保育士確保に政府奔走、求められるのは安全性

エコノミックニュース 2014年6月22日

待機児童問題は相変わらず改善されず、子どもの預け先が決まらず仕事ができないといった声は依然としてなくならない。政府は待機児童対策の一環として保育士確保を掲げているが、それに伴い、2015年度を目標に「子育て支援員(仮称)」を新たな公的資格として創設することを発表した。対象は子育ての経験に富んだ主婦などで、15~25時間ほどの研修を経て資格が与えられる。非常に短時間で取得できてしまう資格だが、果たして資格保持者はどれほどの知識を身につけて、保育の仕事に従事するのだろうか。
「子育て支援員」が今後どのような役割に就くのかは定かではないが、保育士補充を目的として急がれる人員集めには不安がともなう。今年3月にもベビーシッターが、預かった子どもを死なせてしまう事件があったばかりだ。07年には北九州の無認可保育園で、職員が園児を炎天下の車内に残し忘れてしまうということが起こり、熱中症によって幼い命が奪われてしまった。ずさんな管理体制が問題とされる無認可施設の見直しが急務とされた事件は、記憶に新しい。また、公的施設である認可保育園においても、園児の死亡事故は起こっている。厚生労働省が明らかにした内容によると、13年の全国の認可、無認可の両方の保育所で起きた園児の死亡事故者数は19人。公的に認可が下りている施設で4人、無認可施設で15人という内訳だ。ほとんどが睡眠中の死亡事故であり、うつぶせ寝に一因があるとされている。また食べ物を喉に詰まらせ、窒息死してしまった例もあった。
子どもの命を預かるのが保育士の仕事である。通常、保育士の資格を得るには厚生省が指定する国家試験にパスするか、専門学校や短期大学で一定の単位を取得することが必要であり、およそ2年程度の期間を要するのが一般的だろう。しかし、せっかく保育士の資格を取得しても、別の仕事を選択する人が多いのも事実だ。体力が必要な労働環境に、最低賃金すれすれの安い給料、また保護者からの注文も多く、精神的に続かなくなって離職する保育士もいる。保育の安全性は、預ける側の保護者にとっても関心が高い問題だ。保育士の労働環境や賃金の見直しによって、職業意識やモラルを高める取り組みも必要だろう。預けられている子どもたちを主体に考えれば、安全性を高め、より質の良い保育を実現することこそが、何よりも重要な課題であることは間違いない。(編集担当:久保田雄城)

ベビーシッター仲介サイト、身元確認厳格化へ 厚労省

朝日新聞デジタル 6月22日

埼玉県富士見市でインターネットを通じて依頼したベビーシッターに預けられた男児が死亡した事件を受け、厚生労働省は、ベビーシッター仲介サイトに保育者の身元確認の厳格化を求める方針を固めた。事件後の調査で、これらサイトの多くが保育者の登録情報を自己申告のみで確認しているなどの危うい実態がわかったためだ。近く有識者の専門委員会を設置し、新たな指針作りに着手する。来春の導入を目指す。
新たな指針の中身としては、都道府県などに事前に届け出た保育者しか仲介サイトに登録できないようにし、届け出時や登録時に身分証明書提出を求めることなどを検討する。新設する専門委で、今秋までに具体策をまとめる。
事件を受けて厚労省は主要な仲介サイト8業者にアンケートをし、5業者から回答を得た。保育者の登録数は約400~約6千人で、利用者は最も多いサイトで約1万6千人いた。保育士資格を所有する人の割合は3業者で25%未満、2業者で50%未満だった。

国民年金納付率60・9% 2年連続で上昇

産経新聞 2014年6月23日

厚生労働省は23日、平成25年度の国民年金保険料納付状況を社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会に報告した。納付率は60・9%(前年度比1・9ポイント増)で6割を超え、過去最低だった23年度(58・6%)から2年連続で上昇した。25年度末の加入者は1805万人だった。
厚労省は、納付を求める特別催告状の送付対象者を増やすなど、滞納者対策を強化したことが納付率改善の要因だとしている。ただ、所得が低く納付の全額免除や猶予を受けている人(計606万人)を除外せずに計算した実質的な納付率は40・2%(前年度比0・3ポイント増)にとどまった。
納付率を都道府県別にみると島根県が73・4%で最も高く、次いで新潟県72・9%、山形県71・7%。最も低かったのは沖縄県の41・7%で次いで大阪府51・9%、埼玉県56・9%だった。すべての都道府県で前年度に比べ納付率が上昇した。年齢層別では55~59歳が73・1%で最も高く、25~29歳の49・9%が最も低かった。
会社員が入る厚生年金の保険料が給与から天引きされるのと違い、国民年金は加入者が自分で納める仕組みだ。主な対象は自営業者や農家だが、近年は無職の人や非正規労働者の加入が拡大、保険料を支払えないケースが増え、納付率低迷の要因となっている。

初婚年齢35歳以上が1割占めるも 「結婚」「転職」は30歳までが理想

エコノミックニュース 2014年6月22日

厚生労働省の調査によれば、妻の初婚年齢は東京都では30歳を超えた。全国平均でも35~39歳の初婚率は10.5%(2012年)と10年前の約3倍に増え、全体の1割を占める。にもかかわらず女性の考える結婚および転職のひとつの区切りは未だ30歳が目安のようだ。リクルートジョブズが運営する「とらばーゆ」の調査で分かった。
調査は女性向け転職サイト「とらばーゆ」の『U29(ユニーク)女子プロジェクト』が20代後半の未婚女性1030名を対象に実施したもの。今後のライフイベントとして「結婚」と「転職」にフォーカスし、「U29女子」(20代後半女性)たちの本音を探った。
「将来、結婚をしたいと思いますか?」との質問に対しては、86%が「そう思う」と回答。日本では多くの年齢層で未婚率が上昇しているが、結婚願望を持つ女性の割合は非常に高いといえる。そこで、「何歳までに結婚したいか」を質問したところ、最も多かった回答は“30歳”(37%)という結果になり、結婚を考える女性にとって、“30歳”という年齢が1つの目安になっている様子がうかがえた。
続いて「転職意向」についての調査では、有職者のうち、「転職をしたい」と考えている人が76%と約8割にものぼることが明らかになった。また、「何歳までに転職をしたいか」という質問をしたところ、ここでもやはり“30歳”(38%)という回答が最多となった。
20代後半女性の多くは、仕事においてもプライベートにおいても、“30歳”までに次のライフイベントを迎えたいという意向を持っている様子がうかがえる。
しかし一方で、“30歳”までに結婚・転職をしたいと思う理由については具体的でない人も多いことがわかった。実際に、「30歳までに結婚したい理由」を聞いた質問では、「出産を考えているから」(64%)に次いで「以前から漠然と思っているから」(37%)という回答が次点に。また、「なんとなく」という回答も19%で5人に1人に上っている。
さらに、「30歳までに転職したい理由」についても、最も多かったのは「その年齢を超えると、転職しにくいと言われているから」(47%)という回答で、以下、「なんとなく」(29%)、「以前から漠然と思っているから」(22%)と続いていた。
30歳というと人生の一区切りと見る女性も多いかもしれないが、実際のところ、初婚平均年齢は年々上昇を続け、ついに東京では30.3歳と30歳を超えた(2012年)。妻の35歳~39歳初婚率も03年の3.35%から12年には10.5%と10%を超え、全体の1割を占める。転職も結婚もある意味“縁”の賜物。一定の年齢を必要以上に意識する必要はないのかもしれない。(編集担当:横井楓)

繰り下げ受給で月額1・8倍!? 年金は何歳からもらうのが賢いか

産経新聞 2014年6月22日

田村憲久厚生労働相が、公的年金の受給開始年齢を選択制で75歳まで引き上げることを検討すると表明した。受給開始を遅らせる選択をした人は、繰り下げた期間の長さに応じて月ごとの受給額が増えることになるが、いったい何歳からもらうのが“お得”なのか-。
公的年金の支給開始年齢は現在、国民年金が65歳で、厚生年金は60歳から65歳へと段階的に引き上げている途中だ。
「75歳まで支給開始を引き上げられてはたまったものではない」と心配する向きもあるかもしれないが、田村氏が言及した案は、75歳への一律引き上げを指すわけではない。
年金は、個人の希望によって60歳から70歳までの間で受給開始年齢を選ぶこともできる。繰り上げたり繰り下げたりした場合はもらえる年金の額が増減し、受け取りを1カ月遅らせるごとに0・7%増え、逆に1カ月早めるごとに0・5%減る。各自の経済状態や老後のライフスタイルに応じ、受給のペースや年金の額をアレンジできる仕組みになっているのだ。
この選択幅の上限を「70歳」から「75歳」に引き上げる、というのが、厚生労働省が今後検討する改革案だ。
では、75歳までの引き上げが実現した場合、もらえる年金の額はどうなるのか。支給月額が10万円のケースでシミュレーションしてみよう。
現行の上限年齢の70歳から受給を始めた場合は、増加率が42%(0・7%×60カ月)となるので、毎月14万2000円を受給できる。
75歳への引き上げ後も同じ月0・7%の増加率が適用されると仮定して試算すると、71歳からもらい始めれば毎月の受給額は15万円。さらに72歳だと15万8000円、73歳だと16万7000円、74歳だと17万5000円…。上限の75歳まで繰り下げると月18万4000円となり、65歳スタートの場合と比べてなんと84%増しの年金を受け取ることができるという計算になる。
とはいえ、75歳まで受給開始を遅らせるのは、多くの人にとって現実的とは言いがたい。
60~70歳代でも定期的な収入が期待できる自営業者ら(それもかなり裕福な)に限れば賢い選択かもしれないが、サラリーマンの場合、75歳まで年金を受けずに生活ができるという人は非常に限られているだろう。
当然ながら寿命という問題もある。
厚労省の平成24年簡易生命表によると、75歳時点での平均余命は男性11・57年、女性15・27年だ。75歳から年金をもらい始めた人の受給総額が65歳スタートの人を追い越すのはだいたい87歳なので、統計上は、男性の場合は元を取ることが難しいということになる。
そもそも、75歳まで生きているという保障はだれにもない。簡易生命表によると、75歳まで生きる人の割合は男性73・1%、女性86・9%で、男性に限れば約3割が死亡していることになるのだ。
「長寿を競うギャンブル」というと言葉は悪いが、つまるところ、どれだけ長生きするかによって損か得かのラインは変わってくるといえる。
このコーナーでは、政治部の厚生労働省担当記者が社会保障制度の仕組みや活用方法を解説します。
松本学(まつもと・まなぶ) 平成13年、産経新聞社入社。大阪本社社会部などを経て、24年5月に政治部へ。25年10月から厚生労働省を担当。39歳。

若手ビジネスマン睡眠白書

web R25 2014年6月22日

厚生労働省がこの春発表した「健康づくりのための睡眠指針 2014 ~睡眠12箇条~」によると、睡眠は心身の疲労を回復する役割を担うため、質的に悪化すると“生活習慣病”や“うつ病”などの健康上の問題を引き起こしたり、事故につながるヒューマンエラーを招く可能性が高まるという。
“睡眠の質が重要”とはよく聞くが、質の良し悪しはなかなか判断しにくいもの。実際、若手ビジネスマンはどんな環境で寝ているのか?25~34歳の未婚男性200人に“睡眠時の環境”について調査した(協力/アイ・リサーチ)。
まず就寝時の照明の程度を聞いたところ「真っ暗闇で寝る」(86%)、「薄明かりをつけておく」(12%)、「照明器具をつけて明るいまま」(2%)の順。完全消灯が大多数のようだが「TVをつけたまま寝るか」という問いには「よくある」(4.5%)、「たまにある」(26%)と約3割が「ある」と回答。また音楽をかけたまま寝るのも「よくある」(6%)、「たまにある」(15.5%)と2割強に及び、意外に“寝落ち”率も高いことが明らかになった。
では寝るうえで最適な環境とは? 「NPO睡眠文化研究会」事務局長で睡眠改善インストラクターの鍛治 恵さんに教えてもらった。
「一般的に入眠時は“暗く”“静かで”が望ましいです。真っ暗よりも、トイレなどで夜中に目覚めた時に、足元が確保できる程度の薄暗さが理想ですね。天井照明なら豆球程度、フロアランプなら動線上に小さな光源のものを常夜灯として置きましょう。明かりをつけたままで眠ると、光刺激によって睡眠覚醒リズムを整える“メラトニン”というホルモンの分泌が抑制され、睡眠の質が低下してしまいます。照明や電化製品をオフせずに寝落ちしてしまうようだと、すでに睡眠不足になっている可能性が大きいですね」
最近寝ても疲れがとれない~なんていう時は、睡眠環境を見直してみてはいかが?
(足立美由紀)