子供の貧困解消へ、12指標定める…大綱原案

読売新聞 2014年7月27日

貧しい家庭に生まれた子供の教育や生活を支援するため政府が定める「子供の貧困対策に関する大綱」の原案が判明した。
貧困状況に置かれている子供の実態を的確に把握するため、「生活保護世帯の高校進学率」など12項目を「子供の貧困に関する指標」と定め、改善していくために政府が今後5年間、行う重点施策を盛り込んだ。政府は8月上旬にも閣議決定する方針だ。
大綱によると、日本の「子供の貧困率」は、2009年時点で15・7%。経済協力開発機構(OECD)加盟34か国中、10番目に悪い数値で、低いレベルにある。
厚生労働省が今月発表した12年時点での数値でも、16・3%と過去最悪となった。離婚の増加により母子家庭が増えたことなどが原因とみられるが、日本の社会保障制度が高齢者向けに偏り、現役世代の貧困への対策が十分でなかったとの指摘も根強い。
こうした実態を踏まえ、大綱では、貧しい家庭に生まれ育った子供が成長後に自らも貧困に陥る「貧困の世代間連鎖」を断ち切ることを目標に掲げる。具体的には、〈1〉生活保護世帯の高校進学率〈2〉ひとり親家庭の子供の進学率と就職率〈3〉児童養護施設の子供の進学率と就職率――など12の指標を設定した。〈1〉については、13年で90・8%だが、全世帯では98・6%あり、こうしたギャップの改善を目指す。

年金 40代以下の世代は68才からの受給を覚悟しておくべき

NEWS ポストセブン 2014年7月27日

ここ最近、年金に関するニュースが増えている。というのも、厚生労働省が6月、5年に1度行う公的年金の『財政検証』の最新版を発表したためだ。この『財政検証』は年金の“健康診断”ともいわれ、将来もらえる年金額が世代別に詳しく記されている。ただ、その複雑さゆえに誤解も多く、正しい知識を知らずにいると、損をしてしまうことも。
現在45才の場合、65才で年金を受け取るまでに20年間あり、ニッセイ基礎研究所年金総合リサーチセンター・中嶋邦夫主任研究員の試算では、支給される年金額は現在より3万円ほど低い月額19万円にまで目減りする。さらに、40代は年金をもらい始める年齢が65才より遅くなる可能性まである。
「1年前に、年金の支給開始年齢を65才から68才にまで引き下げるという案が、内閣官房の社会保障制度改革国民会議の報告書で提案されました。報告書では『中長期的課題』とされていますが、厳しい年金財政を考えると、実施する可能性が高い。40代以下の世代は、68才からの受給を覚悟しておいたほうがいいですね」
と話すのは社会保険労務士の北村庄吾さん。なぜ40代以下が危ないのか。
会社員が受け取る厚生年金は、現在60才→65才支給への引き下げの途中段階にある。2013年から3年ごとに1才ずつ引き下げられており、2025年に65才から年金を受け取るようになる。
これが65才支給でとどまらず、2025年以降も3年ごとに1才ずつ引き下げられるとしたら、2028年に66才支給、2031年に67才支給、2034年以降は68才支給となる。つまり、2034年以降に68才を迎える今の47才以下がひっかかってくるのだ。
「日本よりも高齢化がゆるやかなアメリカやドイツでも、すでに年金支給開始年齢を65才→67才へと引き下げ中です。世界的には自然な流れといえます」(前出・中嶋さん)
年金が68才支給になるころには68才定年も定着していると願いたいが、その年まで働けないケースもあるだろう。今のうちから、どう準備するかがポイントになる。
※女性セブン2014年7月31日・8月7日号

所在不明の子供「対応強化」 警視庁が対策本部

産経新聞 7月26日

虐待が疑われる子供の所在不明問題などへの対応を強化するため、警視庁は25日、人身安全総合対策本部を発足させた。産経新聞の調べでは、所在不明の子供は全国で少なくとも1603人で、東京都でも378人に上る。虐待が疑われても保護者が自治体との接触を拒むケースもあり、対策本部は迅速な情報収集と安全確保に乗り出す。
同庁によると、昨年12月に発足した「ストーカー・DV(ドメスティック・バイオレンス)対策本部」を発展的に解消。児童相談所と連携してきた少年育成課などを新たに加え、2カ月後をめどに80人から120人に体制を拡充する。
ストーカー・DVだけでなく、児童や高齢者、障害者への虐待が疑われる事案や事件性が疑われる行方不明事案があった場合にも、警察署への相談や110番通報の段階で対策本部が関与。署と連携して危険性を判断し、積極的な事件化や保護に乗り出す。

<子育て支援団体>約2割が運営危機的 足りぬ人員、活動費

毎日新聞 7月26日

ひとり親家庭や、家庭に課題を抱える子どもたちの支援活動に取り組む全国の民間団体に毎日新聞がアンケートしたところ、約2割の団体が「このままでは将来的に運営不可能になる」と回答した。子どもの貧困問題が注目され、民間団体の役割が大きくなる一方で、活動基盤が脆弱(ぜいじゃく)であることが明らかになった。8割以上が活動費不足、7割近くが人員不足に悩んでいるとしており、約3割は全てのスタッフが無償で、月15万円以上の有償常勤スタッフがいる団体も約3分の1だった。

調査は今年6~7月、相談・交流会や学習サポートなど子育て支援活動を行っている全国の82団体(非営利組織や任意団体など)にメールやファクスで実施し、53団体から回答を得た(回答率65%、1団体あたりの平均スタッフ数19.8人)。
ほぼ全ての活動日に勤務する「常勤スタッフ」がいるのは37団体(70%)で、そのうち月15万円の有償スタッフがいるのは19団体。常勤スタッフがいる団体の51%、全回答団体の36%にとどまり、子育て支援活動を職業にするのが困難な状況だった。16団体(全体の30%)は常勤・非常勤合わせて全スタッフが無償で、支援者の善意に頼った現状がうかがえる。
活動上の課題(各団体、原則3項目回答)は、人件費や会場代、交通費などの活動費不足が45団体(回答団体の85%)で最も多く、後継者難を含む人員不足(35団体、66%)▽役所・児童相談所・社会福祉協議会との連携(19団体、36%)▽スタッフのスキル向上(13団体、25%)▽学校との連携(12団体、23%)--と続いた。
さらに、今後の活動の展望では、2団体が「このままでは2~3年後に運営休止」、8団体が「いずれ運営不可能になる」とし、合わせて10団体(19%)が将来の展望が描けない状態だった。「このまま問題なく運営継続可能」はわずか5団体(9%)だった。
自由記述で意見を求めたところ、行政の委託事業の実態を問題視する意見が目立った。「単年ではなく2年以上の契約にしてほしい。子どもは1年でどうにかなるわけではなく、関係を築き上げても途切れてしまう」「特定の団体がほぼ独占して委託を受けている状況が続いている」など、18団体が問題点を指摘した。
回答の中で、「子どもの虐待防止ネットワーク・かがわ」(高松市)は「メンバーはボランティア精神で活動しているが、意欲だけでは活動の継続は困難だ」と訴えた。政府は現在、子どもの貧困対策法に基づく大綱づくりを進めており、官民による基金創設を求める意見も出ているが、「子育てネットワーク・ピッコロ」(東京都清瀬市)は「(支援の役割を)きちんと担っている団体に運営費を支払っていくことを自治体の負担ではなく、国が考えていくべきだ」と、国による活動環境の整備を主張した。

湯沢直美・立教大教授(社会福祉論)の話
孤立しがちな困窮家庭を早期に発見・支援するには、地域を基盤としたネットワークが必須であり、制度の隙間(すきま)を埋める民間団体が重要な役割を担っている。行政は、委託費に必要な活動コストが反映されていない「安上がり福祉」とならないよう、民間団体の財政基盤をバックアップし持続可能な活動を保障するとともに、施策効果が認められる事業は複数年度続けて実施するなど、実効性のある制度につなげることが求められる。

「命綱」守る支援を
子育て支援団体に対するアンケートから、その運営が危機的な状況にあることが分かった。家庭環境、発達障害など本人の特性、いじめなど学校での人間関係のトラブルなど、子どもたちが抱える課題は複雑で、機動性や多様性を備えた民間の支援団体が果たす役割は大きい。
大阪市内のNPO法人が主催する学習支援活動には、居場所がない子どもたちが週2、3日、通ってくる。自宅で本を広げる場所がないという男子中学生は「ここがなければ、勉強できなかったと思う」と話し、高校進学を考え始めている。夕食会に集まる小学生たちは、家庭では味わえない「だんらん」を体験し、笑顔を取り戻している。いずれも、人間が成長する上で欠かせない経験だ。
現在の教育・福祉制度では、こうしたケースをフォローできない。支援団体の活動休止は、子どもたちの「命綱」が切れることを意味する。政府の積極的な支援が求められる。【福田隆】

先天異常率「全国と同じ」 厚労省、福島の赤ちゃん調査

朝日新聞デジタル 7月26日

東京電力福島第一原発の事故後に福島県内で生まれた赤ちゃんは、全国の赤ちゃんと比べて先天異常の発症率がほぼ同じ傾向だったとする報告を、厚生労働省研究班がまとめた。27日に相模原市で開かれる日本先天異常学会学術集会で発表する。
研究班は、日本産婦人科医会が毎年実施している全国調査のデータと、2011年の原発事故以降、福島県内の全分娩(ぶんべん)施設を対象に実施した調査のデータを比較した。全国調査は1997~2010年に生まれた赤ちゃんのうち回答のあった約122万人、福島県内は11~13年の約1万7800人について解析し、1万人あたりの先天異常の発症率を比べた。福島県では年間約1万5千人の赤ちゃんが誕生している。
解析の結果、妊娠22週~生後1カ月の間にわかった心室中隔欠損やダウン症、口唇口蓋裂(こうがいれつ)、多指症など、すべての先天異常の発症率が、全国調査と福島調査の間に統計的に意味のある差はなかったという。福島県内の地域による違いなどは調べていない。研究班はさらに解析を進めるとともに、長期的な影響についても調べる。
放射線被曝(ひばく)と先天異常の関係はわかっていない。WHOなどは05年、チェルノブイリ原発事故で先天異常が増えた証拠はないとの報告書をまとめた。一方、一部の異常が増えたとする論文が、米国小児科学会誌に10年に発表された。主任研究者の平原史樹・横浜市立大教授は「今後さらに症例数を増やすとともに、解析の方法も検討したい」と話している。(岡崎明子)

歯石予防にはちみつ? その驚くべき効果

エコノミックニュース 7月26日

2012年の簡易生命表によると、日本人の平均寿命は女性が86.41歳、男性が79.94歳。女性は世界1位、男性は世界5位で、男女合わせると日本は世界一の長寿国だ。ところが、厚生労働省の調査によると、歯の平均寿命は約50~65年。命の寿命と比べると約20年以上も短い。健康な歯を少しでも長く保ちたいというのは誰しもが願うこと。その為には日々のデンタルケアが重要だ。
とくに最近注目されているのが、プラークコントロール。プラークといわれると何だかスタイリッシュなイメージもなきにしもあらずだが、要は歯垢のことである。しかも、歯垢の正体は料理の食べかすなどの生易しいものではなく、細菌の塊。スタイリッシュとは程遠い存在なのだ。歯の表面に白く付着したヌルヌルとしたアレがすべて細菌だと思うと、ゾッとしない人はいないだろう。しかもこのプラーク、気持ち悪いだけじゃない。細菌から発生する酸や毒素が、虫歯や歯周病の主な原因となる。さらには唾液の中のカルシウムと結合して石灰化し、歯石となって蓄積するからタチが悪い。歯石になると容易に取り除けない上に、そこがさらに細菌の温床となって歯周病や虫歯に拍車がかかってしまうのだ。
歯石は、自分ではなかなか取り除くことができないからこそ、予防が何より大切になる。たとえば、CMでプラークコントロールの認知度を高めたライオンの「PCクリニカ」シリーズなどの歯垢除去と歯石予防に特化した歯磨き粉の利用や、ブラウンの電動歯ブラシ「オーラルB」シリーズなどを使用して、日々のハミガキで歯垢を除去する方法が一般的だが、近頃はジョンソン・エンド・ジョンソンが発売している薬用マウスウォッシュ「リステリン」などの利用者も増えている。しかし、これらは、薬用とはいえ、あくまで薬品であり、安全性はしっかりと確認されて発売されているのは間違いないが、それでも抵抗がある人も少なくないだろう。大人はともかく、子供には刺激も強く、なかなか使いにくい。
そんな人には、はちみつがおすすめだ。「歯石にはちみつ?」と首を傾げる人も多いと思うが、実はハチミツには歯石を予防する効果があることが実験によって確認されている。実験を行ったのは、ミツバチ産品の販売で知られる山田養蜂場と、福岡医療短期大学 歯科衛生学科の日高三郎教授。両者の共同研究として、世界各国から集めたはちみつの歯石予防作用について確認する実験が行われ、はちみつに歯石の蓄積を予防する(抗石灰化作用)可能性があることが明らかになった。はちみつの抗ウィルス・抗菌作用が歯周病や口腔潰瘍などの予防に役立つことは知られていたが、口腔内の石灰化、歯石歯予防効果があることが証明されたのはこの実験が初めてで、研究成果は歯周病研究の学術誌「Journal of Periodontal Research」にも掲載され、科学的にも認められている。
山田養蜂場によると、この実験で、甘露、ローズマリー、ペーターソンカース、ユーカリ、ラズベリー、ベニバナ、ペパーミント、コーヒー、レンゲ、百花の10種類のハチミツに抗歯石剤として歯磨剤に使用されているエチドロン酸と同様の歯石予防効果があるという。また、実験に使われたはちみつ液の濃度は、小さなカップ一杯(100cc)のぬるま湯ティースプーン一杯程度だというから、手軽に利用できそうだ。
歯周病は歯や口腔内の健康だけでなく、糖尿病や心臓病、脳卒中、肺炎、慢性腎疾患、骨粗しょう症、さらには癌、早産などの合併症を伴うことが報告されている。いくら長生きしても、身体中に病気が蔓延していては目も当てられない。楽しく、長寿を全うするためにも、早い内からのプラークコントロールを心掛けたいものだ。(編集担当:石井絢子)