児童養護施設、建設費増大で支援呼び掛け 福島・玉川

河北新報 2014年7月15日

福島県玉川村に建設中の県中部では唯一となる児童養護施設「森の風学園(仮称)」が資金不足に苦しんでいる。資材価格の高騰に消費税増税が追い打ちをかけ、建設費が当初の計画を大幅に上回った。完成後の運営に支障が出る恐れがあり、建設主体の社会福祉法人は支援を呼び掛けている。
森の風学園は社会福祉法人「ゆめみの里」(同村)が建設、運営する。約1000平方メートルの敷地に一戸建て住宅3戸が連なる「居住棟」などを整備し、最大30人の子どもを受け入れる。11月の開所を目指す。
当初計画では、土地代を除く整備費を2億2500万円と見込んだ。75%を国と県の補助金、残りは被災地の教育を支援する民間基金からの寄付や借入金で賄う予定だった。
資材高騰や労務単価の上昇に伴い、昨年12月に実施した入札は不調に終わり、契約価格を引き上げざるを得なかった。消費増税も加わり、整備費は少なくとも3000万円増える見通しになった。
より家庭に近い雰囲気で養育しようと、法人は子ども3人につき1人の割合で職員を採用したい考え。国の基準を上回る職員配置のため、増員分の人件費は法人が負担する。整備費の増加に伴い借入金などが増えれば、法人運営に影響が出かねず、職員を思うように採用できない恐れもある。
県によると、県内に児童養護施設は8カ所あり、平均入所率は8割を超える。県中部に施設がないため、地元の子どもが遠隔地への入所を余儀なくされ、親子面会が難しくなるケースもあった。
5年前から開設に奔走してきた法人の熊田富美子理事長(55)は「子どもにとって暮らしやすい環境を整え、笑顔の絶えない施設にしたい」と協力を呼び掛ける。
寄付者には子どもから毎年、クリスマスカードが届く。連絡先はファクス0247(57)3788、メールk.fumiko_yumemi@xsj.biglobe.ne.jp
[児童養護施設] 親の死亡や虐待、経済的な理由などで、家庭で暮らすのが困難な子どもを育てる施設。児童福祉法に基づき、社会福祉法人などが設置し、運営費は国と都道府県などが2分の1ずつ負担する。厚労省によると、2012年10月時点で、全国に570カ所あり、2万8188人が入所する。

児童のいる世帯6割超が「生活苦しい」…国民生活基礎調査

リセマム 2014年7月16日

厚生労働省は7月15日、2013年国民生活基礎調査の結果を公表した。児童のいる世帯では6割以上が「生活が苦しい」と回答し、子ども貧困率も調査以来最悪の16.3%という結果になった。

児童の有無(児童数)別にみた世帯数の構成割合の年次推移
同調査は、国勢調査と同様に統計法に基づく基幹統計として毎年実施。全国の世帯および世帯員を対象に、今回は世帯票・健康票23万4,383世帯、所得票・貯蓄票26,387世帯、介護票6,342人の有効回答を得て集計した。
児童のいる世帯は全世帯の24.1%にあたる1,208万5,000世帯となっている。そのうちの72%が「夫婦と未婚の子のみ」の世帯構造、次いで16.3%が「3世代世帯」196万5,000世帯だった。児童数別にみると児童が「1人」いる世帯は全世帯の10.9%、「2人」いる世帯は10.1%となっている。1986年(昭和61年)の調査では、児童「1人」いる世帯は16.3%、「2人」いる世帯は22.3%だった。
所得等の状況では、1世帯あたりの年間平均所得金額は「全世帯」が537万2,000円、「児童のいる世帯」は673万2,000円となっている。児童のいる世帯について末子の年齢階級別にみると、平均所得金額は「15~17歳」の世帯がもっとも高く、732万7,000円だった。
貯蓄の状況をみると、「1世帯あたりの平均貯蓄額」は1,047万円。「児童のいる世帯」の平均貯蓄額は706万7,000円だが、「貯蓄がない」と回答した「児童のいる世帯」は15.3%あった。
17歳以下の貧困世帯にいる「子どもの貧困率」は、1985年(昭和60年)の調査以来もっとも高く16.3%だった。前年から0.6ポイント、1985年の10.9%から5.4ポイントそれぞれ増加していることがわかった。
暮らしの状況を総合的にどう感じるかの「生活意識」として、全世帯で「苦しい」と回答した世帯は59.9%いた。近年上昇傾向で、2001年(平成13年)の51.4%から8.5ポイント増えている。中でも児童のいる世帯では65.9%が「苦しい」と答えている。

ジャイアンにのび太殴られるシーンは「いじめ助長」 台湾団体が「ドラえもん」に「異議あり」

J-CASTニュース 2014年7月16日

アジアを中心に世界中で人気のアニメ「ドラえもん」では、ジャイアンがのび太を殴ったりするのは、定番のシーンだと言ってもよい。だが、そこに台湾の団体から「いじめを助長する」などとクレームがついた。長期的にみて、子どもの成長に悪影響を与えるというのだ。
教育団体側は、内容を精査して「いじめ」のシーンが含まれていない回だけを放送するように求めている。政府機関も調査に乗り出す構えだ。波紋は広がる一方だが、ネット上では「のび太は人生の勝ち組」だとの声もある。作品への批判が妥当ではないという声も根強い。

番組見た子どもが「ジャイアン化」する??
台湾の大手紙「自由時報」(電子版)が2014年7月15日に報じたところによると、作品のあり方に疑問を唱えているのは、南部の都市・高雄(カオシュン)の教育団体。同市教員組合の董書攸理事長は、
「今のテレビアニメには、子どもが見るには適さないエピソードがいつも出てくる。物理的、言語的な暴力やいじめがよく出てくる」
と指摘した上で、
「中でも『ドラえもん』は子どもに人気で、影響が比較的大きい。その内容にはいじめが含まれているが、テレビ局は注意喚起をしてこなかった。幼い子どもは自己判断能力に欠けており、まねをする可能性がある」
、「ドラえもん」を見た子どもが「ジャイアン化」することを懸念した。
児童福祉団体「児童福利連盟」も、やはり「ドラえもん」には問題があるとみる。同連盟では、のび太はジャイアンから長期にわたっていじめを受けており、時にはスネ夫もいじめに加担していると説明。これらの設定が子どもの成長に悪影響を及ぼすと主張している。
「現実にはひみつ道具はないし、大人もめったに介入して助けてくれたりはしない。いじめられる子どもは、心身両面で苦痛を受けており、成人後の人格や心理面で影響を与えかねない。いじめられた子どもの子どもは、後に多くの問題行動を起こす」

「ワンピース」ではくわえタバコにモザイク入る
この団体では、激しいいじめのシーンが含まれている古い時期の番組は放送しないように求め、最近制作された番組と劇場版は比較的表現が穏やかだとして番組前や番組中にテロップを入れるなどして注意喚起するように求めている。これらの動きを受け、放送局を監督する国家通信放送委員会(NCC)は調査に乗り出す方針だ。
台湾では、「ワンピース」の登場人物がくわえタバコをしているとして問題になったことがある。テレビ局はこれらの団体からの改善要求を受け入れ、現在は「タバコ部分にモザイクを入れて放送している。今回のドラえもんの件でも、放送局側は何らかの対応を迫られる可能性がある。
ただ、台湾でも「のび太が『単なるいじめられっ子』」だという見方には異論が出ている。ドラえもんのキャラクター設定には執筆時期によっていくつかのパターンがあるが、その中のひとつに「のび太は就職に失敗し、仕方なく起業。10年後に火事を起こして倒産」というものがある。この点について、タブロイド紙の「アップル・デイリー」では、7月16日に
「10年も会社を続けられる人は、単なる『無能な人』ではない」
といったネット上の声を紹介している。さらに、のび太は静香ちゃんとの結婚に成功しており、「実際のところは、のび太は人生の勝ち組だ」という評価も多い。