社説[児童虐待]危険な放置を見逃すな

沖縄タイムス 2014年8月7日

児童虐待が増え続けている。全国の児童相談所が2013年度に対応した児童虐待の件数は、7万3765件(速報値)で過去最多を更新した。前年度に比べ10・6%も増加した。
厚生労働省は、虐待通告のあった子のきょうだいも心理的虐待の被害児として対応したことや、母親へのドメスティックバイオレンス(DV)に関連し警察からの通告が増えたことが、大幅増の要因とみている。
家庭という密室で弱者である子どもに被害が及ぶ児童虐待は、外部からは見えにくい。顕在化した事例は氷山の一角ととらえるべきだ。
神奈川県厚木市で今年5月に男児の遺体が見つかった事件では、父親がアパートに置き去りにし、十分な食事を与えずに衰弱死させたことが明らかになった。
児童虐待は、身体への暴行や性的虐待、心理的に傷つける暴言だけではない。親が育児を放棄(ネグレクト)し、食事などを与えず放置することも含まれる。
さいたま市では昨年8月、1歳8カ月の女児がエアコンのない自宅に18時間放置され、熱中症で死亡した。群馬県では昨年2月、外国籍の母親が14歳と3歳の女児をアパートに置き去りにして帰国し、次女が餓死した。大人の身勝手で幼い命が奪われたのである。
共同通信の全国調査では、自宅や路上などに置き去りにされた18歳未満の子どもが11年度から13年度までの3年間に24都道府県で395人いた。子どもたちが危険にさらされている実情が、浮き彫りになった。

県内では6月、パチンコ店の立体駐車場に止めた車内に生後5カ月の男児を6時間あまり放置し、熱中症で死亡させる痛ましい事件が起きた。
被疑者の母親は、事件当日までに少なくとも十数回、わが子を車内に残してパチンコをしていたとされる。
子どもの車内放置の危険性は繰り返し指摘されてきたが、同様の事件は全国的に後を絶たない。なぜ、幼い子どもの安全を後回しにしてまでパチンコに長時間はまったのか、ギャンブル依存の視点からも考える必要がある。
親の責任は厳しく問われるべきだが、断罪するだけでは再発防止は難しい。
育児不安や孤立、DVなど依存症に陥りやすいさまざまな背景に目を向け、それぞれの専門機関が連携して対策に取り組むべきだ。

児童虐待に詳しい沖縄子どもの貧困解消ネットワーク共同代表の山内優子さんは、「子どもの放置に社会が敏感になることで、事件防止にも役立つ」と指摘する。
夜間、親が働きに出る。非正規雇用や困窮世帯が多い県内では決して特殊な事例ではない。だが、幼い子どもだけを自宅に残せば、火災や落下事故などのリスクが高まる。危険なのは車内放置だけではない。
県内の児童虐待はネグレクトの多さが際立つ。子どもの放置を早期に把握し、支援につなげるネットワークが重要だ。

佐世保高1同級生殺害、犯行現場に血で書いた文字

TBS系(JNN) 2014年8月6日

長崎県佐世保市で起きた高校1年同級生殺害事件で、犯行現場から血で書かれた文字のようなものが見つかっていたことが新たにわかりました。
同級生を殺害したとして逮捕された佐世保市の高校1年の女子生徒(16)。警察のこれまでの調べで、被害者の遺体は、首や左手首が切断されるなど、激しく傷つけられていたことがわかっていますが、捜査関係者によりますと、犯行現場となったひとり暮らしのマンションの部屋から、逮捕された女子生徒が血で書いたと見られる文字のようなものが見つかっていたことが新たにわかりました。警察は、女子生徒が何らかのメッセージを残そうとした疑いもあるとみて、内容の分析を進めています。
「私たちでできる最大限のことをしてまいりました」(女子生徒の父親の手記)
女子生徒の父親は今年3月、女子生徒に金属バットで殴られて大けがをし、その後、複数の精神科の病院を受診させていたといいます。
事件発生19日前
先月7日、両親は、女子生徒が猫を虐殺していることを精神科医から聞き、初めて知ったとしています。
事件発生3日前
先月23日、女子生徒は、父親の再婚相手に“人を殺してみたい”という趣旨の話をしていました。この話を聞いた父親は、事件前日、精神科医やカウンセラーと対応を検討。まずは、児童相談所に相談することに決めましたが、この日は時間外だったため、改めて翌々日に相談に行くことにしていたといいます。しかし、事件はこの翌日に発生しました。
現場の部屋からは、事件前、親が女子生徒に渡していたとみられる現金100万円のほか、冷蔵庫からは猫の頭部が見つかっていたこともわかりました。検察は、女子生徒の刑事責任能力などを調べるため、今月中旬にも精神鑑定を行う方針です。

佐世保同級生殺害】時間外対応しない児童相談所の存在意義

東京ブレイキングニュース 2014年08月06日

佐世保JK同級生殺害事件で、殺人の疑いで逮捕された少女(16、逮捕時15)の親が事件前日(7月25日)、児童相談の窓口に電話していたことがわかった。しかし、時間外だったことから宿直担当者は「職員は勤務時間外で退庁した」と伝えていたという。この事件に限らず、普通の一般市民は、役所の勤務時間内に電話をすることが難しい人がたくさんいる。相談窓口の人員不足を解消し、体制のあり方を見直さないと、類似の事件が繰り返されるのではないだろうか。
共同通信社が県の関係者の話として伝えているのは、親が7月25日午後6時半ごろ、佐世保子ども・女性・障害者支援センターに電話しているというもの。しかし、退庁したことを知ると、「月曜日にかけ直します」と電話を切った。少女を診察した精神科医の助言だったとみられている。この精神科医も6月10日、窓口に相談している(日経新聞、8月3日)。
事件前に相談していたと聞くと、2000年5月3日の起きた西鉄バスジャック事件を思い出す。西日本鉄道の高速バスを刃渡り40センチほどの牛刀を持った17歳の少年がバスジャックした。二人が負傷。68歳女性1人が死亡した。日本のバスジャック事件で人質が死亡したのは初めて。
少年は「ネオむぎ茶」というハンドルネームで犯行前にインターネットの匿名掲示板2ちゃんねるに書き込んでいた。中学校でいじめにあったものの、学校や教育委員会はいじめの事実をみとめなかった。入学した高校も9日登校しただけで中退している。
大検を目指すようになった少年だが、家庭内暴力はさらに悪化した。親が警察や精神科病院に相談したが、事件を起こしていない段階では対処出来ないとされてしまう。その後、親は当時メディアによく出ていた精神科医町沢静夫氏に連絡を取る。結果、国立肥前診療所が少年を医療保護入院をさせた。このころ、2000年5月に起きた豊川市主婦殺人事件で、逮捕された17歳の少年が「人を殺してみたかった」と供述していたことを知り、彼のようになりたいと少年は手記を書いている。しかし、手記を知らない診療所は外泊許可を出す。そのときに事件が起きた。
事件が起きるときは、社会的サポートが欠如しているときに起きたりする。西鉄バスジャック事件は外泊許可ができ、一時的にサポートが途絶えたときだ。一方、佐世保事件では、サポートや介入をする直前、模索段階だった。行政は土日は休みであり、平日でも午後5時以降は窓口は原則対応しない。こうした「時間外」の相談については、様々なサポートの現場で批判をよく聞く。時間外の相談について、今後、見直さないと同じような事件が繰り返されるかもしれない。そのためには、不足している窓口の人員を増やすべきだろう。
Written by 渋井哲也

エボラ出血熱 人類史上初めての脅威 日本上陸も

AdverTimes(アドタイ) 2014年8月7日

7月31日、世界保健機関(WHO)は、エボラ出血熱の感染拡大に関して「前例のない規模」との報道声明を発信し、「感染拡大の規模と脅威から、新たな段階の対策を取る必要がある」と指摘した。
今回のエボラ出血熱による感染は、今年2月にギニアで始まった後に隣国のリベリア、シエラレオネに広がり、3カ国で感染が拡大、医療関係者の感染も相次いで発生、防護服でも防げず100人以上が感染した後、半数が死亡したとの報道も確認されている。
アメリカの政府組織「平和部隊」が30日に、活動を続けていた約340人のボランティアを一時国外退避させるとの発表も行われている。
7月30日に世界保健機関アフリカ地域事務局によって発表された情報によれば、累計感染者は1440人、累計死者は826人、死亡率は57%となっている。
これまでの最大の死者数は、1976年に発生したザイール(現コンゴ民主共和国)での280人で、累計感染者は318人、死亡率は88%だった。今回の拡大感染は、その当時の3倍~4倍に相当する被害者を出している。さらに、現在も加速度的に被害者が増加しており、これまでの感染発生状況とは異なる点も指摘されている。
世界保健機関では、今回のエボラ出血熱ウイルスには変異があり、いわゆる「新株」であるとの発表があり、変異の概要には以下の3つの特徴が指摘されている。

潜伏期間が長い
これまで確認されているエボラウイルスに比べて死亡率が低い
強力な感染力
特徴として、潜伏期間が長くなることで遠くまでウイルスが運ばれ、宿主が死亡しないこと(これまでの死亡率は約90%だが、今回は57%)でウイルスが長く残り、感染拡大となったと言われている。一部の専門家の間では、訓練を受けた医療関係者が、防護服でも防げない状況から、空気感染の可能性を指摘しており、強力な接触感染によって被害が広がっているとの報告もある。
さらに、エボラ出血熱の感染が水際で防げず、航空機を通じて広がる事態も発覚している。リベリアから航空機でナイジェリアに入ったアメリカ人男性が感染し、数日後には病院で死亡が確認された。
米疾病対策センターは、7月28日に、初期症状が発熱や喉の痛みなど、エボラ出血熱と判別しにくく、潜伏期間も2日~21日と幅があり、水際阻止そのものが難しいとの警告を発している。
アジア圏では、香港において懸念者が発生し、検査結果は陰性と確認されているが、いつどこで航空機を通じて日本へ感染拡大してもおかしくない状況となっている。
厚生労働省検疫所や国立感染症研究所感染症情報センター、外務省海外安全ホームページでは、今回のエボラ出血熱について以下のURLで情報を提供している。

厚生労働省検疫所
国立感染症研究所感染症情報センター
外務省海外安全ホームページ

また、「国境なき医師団日本支部」は、今回のエボラ出血熱に対する活動状況を定期的にそのホームページで掲載し、現状を訴えているので、ぜひ一読して頂きたい。