「父子手帳」配布自治体増える 妻が妊娠したときから父親の自覚を

産経新聞 2014年6月19日

妻の妊娠・出産と、子育てを考えるきっかけにしてほしいと、母子健康手帳とセットで父子手帳を交付する自治体が増えている。父親グループの協力を得て作成されただけあって、父子手帳には父親向けの子育てのヒントが多い。父子手帳による「父親教育」で、夫婦間の意識のずれや子供への虐待を防止する狙いもある。(村島有紀)

まずはきっかけに
平成23年度の厚生労働省の全国母子世帯等調査結果報告によると、母子家庭になった理由として、離婚が9割を占める。離婚時の子供の年齢は0~2歳が35・1%で最多。3~5歳(20・9%)、6~8歳(11・5%)と、年齢が上がるにつれて減少することから、出産を機に夫婦関係が悪化し、離婚するケースが多いとみられる。
和歌山市は2年前から、『父子手帳~和歌山 男の子育て指南本』を母子健康手帳とセットで配布。市内の父親グループらの協力を得て作った。同市子育て支援課の担当者は「女性は体の変化などから少しずつ母親になる自覚を持つが、男性の場合、子供が『パパ』と呼ぶようになるまで父親としての自覚が生まれない人もいる」。
父子手帳は、子供や育児に関心のない男性も手に取りやすくするため、雑誌のように写真を大きく使っている。博物学者の南方熊楠(自由人)や商人の紀伊国屋文左衛門(社交的)ら和歌山ゆかりの人物をタイプで分類し、チャート式で自分の「パパタイプ」を見分けられるページや、「和歌旦那七カ条」という父親の心得などユーモアたっぷりな内容を記載。「男の自習時間」と題したコラムでは、妊娠中の女性の体の変化や0歳児の発育、第1次反抗期とされる「イヤイヤ期」の知識などを紹介している。
担当者は「1人で家事や育児ができる『イクメン育成』のための父子手帳もあるが、ハードルが高い。まずは奥さんの妊娠を機に子育てを考えるきっかけにしてほしい」。

地域のつながり
社会問題となっている児童虐待。虐待がエスカレートする要因の一つに育児ストレスや産後鬱、地域からの孤立などがある。父子手帳には、女性の体調の変化や産後に期待される父親の役割などを伝えることで、父親の育児参加の自覚を促す狙いもある。
さいたま市は以前から父子手帳を配布していたが、3月から新たに地元のNPO法人や父親グループが協力し、父親目線の『父子手帖~さいたま市で父になる。』を発行した。
子供の誕生の瞬間や寝返りをしたとき、初めて立ったときの気持ちを書き込む記録のページが多い。住民からの子育て応援メッセージや子供との散歩の魅力なども掲載されている。
担当の小沢千佳子さん(52)は「都心に仕事があり、さいたま市には夜遅く帰るというお父さんも多い。しかし、母親だけの子育ては負担が大きく、父母だけでも無理。子育てにはもっと多くの人の関わりが必要。子育てを通じて地元を知り、好きになってほしい」。
作成に協力した父親グループ「さいパパ」代表の紅谷弘二さん(45)は「一昔前は企業戦士と呼ばれ、現役時代は子育てに関わらない男性が多かった。しかし、小さな子供と関わることができるのは人生の中のわずかな時間。『父子手帖』をきっかけに、人生で何を大切にするのかを考える機会にしてほしい」と話している。

【用語解説】父子手帳
子育て支援サービスの一環として自治体が配布する父親向け育児副読本。名称は自治体によって異なり、内容も自由に決められる。平成6年から『父子健康手帳』を行政向けに販売している東京法規出版によると、納入先は約200自治体に上り、最近10年ほどで増えたという。埼玉県の『イクメンの素』▽岐阜県の『パパスイッチオン!』▽宮崎県の『パパのイクメン手帳』▽鳥取県の『がんばるイクメンのリアルな日常』-など都道府県が発行する冊子もある。

【用語解説】母子健康手帳
妊産婦の健康、誕生から就学までの子供の健康を守るため、母子保健法で全国の区市町村に配布が義務付けられている。妊娠や出産、予防接種などの記録部分は全国的に共通。

「長寿の秘訣は緑茶」に疑問 カテキンには血圧上昇リスクも

NEWS ポストセブン 2014年6月19日

厚生労働省の研究班がまとめた、全国20大都市の「健康寿命」データ(2010年時点)で日本一に輝いたのが、静岡県浜松市。現在メディアはやれ緑茶だ、ウナギだ、みかんだと「理由探し」に躍起となっている。
各種報道で長寿の秘訣としてよく登場するのが「緑茶」だ。消費額は静岡市が全国1位(年間1万1302円)で浜松が2位(同8216円)。静岡県栄養士会で理事を務める管理栄養士の木下初代氏が緑茶の健康効果を解説する。
「緑茶の主な成分はカテキン、カフェイン、テアニン、サポニンなどです。カテキンは血中コレステロールの低下、体脂肪低下、がん予防などの効果があるとされ、テアニンにはリラックス作用があると示す実験結果があります。ビタミン類も豊富に含まれており、静岡県の『茶業研究センター』では緑茶の健康効果などについて行政からの支援を受けて研究が行なわれています」
そうした研究結果があるのは事実であり、さらなる解明に向けて研究が続けられることに意味はある。ただし、「お茶をたくさん飲めば長生きできる」という短絡的な結論にはならない。静岡県立大学・茶学総合研究センター長の中村順行氏(同大食品栄養科学部特任教授)はこう指摘する。
「緑茶をたくさん飲む地域で健康寿命が長いとしても、緑茶以外の要因が重なっていることも考えなければいけません。
緑茶のがんを抑える効果はマウス実験でわかるレベルのものです。人間は煙草を吸ったりお酒を飲んだりしますし、ストレスもたくさん抱えている。つまり緑茶の健康効果を消して余りある負の要素がたくさんあるわけです。医師の管理の下で、実験マウス並みの“純粋培養”の生活を送ることができれば効果を実感できるかもしれませんが、現実にはそんなことは不可能です」
加えて、どんな食材・栄養素にも「摂り過ぎるリスク」が存在する。国立健康・栄養研究所がまとめた〈「健康食品」の素材情報データベース〉では、様々な栄養素の利点とリスク情報が公開されている。例えば、カテキンについては次のような記述がある。
〈通常量の緑茶としての飲用では、おそらく安全と思われる。ただし、カテキンを摂取する目的で多量の茶類を飲用する場合には、混在するカフェインの摂取により種々の生理作用(頭痛、神経興奮作用、利尿作用、血圧上昇など)が現れる可能性があり、特にカフェインに過敏な人は注意が必要である〉
どのくらいの量が適切かは個人の体質や生活習慣によって異なるから注意が必要だ。
※週刊ポスト2014年6月27日号

サラリーマンのがん患者 30%が依願退職 4%が解雇されている

NEWS ポストセブン 2014年6月19日

医療の進歩によりがん患者の生存率は確実に上がった。しかしながら「がんと生きていく」場合に最も深刻なのが就労問題だ。治療しながら働けるのに解雇される、子会社に出向になり収入が激減する、そんな事例が多発している──。
「幸い、夫のがんは治ったけれど、まさかそのことでマイホームを失うことになるなんて…」
A子さん(35才・パート)の3才年上の夫が会社の健康診断で「初期の胃がん」と診断されたのは、昨年3月のこと。1人息子が小学校に上がるのを機に、一念発起して一戸建てのマイホームを購入した矢先の出来事だった。
「夫は胃を3分の2摘出する手術を受け、2週間ほど入院。それから2か月ほど休養して、仕事に復帰しました。治療費や入院費はがん保険で大部分を賄えましたが、復帰後の収入が激減してしまったんです」(A子さん)
夫はIT企業のエンジニアで、大きなプロジェクトのリーダーを任され、がんで休職する前の年収は800万円ほどあった。しかし、復帰後は役職給と出来高給がごっそり削られ、年収は400万円ほどにダウン。さらに半年もたたないうちに子会社への出向を命じられ、給与は以前の3分の1ほどに落ち込んでしまった。
「夫は胃が小さくなった影響で食が細くなり、体力的に以前のような残業は無理。『出向は受け入れるしかない』と無念そうに話していました。今の収入ではとてもローンを払えないので、買ったばかりの家は泣く泣く売りに出すことにしました」(A子さん)
それでも、仕事が続けられるだけA子さんの夫は恵まれているほうかもしれない。B子さん(45才・パート)の夫(48才)は3年前に前立腺がんが判明。手術か放射線治療か悩んだ末、より体への負担の少ない放射線治療を選択した。すると、会社側の態度が一変したという。
「放射線治療のために2か月間ほぼ毎日通院するので、その間休みをもらうしかありませんでした。夫がそのことを会社に申し出ると、『治療はいつまで続くのか』と露骨に嫌な顔をされ、『今なら退職金を増額できる。きみにとってもゆっくり治療に専念できたほうがいいんじゃないか』と言われたそうです。
ていのいい首切りですよね。夫は『会社に迷惑をかけたくない』と退職を受け入れました。形の上では自ら申し出た依願退職。長い間、会社のために一生懸命働いてきたのに、なんて冷たいのって怒りに震えました」(B子さん)
がん治療中は退職金とB子さんのパートでやりくりし、その後、夫は小さな会社に再就職できた。だが、年収は以前より大幅に下がったうえ、いつ再発して再び失職することになるかと、不安は消えないという。
厚生労働省の2003年の調査によれば、会社勤めをしていたがん患者の30%がB子さんの夫のように依願退職し、4%が解雇されている。
また、NPO法人がん患者団体支援機構とニッセンライフの共同実施アンケート(2009年)によると、がん患者の平均年収は約395万円(診断前)から約167万円(診断後)に激減している。
※女性セブン2014年7月3日号

「赤ちゃんはいつ?」増える女性同士のセクハラ! 対処法は?

Book Cafe 矢来町ぐるり 2014年6月19日

職場でのセクハラは年々増加している!
同性間のセクハラ被害を訴えるケースが増えているそうです(厚生労働省調べ)。そこで、異性間だけでなく同性間の言動も職場のセクハラに該当することを盛り込んだ男女雇用機会均等法施行規則を改正する省令が公布され、今年の7月1日に施行されることになりました。セクハラって、男性が女性にするもんじゃないの? と思っているアナタ。要注意です!
「露出した格好だとちかんにあいやすい」はウソ!?

女性が女性にセクハラ?
同性同士だと認識が甘くなりがち。女性から女性に対して「赤ちゃんはいつ?」と個人的な家族計画について聞いたり、しつこく飲みや食事に誘ったりするのはセクハラの可能性が。あるいは飲み会の席で男性から男性に対して「脱げ~っ」と強要するなどももちろんアウト。同性同士ならいいだろうと思っていませんか? セクハラとは、「相手の意に反する性的言動」。つまり、相手がいやだと思ったらセクハラになってしまいます。

もしセクハラにあったらどうすればいいの?
まず会社の相談窓口を探してみよう。会社にはセクハラ防止対策をするべき、措置義務があります。派遣社員だとしても、派遣元・派遣先両方の会社に措置義務があります。もし相談窓口がなければ、会社側の義務違反。裁判で争ったときなどにその事実自体が有利な証拠になります。
また、日時・場所・されたことなどを詳しく記録に残しましょう。誰かに相談するということ自体が証拠になるので、ぜひ相談して。セクハラは、2人きりのときにされることが多いので、証拠を残すのが難しいのです。もしメールなどを送られた場合は、気持ち悪くても必ず取っておいて。
もっとよいのは、セクハラをされたときにいやという意思表示をすること。そうするとより有利。ただ、相手が上司など、立場が上で拒否自体できない場合もあるので、拒否しなければセクハラでないということもありません。
会社で相談してダメだったら、各都道府県の労働局や弁護士に相談するという手も!
セクハラが転じてパワハラになる例はよくあるそう。他にもストーカー、ひったくり、DVなど、身近で起きる可能性がある危険はたくさん。対処法を知っているか知らないかで、その後の人生が変わるかもしれません!!!
参照:『身近な危険から自分を守る! ゆるサバイバル入門』
地震・火事・集中豪雨などの災害から、盗難・性被害・悪徳商法などの犯罪、セクハラ・パワハラまで、ゆる~く読めて、しっかり役立つコミックエッセイ。

医科の院外処方率が初の7割超え-厚労省、昨年のレセプト調査

医療介護CBニュース 2014年6月19

厚生労働省は、昨年の社会医療診療行為別調査で同年6月審査分の診療報酬明細書を調べた結果、病院と医科診療所の院外処方率は70.2%だったと発表した。同省によると、院外処方率を算出するようになった1993年の調査以降、70%を超えたのは初めて。【佐藤貴彦】
昨年の調査では、ナショナルデータベースに蓄積された診療報酬明細書と調剤報酬明細書のうち、6月審査分を対象に、診療行為の内容などを調べた。
それによると、前回調査(2012年6月審査分が調査対象)では65.8%だった院外処方率が、70.2%まで上昇していた。このうち病院は74.1%、診療所は68.9%で、前回調査と比べ、それぞれ1.2ポイントと5.7ポイント上がった。

明細書一枚当たり点数、入院・入院外とも増
同調査では、明細書一枚当たりの点数も算出。入院に関する明細書では4万9255.4点で、前回調査から292.6点増加した。
一日当たりだと3151.8点(前回調査比64.9点増)で、診療行為別に見ると、前回調査と比べ軒並み上昇。「入院料等」が1120.1点(同14.4点増)で最も高く、以下は「診療群分類による包括評価等」が922.1点(同15.5点増)、「手術」が547.0点(同16.5点増)、「リハビリテーション」が162.5点(同11.8点増)などと続いた。
一枚当たりの入院日数は15.63日で、前回調査と比べ0.23日短縮。入院時食事療養等は一日当たり1711円で、5円安かった。
一方、入院外の明細書一枚当たりの点数は、前回調査比11.4点増の1326.3点で、一日当たりでは同16.0点増の801.4点だった。診療行為別の一日当たりの点数が最も高いのは「投薬」の147.0点で、前回調査と比べると5.2点下がった。以下は、「検査」が141.8点、「初・再診」が125.0点、「処置」が79.8点、「医学管理等」が71.8点などと続き、このうち、「検査」と「処置」は前回調査と比べ、それぞれ6.1点と2.3点増えたのに対し、「初・再診」と「医学管理等」はそれぞれ、1.1点と0.9点減った。「在宅医療」は、5.4点増の51.9点だった。
一般医療と後期医療とで明細書一枚当たりの点数を比べると、入院では一般医療が4万7647.7点なのに対し、後期医療は5万1050.9点だった。また入院外だと、一般医療は1192.2点、後期医療は1730.6点だった。

薬局調剤の明細書一枚当たり点数も増
薬局調剤の明細書一枚当たりの点数は、前回調査比49.9点増の1103.6点。受け付け一回当たりの点数は852.1点(同48.4点増)で、調剤行為別に見ると、「薬剤料」が633.6点(同44.5点増)で最も高く、以下は「調剤技術料」が177.0点(同3.9点増)、「薬学管理料」が40.1点(同0.1点減)などと続いた。
一般医療の明細書一枚当たりの点数は958.4点。一方、後期医療は1505.7点だった。