を示すデータもある。人材サービス会社「エン・ジャパン」(東京都新宿区)が1月、転職コンサルタントを対象にネットで実施した調査で、ミドル層の求人募集が「増加する」との回答が72%に達した。とくにメーカーや建設・不動産などで求人増が見込まれる。
同社が運営する転職サイトに登録した35歳以上の転職希望者数をみると、平成26年1~2月は前年同期比22%増で、新天地を求めるミドル層が増えている。
女性管理職の比率を高めようという国の政策に着目した動きもある。「ビズリーチ」(同渋谷区)が5月末に開設したばかりの管理職を目指す女性のための転職サイト「ビズリーチ・ウーマン」は、1900社の人事担当者が登録会員の情報を検索し、スカウトメールが届く仕組みだ。
同社の南壮一郎社長は、安倍晋三政権が掲げる「2020年までに企業の女性管理職比率30%」という目標について、「ハイクラス層のキャリア女性に特化した転職サービスは根付いていない」とみて、新サービスを考案した。
女性の管理職をターゲットにしたサービスとしては、「LiB」(リブ、同渋谷区)が、年収400万円に達したことのある高いキャリアの女性向け会員制転職サービスを5月13日から導入した。
厚生労働省が5月30日に発表した4月の有効求人倍率(季節調整値)は1・08倍と17カ月連続で改善し、18年7月以来、7年9カ月ぶりの高水準になった。統計的にみても、今が転職活動を始める好機といえる。
ただ、安易に転職できると考えるのは注意が必要だ。エン・ジャパンの調査によると、転職コンサルタントは、ミドル層が転職する際に意識すべき点として「自分の人脈が市場開拓に生かせるかどうか」「若い社員を指導教育する力量が求められる」などを指摘している。
企業は、将来への先行投資として専門性の高い人材を即戦力として採用したいと考えている。門戸は広がりつつあるとはいえ、条件の厳しさは変わらないようだ。

「お薬手帳断ろう、20円安く」ツイッターで拡散 薬局などは有用性PR

産経新聞 2014年6月8日

「お薬手帳を断れば、薬局の支払いが20円安くなる」。医療の値段である診療報酬が4月に改定されたことを受け、インターネットの短文投稿サイト「ツイッター」でそんな情報が広がっている。薬剤師などの医療従事者からは「自分の健康を守る手帳なのに、安くするために断るという考え方はなじまない」と戸惑いの声が上がるが、現場では手帳を断る患者が増えている。薬局側は「有用性を分かってもらうことが大切」として説明を強化し、理解を広げたい考えだ。

お薬手帳は、医療機関で処方された薬の名前や処方量などをシールで貼るなどして記録、管理する手帳。他の医療機関で出された薬との飲み合わせや過去の処方薬の確認ができることから、全国の薬局で取り入れられている。東日本大震災ではカルテを流された医療機関もあったが、患者が持参したお薬手帳が診療の大きな助けとなった。
従来、手帳への記載などで薬局が得られる「薬剤服用歴管理指導料」は410円だったが、4月の診療報酬改定で手帳が不要な人への指導料は340円に減額された。3割負担だと自己負担額は20円安くなる計算だ。
ネット上では「手帳を断れば20円安くなる」「20円を得るため、薬局は勧めてくるので断ろう」といった情報が拡散。逆に「20円のために健康を危険にさらすのか」などの反論も続出している。
厚生労働省は「安くなる裏技のように情報が広がるのは好ましくない」とするが、「患者側が手帳にメリットを感じていないから、そういう意見が出るのではないか」と医療者側にも責任があるとする。
こうした事態に、薬局も対応に本腰を入れ始めた。全国で調剤薬局を展開する「アイセイ薬局」(東京都千代田区)によると、お薬手帳を断る患者は1割ほどで、4月以降増えているという。同社は「診療報酬が改定されたのは、お薬手帳の運営が形骸化しているという批判があったからだろう」と分析。患者に手帳の有用性を説明するため、薬の飲み合わせによる副作用事例などをまとめた冊子を作成中だ。
こうした動きは多くの薬局に広がり、ポスターを掲げたり、チラシを配布したりする店舗も。アイセイ薬局の担当者は「有用性をアピールするだけでなく、手帳が不要な場合は安くなることも伝え、患者の信頼を得ていきたい」と話している。

お子様待望?! 定額動画のHuluで「それいけ!アンパンマン」配信開始

INTERNET Watch 2014年6月6日

HJホールディングスは6月14日より、月額933円(税別)の定額制動画配信サービス「Hulu」において、アニメ「それいけ!アンパンマン」の配信を開始する。Hulu専用スマートフォンアプリ、Hulu対応テレビなどから視聴できる。
アンパンマンの配信にあたっては、有限責任事業組合アンパンマンデジタルとパートナーシップ契約を締結した。毎月30本のエピソードをラインナップし、月ごとに作品を入れ替える予定という。
なお、Huluでは一部の視聴用アプリ/端末に「キッズロック」機能を搭載している。この機能をオンにすることで、キッズ向け作品のみがカテゴリー一覧に表示されるため、子供でも安心してHuluを操作できる。

あなたの家に「外国人メイド」がやってくる!? 外国人労働者「規制緩和」の狙いは?

弁護士ドットコム 2014年06月07日

外国からやってきたメイドさんがあなたの部屋を掃除してくれる――。やがてそんな日がくるかもしれない。
政府は、地域を絞って規制を緩和する「国家戦略特区」で、これまで就労が認められていなかった掃除や子育てなどの家事人材の規制緩和を進めようとしている。将来の全国的な人口減少による労働力不足をおぎなうため、外国人労働者に寄せる期待が高まっているのだ。
しかし、外国人が日本で働いている場面を見かけるのは、特にめずらしいことではない。なぜ、これまで外国人メイドは認められていなかったのか。外国人の労働問題にくわしい池田泰介弁護士に聞いた。

単純作業労働者の受け入れは慎重だった
「日本国内で外国人が仕事や一定の社会活動をしようとする場合、『日本人配偶者等』や『永住者』など活動制限のない在留資格を除いて、入管法令の規制を受けます」
このように池田弁護士は切り出した。
「この入管法と関係法令は、外国人メイド(家政婦)の雇用について、大使館や外交官が雇う場合や、企業の外国人幹部や外国人弁護士等専門職が一定の要件のもとで雇う場合など、ごく一部の場合だけ、認めていました」
一部の特権階級的な外国人だけが、外国人メイドを雇うことが許されていたようだ。なぜ、こんなにも、メイドという職業は規制されていたのだろうか。
「入管法令では、外国人労働者をどの範囲で受け入れるかについて、政策的な観点を多分に考慮して、ルールを定めています。
非常におおざっぱに述べると、日本政府は、『高度な資格・能力を要する職種の労働者』については積極的に受入れ、『単純作業労働者』の受け入れは慎重に対応するという基本方針を取っています。
そのうえで、外国人労働力に対する需要の状況に応じて、いくつかの特例を設けているというのが現状です」

目的は「家事負担の軽減と女性の職場での活躍促進」
たとえば、2008年以降、看護師・介護福祉士については、インドネシアやフィリピンから候補者の受け入れが始まり、最近は中国人看護師が増えている。家政婦はどうなるだろうか。
「家政婦は、単純労働の部類に区分けされることや、日本人に需要がそれほど大きくないことから、これまでは就労が認められていませんでした。
しかし、政府は『女性の活躍推進のため』という目的を掲げて、国内の都心部をはじめとした一部の地域で、外国人家政婦の雇用を認めるための検討を進めています。この規制緩和が実現した場合、一部地域で、外国人の家政婦が家に来て、家事や育児の代行をしてくれるサービスを受けられるようになります」
つまり、子育てに追われて仕事ができない女性や、共働きなどで仕事が忙しくて家事がなかなかできない家庭を支援するために、外国人メイドを受け入れるということなのだろうか。
「そういうことになりますね。ただ、こうした目的と外国人家政婦の門戸開放が効果的に結びつくのかについては、慎重な検証が必要です。待機児童問題や子育て環境の改善、女性の中途採用・復職促進は、外国人家事使用人を積極的に受け入れたとしても、ただちに解消に結びつく問題ではないでしょう」

ビジネスとして成り立つかどうかも課題
たしかに、働く女性が「忙しいから」と言って、ただちに家事をメイドさんに任せるかというと、そうではないだろう。メイドさんが日本人でも外国人でも同様な気がする。
「そうですね。日本の風習としても、留守を他人に任せるサービスを敬遠する人々が多くいるのが現実です。そして、コストが低いという点で、外国人を利用したサービスを期待するとしても、最低賃金をはじめとした労働関係法規の規制は、当然受けることになります」
となると、日本でビジネスとして成り立つかも課題だ。単に受け入れるだけで仕事先がなくては、来てもらったメイドさんたちにも申し訳ない。
「外国人家政婦を派遣する家事代行サービスが、有用なビジネスとして成立するか、あるいは、絵に描いた餅になるか。お題目を掲げて規制緩和をするだけでなく、具体的な制度設計と、事後的なフォローが不可欠になるでしょう」