<児相ダイヤル>かけやすく3桁へ…虐待、早い発見促す

毎日新聞 2014年9月7日

厚生労働省は虐待通報などを受け付ける「児童相談所(児相)全国共通ダイヤル」を、現行の10桁から110番(警察)や119番(消防)と同じ3桁にする方針を決めた。安全が脅かされる子どもの早期発見を促すのが狙いで、来年度予算の概算要求に電話転送システムの開発費など3億7700万円を計上した。

厚労省が方針、概算要求
児相の虐待対応は2013年度に7万3765件と最多を更新。09年10月に運用を開始した現行の共通ダイヤル(0570・064・000)には、13年度に1万6971件の電話があった。ダイヤルすると管轄の児相に転送されるが「番号が長く覚えにくい」との指摘も多く、虐待対応件数が過去4年連続で全国最多の大阪府などが3桁化を国に求めていた。
今後、システム変更し、15年度内にも警察や消防と同じ「1」から始まる3桁での運用を目指す。総務省によると、国による3桁の通報電話開設は海上保安庁の海難事故などの通報(118、00年運用開始)以来。ただ、110、119、118は緊急通報として無料だが、「児相ダイヤル」は子育て相談なども含まれるため同じ位置づけとはならず、通話料は現行通りかかる見込み。
3桁化に伴う通報数増加などへの対応として厚労省は来年度、全国207カ所の児童相談所の、非常勤職員の人件費助成について、夜間は現行の2人分から4人分へ、休日も1人分から2人分へ増やす方針。【野倉恵】

労災認定請求が過去最多 精神障害が増えている背景とは

エコノミックニュース 2014年9月7日

厚生労働省の発表で、2013年度の精神障害での労災認定の請求が1409件と過去最多を記録した。障害を引き起こしたきっかけとして「上司とのトラブル」が1位になり、職場環境の悪化が表面化している。
先月、総務省が発表した6月の完全失業率は3.7%で雇用状況は改善が進んでいる。つまり転職しようと思えばできる状況である。それでは、なぜ会社に精神疾患になってまで居座り続けるのだろうか。ここで重要になってくるのが30代である。
全ての世代の中で申請数が最多である30代。彼らが就職活動をしていた時期、日本経済はバブル経済が崩壊し、「失われた20年」の中にあった。経済に勢いがなくなってITバブルも崩壊した後の00年には、新規大学卒業者の有効求人倍率がついに1倍を割って0.99%となり、就職氷河期という状況が深刻化した。つまり、現在35歳前後の人は就職氷河期に学生時代を過ごし、厳しい就職試験をクリアして入社してきているのだ。
一方で30代は企業の中で部下のマネジメントを任され、社内でも中心となり仕事を進めていく世代である。しかし、総人権費の抑制など非正規雇用の活用が進み、企業内の年齢構成のバランスが崩れた。その結果、円滑なコミュニケーションが阻害され、30代に仕事が集中するケースが多くあると言う。責任の範囲が増え仕事が忙しくなる一方、社内のコミュニケーションがなくなり社内で孤立していく。その結果、精神疾患にかかりやすくなっている実態があるのだ。
また35歳転職限界説というのがある。エン・ジャパン が今年の7月に発表した調査結果によれば、転職の際不安に思うことの1位に年齢がきた。転職市場では経験・実績よりも年齢が重要だという認識が定着していることを物語っている。
しかし今年の8月、同じ転職支援サービスのインテリジェンスが、30代を取り巻くまた別の事実が浮かび上がる調査結果を発表した。それによると、14年の1~6月の転職成功者の平均年齢が過去最高の31.7歳となり、35歳以上の成功者の割合も25%を初めて上回ったのだ。
うつ病になりやすい人の傾向として執着気質というのがある。裏を返せば粘り強いという利点になるのだが、現在の経済状況では決してプラスに働いていない。会社に執着することなく勇気を出して一歩踏み出すこと。また転職市場を柔軟なものに変えていくこと。それが会社で心を病む人を減らす一番の施策となるのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)

青春18きっぷ 「薩摩守」に要注意

乗りものニュース 2014年9月7日

JR線に挟まれたほくほく線
新潟県の六日町駅と犀潟駅を結ぶ、北越急行ほくほく線。この路線はその両端の駅で、JR線と直通運転を行っています。そのため、ほくほく線の改札を通過することなく「JR線→ほくほく線→JR線」と乗車することが可能。乗り換え無しで越後湯沢駅などから北陸方面へ向かえるため、とても便利です。
しかし、デメリットもありました。JR線普通列車乗り放題の「青春18きっぷ」を使ってJRの改札を通過した乗客が、JR線からほくほく線への直通列車に乗車。ほくほく線の運賃支払いを失念し、そのまま再びJR線に入ってしまう場合があるのです。
この場合、北越急行は運賃970円を取りはぐれてしまうので、そうしたことのないよう、ほくほく線の車内には運転士へ精算を申し出る旨の注意書きが掲示されています。「青春18きっぷ」でほくほく線に乗る場合は、精算を忘れ不正乗車になってしまうことがくれぐれもないように。ほくほく線の普通列車(快速を含む)はワンマン運転で、車掌は乗務していません。

不正乗車と縁が深い平家の武将
ちなみに不正乗車のことを「キセル」といいますが、その語源をご存じでしょうか。
例えばA駅→B駅→C駅→D駅と移動するとします。そこでまず、A駅の改札をB駅まで有効のきっぷで通過。そしてそのまま乗り続け、C駅からD駅まで有効のきっぷでD駅の改札を通過。B駅→C駅間は有効なきっぷを持たず乗車しました。
この場合、改札を入るときと出るときだけ金を使い、その途中では金を使っていません。喫煙具のキセルも、その両端部分だけ金属を使っています。よってこうしたタイプの不正乗車を「キセル」と呼ぶようになり、そして広く不正乗車についても「キセル」と呼ぶようになった、といわれています。
また無賃乗車について、「薩摩守(さつまのかみ)」と表現することもあります。これは平清盛の異母弟、平忠度(たいらのただのり)の官名が「薩摩守」だったことが由来。つまり「無賃乗車」→「ただ乗り」→「平忠度」→「薩摩守」です。ただ乗りを試みる『薩摩守』という狂言も存在することから、古くからこの言い回しが使われていた可能性もあります。

「Club NTT-West」をかたるフィッシング詐欺サイトに注意

INTERNET Watch 2014年9月5日

NTT西日本の会員向けサイト「Club NTT-West」をかたるフィッシング詐欺サイトが報告されているとして、フィッシング対策協議会が5日、緊急情報を出した。詐欺サイトは5日16時現在も稼働中のため、こうしたサイトに氏名やIDなどの情報を入力しないよう、注意を呼び掛けている。
サイトは、「Club NTT-West」の会員メニューを模したデザインで、フレッツサービスの契約回線名義や郵便番号、回線IDといった情報を入力させようとする。
フィッシング対策協議会では、確認されたフィッシングサイトについては閉鎖のための調査を依頼中だと説明。また、類似のフィッシングサイトが公開される恐れもあるため、こうしたサイトには情報を入力しないよう注意している。

神奈川県動物保護センター 従業員が犬殴り死なせる

カナロコ 2014年9月5日

「手かまれ腹立った」
神奈川県は4日、平塚市の県動物保護センターで、収容中の小型犬1頭が頭から血を流して死ぬ事故があったと発表した。県の委託を受けた施設管理業者の50代の男性従業員による暴行が原因とみられ、県は動物愛護法違反の疑いがあるとして平塚署に届け出た。
県によると、死んだのは雌のミニチュアダックスフントで10歳以上。同日午前8時ごろ、収容室の清掃に入った男性が、ケージをつなぐ金属製の支柱(長さ約60センチ)で頭や腹を数回殴った。男性は抱き上げた際に手をかまれ、「腹が立った」と話しているという。
同日8時半ごろ、頭から血を流して倒れている犬を同センター職員が発見した。同センターは、収容された迷い犬などの新たな飼い主を探すボランティアらの努力に支えられ、2013年度に初めて犬の殺処分数ゼロを達成していた。
【神奈川新聞】

ロケ誘致へ神奈川県がサポートデスクを設置、FCやスポットを紹介

MSN産経ニュース 2014年9月6日

映画やテレビドラマのロケ(撮影)誘致を促進するため、県が「神奈川ロケーションサポートデスク」を開設した。県内の市町村や、ロケ地の紹介など撮影支援を行う「フィルムコミッション(FC)」を、制作会社に積極PRする。
県観光課によると、県内には豊かな自然や洗練された都市、歴史文化に育まれた街並みなど魅力的なスポットが多数存在。最近では、フジテレビ系ドラマ「HERO」や映画「ホットロード」など話題作も撮影されており、同課は「映画に限らずドラマやCMなどに頻繁に登場していることは神奈川の強み。『こういうきれいなところに行ってみたい』と思っていただき、神奈川に足を運んでほしい」と意気込む。
サポートデスクでは、県内12市町にあるFCやロケ地を紹介する「ロケーションガイド」を作成し、県のホームページに掲載。今後、冊子にして制作会社にPRする際に活用することも検討している。また、制作会社からの相談を受け付け、FCを紹介したり、FCのない市町村との連絡・調整も行ったりする。
サポートデスクは(電)045・210・5767(県観光課内)。

愛煙歴10年以上が2割!? 「スモーカー女子」の実態に迫ってみた

マイナビニュース 2014年9月8日

厚生労働省が実施した『国民健康・栄養調査』によると、男女別の喫煙者データでは、男性の喫煙率が平成15年では46.8%、平成24年では34.1%、女性の喫煙率は平成15年では11.3%、平成24年では9.0%とのこと。このことから、喫煙者は減少傾向にあるといえます。
同調査では男性よりも女性の喫煙者が少ないことがわかりましたが、それにしても女性の喫煙率の減少幅がやや少ないような……。そこで今回、マイナビニュースでは、「スモーカー女子」115名にアンケートを実施。女性の喫煙事情に迫ります。

「愛煙家10年以上」の女性は約2割
まずは喫煙歴について尋ねたところ、「1年以内(33.9%)」と回答した人が最も多く、「3~5年(20.9%)」、「10年以上(19.1%)」と続きます。今回のアンケートでは20代女性が6割を占めているため、喫煙歴が短い人が多い結果になったと思われます。
それにしても、「愛煙家歴10年以上」という、筋金入りのスモーカー女子が意外と多いことも見逃せません。

身近に喫煙者がいると禁煙できない!?
ところで、女子といえば流行モノが好きなイメージがありますよね。現在、禁煙ブームがじわじわと広がっていますが、これまでに「禁煙」を試みたことはあるのでしょうか?
そこで、禁煙にチャレンジしたことがあるか尋ねたところ、大多数の女性から「試みたことはない(80.9%)」という回答が寄せられました。けっこう意外ですね!
一方、禁煙を試みたことがあるものの、失敗してしまった人は19.1%。禁煙できなかった理由を尋ねたところ、次のようなコメントが寄せられました。

私たちが禁煙に失敗してしまった理由
・「彼と家で一緒に吸うのが習慣になっているから、それをやめられなくて失敗しました」(25歳女性/建設・土木/事務系専門職)
・「喫煙者が誘ってくる」(40歳女性/不動産/事務系専門職)
・「他にも、我慢していることがたくさんあるので」(36歳女性/医療・福祉/専門職)
・「口さみしいと手にとってしまいます」(32歳女性/医療・福祉/専門職)
・「ストレスのうまい発散方法を確立できなかった」(29歳女性/金属・鉄鋼・化学/事務系専門職)

大きく分けると、「ほかの喫煙者からの誘惑」「喫煙の習慣化」「ほかの喫煙者からの誘惑」「喫煙=ストレス解消法」という3つの理由が挙げられました。とくに喫煙によってストレスを解消している女性は、煙草を吸わないことでイライラしてしまい、また手に取ってしまう……。そんな悪循環に陥っているようです。

彼女に禁煙してほしい男、それでもやめない女
スモーカー女子たちはなかなか禁煙まで至らないようですが、煙草の本数を減らす「節煙」を試みたことはあるのでしょうか? アンケートによれば、「試みたことはない(64.3%)」という人が最も多く、節煙を試みて成功したのは25.2%、失敗したのは10.4%という結果となりました。
自分では禁煙・節煙しようと思わない女性が多いようですが、他人から禁煙や節煙を勧められることもないようで、「他人から禁煙・節煙を勧められることはない」と回答した人は約6割(59.1%)にものぼります。周りに喫煙者が多い環境にいると、禁煙や節煙を勧められることは少ないかもしれませんね。
一方、他人から禁煙・節煙を勧められたことがある女性たちは、主に「彼氏(13.9%)」、「友達(12.2%)」から言われることが多いことがわかりました。身近な存在だからこそ、スモーカー女子の健康を心配して禁煙・節煙を勧めるのでしょう。
若いときから喫煙習慣がある人ほど、禁煙することが難しいそうです。今回のアンケートでは20代女性や愛煙家歴10年以上のヘビースモーカー女子が多く、「禁煙を試みたことはない」という意見からも、気づかないうちに「ニコチン依存症」に陥ってしまう女性は多いと推測されます。
喫煙することに対しては、自分の意志を貫き通すスモーカー女子たち。しかし、女性に限らず喫煙者に対する批判的な意見は、年々増えているように感じます。そこで、煙草を吸っていて得したこと・損したことを聞いてみました。

煙草を吸っていて「得した」経験
・「喫煙所にくる同僚や上司と仲良くできる」(28歳女性/金属・鉄鋼・化学/秘書・アシスタント職)
・「気分転換ができること」(26歳女性/金融・証券/秘書・アシスタント職)
・「中途半端なチャラ男は来なくなった」(29歳女性/金属・鉄鋼・化学/事務系専門職)

煙草を吸うことによって、「苦手な上司とも喫煙所でコミュニケーションを図れることができた」という意見が多かったですね。しかしながら、全体的には「得することはない」と回答する人が目立ちました。

煙草を吸っていて「損した」経験
・「遊び人に思われる」(27歳女性/小売店/営業職)
・「若い頃は何も考えていなかったが、年をとるにつれ健康が心配になってきた」(43歳女性/不動産/事務系専門職)
・「お金がかかる、肌に悪いなど、損だらけ」(27歳女性/ホテル・旅行・アミューズメント/販売職・サービス系)
・「一目惚れした男性に、煙草を吸う女性は恋愛対象外だと言われてしまった事があります」(28歳女性/アパレル・繊維/販売職・サービス系)
・「吸い始めてちょっと周りから敬遠されたのを感じた」(29歳女性/印刷・紙パルプ/事務系専門職)
・「においが服や部屋についてしまう」(30歳女性/食品・飲料/販売職・サービス系)

一方、「損した」ことといえば、美容や健康への悪影響、ニオイ問題、イメージダウン等々、たくさんの意見が寄せられました。やはり女性が煙草を吸うことに対してよく思わない男性は多く、「モテ度」にも影響しているようです。
喫煙することによってデメリットのほうが多いことが明らかになりましたが、それでも67.0%の女性が「煙草をやめたいとは思わない」と回答しています。「煙草をやめたい」と思ったことがある女性は33.3%と少数派でしたが、どうしてそう思ったのでしょうか?

私たちが「煙草をやめたい」と思うワケ
・「健康を害する心配があるので」(23歳女性/その他/事務系専門職)
・「妊娠のことなどを考えると、この先ずっと吸うわけにはいかないから」(27歳女性/ホテル・旅行・アミューズメント/販売職・サービス系)
・「値上げが続くし、年々喫煙出来る場所が減ってきているからです」(28歳女性/アパレル・繊維/販売職・サービス系)
・「体にわるいし、結婚するまえに辞めたい」(24歳女性/マスコミ・広告/クリエイティブ職)
・「周りの目が痛いです」(32歳女性/医療・福祉/専門職)

やはり将来の妊娠・出産のことを考えて、いずれは煙草をやめなくては……と考えている女性が多い様子。また、年々上昇している煙草の価格や世間体などから、煙草をやめたいと思っているようでした。
煙草を吸うと美容に効果のあるビタミンCが奪われてしまい、血液の流れも悪くなるため、肌荒れやシミ、くすみなどの肌トラブルを引き起こします。そのため、年齢よりも老けて見られる「スモーカーズ・フェイス」になりやすいそうです。
ストレス発散のために喫煙している女性も多いと思いますが、仕事中なら軽くストレッチをすることによってリフレッシュすることもできるでしょう。自宅ではヨガなどを取り入れたりして、煙草に頼ることなくストレスを解消できたらいいですね。 煙草を吸うことによって人間関係が円滑になるというメリットもたしかにありますが、身体のことを考えると煙草を吸わずにコミュニケーションを深めることができたらいいですよね。また、経済的な面でも禁煙できれば預貯金に回すことも可能です。今回の調査結果を読んで、皆さんはどう思いましたか?

中国産タマネギ残留農薬問題 全ロット検査1カ月 高騰で実需敬遠も

日本農業新聞 2014年9月8日

中国産タマネギから基準値を超える残量農薬が相次いで検出され、政府が輸入業者に全ロットの検査を義務付ける「検査命令」を出して8日で1カ月。基準値超えが相次いで発覚し、相場が以前の2倍近くに高騰した。外食や加工業界の間で国産に切り替える動きも出ている。基準値超えが続く背景や、出荷期を迎えた北海道産の動向を追った。

・他の野菜向け飛散?
厚生労働省のサンプル調査で7月、中国産タマネギで農薬「チアメトキサム」の基準値超えが2例発覚。これを受けて検査命令が出て、その後の検査で8月中の基準値超えは17に上った。
同農薬は、日本ではホウレンソウで10ppm、小松菜で5ppm、レタスで3ppm
と、多数の野菜で農薬登録され、残留基準が設定されている。だがタマネギには登録がなく、0.01ppmの一律基準が適用されている。
輸入業者によると、基準値超えが多発しているのは野菜を複合的に栽培している山東省安丘市産。タマネギ以外で常用する同農薬をタマネギでも使ったか、他品目に散布したものがタマネギ畑に飛散したことで検出されたとみられる。
基準値超えが相次ぐ事態に、中国では各地区にある中国国家品質監督検査検疫総局(CIQ)での規制を強化。8月中旬には対日輸出量が大幅に減った。現在は基準値超えが頻発した工場(皮むき済みの「むきたま」に処理する施設)について、営業を当面停止。それ以外の工場は輸出を通常通り認める方針になっている。
日本の外食や食品加工業界に浸透する中国産タマネギだが「中国産が安全だとしても、国産に切り替える実需者が出ている」(輸入業者)という。
相場は高騰を続けている。供給の不安定化に加え、検査コストや基準値超えした際の返品リスクを織り込んだ価格設定になっているためだ。輸入業者によると、7月まで1キロ45円前後だった中国産(むきたま)の輸入原価は8月中旬以降、70円台後半で高止まりしている。1キロ100円台前半の国産との価格差が縮まる中、今後も国産への切り替えを検討する業者の動きが広がる可能性がある。

「むきたま」輸入が浸透
タマネギの国内流通量は2013年で約124万トン。うち輸入物が約30万トンで、主力の中国産は25万トンと全流通量の2割を占める。生食用はほぼ国産だが、外食産業や食品加工業者には中国産「むきたま」を中心に、輸入物が浸透している。
価格を見ると、7月時点で国産の卸値(日農平均価格=各地区大手7卸のデータを集計)は1キロ131円。対して中国産の卸値(東京都中央卸売市場)は70円と、価格差が大きかった。輸入業者によると、8月の高騰で価格差は縮まる傾向だという。
中国産が安全面で揺れ動く今、国内産地が業務需要にどう対応するかが問われている。
既に、加工・業務用に特化した低コストで多収型のタマネギ産地づくりが、主に米の裏作や畑地の輪作の一環で進む。政府も、業務筋需要に対応した生産への助成を今年度から本格導入している。

・北海道は数量回復傾向 国産回帰なるか
輸入タマネギの調達が不安定化する中、実需者が注視するのが北海道産の作柄だ。日本国内の最大産地で、その年の豊凶で業務・加工向けの数量が大きく変動するためだ。
14年産の北海道産の出荷予想量(8月10日時点、ホクレン推計)は61万2270トン。7月の干ばつや高温の影響で7月時点から3万トン近く下方修正されたが、不作だった前年を23%上回る。
このうちホクレンの取扱量は50万9490トン。仕向け先別では、スーパーなどで販売する生食向けが38万トン(前年比6万7280トン増)、加工向けが12万9490トン(3万1330トン増)。
13年は、北海道産を十分に調達できなかった外食・加工筋が一斉に中国産にシフトしたことで、輸入量が急増した。北海道産が回復傾向を見せたことで、今年は国産回帰が進む可能性がある。(高松和弘)