共働きの家庭で虐待が少ない理由。~パパたちよ、子供の1歳検診に行こう!~

シェアーズカフェ・オンライン 2014年8月11日

激増する児童虐待の件数
厚生労働省が今週発表した2013年度、児童相談所での児童虐待相談対応件数は昨年を10%以上上回る7万3千件強となりました。相談件数は一貫して増え続けており、20年前の1,600件程と比べるとなんと45倍にもなっています。
特にバブル崩壊期の最後である1995年あたりから飛躍的に件数が伸び始め、相談所に通報があっても対応しきれず最悪の悲劇が起こってしまった、という事件もありました。
子供の数は32年連続で減少しており、子供の数も割合も特に平成に入ったあたりから急カーブで減少しています。子供が減っているのに虐待の件数は増えている、とはいったいどういうことなのでしょうか?

心温まるママの1歳。このままで本当に大丈夫?
話は変わりますが、おむつメーカーのパンパースが今月からYou Tubeで公開している「Mom’s 1st Birthday ママも1歳、おめでとう。」という映像が非常にたくさんの人の共感を呼んでいます。1歳検診に子供とやってきた3人のママが、夫たちから写真とケーキのサプライズを受ける、というストーリーでこの動画の紹介記事が8月7日現在、フェイスブックで「いいね」8.1万件、「シェア」も8.1万件と猛烈な人気です。
出演する3組の夫婦は本物でドキュメンタリー風に仕立てられており、ママたちが流す涙も本物です。この中で彼女たちは、「新生児の頃は毎日が不安で毎日泣いて過ごした」「注射の後全然泣き止まずどうしたらよいかと思った」「この1年まともに寝たことがなかった」と口ぐちに話しますが、夫は「子育てに参加できないのは本当に申し訳ないと思っている」と言いつつも、検診には参加しておらず、日常の子育てはほぼ母親のみが行っていると想像できます。

不安とストレスだらけの子育てに翻弄される母親たち
そんな妻たちに向けて夫たちが一生懸命写真をセッティングし、ケーキを差出し、感謝の言葉を捧げる。妻たちはいちように涙を浮かべますが、それが素直に夫への感謝と喜びだけの涙に思えないのは果たして私だけでしょうか?
夫の1人が「子供が産まれてから(妻は)安いお寿司しか食べなくなった」と話していますが、厚生労働省の別の統計では、子育て世代の65.3%が「生活が苦しい」と感じており、すべての年代の中で最も割合が高くなっています。
慣れない子育てをたった一人でこなしながら、夫は不在、周りに頼る人もおらず、好きなものも我慢して切り詰めた生活を送り、子供と2人きりで過ごす毎日。ストレスで子供に当たってしまったとしても、彼女たちを誰が責められるでしょうか? 実際に児童虐待にまで至ってしまうケースは氷山の一角で、ぎりぎりまで追いつめられている母親たちの数は非常に多いと思われます

共働き世帯のほうが虐待が少ない
『日経デュアル』というウェブマガジンでは、社会学者の舞田敏彦さんが「共働き家庭ほど虐待が少ない 通説と逆の結果が出た」という記事を書いておられます(2014/05/09)。舞田さんの分析によると共働き家庭ほど虐待は少なくなっているそうです。特に共働き率が35%と低い大阪府では児童虐待が多く、人口1,361人に1件の割合で虐待が起こっており(2013年度)、共働き率が70%の島根県の実に5倍以上になっています。
共働き家庭に虐待が少ないのは、ダブルインカムで経済的なストレスが少ないのに加え、24時間子供と一緒にいるストレスもないからだと考えられます。また、共働き家庭では夫が家事や育児に参加する割合も高いのも理由の一つに挙げられるでしょう。

1歳検診はぜひ両親で参加を!
ママの1歳の誕生日を夫に祝ってもらいその場で感激しても、翌日からまたわからないことだらけの子育ては続きます。1歳には1歳の、2歳には2歳の悩みが出てきます。それが2人目、3人目ともなればさらに違うストレスも増えてくるでしょう。
育児の不安やストレスを分かち合い、妻一人をぎりぎりまで追いつめないこと、日常で難しいのならせめて要所要所で妻と子育ての悩みを分かち合い、たとえ短い時間でも意識して子育てに参加することこそ(虐待の加害者は圧倒的に母親のほうが多いそうです、)夫ができる最善の方法ではないでしょうか?
パパたち、子供の1歳検診にはぜひ有給をとって妻と一緒に行きましょう!
後藤百合子 経営者

すき家の美しすぎる求人票と労働条件開示のあり方

シェアーズカフェ・オンライン 2014年8月11日

次の求人票(抜粋)を見てほしい。これを見て、あなたはどのように感じるだろうか。
<休日休暇>
週休2日制、夏期休暇・冬期休暇 ※年間休日123日
慶弔休暇、年次有給休暇、その他特別休暇
<勤務時間>
店舗:シフト制、実働8時間(月間174時間を就労義務としています)
工場:シフト制、実働8時間(月間174時間を就労義務としています)
本社:8:30~17:30 ※部署によって時間差出勤制度あり。

求人票から実労働時間は分からない
休みも多くて働きやすそうな会社に見えるであろう。
どこの優良企業の求人かと思ったかもしれないが、実は、この求人票は、すき家(ゼンショー)の2015年度の新卒採用条件からの抜粋である(リクナビ2015、マイナビ2015で開示中)。
少なからずの方が、「あの長時間労働で問題になっているすき家が、こんな好条件で新卒採用をしているのは本当!?」と驚くかもしれない。
確かに本当である。
だが、問題なのは、上記で表示されている勤務条件は、あくまでも「カレンダー上」の勤務日や労働時間であり、時間外労働や休日出勤を含めた実態としての労働時間は求職者にはまったく分からないということである。
すき家の場合、この求人要項では表に出ていない時間外労働や休日出勤が常軌を逸していて、人によっては所定労働時間すら上回っているという異常事態になっているわけだ。
同様に、多くの会社においても、求人票にはカレンダー上の勤務日と所定労働時間しか示さないので、求職者は自分が実際にどれくらい働くことになるのかの検討がつかないまま、就職活動を進めざるを得ず、入社してから「こんなはずではなかった」と思うこともあるわけだ。
新卒採用の場合は、「休日出勤はありますか」や「残業は何時間ありますか」という質問は、やる気が無いと思われるのでしないほうが良い、と言われることが多く、とくに学生が労働の実態を知りにくい雰囲気が醸成されている。
その結果、知らずにブラック企業に就職し、真面目な新社会人ほど、悪い意味で頑張りすぎてしまって、うつ病や過労死にもつながりかねない。

実績ベースの労働条件の開示を義務化したい
そこで、私は次のような提案をしたい。
それは、企業が求人を行う際に「実績に基づいた」労働時間や休日出勤日数を開示することを法的に義務化することである。
具体的には、1.前年度の平均時間外労働時間、2.前年度の平均休日出勤日数、3.前年度の有給休暇の平均消化率、4.入社3年以内の離職率などを、法的強制力をもった、求人票の明示事項とするのである。
実態に近い労働条件が開示されることで、ミスマッチを防ぐことに役立つのはもちろん、使い捨てを前提に大量採用する企業や、騙してでも入社させてしまえばこっちのものと考える企業に対する牽制になるではなかろうか。

金融商品取引法の開示に学ぶ
この点、財務面では、上場企業であれば金融商品取引法によって、企業は貸借対照表や損益計算書をはじめとした、法定事項を四半期ごとに開示しなければならないこととなっている。これは、企業の内部情報を正確に開示することによって投資家を保護するためである。
それと同様に、労務面においても、労働者保護のための情報開示を徹底すべきではないだろうかというのが私の提案である。
上場企業だけでなく中小企業も含め、原則として全ての企業に労働条件の開示義務を課すべきであろう。労働基準法で全ての会社に作成が義務付けられている出勤簿や賃金台帳が開示のための元データなので、開示するための作業負荷がかかるわけではないし、いかなる企業で働く労働者であれ、等しく自己の労働条件を知る権利はあるはずだからである。

足元の対応
しかしながら、労働条件開示は、あくまでも立法論であるので、現状としては、働く人が労働法を積極的に学んで、おかしいことはおかしいと気付いて自衛をするしかない。
例えば、長時間労働に関していえば、厚生労働省は過労死に関するガイドラインを定めている。月に45時間を超える時間外労働が続いたら過労死のリスクが高まり、100時間を超えたら単月でも過労死のリスクありとされている。
会社が「やる気がない」とか「これくらいの長時間労働は当たり前」「みんなそれくらい頑張っている」と言うかもしれないが、それはその会社の中だけで通用する話にすぎない。
会社に入ったら、その会社の社長や上司の言うことが絶対的なものに思えてくるかもしれないが、いかなる会社においても、労働基準法など、法令の定めに違反したローカルルールを作ることは許されないのだ。
自社の労務管理がおかしいと気付いたら、勇気を持って労働基準監督署などのしかるべき役所に相談をしたり、同調する仲間がいるならば労働組合を結成したりして会社側に是正を求めてほしい。あるいは、そのような会社にはさっさと見切りを付けて、退職をするのも一手であろう。
長時間労働が原因で離職する場合は、雇用保険においても「特定受給資格者」として、3ヶ月の給付制限期間なしで基本手当(失業手当)を受給できることも知っておきたい。退職にあたっての金銭面の心配も緩和されるであろう。
また、ブラック企業によくあるパターンだが、退職を認めないと言われた場合も、月給者の場合は月の前半に申し出れば当月末、月の後半に申し出れば翌月末に退職できることが民法で定められている。時給者の場合は退職の申し出から14日経過後だ。採用時の労働条件と実態が異なる場合は、労働基準法において即時退職も認められている。このような場合の退職は、労働者の一方的な意思表示で成立することが法的に認められているので、会社の同意や許可は一切必要ない。

まとめ
「正直者が馬鹿を見る」という世の中であってはならない。
国としては「正直者が報われる」ように法制度を整備すべきであるし、労働者はそれを「宝の持ち腐れ」にせず、自分にどのような法的権利あるかを積極的に知るように努めるべきであろう。
また、今回私が提案した労働条件開示のように、フェアな労働市場の形成につながるような法改正も積極的に求めていきたいものである。
特定社会保険労務士・CFP 榊裕葵

個人情報守る意識を/(2)教える/スマホと子ども ネット社会の今

河北新報(東北) 2014年8月10日

体育館のスクリーンに、顔が分からないように処理された少年たちの姿が映し出される。自分たちで短文投稿サイト「ツイッター」に掲載した、飲酒をうかがわせる写真。閲覧者が少年たちの通う学校名などを特定したという。

匿名性まず否定
「ネット犯罪の現状と対策」と題した講演会が7月初旬、仙台市青葉区の宮城一高(生徒844人)で全学年を対象に開かれた。
「前後の投稿や写真に含まれる位置情報などから個人情報は容易に分かる」。講師を務めた宮城県警サイバー犯罪対策室の担当者はインターネットの匿名性を否定し、安易な書き込みがもたらす影響の深刻さを強調。小学生によるオンラインゲームの不正アクセス事件やワンクリック詐欺の手口のほか、スマートフォンでネットを利用する際に個人情報を守る設定の仕方も具体的に説明した。
3年の女子生徒(18)は「情報管理は気を付けているが、他人から自分の情報が漏れないか心配だ」と話した。1年の男子生徒(16)は「被害内容がよく分かった。『自己責任でネットを使おう』という言葉が印象に残った」と感想を述べた。

小中高校で講演
宮城一高の講演は県警が力を入れる「サイバーセキュリティ・カレッジ」の一環だ。サイバー犯罪防止の啓発事業として2006~08年に総務省が全国で実施し、09年からは県警が独自に続けている。
13年のカレッジは77回。中でも県教委と連携した高校生向けの講演は要望が多く、51回開いた。このほか、県警と各警察署が各地の小中高校で開く防犯教室でもネットの危険性や対策を伝える。
サイバー犯罪対策室を置く生活環境課の佐々木友和課長補佐は、ネット絡みのトラブルが絶えない背景を「スマホの急激な普及に教育が追い付かない」と解説する。「ネットは世界中とつながっているのに、友人同士だけの会話だと勘違いする子どもは多い」と危機感を持つ。

SNSでも被害
「非出会い系」と呼ばれるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の交流サイトやゲームサイトを使い、子どもが性犯罪に巻き込まれる事件も相次ぐ。
宮城県警少年課によると、県内では2013年、児童買春などの福祉犯の被害者(18歳未満)は77人いた。34人はネットを使い、このうち33人はツイッターや無料通信アプリ「LINE(ライン)」の掲示板などのSNSで加害者と知り合った。フィルタリングの利用は2人にとどまる。使った端末は34人中24人がスマホ、8人が従来型携帯電話。携帯型ゲーム機とパソコンも1人ずついた。
少年課の担当者は「出会い系サイトの危険性が浸透したこともあり、舞台がSNSへ移った」と指摘。掲示板などの不適切な書き込みを見て、本人と接触する「サイバー補導」にも取り組む。
自身もカレッジの講師を務める佐々木課長補佐は、こう強調した。
「子どもたちを被害者にも加害者にもしないためには、ネットの危険性や何が犯罪に当たるかを地道に教えるしかない」

【フィルタリング】 有害サイトへの接続を制限する仕組み。18歳未満の子どもが使う携帯電話は利用が原則義務付けられている。有害サイトへの接続を制限する「ブラックリスト方式」と事業者が安全としたサイトだけに接続する「ホワイトリスト方式」がある。

佐世保同級生殺人事件 キムタク髪の父、一周忌前に再婚

週刊朝日 2014年8月15日号より抜粋

長崎県佐世保市で少女A(16歳)が幼なじみのクラスメートを殺害し、遺体を解体した事件の衝撃が広がっている。エリート一家に育ち、東大を目指していた少女はなぜ、むごたらしい“猟奇殺人”を誕生日前日、決行したのか。その“鍵”は、最愛の母の死からわずか数カ月後、再婚した父への愛憎にあった。
少女Aは母親の死を境に、父親との関係が急速に歪み始める。
「寂しさを紛らわすためなのか、父親は若い女性と頻繁に食事するなど夜の街を出歩く機会が増えた。今年初め、お見合いで知り合ったという東京在住の30代前半の女性が佐世保に来るようになりました」(一家の知人)
親子関係は次第に悪化していく。今年1月末に開かれたスケート競技に父子で出場した際、二人は激しくぶつかったという。
「会場でAちゃんとお父さんは大げんかして、周囲の人が『何があったのか』と振り返るほどでした。Aちゃんは『足が痛い』と試合を棄権し、お父さんの言うことをまったく聞かなくなった」(知人男性)
確かに当時の報道を見ると、前日には出場していた少女Aは2日目の種目を足の故障で棄権している。
少女Aは3月、そんな父親を金属バットで殴り、負傷させる事件を起こす。
「2月にAちゃんと父親と食事した時は普通の親子関係に見えた。だが、父親への暴力が激しくなり、家族は身の危険を感じていたようです。『9月からオーストラリアへ留学する』というAちゃんにその準備のためと、一人暮らしをさせたと聞いた」(前出の一家の知人)
今年4月、少女Aは中学と一貫校の県立高に進学したが、1学期はほぼ不登校状態で、3日間しか登校していない。進学を機に、事件の現場となったマンションの一室で、一人暮らしを始めたのだ。
少女Aと入れ替わるようにやってきた、芸能関係の仕事にもかかわっているという華やかな女性と、父親は5月に結婚。地元繁華街を2人が一緒に歩く姿を周囲はとまどいの目で見ていた。
「奥さんの誕生日に合わせて結婚して、新妻のプロフィルを書いた紙を周囲に渡していた。『ピアノが得意』とか、『ソフトバンクのCMの犬の演技指導をしている』とか誇らしげに書いてありましたが、まだ前妻の一周忌も済んでいないのに早すぎではないかと、周りは心配していたんです」(前出の知人男性)
さらに、知人女性はこう語る。
「ピアノや乗馬など共通の趣味があるので交際に至ったと聞きましたが、『自分の子どもが欲しい。だから、年齢が若い子が良かった』とも言っていた。新しい奥さんとの子どもを待望していたようです」
「前妻の一周忌を終えた秋にはハウステンボスの高級ホテルで結婚式を挙げる」と妻は待ち遠しそうに知人に語っていたという。
「新しい奥さんは、家の地下にあるピアノ部屋で、何度か父親と一緒に連弾していたそうです。地下室はAちゃんの実母のリクエストでピアノ部屋にし、夫婦で連弾をしたり、実母がAちゃんにピアノを教えていた思い出の場所。Aちゃんからしたら複雑な思いだったのでは」(前出の知人)
父親はもともと活発な人物だったようで、長男の受験と同時期に10代の受験生が通う佐世保市内の学習塾に通い、11年には九州大学を受験し、入学したという。
「学内に茶髪の中年男性がいて、リアル『ブラック・プレジデント』(ワンマン企業の中年社長が大学に通うテレビドラマ)だと話題になっていた。ピアノ、トライアスロン、ゴルフのサークルに入っていて、ゴルフのスコアは100を切っているから断トツにうまかったと聞いています」(九大の学生)
多忙な弁護士業をこなしながら、サークル活動にいそしむキャンパスライフ。周囲には「若い人と交流して、自分をリフレッシュできた」と語っていたという。前出の知人女性が語る。
「茶髪にロン毛で、片目にかかるように流す髪形はキムタクにそっくり。実際、キムタクがサーファー風の髪形になった時期は本人もそうなったし、『似ていますね』と言うと喜ぶから、意識しているのでは。体も鍛えていて若々しいから、普通の50代とはかなり違いますね」
母の死後、少女Aは英語のスピーチ大会で「マイ・ファザー・イズ・エイリアン」と語り、周囲を驚かせたという。
(本誌・今西憲之、上田耕司、山岡三恵、小泉耕平、牧野めぐみ)